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市の「行革」を徹底検証する

(2014年9月議会 すげの直子議員の一般質問)

 

◯すげの直子議員 本市の行財政改革プランがもたらす影響と、その根拠ともなっている財政見通しについて順次伺います。  先日、行財政改革プラン二〇一〇中間見直しの実績が配付されました。昨年三月に見直しを行った行革プランは、職員数をさらに二百人削減することと、行革効果額二百億円を目標にしています。本市の行革は、一九九五年の仙台市行政改革大綱から始まり、行財政集中改革計画、行財政改革プランなど、装いだけを変えて続けられてきました。市が進めてきた行革が、本当に市民にとってプラスになっているのか、検証が必要です。  本市の正職員は、現員数で、十年前の二〇〇四年には一万五百八人だったものが、ことしの四月一日時点で九百十二人減り、九千五百九十六人になっています。東日本大震災では、避難所運営を初め、業務遂行のために、みずからの家族の安否さえ確認できない中でも、職員は不眠不休で業務に当たりました。それでも、り災証明の発行も、義援金の配布も、みなし仮設住宅の決定も、おくれにおくれる事態となりました。不測の事態に十分な対応ができなかったことを反省すれば、これ以上の職員削減の方針は出ないはずです。  市民と密接にかかわる区役所では、この十年間で三百十七人もの正職員が減り、逆に再任用職員と非常勤嘱託職員、臨時的任用職員など非正規で働く職員が四百九人もふえています。どんなに忙しくても臨時職員に責任を負わせることはできない、おのずと正職員の負担が過重になり、意欲を持ちながらも病気になってしまう職員もいるという声もお聞きしました。  今年度から本市では、新たにまちづくり政策局を設置しました。政策をつくる決め手は、市民や地域の置かれている状況をきちんと把握することです。それなしに、本当に求められている生きた政策は生まれません。区役所体制が弱まり、市民に直接接する職員が減らされたら、地域の実態を把握することや市民に寄り添う対応は、ますます困難になります。  行革プランでは、区役所の機能強化を挙げ、区役所のまちづくり拠点機能の強化や、区役所と本庁間での地域ニーズや課題の共有化を図るとしています。行革で、今まで以上の職員削減を掲げながら、こうしたことが本当にできると市長はお考えなのでしょうか、伺います。  職員削減を達成するために、行革プランでは、あらゆる業務への非常勤職員の活用や、業務委託化が挙げられています。給与事務の業務体制の見直しや、戸籍住民課の業務体制の見直しも、昨年から新規事業として加えられました。  東京都足立区では、ことしの一月から、戸籍住民課の業務の大半を富士ゼロックスシステムサービスに民間委託し、大問題になっています。労働者の多くが安上がりで働く契約社員になり、五分で終わるはずの手続が三時間もかかるなどトラブルが続出し、民間企業の社員が戸籍を扱うことに、守秘義務は守られるのかと、住民から不安と撤回を求める声が上がっています。東京法務局も、偽装請負の疑いで立入調査し、改善指示が出されました。  足立区では、ほかにも、介護事務に人材派遣会社テンプスタッフ、国保はNTTデータ、会計管理室の業務の一部をパソナに委託しています。住民の情報を扱うことを企業のもうけにし、そればかりか、守秘義務を危うくさせ、機械的な対応しかできずにサービスも低下する。公的な仕事にもかかわらず、働く方々は不安定な非正規労働者。職員削減と外部委託化を進めた究極の姿であり、まさに自治体の切り売り、解体です。業務の効率化や市民サービス向上には到底つながりません。奥山市長がこういう姿を目指しているとしたら大きな誤りですが、お考えを伺います。  職員を減らすとともに、市がこの間進めてきたのが、公共施設への指定管理者制度やPFI制度の導入です。二〇〇四年に市民センターや児童館を中心に指定管理者制度を導入したのを皮切りに、今年度当初では、三百三十施設が指定管理者制度で運営されています。行革プランでは、図書館などの社会教育施設に、さらに導入を図るとしています。  この間、広瀬図書館や榴岡図書館、泉岳自然ふれあい館など、直営だった施設が次々と指定管理になりました。市民の学習権や子供の教育を保障する施設に導入するなど、学都仙台といいながら、市民の学びを軽んじているとしか思えません。  三年、五年ごとに公募を繰り返す指定管理では、安定した運営やノウハウの蓄積、専門性の向上は不可能です。  図書館運営協議会でも、区図書館への導入には反対意見もあり、まとまらなかった経過があるにもかかわらず、市当局は、新しい構成の図書館運営協議会で、若林図書館に導入する方針を打ち出しました。委員からは厳しい意見が相次ぎました。ある県では、協議会で直営館と指定管理館の評価を比べるなど細かい作業を行った上で、導入しないという決定に至った、仙台市では、最初に指定管理ありきで議論しているという意見も出されました。当局のこうした手法一つとっても、新たな導入など認められません。いかがでしょうか、伺います。  ことしから指定管理者制度が導入された自然ふれあい館は、市内の子供たちのほとんどが教育の一環として宿泊して学ぶ施設です。委託された事業者の体制を見ると、教員免許や社会教育主事の資格を持つ職員が、直営の時代よりも少ない配置になっています。以前、少年自然の家で長く勤務された方が、我々以上にノウハウを持っている人はいないだろうと、胸を張り語っていた言葉が印象的でした。ふれあい館が指定管理になれば、市職員の中にこれまで培ってきた蓄積やノウハウは失われてしまいます。幾ら指導、助言するといっても、市の側にノウハウがなくなれば、事業者側が実施している事業が教育として妥当なのか、判断することもできなくなってしまいます。  また、この施設では、指定された事業者が自主事業を展開することができ、その収益は指定管理者側の利益となります。おのずと、もうけにならない子供たちの宿泊野外活動がおろそかにされることが危惧されます。子供たちの命を預かり、自然体験を通じた教育を実践することが、一番肝心な事業です。教育施設に指定管理者制度を導入するメリットが一体どこにあるのか伺います。  委託の拡大は、市民の安全をも脅かすものです。市バスの委託の問題は、この間、繰り返し議会で指摘してきました。その問題を解決するどころか、今度は地下鉄駅の業務まで民間委託する計画です。市民の間にも不安が広がっています。  地下鉄東西線、南北線の三十の駅のうち、最終的には二十駅まで委託を拡大する計画で、駅ごとに直営と民間が入りまじる格好になります。駅務員が二人体制で駅長がいない駅を対象としていますが、一日何万人もの乗降客が利用する地下鉄で市民の安全な移動を確保するためには、今でも相当の努力と連携が求められています。  民間委託になると、管区の駅長や助役が、受託した現場の職員に直接指示を出すことは、偽装請負となり、できません。委託後は、現場の職員が判断を仰ごうとすれば、まず、受託事業者の責任者に連絡し、そこから管区駅長に回り、管区駅長が委託先の責任者に指示を出し、その責任者からようやく当該駅の現場の職員に指示が届くということになります。当局は、命にかかわるような事態のときには、市が直接指示しても違法ではないと労働局も認めていると言っていますが、命にかかわるかどうかを一刻を争うときに判断するなどできません。そもそも、委託業者の現場の職員にその判断を求めることが間違いです。  市民の命や安全をリスキーにするような行革を、市民は望んでいないと考えますが、奥山市長は、住民の命を守る体制を弱めても行革効果を上げることが大事なのでしょうか、伺います。  市が進める行革、人減らしと委託の拡大は、安上がりで働く人をふやすことにほかなりません。教育局が、図書館運営協議会に、指定管理者制度の導入を進める理由として、運営経費の削減効果があらわれていることを挙げていました。例えば、広瀬図書館で見ると、確かに職員体制は九人から十四人にふえ、司書率も大幅に上がっています。年間の運営経費の比較では、直営時代よりも、人件費は決算年度で一千四百万円も低くなっています。裏を返せば、有資格者さえも安い賃金で働かせ、サービス向上だ、開館時間を拡大せよと迫るものであり、こんなことを行革の効果だと胸を張るなどお門違いです。  市の指定管理の施設で働く方からは、委託された事業者がさらに業務委託をした事業者に雇用され、長く働いても、公募を繰り返すたびに時給が下がっている実態もお聞きしました。市は、市の施設で働く方々の労働実態の把握すらしていません。暮らしていけないような賃金で働く市民をふやすことに加担をしながら、一方では、同じ行革プランで、徴収強化だといって、高い税金や保険料は問答無用で取り立てて、差し押さえを強めています。低い賃金で市の仕事を担うワーキングプアを、市みずからが大量に生み出していることを反省し、こうした路線とは決別すべきです。お考えを伺います。  市が進めてきた人減らし、委託拡大の路線が、経費節減という行革効果を本当に上げているのでしょうか。私は、この間の決算カードの推移を見てみました。職員削減や給与の引き下げで、確かに十年前に比べて二〇一三年度の決算カードに示されている職員給は、四十四億円も減っています。しかし、物件費に含まれている委託料と、臨時職員などに支払われる賃金を見ると、この十年間で合わせて約百二億円もふえています。正職員の削減や指定管理者の導入、委託の拡大は、市の財政にとっても、決して節減にはなっていません。  区役所で市民に接する仕事を担う臨時職員の賃金は月十二万六千円、非常勤嘱託職員でも十四万五千円です。公務労働を担う方々の賃金引き下げが、結局は民間の賃金引き下げにつながり、それを口実にまた公務員の給与も下がるという、負のスパイラルに陥っています。  全国的に公務労働での非正規化が進む中で、総務省が、臨時職員などの待遇改善を求める通知を自治体に出しました。今やそこまで深刻になっているということです。総務省の通知にも応えて、非正規で働く方の待遇改善や、委託先の給与引き上げのための委託料の増額を求めます。いかがでしょうか、お答えください。  エル・ソーラの縮小や健康増進センタープールの廃止、敬老パスの値上げ、福祉バスの廃止、児童館児童クラブの有料化、公立保育所の廃止、難病見舞金等の廃止、農業園芸センターの廃止、民営化、子供の医療費助成制度への一部自己負担の導入など、奥山市政のもと、行革と称して市民サービス切り捨てが進められてきました。数え切れないくらいです。市民の活力を奪い、負担をふやし続ける行革は、間違っています。  プランでは、今後も、市民利用施設の利用料の見直しなど、さらに市民負担をふやす方向が示されています。人減らしと市民サービス切り捨てが何年も続いてきましたが、市の財政見通しによると、いつまでたっても財政は厳しく、財源不足だと言っています。  市が行革を進める根拠としているのが、毎年二月と八月に出す財政見通しです。今議会の説明資料と一緒に、決算を踏まえた新たな財政見通しが配付されるものと心待ちにしていましたが、ありませんでした。当局に伺ったところ、ことしは出さないとのことでした。また、予算編成方針案と一緒に議会に配付されていた、財源対策の現状について書かれている別紙の資料も、今回は配付されませんでした。職員削減の影響で財政局の仕事が追いつかないとしたら深刻ですが、ことし二つの資料が出せない理由が何かあったのでしょうか、伺います。  去年やおととしの決算議会のときに出された予算編成方針案の別紙、収支不足と財源対策の見通しには、財政状況が厳しい中にあって、仮に二百億円の財源対策を行ったとしても、百億円以上の収支不足が生じると、お題目のように同じ言葉が並んでいます。しかし、同じ資料に書かれている過去の状況を見ると、二〇一一年度、予算時には二百三十三億円の財源対策が必要とされていたものが、決算時には二十四億円で済み、二〇一二年度も、二百三十一億円足りないと言われていたのが、決算が出てみれば八億円で済んでいます。  決算年度は、予算編成時にはやはり二百三十億円足りなくなるという見通しを立てていました。財政調整基金を百九十億円取り崩すなどで財源対策を行うとしていました。資料はないのでお聞きしたところ、決算年度の財源対策は、全く必要なかったということです。財政調整基金は、百九十億円取り崩すどころか、前年度より三十五億円もふやしています。先日の代表質疑の中で、決算年度は臨時収入があったからという答弁をされていましたが、この傾向は決算年度だけではありません。この間の経過を見ると、予算編成時と決算時の数字の乖離が激し過ぎます。なぜこんな乖離ができるのか、見通しの立て方が意図的だからではないかと考えますが、いかがでしょうか、お答えください。  こうした経過を考えれば、今議会に出すはずだった財政見通しの数字は、もっと違うものになっていたはずです。それなのに、予算編成方針案と同時に出てきたのは、相も変わらず、今後三年間で八百八十六億円の財源不足が生じるというものでした。  決算が議会やマスコミに公表されたときも、地元紙を通じて市がアピールしたのは、市債残高、借金の額が過去最高ということでしたが、よくよく見れば、臨時財政対策債を除くと、前年度よりも市債額は減っています。結局、こうした数字は、議会や市民に財政難だと思い込ませ、我慢を強いるためのごまかしの数字にすぎません。  大事な生活の糧となっていた難病見舞金は冷たく削る一方で、新展示場建設は、当初十数億円だと説明していたものが三十億まで膨らみ、八木山動物公園駅の大駐車場も二十億から二十五億に増額です。財政が厳しいからと涙をのんだ市民の努力も、これでは水の泡ではないでしょうか。未来のまちの形が大事という理由さえあれば、税金を幾ら投入してもいいとする市の姿勢にこそ、財政難に陥る原因があると考えます。いかがでしょうか、伺います。  地方自治法第一条には、地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本とし、と明記されています。社会保障費がふえることが財政を硬直させると繰り返し説明されますが、自治体が市民の暮らしを支え、人間らしく生きる権利を保障することを財政運営の基本に据えるのは、当然のことです。国の削減方針には、市民とともに戦い、責任を果たさせるのは言うまでもありません。  また、自治体の事務は、みずからの判断と責任において誠実に管理し、及び執行する義務を負うとしています。自治体の職務は、首長の統制下で公務員が直接行うことを求めているのです。  市民や時代の要請に機敏に応えられるよう、必要な職員をきちんと正規で配置することこそ必要です。公務労働に同一労働同一賃金の考え方を徹底し、公契約条例を制定して、市の仕事を担うにふさわしい賃金を保障することです。それが、本市で働く方々の所得をふやすことにつながります。安定した雇用と、福祉や暮らしを守る市民生活向上の施策が、市民の担税力を高め、消費を上向かせ、地域経済を活性化させます。そうした取り組みが、ひいては安定した税収を確保することにもつながります。  行革プランには、市民とともに進める行政経営を掲げていますが、公共施設や図書館などの位置づけを高め、機能を充実させることこそ必要です。市民の学びや活動を十分に保障することが、市民に活力を与え、本当の意味での市民との協働を図ることにもなります。こういう方向こそ、今、本市に求められている行財政の改革ではないかと考えますが、最後に市長にお伺いをして、私の第一問といたします。

◯市長 行財政改革の方向性についてのお尋ねでございます。  震災復興とその先の未来へ向けたまちづくりを同時に進めていくためには、行財政改革がこれまで以上に重要になってまいると考えております。改革の実施に当たりましては、より効率的で効果的な行政経営が可能となるよう、さまざまな事業の見直し等により、行政コストの軽減を図っていくことに加え、民間が提供します公共サービスの領域を広げ、行政と一体となった取り組みを促していくことが不可欠であると考えております。  こうした視点に立ち、行政と民間の適切な役割分担を図りながら、民間の皆様が持つノウハウ等を積極的に市政に取り込んでいくことにより、将来のまちづくりに向け、確かな行政基盤を確立してまいる所存でございます。
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