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生活保護制度は生存権、基本的人権を保障せよ

(2015年2月 予算審査等特別委員会 ふるくぼ和子議員の質問)

 

◯ふるくぼ和子委員  私からは、生活保護費について伺っていきたいと思います。
生活保護制度については、憲法の第25条に責務を負うべき政府が、保障するどころか次々と改悪をして削減をしてきています。保護基準そのものの引き下げを強行して、今、現在も段階的に減額が行われているほか、世帯員の状況に応じてつくことになっている加算、これについても老齢加算については2006年度から廃止をされてしまいました。母子加算も一時廃止されました。当事者の運動で母子加算については復活をしましたけれども、来年度の政府の当初予算案を見てみると、新たに住宅扶助と暖房費などの冬季加算、30億円ずつも削減をするという、こうした提案もしてきています。これは生活保護受給世帯のみに関係する問題ではないんです。国民の生存権の基準を下げるということになるわけですから、社会全体の格差社会と貧困に拍車をかける、こういう方向になって、負のスパイラルをつくり出す、強化するという、こういう原因になっています。
こういうときに、直接保護行政を担っているのは地方自治体である仙台市なわけですが、仙台市が最大限、生存権、基本的人権を保障するという立場で生活保護行政を行うということが求められているというふうに思いますけれども、まず最初にこの御所見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。


 

◯健康福祉局長  生活保護制度は、健康で文化的な最低限度の生活を保障するという要請に応える、最後のセーフティーネットでの役割を担っているものでございます。
その運営に当たりましては、生活保護法や国が示す基準等に基づいて、一人一人の状況をしっかり把握しながら、必要な保護を実施していくことが極めて重要だと認識いたしております。


 

◯ふるくぼ和子委員  憲法25条ということでおっしゃいましたので、そこの生存権の問題、基本的人権の問題をしっかり踏まえるという立場で受け取りたいというふうに思いますが、やはり自治体としてこれをきちっと保障する、そういう取り組みをするということで取り組みを求めて期待したいと思います。
私、生存権、基本的人権をしっかり守る保護行政というこの立場で伺っていきたいと思いますけれども、まず、仙台市の受給者の世帯構成がどうなっているのか、伺いたいと思います。


 

◯社会課長  2月1日現在の仙台市における保護受給世帯数は1万2803世帯でございまして、世帯類型別の構成比率は、高齢者世帯が39.6%、母子世帯が8.4%、障害者世帯が14.3%、傷病者世帯が13.6%、このいずれにも該当しないその他世帯が24.1%となってございます。

 

◯ふるくぼ和子委員  今、伺った数字を聞いても、高齢者世帯であれば39.6%、この世帯につくことになっていた老齢加算、これがなくなったことがどれだけ多くの影響を与えたのか明らかだなというふうに思ってお伺いをいたしました。
障害者世帯について伺っていきたいと思うんですけれども、いわゆる身体、知的、精神障害者、こうした各手帳を持っている、あるいは各種制度の対象となっている、こういう方が障害者世帯となっているというふうには思いますけれども、改めて障害者世帯の分類の考え方、概念などについて伺いたいと思います。


 

◯社会課長  生活保護制度におきます障害者世帯とは、世帯主が障害者加算を受けている、あるいは心身の障害のため働けない世帯という分類になっております。

 

◯ふるくぼ和子委員  世帯主がということですが、ほかの受給世帯にも障害を持っている方は何人もいらっしゃるということもある、障害者世帯でなくても障害を持っているという、そういう世帯もいらっしゃると思います。そうした世帯、障害の程度に応じて障害者加算というのが行われていると思いますが、この加算の考え方、対象となる方、支給額などについてもお知らせいただきたいと思います。

 

◯社会課長  障害者加算とは、一定の障害がある場合に生じる日常の特別な需要に対応するため、必要な費用を基準生活費に上乗せする措置でございます。
次に、この加算額でございますが、障害の程度に応じまして月額2万6750円、または月額1万7820円の2種類となっております。


 

◯ふるくぼ和子委員  障害によって特別な需要に応じてということですが、障害を持っているということで、社会生活を行うためにいろいろな経費が必要となる。例えば、健常者の方が徒歩で移動できる、こういう範囲であったとしても、公共交通やタクシーを使用しなければ移動することができない。つまり、同じ目的を達成するためには基本的人権、生存権、こういうことがひとしく保障されなければならない、こういう観点でこれを社会全体の合意事項ということにして障害者の施策の考え方の基本に置いてあると、こういうことがあっての上での加算だと思います。
では、さらに重度の障害の方、今、お話をいただいた加算を受けている中にも重度の方がいらっしゃいますが、こうした重度の障害を持っていらっしゃる方には、より多くの経費というのが当然必要になっていくわけですけれども、これを保障するために上乗せ支給されている重度加算というものについても御説明をいただきたいと思います。


 

◯社会課長  重度障害者加算は、在宅で生活する重度の障害のある方で、かつ常時介護を要する場合に、日常の特別な需要に対応するための費用を通常の障害者加算のほかにさらに上乗せする措置でございます。
加算額につきましては、月額1万4140円となっております。


 

◯ふるくぼ和子委員  こうした重度加算を受けている方なども私がかかわっている方の中にはいらっしゃって、どうも状況を聞くと、現状において対応がちょっとちぐはぐに感じる、どのような基準で実際に支給を受けていらっしゃるのかという点で、ちょっと不安があるなというふうに印象として持っております。
今、在宅で重度の方で日常的に介護を必要とすると、こういうことを言われたわけですけれども、常時の介護を必要とするということについてはどういう状況を指すのか、お伺いしておきたいと思います。


 

◯社会課長  日常生活において常時の介護を要する状態とは、歩行でありますとか排せつ、食事、入浴、衣服の着脱衣、これらのいわゆる日常生活動作を御自分で行えないために介助が必要な状態、また直接の身体介助を必要としない場合であっても、自傷行為や徘回の防止、身辺の清潔保持等の観点から、常に看護や支援を必要とするような状態を指すものでございます。

 

◯ふるくぼ和子委員  いろいろと状況について説明をいただきました。今、紹介していただいた常時の介護を必要とする、こういう状況を例えば基準化してといいますか、何かマニュアル的に基準化をして運用するということになれば、私は逆に必要な人に適用されていかないようなことになるんじゃないかということで大変心配をしています。
そこで、具体的にその中身について聞きたいと思うんですけれども、例えば視覚障害者の方、身体障害者手帳1級で全盲などの場合ですね、今、おっしゃった歩行であるとか排せつであるとか、いわゆるADL、身体状況については全部自立の方が多くいらっしゃいます。全盲という以外は、身辺は全部自立、歩行能力もあるし、トイレも入浴も当然、自分でできる、食事も一人で食べられるし、長時間一人でいるということも十分可能という方ですね。しかし、社会生活を送るという点で言えば、特段の支援というのが当然、必要になってきます。日常生活の中においても、入浴や食事の準備であるとか外出と移動だとか、生活上のありとあらゆる場面での介助というのが必要にはなるんですが、身辺状況というのは全部自立ということになりますので、常時の介護の必要性ということで基準化してしまうと当たらないということになりかねないと思うんですね。しかし、私は重度加算の趣旨から言えばこういった方も対象になるべきだというふうに思いますが、この辺はどのようになるでしょうか、伺います。


 

◯社会課長  視覚に障害のある方におきましても、その状態はさまざまだと思います。日常生活動作が、御指摘のように自立している全盲の方であっても、食事や入浴などの準備がお一人でできないなど、常時の看護や支援が必要であると認められる場合につきましては加算の対象となります。

 


 ◯ふるくぼ和子委員  加算の対象になり得ると、検討してと。それを基準化することが危険だという指摘を私はしておきたいと思いますが、ケースによって対応していくと。
もう一つの例なんですけれども、精神障害者の方です。精神保健福祉手帳1級をお持ちの場合、社会生活を送っていらっしゃる方も当然、大勢いらっしゃいます。しかし、それは相当の葛藤の中での生活ということも容易に想像ができると思います。人と接することで不安になるというような方は、人の多いところは避けて、移動はタクシーでないととか、あるいは買い物も安いスーパーなどに買いに行くということはできなくて、インターネット等で高価格のものでも買わざるを得ない。しかし、そうやって一生懸命生活を成り立たせている、社会生活を営んでいると、こういう方も数多くいらっしゃると思います。また、自傷行為のある方であるとか、一人で御自宅にいられない、いるとどんどん落ち込んでいってしまう、こういう状況になる方などはいらっしゃる、精神障害を持つ方の症状というのは本当にそういう意味ではさまざまです。先ほど常時介助の中にもそうしたことが一部紹介あったかと思いますけれども、やはりこうした皆さん、基本的にはADL、身体状況で言えば全部自立になっちゃうんですね。トイレは行ける、歩ける、食べられるということになりますので。しかし、精神障害者の手帳1級を持つということは、生活上の制限というのが大きくかかっているということが想定されてくるわけですから、これも重度加算の対象と十分なり得るべきだと思いますけれども、こうしたケースはいかがでしょうか。


 

◯社会課長  精神に障害のある方、手帳1級取得するような方でも単身生活の可能な方から御指摘のような方まで、さまざまだとは思いますけれども、自傷行為や徘回であるとか、みずから身辺の清潔保持ができないなど、常に看護や支援を必要であると認められる場合につきましては加算の対象と考えられるところでございます。

◯ふるくぼ和子委員  また同じく精神障害者の方ですけれども、精神保健福祉手帳1級を持っていても必ずしも障害年金を受けられる方ばかりではない、発症のときにどうだったかという状況で受給資格を持たないという方もおいでかと思います。
事前にいただいたこれまでの市の事例問答集で見せていただいたところ、精神障害者の場合は障害年金の受給というのを一つの要件としているようですけれども、今言ったように、手帳1級ということがあれば障害年金の受給ということを必要要件とする理由というのは、もはやないのだなというふうに思います。いかがでしょうか。今も答弁あったかもしれませんが、こういう人も対象になるんじゃないかということを確認も含めて伺っておきたいと思います。


 

◯社会課長  精神障害の方につきましては、常時介護を必要とされる場合であって、かつ障害年金1級を受給している場合というのを基本にしておりますけれども、同じ障害の状態であれば、診断書等により同程度の障害であることを確認された場合には加算の対象としているところでございます。

 

◯ふるくぼ和子委員  こうしてやはり個別にいろいろ見てみますと、文字で書いただけの基準の運用ということで、仮に福祉事務所内で意思統一等が図られるというふうになっていけば、実態に合わないそうした対応が起こり得るのではないかということが逆に心配になってくるわけです。
さきにも述べましたように、この重度加算、生存権や基本的人権との関係で、決して活用を狭めるようなものにしてはならないというふうに思います。そして、このことをきちんと確認をするという必要があるんだと思うんですね。重度加算、いろいろ調べましたら、かつては身体介護のほうに視点が置かれてきていたようです。それが今、障害者権利条約が国連で採択をされ、日本でも大変遅い批准でしたけれども2014年から効力が発生をしていて、市でも障害者の差別解消の条例づくり、これをつくっていこうという取り組みが始まっているように、施策の軸足に身体介護の視点ではなくて社会生活の維持だとか向上だとか、これをしっかり明確に置いて、憲法25条を保障するという立場で運用されるようにしなければならないというふうに私は思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか、伺います。


 

◯健康福祉部長  生活保護の実施につきましては、法定受託事務でございまして、重度障害者加算の認定につきましても、これまで国が示す基準に基づきましてお一人お一人の状況、これを把握しながら適切に加算の認定を行ってきたところでございます。
今後とも国が定める認定基準を十分に踏まえまして、個別具体的な実態に基づいて適切に判断してまいりたいと考えてございます。


 

◯ふるくぼ和子委員  今、実際にいろいろな障害者世帯のケースあるでしょうから、やはりもう一度きちっとそうした皆さんの状況を把握する、その上で個別に単純に基準化をして当てはめるということのないように運用するよう求めておきたいと思います。
そして一人一人にそういう意味でケースワークをするということの点で言えば、これもマニュアルでは決してできないことなんですね。ケースワーカーが生活保護世帯に向き合ってケースワークをしっかりと行う、この体制をつくるというのは本当に必須の課題だというふうになっていきます。
現在のケースワーカー数、新年度は青葉区の保護課の組織改正もあって増員になるというふうにも伺っていますが、いわゆる標準数、この関係ではどうなっているんでしょうか。全市的にはまだまだ足りないというふうに思いますけれども、伺います。


 

◯社会課長  ケースワーカーの配置に係る国が示す標準数は、保護受給世帯80世帯当たりケースワーカー1名を配置することになっておりまして、平成27年2月現在の保護世帯数で換算いたしますと158名となります。これに対しまして、現在のケースワーカーの配置数は131名となっております。

 

◯ふるくぼ和子委員  やっぱり、まだまだ不足しているんですね。いつまでも一人で100件も担当していると、100件超えてケースを持っていると、こういう状況を続けていけば、ケースと向き合うということはもちろん、質の高いケースワークを行うということも不可能。やはり、今、言った障害者の世帯の状況をきちんと把握して、必要に応じた生活の支援を行うという点においても本当にまだまだケースワーカーさんも苦しいし、実際進まないという、こういう課題が横たわっているんだと思います。
ケースワーカーの研修であるとかスーパーバイザーの質の向上を進めながら、日常的にケース検討も行えるような、そういう体制と環境をつくりながら、やはり生存権と基本的人権の守り手としての市の生活保護行政を発展させていくという、こういう必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。ケースワーカーのさらなる増員も求めて、あわせ伺っておきたいと思います。


 

◯健康福祉局理事  生活保護制度を適正に運営していくためには、福祉事務所での直接受給者へ指導、援助を行いますケースワーカー、それからその指導監督を行いますスーパーバイザーについて、増員及び資質の向上ということは大変重要なことであると考えております。平成23年度から平成26年度当初までにおきまして、ケースワーカー23名増員してきたところでございます。
今後ともケースワーカー、スーパーバイザーにつきまして、国が示す標準数に近づきますよう、引き続き、体制強化に努めてまいりたいと存じます。
また、健康福祉局主催の新任職員の研修でございますとか福祉事務所ごとに開催される自主的な研修、こういったものも充実してまいりまして、職員の資質向上にも十分努めてまいりたいと考えております。


 

◯ふるくぼ和子委員  国の基準等に適正にということで縛るのではなくて、やはりその範囲の中でどうやって生活保護受給世帯の生活を支えるかという、この基本的人権、生存権をしっかりとつかんだ保護行政をご期待して質問を終わりにします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 
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