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一般質問 ふなやま由美議員(12月14日)

【概要】障害者権利条約をいかし、安心して暮らせる施策を

 (相談支援体制の強化、施設運営と報酬引き上げ、

     心身障害者医療費、交通支援)

 

◯ふなやま由美議員

日本共産党仙台市議団のふなやま由美です。障害のある方が生き生きと暮らしていける施策の充実について一般質問いたします。

「“Nothing about us without us” 私たち抜きに私たちのことを決めないで」を合い言葉に、当事者の粘り強い運動と議論の中で、障害者権利条約が策定され、我が国では昨年1月に世界で141番目に条約が批准されました。障害者一人一人の基本的人権が保障され、障害のある人もない人もともに生きていく社会の実現のための大きなスタート地点に立っていると言えます。 本市の施策が障害者権利条約を一つ一つ実現させていくための具体化と捉え、不断の見直しや実践を行うべきです。まず初めに、市の障害者福祉についての奥山市長の基本姿勢を伺います。 2006年に施行された障害者自立支援法は、障害者が生きていくために不可欠なサービスを益とみなし、応益負担を導入し、希代の悪法と呼ばれました。障害者の生存権を侵害するものとの国民的な大運動が起こり、同法の廃止を求め、国を相手に訴訟に立ち上がりました。その結果、2010年1月に国は自立支援法を廃止し、新法を制定することを明記した基本合意を、障害者自立支援法違憲訴訟団と結び、和解しました。 その後、自立支援法廃止後の新法の中身を話し合う総合部会において、骨格提言がまとめられたのです。骨格提言では、障害者は保護の対象ではなく、権利の主体者として、地域で自立した生活を営むことや、障害者の支援を自己責任、家族責任ではなく、社会的、公的な責任へと大きな転換が提起されました。  しかし、2013年に施行された障害者総合支援法は、応益負担の枠組みは残し、結局、自立支援法の延命を図り、名前を変えただけと言わざるを得ない法律です。3年をめどに見直すとした同法の附則により、本年12月4日に厚生労働省は見直し案を出しています。 この報告書案を見ると、障害福祉サービス利用がこの10年間で2倍以上に増加していることを問題視して、制度の持続可能性を確保する観点や、他制度とのバランスや公平性が必要だとしていますが、これはサービス抑制とさらなる負担増を狙うものであり、国民の願いとはかけ離れています。 障害者総合支援法の見直しは、骨格提言を尊重し、障害者権利条約をしっかりと実践する立場で行うべきです。市民の障害者福祉サービス提供の根幹にかかわる問題です。国に強く求めるべきです。いかがでしょうか、伺います。

総合支援法で、全ての障害者、障害児のサービス等利用計画、障害児支援利用計画づくりが義務づけられました。本市の計画策定率は、計画相談支援で36%、障害児相談支援で18.6%にとどまり、家族や当事者が策定するセルフプランが圧倒的に多くなっています。 支援利用計画を地域相談支援事業所に依頼した方から、こんなお話をお聞きしました。プランを立てる人数が多過ぎるので、申しわけないけれども支援できないと断られ、親がセルフプランを立てざるを得ず、大変戸惑ったというのです。我が子の成長や発達に必要な計画を立ててほしいと願っても、叶わない実態があります。 一方、計画作成のためには、丸ごとの生活を把握するための家庭訪問やサービスを提供する事業者の会議が必要で、一人のプラン作成には一カ月以上かかり、継続支援も必要になります。業務量が多いため、市の調査でも本市の相談支援事業者の約8割が、1年間に作成できたプラン件数は50件以下にとどまっています。しかし、計画策定に係る報酬は、新規作成では1件1万6000円、継続支援のためのモニタリングは1件1万3000円しかありません。 本市の相談支援事業所は53ヵ所ですが、支援計画策定事業で年間100万円程度の収入にしかならず、現場から事業としてやっていけないと悲鳴が上がっています。報酬が余りにも低いために、事業を続けられず休止せざるを得ない事態まで起きています。 その人らしい人生設計のための大事な支援という位置づけを明確にして、支援計画を立てられるよう、相談支援事業所をもっとふやすべきです。また、報酬の引き上げを国に求めると同時に、市独自でも上乗せし独自支援を行うべきですが、いかがでしょうか、伺います。

障害のある方が安心して暮らすことは、施設や事業所の運営を支えることなしには実現できません。ところが国は、ことしの障害福祉サービスの報酬改定で、食事提供体制加算や費用基準額を大幅に引き下げました。就労継続支援B型や生活介護、施設入所支援などを行う施設でお話をお聞きしました。この報酬引き下げで、年間200万円もの減収となっている。物価も食材費も上がっており、水光熱費も節約に努めているが、もうこれ以上削るところはない。人件費率は8割を超えているとのことです。 この施設では、職員38名のうち15名の正規雇用と、年度更新の非正規雇用や嘱託職員の方々が献身的に頑張っておられますが、安定した賃金と生活の保障がなければ働き続けることはできません。 また、総合支援法によって昨年4月から、それまでのケアホームがグループホームに一元化されました。新たな報酬基準は、夜間支援体制加算IからIIIまでの3つの区分で、重症度に応じた障害者程度区分ごとに何人の職員を配置するかで算定されます。これでよくなるどころか、国の決めた報酬基準の設定では、職員を採用し体制を厚くする分までの金額には到底及びません。 もともと多くの事業所では、募集しても応募がないなど、人員確保に困難を抱えています。欠員が出れば、夜勤をやった職員が翌日の日中もケア体制に入らざるを得ない実態は残されたままです。国に対して、抜本的に障害者支援に係る基本報酬を大幅に引き上げることを強く求めるべきです。実際に人員を増員できるような市独自での上乗せ助成を行うべきです。いかがでしょうか、あわせてお答えください。

仙台市は、今年度から3ヵ年の第4期仙台市障害福祉計画に基づき施策を行っています。この中で、重点事業にグループホームの設置促進を掲げ、第3期計画では年間20人ずつの利用者増だったものを年間100人ずつ利用をふやすと、計画を大幅に引き上げました。障害者の住まいを確保する積極的な目標として評価をするものですが、大事なのはどう実現させていくかです。 市はグループホーム新規開設の際、スプリンクラーの設置について100万円の補助制度を拡充しました。しかし、この支援策だけでは、グループホームを本当にふやすことはできません。スプリンクラー設置には最低でも約300万円かかります。そもそも多くの賃貸物件では、大家がスプリンクラー設置などの改造を認めないために、物件を購入しリフォームしたり、新築しなければならないのが現状です。 市は、福祉計画を実現させグループホームを整備するために、建設費補助や土地の購入、建物の購入、リフォームに関する助成制度の創設や、市が建設し民間に委託するなどの手法を導入するべきです。いかがでしょうか、伺います。

障害者総合支援法では、介護保険優先原則が規定されているため、障害者福祉施策と介護保険制度では、サービスの内容や認定基準は全く違うのに、65歳になると介護保険制度に移行され、市民から不安や改善を求める声が寄せられています。 私が相談されたある方は、脳性麻痺があり、座位は保持できますが、床をはっての移動しかできません。65歳を迎えたときに、毎日受けていたヘルパーのサービスが半分になり、それまで通っていた障害者デイサービスに通えなくなりました。これでは大変だと、ケアマネジャーやヘルプサービス事業者、区役所と話し合いの場を持ち、障害者支援サービスも使えるようになりました。 介護保険優先だと言って、機械的に障害者支援を打ち切っているとしたら問題と思い、サービス利用状況を調べました。その結果、昨年度に65歳を迎えた方のうち、約50名が利用していた居宅介護では、そのまま障害者福祉サービスを利用している、継続している方は1名だけで、障害サービスと併給が認められた方は11名でした。多くは介護保険に全部切りかえとなっています。 厚労省は通知により、機械的に介護保険優先を勧めるのでなく、個別の状況に応じて対応するよう示しています。安心して障害サービスを継続して受けられるように徹底すべきです。伺います。 そもそも65歳を迎えたからといって、必要な支援が変わるわけではありません。それなのに介護保険へ移行させられ、一割の自己負担がのしかかることも市民を苦しめています。国に対して、障害者総合支援法の介護保険優先原則を廃止するよう求めるべきです。いかがでしょうか、お答えください。

次に、障害児放課後等デイサービス事業についてです。 障害のある子供の放課後の生活を支援する役割を果たし、現在1159名の子供たちが78カ所の事業所へ通っています。民家を借り上げるなど、子供たちを学校や特別支援学校に迎えに行き、放課後の生活を支援し、家庭に送り届けています。利用登録されている子供さんの障害の特性や、一人一人に合った支援は本当に大変です。 ある支援員さんは、ゆとりを持って支援したいが現実は嵐の中にいるようだ、発達障害でトイレと部屋を1分置きに往復し続ける子もいる、肢体不自由で車椅子の子もいるが、十分なスペースが確保できず、ぎゅうぎゅう詰めという御苦労を伺っています。仙台市では、利用が原則的には週3日までになっています。また、登録制度のため、同じ事業所に通いたくても空きがないために、週3日を別々の事業所に通っている子供も多くいます。 放課後デイサービス事業は、放課後の2時間だけを切り取って子供を預かる場所ではなく、障害特性に合った支援、発達保障の視点で質的な充実を図るべきです。営利企業の参入で量的整備をするのでなく、子供の福祉と生活支援の場と明確に位置づけた整備を行うこと、医療的ケアが必要な重度心身障害児の受け入れを拡充できるよう補助交付をすること、原則週3日だけの利用をもっとふやすこと、よりよい事業運営が行えるよう財政支援を拡充すること、以上の4点を求めます。いかがでしょうか、お答えください。

次に、医療の充実についてです。 障害者や家族など当事者の粘り強い運動によって、障害福祉サービスを利用する際の自己負担制度は、低所得者への軽減を行うものに改善させましたが、いまだに自立支援医療は原則一割の負担を求めるものになっています。障害者権利条約第二十五条は、障害者に到達可能な最高水準の健康を享受する権利を定めています。安心して保健医療サービスを受けられるよう、国は本来、自立支援医療は無料とすべきです。少なくとも、市町村民税非課税世帯への自己負担は、他の障害福祉サービスと同様に無料となるよう国に働きかけるべきです。いかがでしょうか、伺います。

市は身体障害者手帳1級、2級、3級の方、療育手帳Aの方などを対象に、心身障害者医療制度を実施しています。横浜市から仙台市に転居をされてきた方から、御相談をいただきました。妻と子供二人が障害を持ち、療養生活を送っている。障害者医療制度を活用しようとしたら、所得制限があるために対象にならないと言われ、愕然とした。横浜と違って仙台市は償還払い制度のため、一旦窓口で全額支払いを求められる制度になっている。仙台市は、障害のある人に何て不親切なまちだろうと感じたと話されていました。 償還払いのため申請手続で役所に足を運び、さらに助成申請書を役所に行ってもらう、毎月かかった病院や薬局ごとにそれぞれ提出しなければなりません。患者や障害のある方、御家族にとって大変な負担です。また、医療機関や区役所にとっても、その処理に追われ、業務量はさらにふえます。 横浜市や川崎市などの政令市20市中12市では、現物給付制度を導入し、窓口での立てかえ払いがないことが当たり前になっています。また、さいたま市、横浜市、川崎市などでは、所得制限を設けていません。障害のある方が安心して医療を受けることができるように、心身障害者医療費助成制度は現物給付制度とし、所得制限もなくすべきですが、いかがでしょうか、お答えください。

障害のある方が積極的に外出し、生き生きと社会参加できる仙台にしていくために、交通費支援の充実が必要です。障害者福祉タクシー制度は、以前は3万6千円の利用上限でしたが、現在は年間3万円までとなっています。通院や社会参加のために利用したくても、すぐになくなってしまうという声が寄せられています。積極的な地域生活と社会参加を応援するために拡充すべきです。いかがでしょうか、お答えください。

市は、障害を理由とする差別の解消を推進するための条例策定に向けて検討を行い、来年2月に議会に条例案を提案する予定です。この間、596件の障害を理由とする差別や、配慮があって助かった事例の聞き取り、各種シンポジウムを開催し、障害のある方とない方が同じテーブルで話し合う機会を持つなど、取り組みを進めています。しかし、パブリックコメントは103件、説明会の参加は34名にとどまっています。 まだまだ市民の中で、条例策定の意義や理解が深まっているとは言えません。市民や企業、事業者に対して、広く障害者差別に関する理解を呼びかけると同時に、条例策定は何よりも、障害当事者や市民意見を十分に反映させたものにすべきです。奥山市長は、市長記者会見で、条例策定はプロセスが大事と話されていましたが、現在の到達点について御認識を改めてお伺いいたします。 仙台市は相談窓口として、区の保健福祉センター、民間の相談支援事業所や、はあとぽーとなどの相談支援センター、市役所などを想定しているようです。相談を受け、事実確認の調査、調整し解決に結びつけるためには、丁寧なかかわりと時間がかかります。今の体制だけでは、新たな差別解消のための相談支援は十分に行えないのではないでしょうか。民間の相談支援事業者からも、今でさえ業務に追われている中で、新たな差別解消のための相談支援と言われても、対応し切れないと懸念の声が寄せられています。 現在の相談体制に加え、専任配置で相談や救済、解決に当たれるような専門の障害者差別解消の相談窓口も設置すべきと考えますが、いかがでしょうか、伺います。

先日、東京都八王子市で、障害者差別禁止条例の取り組みを伺ってきました。障害者差別解消法が施行される前に、障害者の主体的な取り組みにより、行政、交通事業者、企業を巻き込んでの障害者差別への理解を深める話し合いの場を重ね、当事者や市民が議会請願を行うなど、粘り強い要望運動が実って条例が実現しました。 しかし、市民や事業者などの理解の醸成や差別事例の相談はあっても、調整機関への申し立てまでは至らず、解決しないまま諦めるケースもあり、条例の徹底はまだまだこれからと市の担当者は話しておられました。 本市の条例や運用が理念だけでなく、実際に解決につながる実効性のあるものにしていく必要があります。そのためには、常に立ち返り、障害者差別解消のための取り組みが実践できているのか、検証が必要です。見直しを行う規定もぜひ条例に盛り込むべきです。いかがでしょうか、伺います。

障害者差別解消条例の制定は、障害者権利条約を生かす立場で、市民や障害者の皆さんと最後まで話し合って、よりよいものになることを求めて、私の第一問といたします。

御清聴まことにありがとうございました。(拍手)

 

市長(奥山恵美子)

ただいまのふなやま由美議員の御質問にお答えを申し上げます。
障害者福祉についてのお尋ねでございます。
人は、その一人一人がかけがえのない存在であり、本市におきまして百七万市民の皆様がお互いに人格と個性を尊重し合い、支え合いながら、その多様性を認め合い、障害のある人もない人も安心して暮らすことができる共生社会の実現を心より願うものでございます。
障害者施策は、障害のある方の社会参加や地域生活を支える基盤となるものであり、現在検討を進めている障害による差別の解消に向けた条例につきましても、個人としてその尊厳が尊重され、それにふさわしい生活を実現するための基本となるものでございます。
本市におきましては、これまでも障害のある方々や御家族の皆様の声をお伺いし、関係する方々とともに知恵を出し合いながら、社会情勢も踏まえつつ、ニーズに応えた各種障害者施策を展開し、地域生活を支える基盤の整備に努めてまいりました。
今後とも、障害のある方々や御家族の声を大切にしながら、なお一層の障害者施策の充実に取り組んでまいる所存でございます。
そのほかの御質問につきましては、健康福祉局長から御答弁を申し上げます。
以上でございます。

 

 

健康福祉局長(佐々木洋)

私からは、市長が答弁した以外の御質問にお答えいたします。
初めに、障害者総合支援法の見直しについてでございます。
今般、日本身体障害者団体連合会や日本知的障害者福祉協会など、当事者団体の代表も参画した国の審議会において、障害福祉サービスのあり方等に関する検討の報告書案が取りまとめられたところでございます。
本市といたしましては、こうした障害者総合支援法の見直しに関する今後の国の動向を注視し、障害者権利条約の理念を踏まえた制度設計となるよう、必要に応じ国へ求めてまいりたいと考えております。

次に、相談支援事業所についてでございます。
障害福祉サービスを利用する方の生活上の課題や適切なサービス利用を継続的に支援するため、計画の作成を担う相談支援事業所の役割は重要であると認識しております。法律上はセルフプランも認められておりますが、相談支援事業所を本市としてふやすため、これまでも障害福祉サービス事業所に対し、集団指導などさまざまな機会を捉えて相談支援事業所の新規開設を働きかけてまいりましたが、今後も現行の障害福祉計画のサービス見込み量を確保できるよう、取り組みを一層進めてまいります。
また、報酬については、全国一律の体系により規定されるべきものと考えておりますので、事業者からの意見を取り入れ、機会を捉えて国に対して要望してまいります。

次に、障害福祉サービスの報酬についてでございます。
障害福祉サービスの基本報酬は、本年4月に改定が行われ、重度障害者に対する夜間の支援体制への加算など、拡充されたところでございます。障害福祉サービス事業所の支援員等の安定した雇用を維持し、サービス水準を確保するためには、適正な報酬が欠かせないことから、事業者の声もお聞きしながら、引き続き他の政令指定都市とともに情報を共有し、国に対して強く要望してまいります。
事業所職員の増員につきましては、市独自の助成による対応でなく、全国一律の制度として保障されるべきものと認識しております。

次に、グループホームの設置促進についてでございます。
本市では、これまでも保護者を対象にした勉強会や開設を検討している事業者向けの研修会を開催するなど、グループホームに対する理解、啓発とともに、今年度からグループホームの新規開設経費に対する独自の補助制度の拡充など、整備促進のための支援に努めているところでございます。
今後とも保護者や関係団体などとの連携強化を図りながら、さらなる整備促進に向けて取り組みを進めてまいります。

次に、介護保険の優先適用についてでございます。
障害福祉サービスを受けていた方が65歳を迎えた場合、原則として介護保険が優先されることになります。一方、現行法においても、御本人の状況に応じ、介護保険にない障害福祉独自のサービスは引き続き提供されますことから、必要なサービス量が確保できるものとなっております。
今後とも介護保険の優先適用が、あたかも介護保険のみの利用に制限されるという誤解を招かないよう、関係機関への周知に努め、障害福祉サービス利用者が介護保険制度へ円滑に移行できるよう取り組んでまいります。

次に、放課後等デイサービスについてでございます。
放課後等デイサービスにつきましては、市内の事業者のネットワーク団体と定期的に意見交換を行い、国が本年四月に策定した事業者向けのガイドラインの周知徹底を図るとともに、実地指導を通じて、各事業者の支援内容の充実や質の確保など、適正な運営に向けた取り組みを進めております。
また、サービス利用日数の拡大については、保護者の就労や家庭における療育困難などの事情をお聞きし、より多くの支援が必要な方につきましては柔軟な対応を行っているところでございます。加えて、医療的ケアが必要な重症心身障害児を受け入れる放課後等デイサービスに事業所においても、適正な報酬が確保されるよう、国に対して要望してまいります。

次に、自立支援医療の自己負担についてでございます。
自立支援医療制度は、心身の障害を除去、軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する法的な公費負担医療制度でございます。
自立支援医療により、自己負担は原則1割となっておりますが、さらに世帯の所得に応じ、一月当たりの負担に上限額が設定されており、市民税非課税世帯の方は2500円もしくは5千円が上限とされているなど、軽減策が図られているものと認識しております。

次に、心身障害者に対する医療費助成の現物給付及び所得制限についてでございます。
この医療費助成制度につきましては、受給者の負担軽減の観点から、窓口で一部負担金を支払うことのない現物給付方式にすることが望ましいと考えております。一方、この制度は、宮城県の補助事業として県内全ての市町村で実施していることから、現物給付とするには医療機関や国保連合会との調整が不可欠であり、県全体として統一的な対応が必要となります。これまで宮城県市長会を通じて、県に対し現物給付の要望を行っており、引き続き働きかけてまいりたいと考えております。
また、所得制限につきましては、この制度が経済的な支援でありますことから、一定の所得により対象者を限定しているものでございます。

次に、障害者福祉タクシー制度の拡充についてでございます。
障害者交通費助成事業のメニューの一つとして、年額3万円のタクシー補助券を交付しているものでございます。障害のある方の社会参加を促進するため、この制度を将来にわたり持続させることが必要であると認識しておりますが、対象者の増加に伴い、事業費が年々増大していることから、制度の拡充を行うことは困難であると考えているところです。

次に、障害者差別解消に向けた条例に関する御質問についてお答えいたします。
昨年の6月に障害者施策推進協議会に条例のあり方について諮問して以来、この間、協議会の検討のほか、障害者差別解消や条例化について広く御理解いただけるよう、障害者、御家族、事業者などから直接意見を伺うとともに、ワークショップのココロン・カフェなどさまざまな手法を用い、市民参画の取り組みを進めてまいりました。
こうした取り組みの中で、これまで障害のある方と接する機会が少なかった市民や事業者の皆様にも、障害者に対する理解を深めていただいたものと考えております。多くの方々の御協力を得ながら策定のプロセスを踏んでまいりましたが、この条例は、策定することが目的ではなく、施行したときが、まさに取り組みの始まりであると認識してございます。

次に、相談窓口に関する御質問にお答えいたします。
本市で行った差別や配慮に関する事例募集の結果や、条例を施行している自治体における事例を見ますと、差別に関する相談は、地域での生活や職場において障害を正しく理解されないことや、障害特性に応じた配慮が得られないことから生ずる、生活のしづらさや不快な思いといったものが多くを占めております。
現在、区の障害者総合相談や委託による相談事業所などでは、障害を理由にアパートがなかなか借りられない方と一緒に不動産会社に同行して説明したり、職場で障害に応じた配慮をしてもらえるよう上司の方と話し合う機会を持つなどの支援を行っており、地域生活に関する支援と差別に関する支援は密接なかかわり合いがございます。こうしたことから、窓口は差別に関する相談だけを切り分けるのではなく、障害に関する各種相談の経験や実績がある現在の相談体制の中で対応し、具体的な解決に結びつけてまいりたいと考えております。

最後に、条例の見直し規定についての御質問でございます。
条例制定後の障害理解の啓発や、相談調整の対応等、障害を理由とする差別解消推進の各種施策の取り組み状況につきましては、条例のあり方について御検討いただいている本市障害者施策推進協議会に報告し検証する中で、御意見をいただきながら必要な施策の見直しを行ってまいる所存でございます。
以上でございます。

 

 

ふなやま由美議員


ただいまお答えをいただきました2点について、再質問をさせていただきます。
私は、市の障害者福祉施策が、障害者権利条約を実現させる立場で実践することについて強く求めました。この質問に対して市長は、107万市民一人一人がかけがえのない存在である。人格と個性を尊重して、障害のあるなしにかかわらず共生社会を実現させていくことや、安心して暮らせる社会を心より願うという旨の答弁をされておられます。ぜひこの立場を市の施策についても貫いていただきたいというふうに思います。
まず、グループホームの増設についてですが、年間100名ずつの整備目標を立てても、具体的な支援策が伴わなければ実現はできません。事あるごとに市の御当局や市長がグループホームへスプリンクラーの設置の助成制度を拡充しましたということで、本市の障害者施策の支援の拡充策の大きな目玉であるというように強調されてきておりますけれども、しかし、支援する事業者の方々や障害当事者の皆さん、御家族の皆さんからは、市がこの支援策だけでどうやってグループホームをふやすつもりなのかと、こうしたお声が寄せられています。市長の本気の姿勢がこの点でも問われておりますので、お答えをいただきたいと思います。

もう1点目です。心身障害者医療制度の改善についてです。
市は現物給付化について、県内統一の取り組みが望ましい。県に働きかけていると答弁されましたけれども、子供の医療費助成制度の拡充問題でもそうですけれども、この障害者の皆さんへの医療費制度の改善の点でも宮城県のおくれた現状というのを変えていかなければならないというふうに思います。県に強く求めていくというのは当然です。それと同時に、改善されるのをいつまでも待っているという姿勢ではなくて、仙台市独自でも心身障害者医療制度の現物給付化と所得制限をなくすことはできるのですから、すぐにこれは実施を強く求めたいと思います。
以上、2点についてお伺いいたします。

 

 

健康福祉局長(佐々木洋)

グループホーム増設についてお尋ねがございました。
先ほど申し述べましたとおり、グループホーム開設への支援といたしまして種々取り組んできてございますが、グループホームの開設を検討している事業者からは、不動産や建築工事に関する情報の収集、この経験がないことですとか、契約の手続等不明な点が多い、あるいは職員の労務管理等どのように行っていったらいいのかといったお悩みの声が私のところにも寄せられてきております。こうしたことから、既に事業をスタートさせた事業者の方の経験談ですとか、あるいは不動産関係の団体などとも連携しながら、相談支援のあり方を進めてまいりたいと思います。
また、グループホームへの補助金の点についてでございますが、グループホームの整備、これは本市のみならず全国的な課題と認識してございますので、こういった建設整備に対する補助金につきましては、国に対し要請してまいりたいと考えてございます。

次に、心身障害者医療費助成についてでございます。
先ほど申し上げましたように、県市長会を通じて現物給付化を要望しているとともに、私ども県市の連絡会議におきましても、直接私のほうから現物給付化ということを要請してございます。県のほうではなかなかこの間、実施に踏み切るということがございませんが、今後とも引き続き現物給付化、これを強く県に求めてまいりたいと考えております。県内全市町村共通のテーマでございますので、一つずつの市町村が個別に対応するというよりも、県内市町村一団となって県に対応を求めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。

 

 

ふなやま由美議員

ぜひ市長にお答えをいただきたいというふうに思うんですね。グループホームの整備についてですが、親亡き後の我が子の暮らしや住まいの確保をどうしたらいいかということで、本当に切実になっているわけです。これに対して、仙台市が整備目標で年間100人ずつということで掲げられておりますので、実際にそれを実現させていくための手だてがもっと必要だということで、先ほど来求めさせていただいております。
私は第一問の中で、建物や土地の取得費用ですとか、リフォームに係る費用への助成制度についても、仙台市が行うべきだということで求めさせていただきました。本当に百名ずつふやしていきたいとお考えであれば、ぜひこうした具体策を行うべきだと思います。市長にお答えをいただきたいと思います。

もう1点目の心身障害者医療制度の改善についてです。市はあくまでも県による統一的な対応が望ましいという御答弁にとどまっていらっしゃいますけれども、障害者権利条約を本当に実践していく立場で仙台市が自分の頭で考えてやっていくと、であれば、国がやらなければもちろん県に求めると。県がやらなければ、仙台市独自でも判断してやると、こういうことが市民からは強く求められているというふうに思います。ここでも障害者差別解消法を今つくろうと仙台市はしていますから、障害を持った方々が医療を受ける際に、償還払い制度で一旦立てかえ払いを求められると、これは大変な負担を強いている問題だと思います。直ちに改善を図るべきです。
この2点について、ぜひ市長にお答えをいただきたいと思います。

 

 

市長(奥山恵美子)

2点の再度の御質問にお答えを申し上げます。
まず、グループホームの整備についてでございます。
グループホームは大変重要な施策であるというふうに私どもも考えてございまして、したがいまして、ただいま局長からも御答弁申し上げましたとおり、年間整備目標百名ということで掲げているものでございます。その具体の施策といたしましては、この間制度の拡充を図ったものもございますし、また今後、国にさらなる要望を上げていきたいというものもございます。これまでの整備の状況等を勘案しながら、まずはこの現状の施策の中で事業者の皆様とともに十分な努力を私どももしていくことによって、目標を達成してまいりたいと思いますし、制度的な不十分なところについては、これは各自治体に共通する課題でございますので、政令指定都市また県内各自治体とともに、しっかりと制度改正についても力を尽くしてまいりたいというふうに思うものでございます。

また、2点目におきます心身障害者の医療制度に関する現物給付化のお話でございます。
この現物給付化につきましては、私としても大変重要なことであり、現行の制度は当事者の皆様にとって大変御負担が大きいということについては、御意見を同じくしているものでございます。これにつきましては、県の制度でやっている関係上、やはりこれは県内各自治体が力を合わせ、ともにこの改善を働きかけるべきもの、当然その先頭に本市は立つべきものという認識でございます。さまざまな制度の改善に向けて、引き続き仙台市としてもしっかりとその力を発揮してまいりたいと、このように考えてございます。
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