【概要】子どもの格差と貧困の解決へ
(児童扶養手当、就学援助、子ども医療費、児童養護施設、奨学金)
◯庄司あかり議員
日本共産党仙台市議団の庄司あかりです。子供を取り巻く格差と貧困の解決を求めて、一般質問をいたします。
今、日本では、子供の6人に1人が貧困に陥っています。ことし7月の厚生労働省の発表で、子供の貧困率が過去最悪の16.3%となりました。ひとり親家庭の貧困率は54.6%にも上ります。政治と社会が総力を挙げて、子供の貧困対策に取り組むべきときです。
先日、児童相談所でお話を伺ってまいりました。上半期の相談件数は、昨年度に比べて41件多い1209件、DVの現場に子供がいたことによる警察からの通告件数が増加したことで、児童虐待の相談件数も67件増と、昨年度を大きく上回っています。一時保護の定員20名は、満杯状態になることもあると聞きました。背景には、広がる貧困の問題があります。経済的困窮が要因となってのDVの増加、保護者の労働状況の悪化、ひとり親家庭、病気や障害、孤立など、事態は厳しさを増しています。
私もこの間、たくさんの声を聞いてきました。夫のDVから逃げるために正規の職を手放し、子供との生活を守ろうと派遣社員として働いたけれど、過労がたたり体を壊した30代の女性、震災、出産、離婚を経験し、仮設住宅で暮らす20代のママと赤ちゃん、乳児を抱え、所持金があと1000円しかないと電話をしてきた母親など、緊急を要する相談も少なくありません。
仙台市の子供たちが置かれている深刻な状況を、市長はどのように把握されているのでしょうか、初めに伺います。
子供が生まれ育った環境によって将来が左右されないようにと、子どもの貧困対策法制定の運動が広がり、2013年に全会一致で可決され、ことし1月から施行されたにもかかわらず、大綱が策定されませんでした。
6月には、内閣府の有識者会議が大綱策定に当たり、子供の貧困率改善の数値目標設定や、返済不要の給付型奨学金導入、ひとり親家庭への児童扶養手当の対象年齢引き上げなどを意見としてまとめ政府に求めるなど、充実した大綱を望む声が広がっていました。
それにもかかわらず、8月にようやく閣議決定された子供の貧困対策大綱は、深刻な現実を打開するのに見合った中身とは到底言えません。学校で貧困問題に当たるスクールソーシャルワーカーの増員など、ある程度の対策は具体化したものの、児童扶養手当の拡充や給付型奨学金の導入などは見送られました。さらに貧困率改善の数値目標も盛り込まれませんでした。政府の責任を明確にする上で、数値目標を設定することは欠かせません。例えば、自殺対策基本法に基づく自殺総合対策大綱は、自殺死亡率20%以上減少の改善目標を掲げています。
子どもの貧困対策法の大綱は5年ごとに見直すことになっていますが、見直しを待つのではなく、改定を検討すべきです。子どもの貧困対策法は、親から子への貧困の連鎖を断ち切る第一歩となる法律です。国民世論と運動が生み出した法の精神を生かすために、実効性のある対策を国に求めるべきです。いかがでしょうか、市長の御認識を伺います。
安倍政権は、子どもの貧困対策法の理念に真っ向から逆らう政策を次々と打ち出しています。子育て世帯を直撃する生活保護扶助基準の引き下げや、仙台市でも成果を上げている生活保護世帯の学習支援について、国庫負担補助を半減させる計画など、逆行そのものです。
さらに、ひとり親世帯の生活を支える児童扶養手当と障害のある子供たちが対象の特別児童扶養手当の削減が、受給世帯を苦しめています。
中学3年生の障害の子供を持つシングルマザーの方は、2012年4月には月5万550円だった特別児童扶養手当が、ことし11月には4万9900円と、ついに5万円を切ってしまった。障害児を抱えながらダブルワークしているが、もう暮らしていけないと話していました。
児童扶養手当は、2010年から支給されるようになった父子家庭を含めて、全国で約百万人が受給しています。2013年度の0.7%削減に続き、ことし4月にはさらに0.3%削減されました。その上、就業している、求職活動など自立を図るための活動中などの証明書類を提出しなければ、減額されてしまいます。自立支援の名で児童扶養手当を削減する制度改悪は撤回すべきです。手当削減の撤廃と、受給要件の緩和、支給額の拡大など制度の改善、拡充を国に求めるべきです。同時に、勤労意欲を証明させる書類は廃止し、提出書類を簡素化して、受給世帯の負担軽減を図るよう求めるべきです。あわせて伺います。
問題は、手当の削減だけではありません。児童扶養手当の認定、審査基準は、手当を受けられる対象を狭めるもので問題です。
ひとり親家庭が親族と同居していても、生計を異にする事実が客観的に証明できる場合は、児童扶養手当を受給できます。しかし、国の児童扶養手当マニュアルや宮城県が出している手引は、生計が同一でないことの確実な証拠として、実態にそぐわない煩雑な事務を求めています。例えば、住居の見取り図から玄関、廊下、風呂、トイレ、台所等が別々であるかどうかを確認することや、家計簿の写し、公共料金のメーターを別々にして領収書を提出するよう求め、出せない場合はその理由について申し立て書を添付せよというものです。これだけの書類を提出できない場合には、給付を認めないという状況です。
8割以上が働いている母子世帯の総所得は、子供のいる平均世帯の4割以下にすぎません。児童扶養手当の対象を狭めようとする認定審査基準の見直しを、国、県に求めるべきです。いかがでしょうか。
子供の貧困をなくしていくためには、関連する全ての分野で制度の抜本的な拡充が必要です。義務教育無償の原則にもかかわらず、無償の対象は授業料や教科書代などに限られ、給食費、制服代、ドリル代、修学旅行積み立てなど、義務教育の家計負担は余りに重過ぎます。仙台市の就学援助は、生活保護基準額に学校外活動費を足した額ということになっています。収入で390万円、所得で258万円という大変低い水準になっていることは、これまでも指摘してきました。生活保護基準の1.5倍以上に引き上げるべきです。いかがでしょうか、伺います。
義務教育にふさわしく家計負担の解消を目指し、段階的に負担の引き下げを行うべきです。市内でも、教育の一環であるはずの修学旅行や野外活動などの宿泊を伴う活動に、負担が重くて参加できなくなる子供が出ています。所得制限で就学援助の対象にならない世帯に対して、こうした活動費の負担を軽減する仙台市独自の支援策をつくるべきです。お答えください。
貧困状態に置かれた子供たちは、食事も満足にとれず、病気になっても十分な治療を受けられないなど、健康が脅かされています。子供の医療費無料の対象拡大は、子供の貧困対策においても、かなめとなる施策です。宮城県に対し、子供の医療費無料の対象を拡大するよう求める意見書が、仙台市も含め県内全ての自治体で決議されました。それにもかかわらず宮城県は全く対象を引き上げようとしていません。本当にひどい態度です。
全国最低水準の県に対し、対象を拡大するよう求めるとともに、市独自で対象を中学3年生まで引き上げ、所得制限を撤廃し、ワンコインの負担もなくすべきです。いかがでしょうか、伺います。
市内のある児童養護施設でお話を伺いました。
少子化の中でも、入所してくる子供たちは一向に減らないそうです。子供たちの自立への支援と、家庭に戻れる可能性のある子供には、家庭との調整も行います。施設長は、子供を守るための連携体制を張りめぐらせているつもりでも、それぞれのセーフティネットの網の目の大きさが違えばすり抜けていってしまう、まずはケース会議などで、この家庭にはどれくらいの網の目の大きさで対応することが必要なのかを共通認識にすることが大切だ、と強く訴えていらっしゃいました。
虐待を受けた子供たちは、決して自分から虐待を受けたとは言いません。自分が悪いことをしたから、と考えているからです。傷ついた子供たちを守り、育て、子供たちの聞こえない声を聞き、見えないものを見ることが欠かせません。セーフティネットを用意しているつもりでも、その網の目が大き過ぎる、そのような制度や体制は見直すべきです。
子供の貧困が拡大する中、命を守る最後のとりでとしての役割を果たしているのが児童養護施設です。子供たちは24時間そこで生活していますが、守り育てる職員の配置は大きな課題になっています。現在は子供5.5人に対し職員が一人で、一人一人に目を配り向き合うために相当の努力が求められています。安倍政権は消費税を10%にすることを条件に、児童養護施設の職員定数を子供4人に対し職員一人に改善するとしていました。ところが、消費税10%増税の先送りを理由にして、許しがたいことに職員定数の改善も先延ばししようとしています。
消費税は逆進性が強く、さらなる増税は格差と貧困をますます拡大させるものです。消費税増税は先送りではなく、中止の決断こそすべきです。一方で、児童養護施設の職員配置は、増税とセットではなく、子供の貧困対策の観点からもすぐに実施すべきものです。現場に不安をもたらしているこの問題について、増税実施の有無にかかわらず、必要な予算を確保するよう国に求めると同時に、職員の加配ができるよう市として補助をすべきです。いかがでしょうか、伺います。
児童相談所でも、児童養護施設でも、子供の障害に関する相談がふえているといいます。障害のある子供たちへの適切なケアを行うことができる施設が足りないことが課題になっています。障害の子供のケアを充実させなければ、親と子も行き場がなくなってしまう、児童養護施設も障害の子の対応でほかの子に手が回らなくなってしまう、こういった実態が寄せられています。重度の障害に対応する施設はもちろん、中軽度の子供を療育する施設が足りません。一人一人が適切なケアを受けられるよう、障害者施策の充実と施設整備を行うべきですが、いかがでしょうか、お答えください。
学生の奨学金は、本来若者の夢と希望を後押しするものです。ところが、奨学金をめぐる状況はかつてとは大きくさま変わりし、返済をめぐって若者の人生を狂わせる事態になっています。現在、奨学金の一人当たり平均貸与額は、300万円に上っています。
私がお話を伺った尚絅大学に通う男子学生は、学生支援機構の有利子奨学金を利用しています。月8万円支給され、4年間利用すると、返済額は元本だけで380万円、利息込みで520万円です。返済方法は月々2万1000円を20年間、42歳まで払い続けます。また、月12万円の奨学金を利用している学生は、4年間で元本と利息を合わせ1160万円の借金を背負って社会に出ます。
一番心配なのは、卒業後、返済していけるのかどうかです。今、若者にとって卒業後の雇用と収入は不安定で、大学を卒業しても3分の1以上が年収300万円以下となっています。そうした中で、奨学金という借金が返済できなくなる若者も生まれ、8人に一人が滞納や返済猶予となっています。現在の奨学金制度は、一日でも返済を滞ると翌日から5%の延滞金が課され、3カ月続けば金融機関のブラックリストに載せられ、一括返済が求められる場合もあります。9カ月続けば裁判所に訴えられます。2013年、日本学生支援機構が延滞者に起こした裁判は、6000件以上に上っています。
もともと日本の教育への公的支出は、OECD加盟国の中でも最下位であり、日本の大学教育は家計に重い負担を強いてきました。それももう限界です。政府は2012年に、ようやく国際人権規約の高等教育無償化条項を受け入れました。それなのに安倍政権は、こうした世界の流れに逆行し、高校授業料無償化にすら所得制限をかけています。高等教育無償化について、国に責任を果たさせるべきです。いかがでしょうか。
政府は奨学金ニーズの高まりを逆手にとって、有利子奨学金を拡大するという教育ローン化を進めてきました。無利子奨学金の補完措置であった有利子奨学金が、今や貸与額の75%に達しています。奨学金は金融商品であってはならず、所得や資産もない学生に借金を背負わせて利子を取り立てるローンの対象にすること自体が間違っていると言わざるを得ません。
仙台市の制度である高等学校等修学資金借入支援制度は、こうした高等教育の過大な学費負担を軽減しようと、議会が全会派一致して協議しつくった制度です。せっかくつくられた制度ですが、今年度の実績は認定件数が50件と、利用状況が余り芳しくないのが非常にもったいないと感じています。さらに生かしていくべきです。返しても返しても借金が減らないという事態をなくすため、利子補給の所得制限をなくし、対象も大学生や専門学校生まで拡大すべきです。いかがでしょうか、伺います。
東北福祉大学に通う女子学生は、学生支援機構の無利子奨学金を受け、奨学金月6万4000円と、アルバイト収入の3万円を生活費に充てています。家賃や水光熱費、教科書代でお金はすぐに飛んでいくといいます。無利子奨学金を受けるには、学業成績と家庭の経済状況が審査されます。さらに奨学金を受けてからも、定期的に成績や健康、経済状況などで奨学金を継続できるかの認定を受けることになっています。
この学生に、学生支援機構から突然、激励通知が来たそうです。激励通知とは、奨学金を継続できるかの認定において、不適格だと見なされると受ける三段階の処置の一つです。激励、警告、停止の順で処置を受けます。
激励通知には、こう書かれていました。学校からの報告によりますと、あなたの成績は残念ながら奨学生として満足すべきものとは思われません。今後、学業成績が向上しない場合、さらに重い処罰の対象となることもあります、という内容です。しかし、彼女は単位を一つも落としていないし、赤点もとっていないのに、と話していました。激励どころか脅迫ともいうべき通知です。
学生たちは、必死でバイトをしないと学費も生活費も払えない。どうしてこうまでして、学生のうちから重荷を背負って社会に出なければならないのか。これからの日本を支えていく学生が、ぼろぼろになって出発するのではなく、希望を持って社会に出られるようにしてほしい、と話していました。
高過ぎる学費を値下げする方向に踏み出し、奨学金制度を拡充することは、国の責任であると同時に、学都仙台の課題でもあります。仙台市独自で給付型奨学金制度を創設すべきです。いかがでしょうか、伺います。
経済的な理由から進級、進学を断念する事例は、後を絶ちません。未来を担う子供たちが、劣悪な状態に置かれ将来の可能性を奪われていることは、子供の人生に影響を与えるだけでなく、社会全体の損失です。子供の貧困は、個人の自助努力や自己責任では解決できない課題です。政治と社会の責任が問われています。
雇用破壊と社会保障切り捨てを進める安倍政権の政治は、子供の貧困を加速させるだけです。子供を抱える貧困家庭を追い詰める、逆行した政策を中止し、子供の暮らしと福祉、教育を充実する政治へ転換することこそ必要です。このことを強く求め、私の第一問といたします。
御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
◯市長(奥山恵美子)
ただいまの庄司あかり議員の御質問にお答えを申し上げます。
子供の貧困対策についてお答えを申し上げます。
子供の貧困対策に関する大綱では、子供の将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないよう、また貧困が世代を超えて連鎖することのないよう、必要な環境整備と教育の機会均等を図ることの重要性をうたっております。
当面の重点施策としては、教育支援として、貧困の連鎖を防止するための学習支援の推進、保護者に対する就労の支援として、ひとり親家庭の親への就業の支援、また経済的支援として、母子寡婦福祉資金貸付金等の父子家庭への拡大などが掲げられております。
本市におきましても、子供の育ちの部分に着目し、低所得世帯の子供の居場所づくりを含めた学習サポート事業などを進めてまいっております。
今後の子供の貧困対策につきましては、全国的な子供の貧困の実態や、特色ある先進施策の事例の収集、提供などを継続的に行うことが掲げられており、あわせて施策の実施状況や効果を評価し、改善を図ることとされており、こうした国の取り組みと連携して、今後さまざまな施策に継続的に取り組んでいく所存でございます。
そのほかのお尋ねにつきましては、関係の局長から御答弁を申し上げます。
以上でございます。
◯健康福祉局長(高橋宮人)
障害者施策の充実と施設の整備についての御質問にお答えいたします。
障害のある子供の支援については、一人一人の障害の特性を踏まえた早期の支援と、保護者への療育相談等が重要であるという点において、議員の認識と見解を同じくするものでございます。
本市は、これまで療育の場となる障害児通園施設を計画的に整備するとともに、発達相談支援センター職員が児童相談所や児童養護施設に赴き、障害児の個別支援にかかわる助言を行い、さらに研修会等の開催により、施設職員の支援力の向上に努めてまいったところでございます。
今後、障害児通園施設については、改築時に定員の増加を図るとともに、通園児以外の地域の保護者からの相談についても対応できるよう、現在検討を進めており、障害児者のライフステージに応じた支援の充実を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
◯子供未来局長(板橋秀樹)
私からは、子供未来局に係る数点の御質問にお答えをいたします。
初めに、本市の子供たちが置かれている状況についてでございます。
児童相談所における近年の相談件数は増加傾向にございますが、これは児童虐待に対する社会的関心の高まりなどを背景として、警察や市民からの早期の通報が増加していることも要因の一つと認識をいたしております。また、児童相談所や各区保健福祉センター等で受け付けた相談の中には、御指摘のような事案も含まれておりますが、そうした際には、関係機関と連携して迅速に対応するとともに、子供がいる家庭につきましては個別に訪問をするなど、継続的な支援に努めているところでございます。
次に、児童扶養手当制度についてお答えをいたします。
当該手当の金額につきましては、法律により物価の変動率に応じて改定されることとなっております。そのため近年の全国消費者物価指数の下落によって、手当の額も影響を受け、金額が下がったものでございます。一方で、当該手当はひとり親家庭の生活を支える重要な給付の一つでありますことから、本市といたしましても国に対し支給範囲の拡大、所得制限の緩和等について、他都市と共同で要望を続けてきているところでございます。
次に、児童扶養手当の支給の手続についてでございます。
当該手当は、収入の少ないひとり親家庭の生活を支えるための給付であることから、御指摘のようなさまざまな手続が定められているところであり、適正な支給のためには一定程度必要なものと認識をいたしております。
しかしながら、求職活動等について証明する書類に関しましては、受給者の負担も大きく、自治体での確認作業が煩雑過ぎることなどから、本市といたしましても、他の政令市とともに国に対し事務の簡素化を求めているところでございます。
次に、子供医療費助成制度についてお答えをいたします。
子供の医療費に対する経済的支援につきましては、宮城県の乳幼児医療費助成制度が全国最低ランクであることから、県内各市町村が独自に上乗せ措置をとっているところでありますが、これによって地域間での助成内容のばらつきが広がるなど、課題が生じております。このため宮城県に対し、当該制度の強化と市町村への補助の拡大について求めているところでございます。
一方、自治体単独では制度を継続的に維持することが困難であることに加え、安心して子供を産み育てることができるためには、全国どこにいてもそのために必要な基礎的な環境が保障されていることが重要であり、地域によって大きな差が生じることがあってはならないという考え方のもとに、子供医療費助成の全国一律の無償化を実施すべきであると、全国市長会を通じて国に対して要望しているところでございます。
最後に、児童養護施設の職員配置についてでございます。
国は、今般の消費税引き上げ延期に当たり、子ども・子育て支援の充実に影響を及ぼさないよう配慮することとしておりますが、児童養護施設における職員配置基準の改善につきましては、現時点でその実施の有無に関し、具体的には示されていないところでございます。
本市といたしましては、職員配置基準の改善には国として安定的な財源を確保した上で、継続的に支援を行うことが必要であると考えており、国の動向を注視してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◯教育長(上田昌孝)
私からは、教育局に係る数点のお尋ねにお答えを申し上げます。
まず、就学援助制度の基準についてでございますが、本市の就学援助認定基準は、生活保護基準に基づき、児童生徒がいる世帯において通常必要となる生活費を算出し、これに家庭内での学習費やスポーツ活動に要する経費等の学校外活動費を加算したものとしております。したがいまして、生活保護基準に係数を乗じて基準額を設定する方法より合理的な算出方法であり、就学に必要となる基本的な経費を積み上げて算定しておりますことから、支援が必要な方には対応しているものと考えております。
次に、修学旅行などの活動に要する費用への本市独自の支援についてでございます。
経済的な理由から修学旅行や野外活動などに参加できない児童生徒につきましては、従来から就学援助制度により支援しております。就学援助の対象者は、先ほど申し上げた認定基準などによって判断しておりますので、対象者の追加は考えていないところです。
今後とも国の基準や他都市の状況などを考慮しながら、引き続き現行の就学援助制度を適切に運用してまいりたいと存じます。
次に、高等教育無償化についてでございます。
今般の国における就学支援金制度への所得制限の導入は、これによって財源を生み出し、低所得世帯を対象とした給付型奨学金の実施などを目的としたものでございます。これは、国会における議論を経て法改正が図られたものであり、その改正に当たっては、施行後3年を経過した後、具体的な効果を検証した上で必要な措置を講ずるとする附帯決議もなされたところでございます。
こうした経過を踏まえ、本市としては、改正後の制度の状況や、今後行われる政策効果の検証の議論を注視してまいりたいと考えております。
次に、高等学校等修学資金借入支援の拡充についてでございます。
この制度は、成績要件など収入基準以外の借入要件を満たさず、宮城県の奨学金制度を利用できない高校生の修学を支援していくために実施したものでございます。このような制度目的から、収入基準や支援対象は県の奨学金と同じ内容に設定しているものであり、対象の拡大については考えていないところでございます。
利用件数の減少の要因につきましては、貸し付けの窓口となります日本政策金融公庫とも連携しながら、必要に応じ調査、検証してまいりたいと存じます。
最後に、市独自の給付型奨学金の創設についてでございます。
文部科学省の新年度概算要求では、経済的な理由で大学等への進学を断念することがないよう、無利子奨学金の割合をふやすとともに、卒業後の所得に連動して返還する奨学金制度が計上されております。また、今年度からは宮城県が実施主体となり、高校生のいる低所得世帯に対し、返済不要の奨学金が支給されており、高等教育における学びのセーフティネットの充実が図られております。
こうした国や県の制度に加え、民間でもさまざまな奨学金制度が創設されておりますことから、本市といたしましては、給付型奨学金を創設するのではなく、まずはそれらの制度の御案内に努め、意欲や能力のある生徒、学生の支援に取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
再質問
◯庄司あかり議員
子供の貧困対策は待ったなしです。関連する部局が連携を強めて、支援策を拡充することが喫緊の課題になっています。それなのに、ただいまの答弁からは、子供の貧困対策に本気で取り組むという市長の決意は全く感じられませんでした。三点について再質問いたします。
まず、就学援助についてです。支援が必要な方には対応していると言いますけれども、物価が上がって税負担が上がって、賃金は下がると。今国民の暮らしが大変疲弊しています。中でも子育て世帯には負担が重くなっているときです。それなのに、仙台市の就学援助の基準は、1997年から17年間全く変わっていません。これではセーフティネットにはなり得ないと思います。基準の引き上げが必要です。再度伺います。
二点目は、児童養護施設の職員定数です。市長は昨日の代表質疑において、消費税10%になるのを待っているような、長期的に見れば必要だというひどい答弁をしましたけれども、社会保障の大事な機能が所得の再分配機能です。累進課税と一体で所得の再分配という機能が強まります。低所得者に負担の重い消費税は、社会保障の目的と相入れません。このことを何度も指摘しているのに、社会保障財源として消費税増税が必要などと、いまだに言っているということには本当にあきれました。国の動向を注視してなどと言って何もしないのではなく、消費税10%とセットにしないで、子供の貧困対策として急いで児童養護施設の職員定数を改善するよう国に求めるべきです。そして、国を待たずして、市としても補助を行うべきです。改めて伺います。
三点目は、奨学金についてです。今の御答弁は、いろいろな県や国、民間でやっているので、市としては何もやらないという答弁でした。全く学生の置かれている状況を御存じないのだと愕然としました。政令市20市中、10市で給付型の奨学金制度を独自につくっていますから、仙台市はおくれているグループに入っています。例えば、神戸市は自宅外から通う大学生に月2万円を支給していますし、札幌市は大学の入学支度金として最大2万1000円、月額最大9000円を支給しています。学都仙台の名にふさわしく、給付の奨学金をつくるべきです。
以上、改めて三点について伺います。
◯子供未来局長(板橋秀樹)
児童養護施設の職員配置についての再度の御質問でございます。
先ほど申し上げましたように、児童養護施設の職員配置につきましては、国においてその必要性を議論し、国の責任において財源を確保した上で改善を行うという、内部の検討とその結果の表明がなされたところでございます。こうした検討、そして国においてその責任の所在を明確にしたという点については、極めて重く受けとめるべきものと考えております。
今般の消費税の引き上げ延期の関係につきましては、いまだ国から明確な対応が示されておりませんので、現時点で断定を申し上げることはできませんけれども、こうした国の検討の結果、国の中において財源の確保と継続的支援についての意思表示というふうに受けとめておりますので、国の責任を今後とも果たしていただけるよう、我々としては受けとめているところでございます。
以上でございます。
◯教育長(上田昌孝)
二点の再質問についてお答え申し上げます。
まず初めに、就学援助認定基準の見直しについてでございますけれども、就学援助の認定基準につきましては、一つは生活保護基準額、それからもう一つは文科省の子供の学習費調査の結果による学校外活動費、そしてそのほか公共料金の変動等、消費税の引き上げ等、三つの要素を足し上げて基準を算定しているところでございまして、長くこの基準が変わらなかったのはデフレ傾向が長く続いたこととも関連するものと考えております。
したがいまして、この認定基準につきましては積算により算出されるところでございますので、これを変更するつもりはございません。
それから、もう一点でございます。給付型奨学金の創設でございますけれども、学ぶ意欲と能力のある学生が、経済的な事情により学び続けることが困難となり、社会での活躍に支障を来すことは、我が国全体の損失となりますことから、各般の奨学事業は国が主導的な立場を担っております。今般、指定都市の教育委員会が共同して求めていた所得連動型の奨学金返還制度の着手が、文部科学省の新年度概算要求に盛り込まれたところでございますので、今後も国に対して必要な施策の実施を働きかけてまいりたいと考えております。
再々質問
◯庄司あかり議員
二点について伺います。
一点目は、就学援助です。先ほどの御答弁で、宿泊を伴う活動、修学旅行や野外活動については、就学援助を受けている方たちでカバーされているんだというふうにお答えになりました。しかし、私が聞いたお話では、市内のある学校では、修学旅行費を払えていなかった家庭の子供さんが、払っていなかったことを本人は知らなかったんでしょう。修学旅行の当日に、旅行の準備をしてリュックを背負って、集合時間に学校にいらしたそうです。しかし、お金を払っていないからと、その子を置いてバスは出かけてしまったと。本当に胸が痛む話ですが、当局にお聞きしたところ、経済的な事情で修学旅行に行けなかった子供が市内にどれくらいいるのか、把握もしていないとのことでした。教育の一環として修学旅行があるはずなのに、行けない子供がいるということを認識もしていないから、先ほどのような御答弁になるんだと思います。就学援助の基準を引き上げて、子供の貧困対策に直ちに踏み出すべきです。いかがでしょうか、もう一度伺います。
二点目は奨学金についてです。私の身近でも有利子奨学金を利用した友人がいます。卒業後、奨学金の返済の負担が重くて、何とか返そうとしても延滞利息がついて、いつまでも元本が減らない。500万円にも上る債務です。ついには強制執行の通知が送られてきました。友人は、お金を払わないと差し押さえるという事務的な書類だけが送られてきた、差出人の学生支援機構の文字を見ていたら涙が出てきた、どこが学生支援なのか、と話していました。奨学金を教育ローンにして若者の未来を奪うこと、これも社会全体の損失だと思います。子供の貧困対策を講ずることは、未来への投資です。出し渋るべきではありません。お金を出す市長に、これは伺います。
◯市長(奥山恵美子)
奨学金制度の今後のあり方につきましては、先ほど教育長が御答弁申し上げましたとおりの考えを私も持っているものでございます。未来のある子供たちの貧困の対策というのは、日本の国全体として考えていくべきことであり、その国の方向性について、このたび大綱ができたということでございまして、それらを踏まえつつ仙台市としても、個別の施策については今後とも進めてまいりたいと考えております。
◯教育長(上田昌孝)
就学援助基準の見直しについての再度のお尋ねでございますけれども、きちんとした生活保護基準額、それから学校外活動費、そして公共料金等、その年年の経済情勢を反映した上での基準の設定で決めております。そのことについての周知不足がございましたら、やはりいろいろな問題も惹起すると思われますので、さらにこの就学援助制度につきましては各学校を通じて周知の徹底に努めてまいりたいと存じます。