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返還不要(給付型)の奨学金制度を市独自に創設せよ

(2014年12月議会 庄司あかり議員の一般質問)

◯庄司あかり議員 学生の奨学金は、本来若者の夢と希望を後押しするものです。ところが、奨学金をめぐる状況はかつてとは大きくさま変わりし、返済をめぐって若者の人生を狂わせる事態になっています。現在、奨学金の一人当たり平均貸与額は、三百万円に上っています。  私がお話を伺った尚絅大学に通う男子学生は、学生支援機構の有利子奨学金を利用しています。月八万円支給され、四年間利用すると、返済額は元本だけで三百八十万円、利息込みで五百二十万円です。返済方法は月々二万一千円を二十年間、四十二歳まで払い続けます。また、月十二万円の奨学金を利用している学生は、四年間で元本と利息を合わせ一千百六十万円の借金を背負って社会に出ます。  一番心配なのは、卒業後、返済していけるのかどうかです。今、若者にとって卒業後の雇用と収入は不安定で、大学を卒業しても三分の一以上が年収三百万円以下となっています。そうした中で、奨学金という借金が返済できなくなる若者も生まれ、八人に一人が滞納や返済猶予となっています。現在の奨学金制度は、一日でも返済を滞ると翌日から五%の延滞金が課され、三カ月続けば金融機関のブラックリストに載せられ、一括返済が求められる場合もあります。九カ月続けば裁判所に訴えられます。二〇一三年、日本学生支援機構が延滞者に起こした裁判は、六千件以上に上っています。  もともと日本の教育への公的支出は、OECD加盟国の中でも最下位であり、日本の大学教育は家計に重い負担を強いてきました。それももう限界です。政府は二〇一二年に、ようやく国際人権規約の高等教育無償化条項を受け入れました。それなのに安倍政権は、こうした世界の流れに逆行し、高校授業料無償化にすら所得制限をかけています。高等教育無償化について、国に責任を果たさせるべきです。いかがでしょうか。  政府は奨学金ニーズの高まりを逆手にとって、有利子奨学金を拡大するという教育ローン化を進めてきました。無利子奨学金の補完措置であった有利子奨学金が、今や貸与額の七五%に達しています。奨学金は金融商品であってはならず、所得や資産もない学生に借金を背負わせて利子を取り立てるローンの対象にすること自体が間違っていると言わざるを得ません。  仙台市の制度である高等学校等修学資金借入支援制度は、こうした高等教育の過大な学費負担を軽減しようと、議会が全会派一致して協議しつくった制度です。せっかくつくられた制度ですが、今年度の実績は認定件数が五十件と、利用状況が余り芳しくないのが非常にもったいないと感じています。さらに生かしていくべきです。返しても返しても借金が減らないという事態をなくすため、利子補給の所得制限をなくし、対象も大学生や専門学校生まで拡大すべきです。いかがでしょうか、伺います。  東北福祉大学に通う女子学生は、学生支援機構の無利子奨学金を受け、奨学金月六万四千円と、アルバイト収入の三万円を生活費に充てています。家賃や水光熱費、教科書代でお金はすぐに飛んでいくといいます。無利子奨学金を受けるには、学業成績と家庭の経済状況が審査されます。さらに奨学金を受けてからも、定期的に成績や健康、経済状況などで奨学金を継続できるかの認定を受けることになっています。  この学生に、学生支援機構から突然、激励通知が来たそうです。激励通知とは、奨学金を継続できるかの認定において、不適格だと見なされると受ける三段階の処置の一つです。激励、警告、停止の順で処置を受けます。  激励通知には、こう書かれていました。学校からの報告によりますと、あなたの成績は残念ながら奨学生として満足すべきものとは思われません。今後、学業成績が向上しない場合、さらに重い処罰の対象となることもあります、という内容です。しかし、彼女は単位を一つも落としていないし、赤点もとっていないのに、と話していました。激励どころか脅迫ともいうべき通知です。  学生たちは、必死でバイトをしないと学費も生活費も払えない。どうしてこうまでして、学生のうちから重荷を背負って社会に出なければならないのか。これからの日本を支えていく学生が、ぼろぼろになって出発するのではなく、希望を持って社会に出られるようにしてほしい、と話していました。  高過ぎる学費を値下げする方向に踏み出し、奨学金制度を拡充することは、国の責任であると同時に、学都仙台の課題でもあります。仙台市独自で給付型奨学金制度を創設すべきです。いかがでしょうか、伺います。

◯教育長 市独自の給付型奨学金の創設についてでございます。  文部科学省の新年度概算要求では、経済的な理由で大学等への進学を断念することがないよう、無利子奨学金の割合をふやすとともに、卒業後の所得に連動して返還する奨学金制度が計上されております。また、今年度からは宮城県が実施主体となり、高校生のいる低所得世帯に対し、返済不要の奨学金が支給されており、高等教育における学びのセーフティネットの充実が図られております。  こうした国や県の制度に加え、民間でもさまざまな奨学金制度が創設されておりますことから、本市といたしましては、給付型奨学金を創設するのではなく、まずはそれらの制度の御案内に努め、意欲や能力のある生徒、学生の支援に取り組んでまいりたいと考えております。
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