(2014年6月議会 ふるくぼ和子議員の提案説明)
◯ふるくぼ和子議員 ただいま議題となりました意見書案第五号集団的自衛権行使を容認する解釈改憲を行わないことを求める件につきまして、提出者である社民党仙台市議団、日本共産党仙台市議団を代表いたしまして、御説明いたします。
集団的自衛権については、その概念や憲法解釈をめぐり、国会における我が国の外交・安全保障政策の審議の中で論議されてきました。これまで、歴代政府の内閣法制局長官は、行使ができないのは憲法九条の制約である。我が国は、自衛のための必要最小限度の武力行使しかできないのであり、集団的自衛権はその枠を超えるとし、集団的自衛権の行使は憲法上許されないものとして、国会において答弁してきた経緯があります。この集団的自衛権に対する考え方は、現在まで憲法九条に対する政府の統一見解として維持されてきたものです。
本年五月十五日、安倍首相は、内閣総理大臣の私的諮問機関である安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会の報告を受けて、現在の憲法解釈を変更することで、集団的自衛権を行使することが可能になると表明しました。しかし、集団的自衛権を行使するようになれば、自衛隊が他国民のために血を流すことになるかもしれないと自民党の石破幹事長が発言しているように、自衛隊員や、行く行くは日本の若者が血を流す事態が生じることになりかねません。
現在、自民党、公明党の与党協議において、武力行使の新三要件で合意し、解釈改憲による集団的自衛権の行使を可能とする閣議決定を行おうとしていますが、幾ら表現を変えても、無限定の武力行使が可能になるという点には何の変わりもありません。一度憲法解釈を変更してしまえば、後で幾らでも拡大することができる道をつくることになり、歯どめがきかなくなることは明らかです。
こうした動きに対し、解釈改憲による集団的自衛権行使の容認に対する世論は、各種マスコミの調査によっても過半数の国民が反対と回答しており、自民党内部や保守改憲派からも異論の声が次々と上げられています。
全国の地方議会では、六月二十一日現在、百二議会で意見書や決議が可決されていますし、全国五十二の全ての単位弁護士会でも、反対する意見書や会長声明を上げています。また、一内閣による憲法解釈の変更そのものが、国民の権利と自由を守るために、憲法で国家権力を制限するとしている立憲主義そのものを踏みにじる重大問題であることも、多くの学者、有識者から指摘されています。
よって、国会及び政府におかれましては、立憲主義の原点に立ち、安倍内閣が進める集団的自衛権行使を容認する解釈改憲を行わないことを強く求めるものです。
以上、趣旨を御理解いただき、議員各位の御賛同をお願いをいたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)