【概要】子どもの貧困対策に本腰を入れよ
(全庁的な連携と体制、「子どもの生活実態調査」、妊娠期~出産期の生活・就労支援、子ども食堂)
◯高見のり子議員
日本共産党仙台市議団の高見のり子です。子供の貧困対策について、一問一答で行います。
子供の将来が生まれ育った環境によって左右されることのないよう、必要な環境整備と教育の機会均等を図る。これは、2014年に施行された子どもの貧困対策法を受けて、政府が閣議決定した理念です。ところが、今もなお、子供の貧困は大きな社会問題になっています。2016年4月に公表されたユニセフの報告書では、最貧困層と標準的な層との格差を国ごとに分析しており、日本の格差は先進国41カ国の中で8番目に大きいということです。貧しさの広がりに加えて、その度合いも深刻であることが指摘されたと言えます。
国民の平均的な所得の半分を貧困ラインと呼びますが、その基準に満たない所得の低い世帯の子供たちが16.3%で過去最悪となり、300万人余り、6人に1人ということです。中でも深刻なのは母子家庭などのひとり親世帯の子供で、貧困率は54.6%、2人に1人を超えています。
日本が1994年に批准した子どもの権利条約の四つの柱、差別されない権利、生きる、育つ権利、最善の利益を得る権利、意見を聞かれる権利が守られていない現状であり、どの子も大切にされる社会をつくることは、政治の緊急課題と言えます。
子供は、次の社会の担い手です。その健やかな育ちを後押しすることは当然です。社会全体で子供と子育てを支えるという方向が、社会的合意になっています。仙台市もようやく子供の貧困対策に取り組むとしていますが、どういう決意で取り組むおつもりなのか、市長にお伺いします。
子供の貧困対策を進めるに当たって、人や組織の問題が決定的に重要です。子供の貧困対策は子供未来局が進めるとしていますが、貧困の実態をつかむことができるのは子供未来局だけではありません。例えば学校で給食費や教材費が払えないことを把握するのは教育局です。水道料やガス代は滞納があれば水道局、ガス局が把握できます。国保料は健康福祉局、市県民税は財政局などです。貧困の実態を捉えられるのは、各局、各課にわたっています。
先日視察に行った東京都荒川区では、区政は区民を幸せにするシステムであるというスローガンのもと、子供の貧困対策をあらかわシステムと名づけて取り組んでいます。職員一人一人が、意識的にリスクを持った家庭の早期発見に取り組んでいます。それぞれの部署が保有するデータは断片的です。だからこそ、全職員が、貧困状態にある市民とその子供たちに敏感に対応することが必要だと、研修にも取り組んでいます。
仙台でもこのような全庁的な連携が不可欠ではないでしょうか。どう取り組むのか伺います。
子供たちへの支援は、切れ目のない一貫した対策が必要です。妊娠、出産期から乳幼児まで、保育所や児童クラブ、小学校や中学校はもちろん、高等教育や社会人になるところまで、連続した取り組みが求められます。早期発見、早期対応、そして切れ目のない支援をどのように進めるおつもりなのか伺います。
そもそも、なぜ子供の貧困が広がっているのでしょうか。まず、日本は高い学費など、子育てにお金がかかり過ぎます。2015年11月に発表されたOECD調査結果では、GDPに対して国や自治体による教育機関への公的支出の占める割合は、日本は3.5%にとどまり、6年連続で最下位でした。ヨーロッパなどでは、子育てにはほとんどお金がかかりません。鉛筆の果てまで学校が支給します。子供の貧困率が拡大しているにもかかわらず、安倍政権は相変わらず子育てや教育にお金を使おうとしません。給付型奨学金の導入、給食や修学旅行の費用の無償化、子供の医療費の無料化、社会保険料や税の負担軽減など、強く求められています。
もう一つは、社会全体に貧困と格差が広がっていることです。労働者派遣法の改悪によって、1995年に約1000万人だった派遣労働者は、2015年には約2000万人となりました。平均年収が200万円、女性はさらに低くて181万円です。非正規の増加が貧困の増大を招いていることは明らかです。収入が下がり続けているのに、子育てや教育にお金がかかり過ぎているのが原因です。子育て世代は、長時間過密労働、低賃金、さらに子育ての負担が重くのしかかっています。ますます貧困に陥っているのです。
ヨーロッパのように教育や子育てに公的責任を果たすこと、雇用や賃金など、人間らしく働けるルールを確立する必要があります。子供の貧困を解決するためには、社会全体の貧困と格差を是正することこそが問題解決の方向ではないでしょうか、伺います。
以上、一括での質問は終了し、以降は一問一答により質問してまいります。
◯市長(奥山恵美子)
ただいまの高見のり子議員の御質問にお答えを申し上げます。
子供の貧困対策に関するお尋ねでございます。
貧困は、子供たちの生活や成長にさまざまな影響を及ぼし、その将来をも左右しかねない憂慮すべき課題でございます。貧困が世代を超えて連鎖することがないよう、全ての子供たちが夢と希望を持って成長していける社会を築いていくことが求められていると考えております。
このような認識のもと、本市におきましては、これまでも国の策定した子供の貧困対策に関する大綱に基づき、学習、生活サポート事業やひとり親家庭等相談支援センター事業など、各般にわたる支援策を講じてきたところでございます。さらに、今年度は新たに児童養護施設等入所児童の自立に向けた支援に取り組むこととしたほか、より効果的に子供の貧困対策を推進する上で、本市における実態を把握し、課題を整理するため、仙台市子どもの生活実態調査を実施することといたしました。
子供たちが自分の可能性を信じて自信を持って未来を切り開いていくためには、子供たちの生育環境を整備するとともに、教育を受ける機会の均等を図り、生活の支援、保護者の就労支援などとあわせて、総合的な子供の貧困対策を推進することが必要であり、実態調査の結果も踏まえながら、全庁連携し、施策の充実に努めてまいりたいと存じます。
そのほかの御質問につきましては、関係の局長から御答弁を申し上げます。
以上でございます。
◯子供未来局長(福田洋之)
私からは、子供たちに対する切れ目のない支援についてお答えいたします。
子供に対する支援は、妊娠期における区役所での母子健康手帳の交付から始まり、出産後の保健師等による新生児全戸訪問指導、医療機関等での乳幼児健診、保育所、幼稚園、そして学校と、子供の成長段階に応じて、各機関のかかわりの中で適切に行われる必要がございます。
本市におきましても、これらの各機関や地域の民生委員児童委員の連携などにより、生活面において厳しい状況にある子供の早期の把握と対応に当たってきたところであり、今後とも、このような枠組みを十分に生かしながら、切れ目のない支援に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
◯高見のり子議員
私は四点を伺ったつもりだったんですけれども、具体的に市長からは、子供の貧困対策を連携もしながら進めていくと、総合的に進めるという御答弁でございました。市は、ことし、貧困対策の一歩として、子どもの生活実態調査を8月から行う予定です。
それで、まず、このことについて伺いたいと思います。せっかくの調査ですから、子供の貧困の実態を把握できるものにしなければなりません。どのような調査の成果を目標としているのか伺いたいと思います。
◯子供未来局長(福田洋之)
今回の調査につきましては、本市における子供の生活や健康、学習の状況等の現状を把握し、分析することで、今後の貧困対策の検討に生かすことを目的に実施するものでございます。
◯二十二番(高見のり子)
今後の取り組みの上で大変大事な調査になると思います。子供の貧困の実態に迫る調査内容にすべきです。この中で行う市民アンケートは、子供のいる世帯から4500世帯を無作為抽出し、回収率を30%、1350世帯を想定しています。市の18歳以下の子供の数は、昨年10月で16万6208人といいますので、仙台の全体的な状況をつかむ上では、標本数は余りにも少な過ぎるのではないでしょうか、伺いたいと思います。
◯子供未来局長(福田洋之)
今回のアンケート調査では、子供の実態に関する基礎的なデータ収集を目的とした無作為抽出によります世帯への調査と、実際の貧困家庭の状況やニーズの把握を目的とした生活保護の受給世帯などへの調査の二種類を実施することとしております。統計学的な見地などからは十分な標本数であると考えております。
〇二十二番(高見のり子)
同時に、対象者アンケートとして、生活保護世帯、児童扶養手当受給者世帯と、中学生、高校生など、経済的支援制度や事業を利用している世帯の保護者と子供など、2000人にも行うとしております。このアンケートは、貧困状態にある子供や家庭の生活像、支援ニーズを把握するために行うとしております。そうであれば、例えば就学援助を受けている世帯や保育料の階層が低い世帯を加えるなど、対象を広げるべきですが、いかかでしょうか、伺います。
◯子供未来局長(福田洋之)
今回の貧困家庭の状況やニーズ把握のためのアンケート調査では、生活保護世帯や児童扶養手当受給世帯などの、特に生活が厳しく、より支援を必要としていると考えられる世帯を対象としてございまして、調査範囲としては妥当なものではないかと考えております。
◯二十二番(高見のり子)
全体の市民アンケートも、それからこの対象者アンケートも、やはり実態をつかむためにせっかくお金をかけてやる調査です。やっぱりきちんと把握をして今後の対策に生かしていくという、やはりそういう構えがちょっと問題ではないかというふうに思います。ふやすべきだと思います。 把握の対象を広げると同時に、子供の貧困対策に直ちに手だてをとらなければなりません。第一問で全庁的な連携をするとお答えでしたけれども、そのためには専門的な部署が必要です。東京都足立区では、未来へつなぐあだちプロジェクトという子どもの貧困対策実施計画を作成し、専管組織として子どもの貧困対策担当部を設置し、全庁的な取り組みの強化を図っています。それまで所管がばらばらだった取り組みを横断的、総合的に施策を推進する体制がつくられているということは、学ぶべきことだと思います。子供の貧困対策の全庁的な取り組みを進めるためにも、専門的かつ包括的に相応の権限を持った部署が必要ですが、いかがでしょうか、伺います。
◯子供未来局長(福田洋之)
子供の貧困に係る問題につきましては、今年度、まずは実態調査を着実に実施、分析をし、その結果を踏まえながら、今後の施策の展開、それに、これに応じた推進体制のあり方などについても検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
◯二十二番(高見のり子)
調査が終わって、まず分析してからというお話なんですけれども、子供の貧困対策ですね、最初に申し上げましたけれども、直ちにやれることはやっていくということが必要で、そのやれることの一つではないかというふうに思います。やる気が問われると思います。本気度が伝わりません。
次に、子供のリスクの早期発見、早期対策ですが、これが必要です。子供の療育環境などを妊娠中から把握することも大切です。母子手帳の申請時に保健師が面談し、パートナーの有無や就労状況、健康保険の加入状況などを聞き取り、ハイリスクの妊婦にはコーディネーターが家庭を訪問することなども必要です。妊娠期から出産後までの生活にかかわる個別プランを作成し、支援につなぐこと。支援の内容は、妊娠出産にかかわることのみならず、生活支援や就労支援も行うなど、総合的な母子への支援が必要ですが、いかがでしょうか、伺います。
◯子供未来局長(福田洋之)
本市では、母子健康手帳交付時の全員を対象とした面接でありますとか、出産後の新生児訪問などを通して、支援の必要な妊婦や養育に不安のある御家庭の早期把握に取り組んでおりますほか、ひとり親家庭相談支援センターや各区での子供家庭総合相談事業など、貧困リスクの高い家庭への就労、生活支援を行っているところでございます。
リスクの早期発見、早期対応は、子供の貧困対策を考える上でも重要なものと考えておりますので、今後とも、妊娠期からの切れ目のない支援の中で、適切に対応してまいりたいと存じます。
◯二十二番(高見のり子)
切れ目のない総合支援を行うためには、そのための体制が必要です。そういった仕事を担うには専門性が求められ、特に保健師の役割が重要です。現在、保健師は、各区家庭健康課に合計で77人配置されています。母子手帳の交付や子供の健康診査、妊産婦訪問指導や新生児指導など母子保健分野に加えて、DV、児童虐待、不登校などにも対応しています。日常業務をこなしながら、対象によっては夕方や夜間の訪問対応も求められています。気になる家庭がふえる中で、保健師が訪問したくてもままならない状況があります。子供を守る観点から、緊急に保健師の充実を求めます。いかがでしょうか、伺います。
◯子供未来局長(福田洋之)
本市では、これまでも業務の状況や事業の拡充などに応じまして、区役所等での母子支援を中心に担う保健師等の専門職の職員体制を整えてきたところでございますが、今後とも適切に対応してまいりたいと考えております。
◯二十二番(高見のり子)
管理的な仕事が多くて、正規の保健師がなかなか訪問できないとお聞きしています。今でさえ嘱託職員の力をかりて訪問しているのですから、保健師をふやすことが必要なはずです。現場の声を聞いていただきたいと思います。
ことしの保健師の採用は9人で、採用枠に対して5.6倍の応募がありました。前年は5人に対して7.8倍の応募がありました。市が採用枠を拡大すれば、人員確保はできることが明らかです。子供の貧困対策に取り組む決意があるのであれば、募集数を思い切って広げることを提案しますが、いかがでしょうか。
◯子供未来局長(福田洋之)
保健師の職員数につきましては、子育て支援など本市に求められる行政需要を踏まえながら、今後とも必要な数を適切に確保してまいりたいと考えております。
◯二十二番(高見のり子)
早期発見の入り口、大事な家庭健康課です。ぜひ保健師の増員をお願いします。 早期発見の入り口は家庭健康課だけではありません。学校も大事なんですね。学校における子供の貧困対策を何点か伺います。 まず、就学援助の問題です。文科省の2014年の調査では、全生徒に申請書を配布している自治体は425に上っています。東京都荒川区、足立区では、一年生の全世帯に案内書と意向確認書を渡して、全員から提出をしてもらっているそうです。仙台市でも、案内書と一緒に意向確認書を配布して、全員提出してもらって、申請しやすくすべきですが、いかがでしょうか、伺います。
◯教育長(大越裕光)
新入学児童生徒の就学援助の申請につきましては、入学前に行われる説明会及び4月の新学期開始時などに、各学校におきまして制度案内のチラシを配布しております。制度の周知を十分に行っているというところでございます。
また、年間を通じて随時申請の受け付けを行っておりまして、年度途中で家庭の経済状況が厳しくなった場合でも申請が可能となっておりますので、全員から回答をいただくということは今現在は考えておらないところでございます。
◯二十二番(高見のり子)
申請しやすくすることが大事なんだと思うんですね。 さらに、この就学援助の基準は390万円で、1997年以来、変わっていません。2015年は、申請しても利用できない方が437人でした。申し込んでも受けられない世帯がこんなにいて、さらに受けたいと思っても最初から諦めさせられているという世帯がもっといます。余りにも基準が低過ぎることが原因です。 2015年の政令市の基準額を見れば、相模原市が615万円、横浜市497万8000円、浜松市が495万7000円、広島市は494万8000円となっています。仙台市は20市中18位です。早急に基準額を引き上げるべきですが、いかがでしょうか。
◯教育長(大越裕光)
本市の就学援助認定基準は、生活保護費の最低生活費をもとに、スポーツ活動に要する経費など、就学に必要となる基本的な経費を積み上げて算定しております。この生活保護費は、現在の水準となりました平成九年度以降、同水準で推移してまいりましたが、平成25年度からは段階的に引き下げが行われているところでございます。こうした状況におきましても、本市の認定基準額は引き続き390万円を維持しているところでございますことから、基準の引き上げは考えておらないところでございます。
◯二十二番(高見のり子)
引き下げられていても仙台より高いわけですから、これは仙台は早急に引き上げるべきだと思います。放置してはならない問題です。
また、就学援助の対象費目となっていない制服代や体操着、眼鏡代、PTA会費、生徒会費、クラブ活動費なども対象として認めるべきです。制服と体操着だけでも、入学時に10万円を超える負担です。部活動も教育の一環といいながらお金がかかります。せっかく強化選手に選ばれても、遠征や大会に参加するにはお金がかかるために、ひとり親家庭の子供が辞退せざるを得なかったというお話も伺っています。こういった負担を減らすために、就学援助の対象費目を拡大することが必要ではないでしょうか、伺います。
◯教育長(大越裕光)
本市の就学援助における支給費目につきましては、要保護世帯に対する国の補助対象基準をもとに設定しておりますが、クラブ活動費等につきましては、対象とすべき費用の捉え方が困難なことから、まだ多くの政令市で支給項目としていないところでございます。その支給につきましては、今後も他都市の状況を踏まえながら、適切に判断してまいりたいと存じます。
◯二十二番(高見のり子)
教育は本当にお金がかかるんですよね。
支援を必要とする子供の中には、不登校や虐待、ネグレクトなど、問題を抱えている子供がいます。学校現場で福祉的支援をするスクールソーシャルワーカーの役割が大切になっています。次世代育成調査特別委員会で調査した福岡市では、2015年にソーシャルワーカーを24人に増員し、ことしはさらに一人ふやして25人で教育と福祉に両面から支援を行っています。政令市の中では、ほかに名古屋市が30人、京都市27人、さいたま市20人となっています。仙台市はスクールソーシャルワーカーが五人で、この間、増員はされてきましたが、まだまだ足りません。少なくとも中学校区一名を目指して、計画を持ってふやすべきです。今後の増員の考え方を伺います。
◯教育長(大越裕光)
スクールソーシャルワーカーにつきましては、その必要性は認識しているところでございます。平成26年度から配置を行い、特に不登校の児童生徒を抱える家庭の中で、福祉的な支援が必要なケースにおきまして、その専門的な助言や他機関との連絡調整などの対応を行っておるところでございます。 今年度は、その必要性に応じて、増員して現在5名となっているところでございまして、このような状況を踏まえ、今後も活動実績を見ながら適切に人員を配置してまいりたいと存じます。
◯二十二番(高見のり子)
どこに何人配置して、どんな役割を担ってもらうのかという計画をきちんと持つべきだと思います。急いで計画を持ってください。 子供の支援に手をこまねいていてはいけません。また、子供たちが高校や大学に進学し学ぶことは、子供一人一人の可能性を広げ、社会の発展のために重要なことです。しかし、お金のあるなしで、実際は進学を断念しなければならない子供たちがいます。先日、児童養護施設に伺ってきましたが、施設で暮らす子供たちは、高校も私立は選択肢に入れられず、まして大学進学はほとんど不可能だというお話でした。高過ぎる学費が進路の選択を狭めているのです。 全ての子供の学びを保障し、将来に希望を持てるようにするには、奨学金制度を見直す必要があります。子供の貧困対策に全庁挙げて取り組む必要があるというのであれば、教育局は、国任せにせず、市独自の給付型奨学金制度をつくるべきではないでしょうか、伺います。
〇教育長(大越裕光)
奨学金制度のあり方につきましては、政府が今月2日に閣議決定したニッポン一億総活躍プランにおきまして、給付型奨学金制度の創設に向けた検討や、所得連動返還型奨学金制度の導入等につきましては盛り込まれたところでございます。本市といたしましては、こうした国の動向を注視しつつ、現行のさまざまな奨学金制度の活用を勧めてまいりたいと存じます。
◯二十二番(高見のり子)
自治体の役割はきちんとあるんだと思います。返還不要、給付型奨学金制度をぜひ仙台でもつくるべきだと思います。
切れ目のない支援は、成人した後も、社会で自立して暮らせるまで必要です。養護施設や児童自立支援施設を退所後の支援をするアフターケア事業の充実が求められています。児童は、退所後も、住居、家庭生活上の問題や、仕事と生活の両立に関する問題など、多くの課題を抱えています。国もこの必要性を認め、子供の貧困対策の支援メニューに入れました。市は委託事業者を募集してアフターケア事業を取り組むとしていますが、あくまでも実施主体は仙台市です。それぞれ複雑な問題を抱える子供たちの必要な支援が途切れないよう、十分に配慮すべきです。二十歳になったからといって支援が終わるというようなことではなく、市は委託事業者任せにせず、施設などと連携をとりながら、自立を果たすまで支援を続けるべきですが、いかがでしょうか。
◯子供未来局長(福田洋之)
各児童養護施設等におきましては、これまでも退所者に対する相談、支援等を実施していただいているところではございますが、本市といたしましても、今年度、入所中の就業支援のほか、退所者間の交流の促進や離職者への再就職の支援など、アフターケアに関する事業を施設等と連携して実施することとしております。この事業を行う中で、退所後、社会的自立を目指し、引き続き支援を求めている方々に対して、継続的に支援を行ってまいりたいというふうに考えております。
◯二十二番(高見のり子)
子供たちを切れ目のない支援で支えながら、その地域で支えるということも大事です。子供を育む地域の力、これが必要です。今、子供の貧困に地域の方たちも心を痛めて、何かできることはないかと模索しています。仙台でも、こども食堂が各地に誕生しています。学習支援の延長であったり、児童クラブの中であったり、さらにフードバンクを活用して地域の団体が主体になってなど、その形態や回数などさまざまに取り組まれています。地域のこうした自主的な活動に対して、市は積極的に支援をすべきです。
荒川区では、さまざまな支援を必要とする子供に対して食事の提供や学習支援、団らんの場を提供している民間団体の事業に、子供一人一回参加ごとに2000円を補助しております。例えば、仙台では、こども食堂を取り組む準備をしている団体が試算したところ、市民センターの調理室と会議室を借りるのに一回4200円の試算だったそうであります。こういった仙台での取り組みに、子供の居場所をつくる活動に、財政支援、場所の提供、ネットワークの構築、子供への周知など、行政としての役割を果たすべきですが、いかがでしょうか、伺います。
〇子供未来局長(福田洋之)
本市では、子どもの貧困対策の一つとして、平成25年度から、生活保護世帯や児童扶養手当金額受給世帯の中学生を対象として、学習、生活サポート事業を実施してきております。学習支援のみならず、子供が安心して通える居場所としての機能も果たしてきているものと考えております。今後とも、このような事業を継続して実施しながら、子供の貧困対策に取り組んでまいりたいと考えております。
◯二十二番(高見のり子)
学習支援サポート事業が全てではないと思います。もっともっと地域の皆さんのこういった取り組みを支援すべきだということを質問しましたので、もう一度お願いします。
◯子供未来局長(福田洋之)
現在、先ほどお答えいたしましたように、学習、生活サポート事業を実施してございます。この場は、学習支援はもちろんですけれども、学習支援のみならず、子供たちが安心して通える居場所として、いろんなスタッフの方々が相談に乗ったり、そういった機能も果たされているというふうに考えております。まずはこういった現在行っております事業を継続的に行いながら、居場所としての機能も果たしていただけるように取り組んでまいりたいというふうに考えております。
◯二十二番(高見のり子)
私は、これまでの答弁で、市のやる気がなかなか感じられません。ですから、局の中にやっぱり総合的にきちんと権限を持った、そういった部局をつくるべきだというふうに、部をつくるべきだと申し上げたんですけれども、市長はどのようにお考えになるんでしょうか、伺います。
◯市長(奥山恵美子)
子供の貧困対策の諸施策につきましては、ただいま質疑の中で御指摘をいただきましたとおり、広範な部局に関連することだというふうに思っております。それらを踏まえながら、私としても、今回の調査をまずしっかりと行い、それによってニーズを把握するとともに、やはり組織の設置というものは、行政としての事務総量の問題もございますので、そういった実態を踏まえた上で、今後、施策の充実の必要に応じて組織のあり方についても検討してまいりたいと存じます。
〇二十二番(高見のり子)
児童福祉法の第一条「すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるように努めなければならない。」、第二条「国及び地方公共団体は、児童の保護者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う。」と記しております。未来を担う全ての子供たちが希望を持って生きられるような社会をつくること、政治の責任です。子供の貧困対策に全力で取り組むことを求めまして、質問を終わります。(拍手)