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女川原発の再稼動中止を

(2014年12月議会 花木則彰議員の一般質問)

◯花木則彰議員 二〇一一年三月の福島第一原発事故は、いまだに事故原因も原子炉と核燃料の正確な状態も明らかになっていません。放射性物質の地下水による流出もとまらず、核燃料の冷却装置も不安定で、これがとまれば、再度水蒸気爆発を起こす危険も排除されていません。福島第一原発事故の収束もしていないのに、当時の政権党である民主党も、現在の自民・公明政権も、原発再稼働への動きを続けてきました。事故被害補償の拡大を阻止したい電力業界の圧力に屈したものです。
一方、市民、国民は、原発再稼働反対、廃炉を求める声を粘り強く上げ続けています。原発立地自治体はもとより、周辺の自治体でも声を上げ、具体的行動に出る自治体も多くなっています。加美町、美里町、栗原市、北海道函館市などのように、市民の命と暮らしを守る立場で仙台市は取り組むべきです。
私は仙台市議会で、震災前の六回を含めて、三十二回にわたって原発事故問題を取り上げてきました。この間、市域の空間放射線量の測定の実施、学校や保育所の給食や市民持ち込み食料品の検査、地域防災計画に原子力災害対策編を策定、モニタリングポストの予算化など、提案した内容の幾つかが取り入れられたことは評価します。その上で、今、仙台市で対応すべき課題について、市の認識と対応方針について質疑いたします。
一つ目のテーマは、もはや想定外とは言うことができない今後の原子力災害への対応です。原発事故が起きないようにする対策と、原発事故が起きたときの対策はどちらも必要なことです。事故を起こさないためには、原発の再稼働を中止し、廃炉にするのが一番です。何度聞いても、奥山市長は再稼働をやめよとは言わず、原発事故を起こした責任がある東京電力や国と同じ発言を繰り返しています。
新しい規制基準は、安全基準ではありません。規制委員会の委員長自身が言っているとおりです。そもそもが、事故が起きても重大な事故に至らないようにという目標です。しかも、炉心溶融や原子炉格納容器破損による膨大な放射性物質の放出をとめるための原子炉構造の抜本的な改善には触れられていません。既に最近の原子炉では行われていることさえ基準に入れられていません。それは、旧式の古い原子炉をそのまま使うことを前提にし、優先しているからです。
原発事故が起きたときの対策は万全にとれるでしょうか。市は、被曝の影響を、一、原子力施設からの直接の放射線、二、爆発で飛び散った放射性のちりを含む雲のような放射性プルームからの外部被曝、内部被曝、三、プルーム通過時に地上に降り積もった放射性物質からの外部被曝、内部被曝の三つに分けて考察しています。
事故直後、一刻を争う緊急の対応が求められるのは、放射性プルームによる影響です。市の地域防災計画において、事故直後の緊急対応の部分がまだ不十分です。想定の甘さ、情報収集の不確実さ、緊急対応のための備えの欠如について市長の御認識をまず伺います。
事故直後の至急の避難を含めた計画が必要だと私は考えるものです。市も、事故後、降り積もった放射性物質による線量が高い場合、計画的に避難することは想定しています。百七万人余りが居住し、それ以上の昼間人口がある政令市仙台で避難計画を立てること自体が困難です。市は避難計画をどう立てるつもりなのか伺います。
二つ目のテーマは、既に起きてしまった福島第一原発事故に対しての対応です。第三回定例会で、仙台市内にも〇・二トンの放射性指定廃棄物が存在することについて取り上げました。市は、この情報を既に二年前に得ていたにもかかわらず、議会にも市民にも伝えなかったばかりか、今後も同様の情報ならば、あるともないとも議会質問があっても答えないと答弁しました。議会軽視の奥山市長の態度が際立った問題であると同時に、放射性物質による市域の汚染に対する仙台市の取り組み姿勢に重大な問題があることを示唆したものです。
事故の後、市域内の空間放射線量もわからず、土や水、食品などのベクレルをはかることもできず、市民は不安な期間を長く過ごしました。仙台市が、私の提案の一部を取り入れて、測定とそのデータを市民に公開してきたことは、放射能汚染に対する対応として大切なことです。
しかし、この間の経過を見ると、これらの市の対処は危機管理室が主に担って進められ、他部局、市全体の取り組みにはなっていません。状況の把握と緊急対処は危機管理の仕事ですが、ほぼ状況が明らかになり、事故から三年半が過ぎた現時点では、この問題はもっと日常的な取り組みにならなければなりません。市長は、福島第一原発事故による放射能汚染にどう取り組もうとされているのか伺います。
ここまでを一括質問とし、これら二つのテーマについての残りの質問は一問一答方式で行います。
以上です。

◯市長 ただいまの花木則彰議員の御質問にお答えを申し上げます。
原子力災害時における緊急対応に係る認識についてのお尋ねでございます。
本市におきましては、福島第一原発事故の教訓を踏まえ、市民の皆様の安全・安心を確保するため、原発から三十キロ圏外における対策について国から示されていない中で、市独自に実施可能な対策について地域防災計画に取りまとめたところでございます。
事故想定につきましても、福島第一原発事故における影響範囲や女川原発に関する国の放射性物質の拡散予測を踏まえておりますが、緊急時の対応を的確に実施するためには、正確な情報を迅速に把握し、適切に市民の皆様に提供することが何より重要でありますことから、今年度には、電力事業者との協定に基づく情報連絡体制の確認を行うとともに、モニタリングポストを設置するなど、独自の情報収集体制の整備に取り組んでまいりました。
今後も、国の三十キロ圏外における防災対策の検討状況を注視しつつ、地域防災計画の実効性を高めるよう、さまざまな対策を進めてまいりたいと存じます。
そのほかの御質問につきましては、危機管理監から御答弁を申し上げます。
以上でございます。

◯危機管理監 初めに、原子力災害時における本市の避難計画の作成についてでございます。
国の放射性物質の拡散予測では、市民が至急の避難を必要とする事態に至る可能性は高くなく、退避、避難については屋内退避を基本とし、事故の規模や気象状況によっては、計画的な避難が必要となる可能性もあるものと考えております。
また、国においては、本年十月から、原発から三十キロ圏外の自治体における防災対策について具体的な検討が開始されておりますことから、本市の避難計画につきましては、その動向を踏まえながら検討してまいります。
次に、福島第一原発事故に伴う放射能汚染への取り組みについてでございます。
事故以降、市内の広い範囲での空間放射線量や飲食物等の放射能濃度について、教育局や区役所などの関係部局と連携しながら測定を行い、速やかにその結果を公表して、市民の皆様の安全の確保や不安の払拭に努めてきたところでございます。
市内の放射性物質による影響は徐々に低減してきておりますが、現在の市内の放射線等の状況を踏まえ、当面の間は、関係部局と連携しながら測定などを継続してまいりたいと存じます。
以上でございます。

◯花木則彰議員 御答弁いただきました。まず、第一のテーマ、今後の事故が起こった際の緊急対応について、お伺いをしていきます。
事故直後、仙台市民の避難、退避を考える上で、緊急時迅速放射能影響測定ネットワークシステム、SPEEDIの活用が重要です。原発のすぐ近くではなくて、約五十キロメートル離れている仙台市にとっては、直ちに避難が必要かどうか、どちらの方向に避難させるべきか判断する上で大事な情報となります。規制委員会等は、前回の事故のときに、この情報を隠蔽したという批判があったということを恐れて、予測そのものを行わないなどという後ろ向きの姿勢を示しています。この姿勢を正す必要があると私は考えます。仙台市への予測情報の提供を地域防災計画で位置づけるべきですが、いかがでしょうか。

◯危機管理監 緊急時におけます屋内避難や一時移転等の防護措置の判断は、国際的な基準や福島第一原発事故の教訓を踏まえまして、国の原子力災害対策指針において、緊急時のモニタリングの実測値等に基づいて、国や県と連携しながら行うこととされております。
本市の地域防災計画においても、国、県同様、防護措置をとる判断としてモニタリングの実測値を活用することとしており、そのための実効性のある測定体制の整備を図ってまいりたいと存じます。

◯花木則彰議員 予測ではなくて実測でというのは、一般論としてはいいと思います。しかし、女川原発と仙台市域ということを考えますと、その間は海なんです。ですから、そこにはモニタリングポストはありません。ですから、実測できない。仙台の市域のところに放射線が強いものが来たときには、実測されたときにはもう逃げようもないと、屋内退避のしようもないという状態になります。規制委員会は、精度、これは予測よりも実測のほうが当然精度は高いわけですけれども、それを問題にしていますが、事故時の原発周辺の風向きや風速、天候から、放射性プルームの拡散を予測し、刻々の放射線データも加味して、より正確なものを仙台市に情報としてよこすというふうにしておかなければ、これは仙台市にとっての避難についても間に合わなくなると思うのですが、いかがでしょうか。

◯危機管理監 SPEEDIの活用につきましては、国において、事故時における放射性物質の放出時期やその量の把握が難しいことや、気象予測の持つ不確かさを排除することが困難であるため、防護措置の判断としては、緊急時モニタリングの実測値によることとしたものでございまして、本市といたしましても同様としているものでございます。

◯花木則彰議員 ですから、それでは市民の安全が確保できないということなんです。だから、実測値に基づくいろいろな避難だとかの発令というのは、まさに原発周辺の自治体や地域についてはそれでやるんだと思いますし、それでいいんだと思いますが、国のそもそも計画自体、いろいろな基準の発令自体は、三十キロ圏外、仙台市のような五十キロレベルのところにあるところの状況については全く国は判断してくれません。それは、自治体として仙台市が判断しなければいけないんです。そのために必要な情報として、SPEEDIというのは有効なんだと思いますが、これでもまだ要らないという立場ですか。

◯危機管理監 繰り返しになりますが、この放射線の対策につきましては、国、県との連携のもとで判断していくということが一つございます。したがいまして、国、県でとらない基準値をもって判断するということは難しいものと考えてございます。

◯花木則彰議員 国、県との連携は必要なんです。必要だから、仙台市にとって必要な連携をちゃんとしてもらうように国や県に求めなければ、国や県の側から自動的に仙台市のことを考えてくれないということなんです。そこは市としての姿勢の問題で、必要な情報なんだということを求めなければならないと思いますが、市長いかがですか。

◯市長 SPEEDIの現在の予測の可能性ということにつきましては、ただいま危機管理監からも御説明を申し上げましたとおり、さまざまに不正確な部分がまだあるということが国の見解でございまして、私どもも、そうした国との連携の中で、この活用ではなく、実測値に基づいた値として判断を進めていきたいと、このように考えているものでございます。

◯花木則彰議員 それでは、海の上にモニタリングポストを置いてもらわないとだめだと思います。ぜひ、そういうことで言うのであれば、海の上に置けということを含めて国に対して物を言うべきだと思います。
こうした予測をした場合でも、直ちに避難するというよりも、屋内退避のほうが被曝のリスクが少ないと判断される場合が多いというのは、それは確かだと思います。それは、場合が多いということなんです。それだけに、屋内退避について、もっと具体的な備えが求められています。木造建築物よりコンクリート製の建物のほうが放射線を防げますし、放射性物質を含む空気を建物の中に入れない手だてもとりやすいことは明らかです。とりわけ放射線の影響を受けやすい子供や妊産婦は、指定避難所となっている学校に避難する。そして、体育館ではなくて、換気口や窓に目張りをした教室に避難するという計画にするべきですが、いかがでしょうか。

◯危機管理監 屋内退避に当たりましては、外部からの放射線を通しにくく、気密性が高いコンクリート製の建物に避難することで、放射線の影響を低減する効果がありますことから、具体の計画の作成に当たりましては、こうした点にも留意し、防災会議の原子力防災部会の御意見もお聞きしながら、実効性の高いものとなるよう検討してまいりたいと存じます。

◯花木則彰議員 これから検討ということですけれども、やはり指定避難所があるわけですし、そこにちゃんと備えもして、そこに避難をしていただくということが必要だと思います。
風速が、事故が起こったときに毎秒五メートルから十メートルぐらいだとすると、事故発生から放射性プルームが仙台市域に到達するまでの時間、一時間半から二時間半というふうに想定できます。速やかに屋内退避の指示を出し、避難所の受け入れ体制もつくって実施をするという、ちょうどそのぐらいの時間だと思うんです。これが、判断がおくれればおくれるほど、結局、市民は家の中から移動はできません。避難所に来れないということになります。
プルームに含まれる放射性ヨウ素を、体、特に甲状腺に取り込まないために飲む安定ヨウ素剤、この配備は、少なくとも保育所だとか学校だとか子供が通常いる場所に置くということとともに、そうやって避難してくる近隣の子供や妊産婦の分も見込んで、指定避難所である学校に置くということが必要だと思うんですが、いかがでしょうか。

◯危機管理監 安定ヨウ素剤の配備につきましては、現時点では国からの指針等が示されておりませんが、今後示されます国の指針等を踏まえまして、適切な配布や服用指示が行えるよう、備蓄、運用計画を検討してまいりたいと考えております。

◯花木則彰議員 何度も言いますけれども、国は、三十キロメートル圏内のところをまず第一に考えています。五十キロのところは考えていません。ですから、安定ヨウ素剤の配備についても、当然、事故後すぐ飲めないといけないわけですから、各家庭に配るしかなくなると思うんですけれども、仙台市において全家庭に配るということが現実的かどうかということでいうと、やはり学校配備がいいのではないかと私は思います。国が言うことだけ聞いてやるのではなくて、仙台市が考えることがこの面でも必要です。
緊急の避難ではなくて、計画的な避難というのは当局も想定をされているわけですが、この場合、もう実施は相当困難だと思うんです。想定される避難者の規模によって、計画的避難の実施計画も変わってまいります。実施計画が立案できると思っておられる規模は、どのぐらいというふうに考えておられますか。

◯危機管理監 原子力災害による被害の規模につきましては、発生した放射性物質の量や風向き、天候によっても大きく変わるため、事前に避難者数や避難対象エリア、避難先を決めることは困難でございますが、現時点で仮の想定でございますが、福島第一原発事故を踏まえますと、仮に原発から五十キロ圏内を避難対象とする場合には、宮城野区と若林区の一部がその対象に入りまして、これも国の試算でございますが、避難対象となる人口は約六万五千人と想定してございます。

◯花木則彰議員 五十キロというのは、ほんと端っこだけかかるという感じですよね。それで六万五千人。同心円で影響が出るわけではなくて、風向きの方角によって縦割りで影響が出る範囲が決まってくると思うので、この六万五千人だってなかなか避難計画を立てられない。これが、二十万人、三十万人となったときに立てられるのかというと、やはり、そうではないと思うんです。対応可能な範囲で事故の影響がとどまってくれる確証はありません。女川原発事故による仙台市域への影響がさほど大きくない場合でも、原発周辺地域からの避難者を受け入れる計画を持つ必要も出てきます。
先週、県から、三十キロ圏内の七市町、約二十一万人の避難受け入れ先の計画が発表されました。仙台市には、石巻市と東松島市からの避難を受け入れることになっています。どんな想定での計画なのかは県は明らかにしていません。実際のところ、女川原発での事故に備えるということは十分できない。原発再稼働を許さないことが一番の対策と言えるのではないでしょうか。百七万市民の命と暮らしを預かる奥山市長に改めてお聞きします。

◯市長 再稼働につきましてのお尋ねでございます。
原子力発電への依存度を今後低減していくべきという考え方につきましては、これまでも申し述べさせていただいているところでございます。再稼働につきましては、市民の皆様の安全・安心が確保されていることが最も重要と考えておりますが、原子力規制委員会の審査の動向や電力事業者の対応の状況、国等の防災対策などを引き続き注視してまいりたいと考えております。
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