(2012年10月議会 決算審査特別委員会 嵯峨サダ子議員の質問)
○嵯峨サダ子委員 財政運用の原則から外れているのが地下鉄東西線事業です。毎年、前倒しで多額の予算を組み、使い残しては翌年に繰り越す、それにまた多額の予算をつけ足すということを繰り返してきました。決算年度も848億7000万円の建設予算に対し、使ったのは306億円で、約540億円を使い残しました。工事の実態に見合った予算を組み、執行すれば、こんな大きな繰り越しは出ないはずです。今年度は、さらに366億7000万円を当初予算で足して、繰り越しと合わせて約900億円としました。これは史上最高額です。未曽有の大震災が発生したにもかかわらず、こういう財政運用をする神経が、私にはわかりません。異常としか言いようがありません。東西線建設への突出した財政出動はやめるべきです。いかがですか。
◯財政局長 発災以降、被災者の生活再建や公共施設の復旧、各般にわたる復興事業など、震災対応に係る事業につきましては、本市における緊急かつ最優先の課題として積極的に予算措置を行ってきたところでございます。 今後とも復興に必要な事業は、ニーズや、その優先度などを十分見きわめた上で、国に対しさらなる支援の拡充を求めつつ、できる限り財源を確保し、その実施を図ってまいりたいと存じます。 東西線につきましては、先ほど来、お答えしているとおり、必要な事業でございまして、国費を的確に確保していくという観点からも、適切に予算を確保し、執行してまいりたいと考えております。
◯嵯峨サダ子委員 そうはおっしゃいますけれども、決算年度に一般会計から東西線建設に出したお金は、補助金、出資金合わせて140億円です。また、高速鉄道基金に36億円出して、合計で176億円出しております。これだけ市税収入分を考えますと、優に上回る金額になっております。そうではないですか。
◯財政課長 事業費の面だけで見た場合には、震災関連経費を除きましても、例えば生活保護措置費が254億円、中小企業金融支援費が249億円、子ども手当支給費が189億円など、東西線関連事業のみが突出している状況ではないと考えております。
◯嵯峨サダ子委員 自治体のやる仕事は、住民の福祉や暮らしをまず最優先にした仕事なんです。それは、ふえて当然の話なんです。東西線のこの事業と比べること自体、私はおかしいと思います。 本体工事だけではなくて、東西線関連事業へのお金の使い方も問われております。東西線建設事業の再評価が行われ、乗車数の予測が1日11万8700人から33%も減って、7万9700人に下方修正されました。乗車数の予測が下がったことで、乗る人をふやそうと、国際センター駅周辺整備等、沿線の開発、まちづくりを急げという話が出ていますが、こういうことに過大なお金をかけるべきではありません。新たな開発型公共事業や箱ものづくりはやめるべきです。また、駅舎に多目的施設を加えたりする必要もありません。 地下鉄は、安全、快適、定時性のある乗り物です。出入り口とホームさえあればいいのです。身の丈に合った整備にすべきですが、いかがでしょうか。
◯交通事業管理者 地下鉄東西線につきましては、今後の仙台市の総合的な交通体系の整備や、地震等の災害に強い、安全で安心なまちづくりを進めるために不可欠な交通インフラとして建設するものでございます。 本事業につきましては、国庫補助金や高速鉄道建設基金の活用によりまして、他の施策に影響のないような財政計画のもとで整備を進めておりますが、トンネル断面積の小さなリニアモーター式地下鉄を採用するなど、当初からコストを抑えた設計といたしておりまして、建設中におきましても、バリアフリーなど施設の充実を図る一方で、広報の見直し等さまざまな工夫によりまして、コストの縮減に十分意を用いてきたところでございます。そのようなこともありまして、先般の事業再評価におきましても、この費用対効果が認められ、再評価監視委員会より事業継続との評価を得たところでございます。 現在、工事はピークを迎えつつありますが、今後はさらなる建設費の圧縮と開業後の効率的な運営体制の検討などを進めまして、平成27年度の開業に向けて、最大限努力してまいる所存でございます。
◯嵯峨サダ子委員 東西線建設工事が地元企業に役立つものになっているのか、私は確認したいと思います。決算年度、仙台市施行分に係る地元企業の受注金額、割合をお示しください。
◯東西線建設本部建設課長 東西線建設工事におけます平成23年度の仙台市施行分に係る地元企業の工事受注件数は15件で、金額にいたしますと37億5700万円ほどとなっております。工事発注額全体に対しての割合は43.5%となっております。
◯嵯峨サダ子委員 2005年度から決算年度までのトータルではどうでしょうか。
◯東西線建設本部建設課長 2005年度、平成17年度から平成23年度までの仙台市施行分にかかわる地元企業の工事受注件数は、合計57件、金額にいたしますと121億8800万円ほどとなっており、工事発注額全体に対しましての割合は16.7%となってございます。
◯嵯峨サダ子委員 国際センター付近から八木山動物公園までは、鉄道・運輸機構が工事を施行しておりますが、こちらはどうでしょうか。
◯東西線建設本部建設課長 鉄道・運輸機構施行分に係る地元企業の工事受注件数は、平成23年度の分は1件でございまして、金額にいたしますと1億7400万円ほどとなっております。工事発注額全体に対しての割合は30%となっております。 また、平成17年度から23年度までの件数は合計3件で、金額にいたしますと9億300万円ほどとなっており、工事発注額全体に対しての割合は5.2%となっております。
◯嵯峨サダ子委員 1次、2次、3次までの下請会社の工事発注状況を伺います。
◯東西線建設本部建設課長 東西線工事の1次、2次、3次までの下請会社の受注状況でございますが、平成24年6月末時点でございますけれども、仙台市施行分、鉄道・運輸機構施行分、合わせて下請金額全体が334億8900万円のうち、地元企業の下請受注状況は119億1500万円となっておりまして、割合としては36%となっております。また、会社数でございますが、全体が1,473社のうち、地元企業は482社となっており、割合としては33%でございます。
◯嵯峨サダ子委員 今、お答えいただきましたように、下請も含めてなのですけれども、地下鉄東西線建設工事は県外の大手企業に仕事が回って、地元企業は非常に少ないと、割合的に見ますとですね。特に鉄道・運輸機構の場合は1件しかないという状況であります。これが、地域経済の活性化にどれだけ役立っているのか疑問に思います。 市長は、東西線事業は、復興のシンボル、復興の先にある未来を見据えてと述べておりますけれども、目の前で苦しんでいる市民を救うことが先決であります。市民感情や市民感覚と余りにもかけ離れているのではないでしょうか。被災した中小企業への支援についても非常に冷たい態度です。被災者の生活再建を何よりも優先にした施策と、財政運営に転換すべきです。伺います。
◯財政局長 繰り返しの答弁になりますが、地下鉄東西線建設は、本市の成長を支える都市基盤整備として、厳選した復興まちづくりの観点から推進しているものでありますので、国の財源を十分に活用し、予定どおり着実に進めてまいりたいと存じます。 あわせて、被災者の皆様の生活再建や地域経済の再生といった市民生活の復興を最優先とする各般の施策につきましても必要な予算を確保し、執行してきたところであり、災害援護資金貸付や災害住宅応急修理、災害弔慰金支給など、被災直後の生活を直接支援する施策を実施するとともに、地元中小企業の方々が、復興事業などを推進力として成長できますよう、そういった施策の予算確保も行ってきたところでございます。 今後とも早期復興に向け、施策の重点化を図りながら、バランスよく効果的に事業を推進し、復興への歩みや都市としての成長に必要な予算を確実に確保してまいりたいと考えております。