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【概要】誰もが安心して暮らせる住宅政策を
〇老朽マンションの管理と再生
〇建て替えで住まいを失う高齢者の住居の確保
〇市民のニーズに応え、市営住宅の増設を
〇入居収入基準の引き上げ
〇家賃減免申請書を全世帯に配布を
〇復興公営住宅家賃の値上げストップ
◯高見のり子議員
日本共産党仙台市議団の高見のり子です。市民誰もが安心して住み続けられる住宅政策について、一問一答方式で一般質問いたします。
初めに、マンションについてです。
国民の十人に一人が暮らすとされる分譲マンションの老朽化が注目されています。仙台市内では、2022年度末で約1500棟のマンションがあり、持ち家に占める割合は約3割です。主要な居住形態の一つとなっています。
その中で、築40年を超える老朽マンションは約200棟、20年後は約1100棟、5.4倍になると見込まれています。マンションが老化すれば、住んでいる方も高齢化します。独り暮らしや身体に病気を持つ方も増え、生活面でも支援の必要な方が多くなっています。そうなれば、建て替えや転居などにも容易に対応できなくなっていると考えられ、住まいをどう確保するか、市民の大きな課題となります。その観点から、マンション管理施策は重要です。市においても、仙台市マンション管理適正化推進施策検討委員会を立ち上げ、10月には提言書も出されています。市民が安心して住み続けられる安全安心のマンション政策について、市長の御認識を伺います。
マンションには、区分所有であるがゆえの合意形成の難しさ、住民の主体的管理意識、管理組合運営や建物に関する専門的知識など、分譲マンション特有の課題があります。提言の中では、区分所有者の高齢化、役員の担い手や修繕積立金の不足で管理組合の運営の不安を抱えるマンションが多いことが課題だとし、管理組合の取組だけに委ねることに限界があるとしています。市内では、管理に課題を抱えるマンションが62%にもなるとのことです。
国は、建て替えなどに当たって合意しやすいよう、所有者らの建て替え決議要件を5分の4から4分の3に見直したりする区分所有法の改正や、現在は建て替え時に適用している減税措置を全面改修や解体による敷地売却等に広げることで所有者の負担軽減を図っていくとの報道もあります。
しかし、建て替えであろうが、大規模修繕であろうが、住民合意が大前提です。区分所有権は財産権であり、一人一人の住民の住まいと財産を保障できるような法改正でなければなりません。提言の中では、再生、終末期を迎えることを見据えながら、マンション再生に関わる専門家を育成する視点も盛り込まれています。住民合意要件を緩和する建て替え、再生を誘導するのであれば、国の支援が欠かせません。国に対してさらなる支援を求めるべきと思いますが、いかがでしょうか、伺います。
また、マンションの耐震診断や耐震改修に多額の費用がかかるので、足を踏み出せない管理組合もあります。支援の拡充を求めますが、いかがでしょうか。
住み慣れたマンションに住めなくなる事態になれば、次の住まいを探す高齢者は住宅に窮することになります。
家族がいなければ、民間アパート等の一般住宅の保証人の問題も発生します。老朽マンションの建て替え等で住宅を失う方も出てきます。こういった方たちの受皿となるのは、公的住宅です。住宅に困窮する市民は増え続けています。
市営住宅の応募倍率は、最高で約170倍、平均倍率約10倍になっています。高齢単身者で年金収入のみになり、家賃が払えないので市営住宅に入りたいという御相談を次々に受けています。市営住宅は抽せんですから、当選しなければ入れません。ある方は、毎回休みなくチャレンジして27回になるが当たらないと訴えておられます。それなのに、市は市営住宅戸数を減らし続けています。
鶴ケ谷第1市営住宅再整備事業で約300戸減らし、現在進行中の鶴ケ谷第二市営住宅再整備では約600戸減らす予定です。仙台市市営住宅長寿命化計画の中では、建て替えについて、鶴ケ谷第2市営住宅以降の計画は持っていません。
また、社会状況が大きく変化し、住まいに困窮する市民は、高齢者に限らず、今後も増加することを鑑みれば、市営住宅の供給計画は減らすのではなく増やす方向にかじを切るべきと考えますが、市長に伺います。
仙台市住生活基本計画では、高齢者の居住の安定確保もうたっています。求められているのは、バリアフリーの推進や住みやすい住環境の整備です。高齢者が低廉な費用で住むことができる軽費老人ホーム、ケアハウスのような住宅もあります。こういったものも活用して、高齢者の居住の安定確保を図っていくことも必要なのではないでしょうか、伺います。
東日本大震災から来年3月で丸14年となります。震災以降、復興公営住宅に住む住民の会が発足し、被災者の声を届け続ける貴重な活動を行っています。
11月26日にも、市長に対して要望書が提出されました。その中では、入居者も高齢となり、様々な課題を抱える中で、復興公営住宅の家賃をこれまでより上げないでほしいと要望されています。被災者は、入居から10年が過ぎれば、それまでの復興家賃減免制度から市営住宅減免制度が適用されることになりました。これまで10年を過ぎた四団地の移行の中で、心配されていたとおり、約四割の世帯がこれまでより家賃が引き上がりました。高齢者や障害者、独り親世帯など、困難を抱える世帯にとって家賃が上がるということは大きな負担です。市は激変緩和を行うと言いますが、被災者支援として家賃はこれまでより上げるべきではありません。いかがでしょうか。
以上を伺い、これからは一問一答で質問を続けます。
◯市長(郡和子)
ただいまの高見のり子議員の御質問にお答えを申し上げます。
安心安全のマンション政策についてでございます。全国的に高経年のマンションの課題が顕在化してきておりまして、国においても様々な法改正が進められております。本市におきましても、今後、高経年マンションの増加が見込まれる中で、昨年度実施いたしましたマンション管理の実態調査により、管理に何らかの課題を抱えるマンションが相当数あることが分かっております。このような状況を踏まえまして、マンション管理の課題への的確な対応に向けて検討委員会を設置し、10月に施策の在り方について提言をいただきました。改めて、市街地環境への悪影響発生の未然防止と災害対応力の強化に向け、マンションの適正管理の必要性を認識したところでございまして、今後、提言内容を踏まえ、市民の安心安全で快適な暮らしの実現が図られるよう取り組んでまいります。
そのほかの御質問につきましては、都市整備局長から御答弁申し上げます。
◯都市整備局長(反畑勇樹)
私からは、市長がお答えした以外の御質問にお答えいたします。
初めに、マンション再生に対する国への要望と耐震化事業の支援の拡充についてでございます。高経年マンションの増加が見込まれる中、将来を見据えた適切な維持管理や再生、耐震改修等を進めていくには資金の確保や区分所有者間の円滑な合意形成が重要であり、今年度より管理組合が行う再生の検討に対する本市独自の支援を開始しましたほか、国の制度も活用した耐震化事業を行っているところでございます。国に対しましては、これまでも政令市共同で適切な維持管理や再生に向けた制度の充実、耐震化事業の支援拡充について要望を行っており、引き続き働きかけをしてまいりたいと存じます。
次に、市営住宅の供給に関するお尋ねでございます。仙台市営住宅の整備及び管理の基本方針では、将来の需要が3割程度減少すると推計しており、これを基に鶴ケ谷第2市営住宅の再整備戸数を決定しております。現基本方針は令和7年度に改定となりますことから、人口動態等の動向を基に、国の算出方法に従い、改めて将来の需要を推計し、民間賃貸住宅等の動向も踏まえて市営住宅の供給量を見極め、今後の建て替え計画に反映させてまいります。今後も定期的に需要推計を行いながら、社会状況の変化に対応した市営住宅の適切な戸数の供給に努めてまいります。
次に、高齢者の居住の安定確保についてでございます。本市ではこれまで、生涯にわたり安心して居住できますよう、住宅のバリアフリー改修促進のほか、居住支援法人等と連携し、高齢者が住みやすい民間賃貸住宅、ケアハウスを含む福祉施設等への円滑な住み替え支援に取り組んでまいりました。今後、居住支援協議会の設置も見据え、福祉部局や関係団体との一層の連携強化を図り、高齢者お一人お一人の健康状態の変化やライフスタイルに応じた様々な住まい方の実現に向け、取組を進めてまいります。
最後に、復興公営住宅の家賃減免についてでございます。国の補助事業の終了に伴いまして、建物管理開始から10年間で復興公営住宅の家賃減免制度が廃止となりますことから、引き続き支援が必要な方に対しまして市営住宅の減免制度を適用することとしてございます。世帯収入等の状況により家賃負担額が増加する方もおられますが、復興公営住宅にお住まいの方のみを対象に家賃負担額を据え置く等の特例的な扱いをすることは、一般の市営住宅にお住まいの方との公平性の観点から難しいものと考えております。このため、5年間の激変緩和措置により負担軽減を図っているところでございます。
◯高見のり子議員
第一問では、老朽マンション、市営住宅施策、復興公営住宅について伺いました。
住まいは人権であり、誰もが安心して住み続けられる住宅政策が重要です。老朽マンションの建て替え時には、特に公的住宅も活用する高齢者の次の住まいの確保の必要性をただしました。長期的なマンション管理には今から考えておかなければならない課題です。政令市の中で市営住宅の管理戸数を比較すると、人口比で11番目、決して多いとは言えません。復興公営住宅も3000戸建設されたにもかかわらずです。高齢者も安心して住める市営住宅を増設することを改めて求めておきます。
市営住宅管理戸数は1万1746戸、入居戸数は1万15戸、空き戸数は再整備中の鶴ケ谷を除けば約1200戸と伺いました。修繕可能で公募できる修繕待ちの住宅は約800戸とのことです。これらも修繕して公募すべきです。民間アパートであれば、経営的にも空き室を長く放置するとはならないと思いますが、いかがでしょうか、伺います。
◯都市整備局長(反畑勇樹)
募集戸数の確保につきましては、修繕待ちの住戸のうち、比較的短期間で修繕できるものを予算の状況などを踏まえながら優先的に修繕するなどの対応を進めております。
また、令和3年度からは募集戸数を年間およそ500戸から700戸に拡充してきたところでございまして、引き続き応募状況等を注視しながら、募集戸数の確保に努めてまいります。
◯高見のり子議員
令和3年も同じぐらいの戸数だったんですね、修繕可能な戸数というのが。だから変わっていないんですよね。もっとできるはずだと思います。
市営住宅の収支については、2023年度決算を見ると、住宅使用料収入は約26億8000万、住宅管理費の支出は21億円です。バリアフリー化のための建て替えや大規模修繕、バリアフリー化のためのストック総合改善事業費、これを使うことも否定はしませんけれども、やはり思い切って修繕戸数を増やして、市民の要望に応えられるよう公募を増やすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
◯都市整備局長(反畑勇樹)
市営住宅の使用料収入につきましては、住宅の管理経費のほか、施設修繕や大規模改修、建設時の市債の償還など、関連する経費に充当されるものでございまして、単年度の管理事業費の一部と比較するものではないと考えております。募集に向けた空室修繕につきましては、これまでも予算を拡充するなど、募集住戸の確保に努めてきたところではございますが、引き続き空室修繕予算の確保及び募集戸数の拡充に努めてまいります。
◯高見のり子議員
いや、実際修繕に使われるわけですから、修理戸数を増やしていくということが可能だということを訴えたいと思います。
先日、市営住宅にお住まいの83歳の女性の方の減免申請のお手伝いをさせていただきました。
年金が月約9万円で、建設公社では丁寧に対応していただき、無事に減免申請を終え、約1万7000円の家賃が5000円ほどに下がることになって、大変喜んでおられました。こういった方がもっと存在する可能性があります。
以前から、減免対象者がきちんと申請できるよう、申請書を全員に送付することを求めてきました。その際、非課税収入の確認が困難なため難しい、周知を図っていくと市は答えています。周知はもちろんですが、まずは申請して具体的に計算しなければ減免になるかどうか分からないわけです。就学援助では、全世帯に申請書を送付することが取り組まれています。減免になっている方だけに先行減免で申請書を送るという限定的なやり方ではなく、入居者全員に申請書を送付することが何よりも周知を図るということになると思います。町内会に配布をお願いしている年2回の市営住宅だよりに申請書を挟み込むことで、全世帯に届けることができるのではないでしょうか。費用だって、申請書の印刷代だけです。いかがでしょうか、伺います。
◯都市整備局長(反畑勇樹)
入居全世帯への減免申請書の送付につきましては、対象とならない方に対して、減免を受けられるとの誤解を招き、各種証明書類の取得などで様々な御負担が生じるほか、入居者の皆様に混乱を与えるおそれがあることから実施していないところでございます。
これまで、全世帯に毎年お送りする家賃決定通知や年2回発行しております広報誌において減免制度を周知するとともに、様々な機会を通じて制度の御案内をしてきてございまして、引き続き制度の対象となる方への周知につきまして取り組んでまいりたいと存じます。
◯高見のり子議員
事例を紹介しましたけれども、まだまだ減免制度を分からない、知らないという方がいらっしゃいます。周知についてはさらに徹底をし、全戸に申請書を挟み込むという方法もあるということを検討していただきたいと思います。
今年度、復興減免制度から市営住宅減免制度に移った世帯は、4団地中、253世帯になります。これまでより家賃が上昇したのが百五世帯で、上昇最高額が3900円、平均が1230円です。今後、復興公営住宅は次々と11年目を迎えます。およそ1700世帯のうち、4割の約700世帯が引き上がることが想定されますが、今年で言えば105世帯で155万円に当たります。
この分の家賃収入が減ることで、市の財政が大きく圧迫されるわけではありません。家賃を上がらないようにできないはずがないと思いますが、いかがでしょうか、伺います。
◯都市整備局長(反畑勇樹)
市営住宅家賃減免制度への移行に伴いまして、負担増となる世帯のみを対象に家賃を据え置くということは、一般の市営住宅の入居者との公平性を踏まえますと難しいものと考えてございます。
引き続き、減免制度の移行により負担が増える方々に対しましては、5年間の激変緩和措置により負担軽減を図ってまいりたいと存じます。
◯高見のり子議員
市は公平性を考えると言うんですけれども、市の被災者支援はどこに行ってしまったのかと伺いたいと思います。国は被災者支援総合交付金を継続し、被災者支援を継続しています。やる気になればできるはずです。建物管理から10年目まで、東日本大震災家賃低減事業の補助金があります。今でも10年にならない住宅は、この制度で減免をしてできています。また、10年以降も災害公営住宅家賃低廉化事業の補助金が20年間使えます。2023年度は21億円でした。
市はこれらのお金を全て一般財源に振り替えていますが、これは本来、被災者支援に使うべきお金です。減免制度の移行で家賃が上がらないようにすることは、被災者支援です。今困っている被災者を救う必要があります。減免して家賃収入が減る分は、当然、都市整備局として財政局に求めて、被災者の家賃を上がらないようにすべきですが、いかがでしょうか、伺います。
◯都市整備局長(反畑勇樹)
復興公営住宅に係る災害公営住宅家賃低廉化事業補助金は、家賃の低廉化により減収する、本来家賃で賄われるべき維持管理費用等に対し補填されるものでございまして、復興公営住宅の維持管理に係る費用も含め、当初の20年間で交付されるものでございます。
このことから、引き続き、今後の長期にわたる管理運営に係る経費に対し、適切に充当していくものと考えてございます。
◯高見のり子議員
それも全部、一般財政に入れているわけですよね。これまで低廉化事業、それから低減事業合わせて約194億円来ているわけです、国から。これを被災者のために使わないということはないと思います。
住民の会と市営住宅課との懇談会では、住民から、コミュニティーの維持のための努力をして町内会を運営してきていることが切々と語られました。高齢者や障害者など、困難を抱える世帯の割合が多くなっている中で、町内会の運営に御苦労が多いそうです。これまで町内会の維持に役割を担ってこられた若い世代の方たちが、復興公営住宅では収入超過で退去を余儀なくされるケースが後を絶ちません。今年、12月1日時点で、復興住宅の収入超過は108世帯になっています。高齢化率が高くなっている市営住宅では、年齢も若く現役世代と思われるこういった方たちの役割は重要です。現役世代も入居できるように、入居基準を公営住宅法の上限である政令月収を25万9000円にすべきではないでしょうか、伺います。
◯都市整備局長(反畑勇樹)
本市の市営住宅では、応募倍率も高く推移しておりまして、収入が低く、住宅に困窮している方の入居機会を確保するという観点から、入居収入基準の引上げは考えていないところでございます。
なお、市営住宅のコミュニティー活性化につきましては、これまでも子育て世帯の優先入居や特定枠募集など、若い世代の入居を図ってきたところでございまして、引き続きこうした取組を進めてまいりたいと存じます。
◯高見のり子議員
できることがもっとあると思いますし、その一つがこの政令月収の改定だと思うんですね。ぜひ検討を続けていただきたいと思います。
最後に、市営住宅の入居者の見守りについて伺います。
市営住宅の見守りは、仙台市建設公社が自主事業として担っているといいます。毎年4月1日時点で70歳以上の単身高齢者を対象に、建設公社の職員が巡回訪問し、聞き取りを行っています。救急医療情報や緊急時連絡先などを聞き取りながら、安心カードに記入し、ピンクの専用ケースに入れて所定の場所に置いておきます。いざというときにそのカードが役に立って、命が救われたケースもあるそうで、大変喜ばれています。
2023年度には2857世帯の対象のうち、訪問対話件数は2134世帯でした。高齢者も安心ですが、建設公社としても安否確認に活用されています。安心カードを障害者や高齢者世帯にも配付してほしいとの要望があります。こういった取組には市もお金を出して、建設公社に拡充をお願いすれば実現するのではないでしょうか、伺います。
◯都市整備局長(反畑勇樹)
安心カードの配布事業は、入居者の見守り支援として指定管理者が行っている独自の事業でございます。同事業につきましては、住民の皆様から大変好評を得ていると聞いておりまして、対象者を拡充してほしいとの要望が本市にも寄せられているところでございます。
本市といたしましても、市営住宅の入居者がより安心して生活できますよう、対象者の拡充を指定管理者に働きかけてまいりたいと存じます。
◯高見のり子議員
働きかけるときに、やっぱり予算も必要だと思いますよ。責任を持って仙台市が進める意味でも、ぜひ予算もちゃんと取って出してほしいというふうに思います。
本来、住まいは生活の基本であり、憲法第25条が保障する生存権の土台です。住まいが権利であることは、世界人権宣言や日本政府も批准している国際人権規約も認めております。ぜひ、仙台市が誰もが安心して暮らせる、そういった住宅政策、市営住宅施策、こういったものを進めていただきたいことを述べまして、質問を終わります。