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2024.3.14 本会議 討論(高村 直也)

 日本共産党仙台市議団の高村直也です。ただいま議題になっている議案中、「第39号議案 敬老乗車証条例の一部を改正する条例」について、反対討論を行います。
 この議案は、敬老乗車証の自己負担割合の上限を10%から25%に引き上げる条例改定案です。敬老乗車証制度の見直し中間案では、介護保険料所得段階で5以上の利用者負担を10%から25%に、所得段階4未満の利用者負担を5%から10%に値上げすることが提案されており、この内容に沿った改定案です。

 昨日(3月13日)、市民団体である「敬老乗車証問題連絡会」は、敬老乗車証の負担増に反対し、10月からの実施をやめるよう、郡市長に求める署名、2550筆を、本市に提出しました。2月7日に提出された2002筆と合わせて、4552筆の署名が、2カ月たらずの間に集まり、提出されたことになります。
 同連絡会が、街角で署名への協力をうったえると、多くの市民が足を止め、今月5日には、1時間で131筆の署名が集まりました。「おじいちゃんが亡くなり、おばあちゃんが一人暮らしになった。敬老乗車証が値上されたら、買い物も行けなくなってしまう」などと、若い世代からも、自ら進んで署名に協力する姿がありました。
 当局は、パブリックコメントの結果をもって、“一定の理解が得られた”として、利用者負担の増額を進めようとしているわけですが、パブリックコメントでは、現状維持・引き下げを求める声に加え、「25%は高すぎる」という声を合わせれば、過半数の、55.9%が中間案通りの引き上げに反対の意見を述べています。70才以上では、75.4%、4人いれば3人が反対の意見を述べています。そもそも、昨年末までに行われた、パブリックコメントの募集や、市民説明会の案内は、市政だよりにすら掲載されず、十分な周知がされてきませんでした。
 高齢者やその家族のくらし、また現役世代の将来に関わるこの件で、値上げをしないでほしい、という強い願いをもつ市民の声に、真摯に耳を傾けるべきではないでしょうか。一定の理解が得られた、として、2分している市民の意見の一方を切り捨てることは許されません。

 当局は、敬老乗車証の負担増を進める理由として、高齢者施策にかかわる財源の増加や、制度を持続可能なものとすることを挙げてきました。しかし、利用できな人が増える形で、制度が残るだけでは、本末転倒です。
 敬老乗車証制度は、高齢者施策だけでなく、他の分野にわたり、多面的な役割をもつ制度です。例えば、バス事業では、今後さらなる路線の廃止や減便が懸念され、誰もが安心して、買い物や病院などに行くことができる環境が脅かされています。そんな中、運賃収入を支え、バス事業を支えているのが、敬老乗車証制度です。
 また、高齢者が移動し、買い物をする人が増えることにより、地域経済活性化の効果もあります。
 さらに、今後の高齢化を見据えても、高齢者の健康寿命の延伸や、免許の返納を促すことなどは、たいへん重要な課題です。現役世代の介護などの負担軽減や、自家用車を持たない若者が増える中で公共交通を支える役割も担っているのが、敬老乗車証制度です。
 持続可能なまちづくりを進める上でも、敬老乗車証制度の多面的な役割に注目し、利用できる交通機関の拡充や、身近な市民センターなどでチャージできるようにするなど、積極的に充実していくことこそ、求められています。

 当局は、高齢保健福祉費の一般財源が、今後10年間で70億円増えることを理由にあげていますが、増えるのは主に、介護と後期高齢者医療制度についての自治体負担です。これらは、国に負担を求めるのが筋です。実際に、本市はもちろん、全国の自治体が、介護や医療に対する国の負担を増やすよう、制度の改正を求めています。高齢保険福祉費の増加を理由に、市民に負担を押し付けるべきではありません。
 そのような中、本市の65才以上の高齢者人口は、2013年度の20万7337人と比較すると、2023年度、今年度には、26万4979人となり、5万8000人ほど増加しています。これに対して、高齢保健福祉費のうち、義務的経費以外はほぼ横ばいです。高齢者一人当たりに使われるお金は、減少の一途をたどっているわけです。本来は、高齢者人口が増えているのですから、そこにかける予算を増やして当然です。

 本市には、十分な財政力があることも、今議会で、わが会派は、様々に明らかにしてきました。
 本市の財政見通しについてですが、予算特別委員会でも示しましたが、同じ政令指定都市でも、広島市や堺市と比べて、収支差が1ケタ多い金額になっています。本市の市民に示されている収支不足額は、実態とあまりにもかけ離れた、過大なものになっています。
 実際に、普通会計決算における実質収支は、毎年30億円をこえる黒字が続いています。これは、東日本大震災の前と比べると、10倍ほどの水準になっています。
 さらに、本市の復興基金・交付金基金を除く基金残高は、震災前の2010年度には、853億円でしたが、2022年度には1266億円にまで増加しています。この金額は、政令指定都市中、大阪市に次ぐ2位であり、市民一人当たりでは、他都市を大きく引き離して、堂々の第1位です。
 それだけの財源がありながら、市民一人当たりの民生費、福祉にかかわる支出では、政令指定都市中、下から4番目であり、あと300億円増やして、ようやく平均においつきます。市民のために、もっとお金を使うべきです。
 敬老乗車証制度の負担増をめぐって、財源を理由にするのは間違っており、仙台市の市民に対する姿勢の問題です。
敬老乗車証制度は、負担増をすることなく、充実こそ進めるべきであるとの立場から、制度を改悪する本議案には反対することを表明し、討論といたします。
御清聴ありがとうございました。

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