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一般質問 ふなやま由美議員 (9月15日)

【概要】介護保険を後退させてはならない

 (「要支援1、2」の9300人が給付外に。      

   現行サービスは、絶対に維持を。安倍政権の介護大改悪を許さない)

 

◯ふなやま由美議員

日本共産党仙台市議団のふなやま由美です。安心の介護保険制度と福祉の充実について一般質問いたします。
介護保険制度は、介護を家族任せでなく社会全体で支えるとうたい、2000年にスタートしました。しかし、制度開始から16年たった今、安心の介護保障どころか安倍自公政権による、たび重なる制度改悪によって、市民には大幅な負担増と給付削減が押しつけられています。介護を提供する事業者や働く人たちには、報酬削減で経営が成り立たないと悲鳴が上がっています。
昨年の改定で、合計所得160万円以上の人の利用料は、2割に引き上げられました。特別養護老人ホームの入所を原則要介護3以上に制限し、食事、部屋代に対する軽減制度を厳しくしました。
これまで軽減制度は、入所している本人の所得で認められていたものが、世帯が非課税でないと認められなくなりました。そのことで次のような相談が寄せられています。難病の妻は、要介護5で施設に入所しているが、軽減制度が対象外となり、月に17万円かかるようになった。妻の障害者年金8万円だけでは賄えない。自分の収入も少なく、もうやっていけない。離婚するしか解決の方策が見えない、という苦悩です。
安倍自公政権は、さらなる大改悪案を2017年の通常国会に提出するとしています。その内容は、要介護1、2の通所介護や訪問介護の生活援助、福祉用具レンタルを保険給付から外すことや、74歳までの方々の利用料を2割にすることなど、一層の給付抑制、負担増です。情け容赦なく高過ぎる保険料を年金から天引きし、いざ介護サービスを受けようと思っても受けられない、こんなひどい制度はありません。
介護保険の生みの親とも言われる元厚生労働省老健局長の堤修三氏でさえ、保険料を納めた人には平等に給付を行うのが保険制度の大前提だが、給付抑制路線ではこの前提が崩れつつあるとし、団塊世代にとって介護保険は国家的詐欺になりつつあるように思えてならないと言っています。
市長は、こうした一連の制度改定をどのように認識されているのでしょうか。介護保険の改悪をやめて、安心の介護保障を国の責任で実施するよう、強く働きかけるべきです。御所見を伺います。

介護保険制度は、サービス利用がふえれば直ちに保険料の負担増にはね返るという根本矛盾を抱えています。総費用の半分は保険料で支える制度設計になっているためで、保険料の高騰を抑えるためには国の負担割合を大幅に引き上げることが必要です。ところが、政府は、財源確保のため保険料を納める対象を40歳未満まで拡大する検討までしています。若年層の生活実態を無視した、余りにも乱暴な負担増議論です。
財源を生み出すのであれば、富裕層や高額所得者への優遇税制、大企業の法人税の減税分の見直し、不要不急の公共事業やオスプレイやF35ステルス戦闘機など、軍備拡大に当てる防衛費予算を見直して、社会保障を国の責任で行うべきです。保険料、利用料の高騰を抑えながら、制度の充実を図るために、介護保険への公費負担の割合を大幅にふやすことを国に求めるべきです。お答えください。

要支援1、2の方々の訪問介護及び通所介護が、市町村が実施する介護予防・日常生活支援総合事業、いわゆる新しい総合事業に変わります。本市でこの事業の対象となる方は約9300名で、サービス利用者数の25%の方が移行の対象となります。来年4月実施に向けて、現在、事業の基準や報酬案についてパブリックコメントを行っています。市が示した基準や報酬案を見ると、訪問介護及び通所介護について、それぞれ現行の介護相当のサービスは残すものの、緩和した基準によるサービスと短期集中型サービスを位置づけ、合計で六類型になっています。
先行する自治体の事例からも、緩和型サービスの問題点が指摘されています。例えば、三重県桑名市では、通所型サービスは宅老所、サロンなどの住民主体のボランティアに移行し、地区の社会福祉協議会に運営費を補助していますが、利用者負担は実費で一回3500円の負担となります。サービスは月に一回から二回で、2時間以内を提供するのが精いっぱいです。ある要支援2の女性は、住民主体のサロンを紹介され、入浴も送迎サービスもなく、結局自宅に引きこもったままになってしまったという事例が報道されています。
市が今回提案する緩和型サービスは事業者主体となるものですが、今後、町内会やNPO、ボランティアなどにより、要支援者の援助を行う緩和型サービスについて検討していくとしています。そもそも住民やボランティアに公的介護の肩がわりをさせる緩和型サービスは、実施すべきではありません。いかがでしょうか、伺います。

事業者が主体となる緩和した基準によるサービスにも、大きな問題があります。市は、訪問介護の人員基準について、生活援助のみを提供する場合には、一定の研修を修了した者とし、無資格者でもいいとしています。また、事業者の報酬は現行サービスの8割程度とし、2割も引き下げ、通所介護でも8割程度に引き下げる内容です。訪問介護サービスを提供する事業者からは、利用者に安心のサービスを提供し、必死に頑張っている。無資格者でもいいなどと緩和するのは、専門職を冒涜しているという声が寄せられています。生活援助をシルバー人材センターの派遣で行っている自治体もありますが、責任の所在が曖昧、最低賃金以下で働かされる、認知症などの高齢者の身体や精神の状況を日々つかんでの支援ができない、などの問題点も出されています。
生活援助は単なる家事援助ではなく、支援の必要な方の身体と生活状況を把握し、より機能を高めるための専門的な仕事です。市の提案は、こうした役割を認識せず、軽く見ているとしか思えません。基準緩和型を導入せずに、現在の介護サービスと同等のサービスで支援を継続させている自治体もあります。岡山県倉敷市では、現行相当サービスのみで実施し、単価も内容もこれまでと同じにしています。横浜市も、ことし訪問、通所ともに現行相当サービスのみで移行し、緩和した基準によるサービスは当面設定しないとしています。
市は、緩和した基準のサービスは行わず、現行相当サービスを提供することを基本にして実施することを求めますが、いかがでしょうか、お答えください。

現在の介護認定は、訪問調査員による調査や医師の意見書をもとに、身体機能や疾病、生活の状態を反映させた判定となりますが、総合事業の入り口では要介護認定を行わず、豊齢力チェックリストで判断するものとされています。区役所や地域包括支援センターに介護の相談に行った高齢者に対して、窓口担当者が介護認定が必要なのか、チェックリストを導入するのかを振り分けることになりますが、その判断は専門職でなくてもいいとされています。
市は、要介護申請を希望する方や明らかに申請を必要と判断される場合は、これまで同様に行うと言いますが、それも担当者の判断任せになってしまい曖昧です。支援の必要な方が、わずか25項目だけの簡単な豊齢力チェックリストだけで判断され、要介護認定の申請を受けられなければ、認知症の初期症状が見逃され、重度化を招くことも懸念されます。必要な方がサービスを使えなくする水際作戦とならぬよう、専門家による要介護認定を引き続き行うべきです。いかがでしょうか、伺います。

次に、事業費の問題です。
国は、事業費の伸び率は、後期高齢者数の伸び率以下しか認めないとしています。本市の場合、2013年度から2016年度の75歳以上高齢者の伸び率は3%です。2016年度から2017年度の保険給付費の伸び率は7%と推計していますから、4%分の財源が不足することになります。国の特例により、10%を上乗せする措置がとられますから、新総合事業がスタートする来年の事業費は賄えると市は想定しています。
しかし、一〇%の特例措置は初年度だけです。移行当初は特例の財源措置で事業運営できても、その後はより費用の安い緩和基準のサービスや安上がりな住民主体のサービスへと、利用者を移行させることになってしまうのではないでしょうか。必要な事業費は、実態に見合うものとするよう国に求めると同時に、市も必要な財源措置を行い、サービス抑制とならない運用を求めますが、いかがでしょうか、お答えください。

そもそも新しい総合事業は、地域包括ケアシステムを構築するためのものだと、政府も仙台市も実施の趣旨で説明しています。高齢者が住みなれた地域で安心して暮らし続けるために、介護や医療、住まいや生活支援を包括的に提供すること自体は、否定するものではありません。しかし問題なのは、団塊の世代が後期高齢者となる2025年に向け、いかに給付を減らし費用を抑えるかなど、財政削減を目的化していることです。
国の社会保障費抑制のため、医療や介護サービスの対象を限定し、病院や介護施設をできる限り使わせず、提供するサービスを安上がりなものに置きかえていくやり方では、介護をめぐる危機的状況は解決されず、逆に矛盾が深まるだけです。2025年の高齢化のピークに備えるというなら、医療、介護、高齢者福祉は抜本的拡充こそ必要です。
求められる地域包括ケアは、安心の介護、医療の提供を受けながら、本人の自己決定に基づいて、地域での暮らしを継続できるよう支援するものでなければなりません。必要な方々に専門的サービスの利用を保障することを土台にして、その上に多様なサービスを必要に応じて提供できるような基盤が整ってこそ、実現できるものです。住民同士で支え合え、助け合えと上から押しつけるものではなく、住民の自主性や創意工夫を尊重しながら、自治体としての援助を抜本的に充実させることが必要です。市の地域包括ケアの考え方について御所見を伺います。

現在、市内各地では、映画会やお茶っこ会、体操教室などのサロン活動や、民生委員などが中心となり、高齢者見守り相談所を設置し、高齢者が気軽に相談できる関係をつくるなどの取り組みが始まっています。こうした各種サロンや見守り支援などの積極的な取り組みが、全ての地域で豊かに行えるようにすべきです。市が運営に関する助成制度も新たにつくって、活動を支援すべきです。いかがでしょうか、お答えください。

高齢者の3人から4人に1人は、認知症や軽度認知障害があると言われています。また、認知症が原因で行方がわからなくなったという警察への届け出が、年間1万人を超え、見つかるまで2年以上を要するケースがあるなど、総合的な対策が求められています。市は、国の新オレンジプランに基づいた認知症対策推進計画を立て、早期発見、早期診断を行う医療の充実や、認知症カフェなどに取り組んでいますが、本人と家族支援はもとより、関係機関が連携し、総合的に取り組む必要があります。
また、市民の中で認知症とはどのような病気なのか、どのような支援が必要なのか、理解を深める教育活動がとても大切です。市はサポーターの育成や各種研修会を開催していますが、さらに地域の中での活動を発展させる必要があります。
福岡県大牟田市では、安心して徘回できるまちをスローガンに掲げ、地域で認知症の方を支える取り組みを行っています。認知症の方が行方不明になってしまったことを想定して、警察、消防、町内会、地域包括支援センターなどが連携した模擬訓練が定期的に行われています。北名古屋市では、懐かしい生活用具や写真、歌などで、昔を思い出し、体験を語り合う回想法を取り入れた認知症支援を行い、効果を上げています。
全国のすぐれた取り組みに学びながら、仙台市の認知症対策と地域包括ケアを一体的に捉えた地域丸ごとの高齢者福祉の視点を生かし、取り組みを発展させるべきですが、いかがでしょう、伺います。

本来、高齢者福祉は自治体が担うべき仕事であり、地域包括支援センターに丸投げすべきではありません。地域包括支援センターでは、現場に負担が押しつけられ、矛盾を抱えています。支援の必要な高齢者の相談支援に丸一日費やすこともあり、疲労感だけが残る、新総合事業の成功の鍵は地域包括支援センターにあると強調されても、今の人員体制でこれ以上の業務展開などとてもできない、退職者が後を絶たず人材育成が課題、という現場の声を伺っています。
市みずからが役割を発揮し、圏域ごとに介護や医療、福祉を必要とする住民の要求を酌み取って、制度利用につなぐことのできる体制とすべきです。各区の保健福祉センターの保健師を思い切って増員し、直接地域包括支援センターと連携し、問題解決に当たる役割を果たすべきと考えますが、いかがでしょうか、お答えください。

最後に、福祉施設における防犯や防災対策について伺います。
神奈川県相模原市の障害者施設を襲った戦後最悪の凄惨な殺害事件に、表現する言葉を失うほど憤りと悲しみでいっぱいです。障害者は不幸、社会に役立たないから殺したなどと証言した容疑者に、多くの障害を持つ方々や家族、支援する方々が深い心の傷を負い、今も癒えることはありません。存在しなくてもいい人間など、一人もいません。差別をなくし、ひとしく生きる権利を保障されるべきです。また、障害者施設では、地域交流を大事にしようと積極的な取り組みが行われていますが、こうした活動が制限されることのないよう支援が必要です。
今回の事件は、人員体制が少なくなる夜間帯を狙っての犯行です。市はこの事件を受け、市内の福祉施設に安全管理の徹底と防犯対策の教育を行ったと伺っています。事業者の努力任せにせず、警備員や防犯システムなどの設置、増員のための予算を急いでつけて、具体的な対策を行うべきです。いかがでしょうか、伺います。

台風10号による大雨で、甚大な被害が起き、岩手県岩泉町では川が氾濫し、グループホームが濁流にのまれ、高齢者9名がお亡くなりになりました。自力で避難することが困難な方々をどう救うのかが、大きく問われています。町が避難勧告の発令基準に当たる水位に達したことを把握しながら、避難勧告や避難指示を出さなかったことや、施設が避難準備情報の意味を理解しておらず、避難をさせる判断がおくれたことなど、問題点が指摘されています。これは本市でも起こり得ることです。
水害や土砂災害に対する対策が必要な施設は、高齢者施設で184カ所、障害者施設で65カ所あります。認知症や精神症状が重い方々は、誘導にも時間がかかります。車椅子やストレッチャーを必要とする方を避難させるためには、夜間帯など少ない人員体制ではとても無理です。施設ごとの災害対応マニュアルの再点検と、避難時に誰が駆けつけ支援するのかを明確にしておくことが必要です。
市は、災害への備えを事業者任せにせず、健康福祉局、消防局、危機管理部門が連携し、高齢者や障害者の福祉施設等における災害時の対応を強めるべきです。お答えください。

高齢者や障害のある方を支援する施設の報酬や人員配置基準が余りにも低く、脆弱な基盤を凶悪犯罪や災害が襲いかかりました。現場で働く人たちの労働条件や配置基準、施設への報酬を抜本的に改善していかなければなりません。一人一人の命と尊厳が守られる社会保障の充実のために、国も市も責任を果たすべきです。強く求め、私の第一問といたします。
御清聴まことにありがとうございました。(拍手)

 

◯市長(奥山恵美子)

ただいまのふなやま由美議員の御質問にお答えを申し上げます。

介護保険の制度改正に係るお尋ねにお答えをいたします。
平成12年にスタートいたしました介護保険制度は、高齢者の介護を社会全体で支える仕組みとして定着をしてまいりました。この間、急速な少子高齢化の進展とともに、地域のありようなどが大きく変化をする中においても、この制度が将来にわたって安定的かつ持続可能なものとなるよう、3年の事業計画期間ごとに見直しがなされており、平成27年の改正もこの考えに沿って行われたものと認識をいたしております。
団塊の世代の方々が75歳以上となり、国民の5人に1人の割合に達する、いわゆる2025年問題への対応に向け、現在、国において次期制度改正に向けての検討が進められており、その中でサービス内容や負担のあり方などについて幅広く議論がなされていると承知をしております。
保険者であります私どもといたしましては、制度改正が被保険者の方々の生活に与える影響を考慮し、被保険者や保険者の理解を得ながら進めていくよう、実際の現場の状況をお示しをしながら、他都市とも連携し、国に要望してまいる所存でございます。
そのほかの御質問につきましては、健康福祉局長から御答弁を申し上げます。
以上でございます。

 

◯健康福祉局長(佐々木洋)

私からは、初めに介護保険に係る国の負担割合増加に向けた取り組みについてお答えいたします。
介護保険運営に係る財政負担につきましては、これまでも各自治体のそれぞれの実態を考慮しつつ、将来にわたり自治体の財政負担や被保険者の保険料負担が過重とならないよう、国負担割合の引き上げを他都市とともに連携し、要望してきているところでございます。
次期制度改正に当たりましては、低所得者層を中心に保険料や利用料の負担感が増してきている現状等を踏まえ、引き続き国への要望を行ってまいります。

次に、新しい総合事業に関し、初めに住民主体のサービスについてお答えいたします。
新しい総合事業では、サービス事業者が提供する既存のサービス等に加え、地域住民を初めとした多様な主体による、きめ細かなサービスの提供が可能となります。利用者にとっては、サービスの選択の幅が広がること、高齢者を初め地域の方々にとりましては、そうしたサービスの担い手となることが生きがいづくり、介護予防にもつながる効果が期待されるものでございます。
住民主体のサービスの実施に当たりましては、担い手の主体的な活動が基本となるものであり、それぞれの地域の実情も踏まえながら、さらに検討を深めてまいりたいと考えております。

次に、新しい総合事業で提供するサービスについてお答えいたします。
今回の総合事業への移行では、現行相当のサービスに加え、緩和した基準によるサービスを追加することとしています。いずれのサービスを御利用いただくかは、ケアマネジメントに基づき、本人の意向により決定される仕組みであり、利用者の選択の幅が広がるものと考えております。
緩和した基準によるサービスに従事する従業者に対しては、本市がカリキュラムを作成する研修受講を義務づけし、研修修了後は提供する事業所への指導を通じて、サービスの質の確保に取り組んでまいりたいと考えております。

次に、サービス事業対象者の認定についてでございます。
新しい総合事業のサービス利用につきましては、これまでの要支援認定に加え、区役所、地域包括支援センターの職員が行う豊齢力チェックリストにより、心身の機能を確認し、支援が必要と判断される場合には利用することができることとなります。
現在、チェックリストの実施に向けてのマニュアル等の整備を進めているところでございまして、また実際にサービスを御利用いただく際には、地域包括支援センターの保健師等の専門職が、御本人の心身の状態や生活状況等に応じて、適切なサービスが包括的かつ効率的に提供されるよう、介護予防マネジメントを行うこととしております。引き続き新しい総合事業への円滑な移行に向け、取り組みを進めてまいりたいと存じます。

次に、財源措置についてでございます。
総合事業の実施に当たっては、これまでも市長会等を通じて、実施自治体の財政状況等に応じて事業の実施に格差が生ずることのないよう、国において必要となる財政措置が講じられるよう要望を重ねてきております。来年4月の新しい総合事業への移行後につきましても、その実施状況を確認しながら、他の自治体とも連携し、国に対する働きかけを続けてまいります。

次に、地域包括ケアシステム及び住民の活動支援についてお答えいたします。
地域包括ケアシステムの構築に向けては、それぞれの地域において医療や介護のサービスはもとより、さまざまな主体が介護予防や日常生活の支援を提供できるよう、効果的に連携する仕組みづくりが重要でございます。現在、地域包括支援センターに増員した専任職員を中心に、地域資源の発掘、地域課題の分析、またその課題について町内会や民生委員など、関係機関との共有に取り組んでおります。
専任職員の活動により、地域に支え合いの機運が高まり、サロン活動などが始まった事例もございます。地域の方々の主体的な活動が今後さらに加速するよう、これまでの取り組みの充実に努めるとともに、モデル事業を実施するなど、引き続き力を入れてまいりたいと存じます。

次に、認知症対策についてでございます。
認知症の方や御家族が、住みなれた地域で安心して暮らしていくためには、地域の皆様の御協力が欠かせないものと認識し、認知症についての正しい理解の普及やサポーター養成などに取り組んできたところでございます。
さらに、早期対応につながるよう、専門職がチームを組んで適切な支援を行うことや、症状の段階等に応じた窓口やサービス内容などを示した認知症ケアパスの作成にも力を注いでまいりました。
今後とも、誰もが生涯を通じて生き生きと生活できるよう、他都市の先進的な取り組みなども参考にしつつ、関係機関とも連携しながら、本市の介護予防や認知症対策の充実を図ってまいりたいと考えております。

次に、高齢者福祉に係る市の役割についてでございます。
急速に少子高齢化が進む中、高齢者が住みなれた地域で安心して暮らし続けるためには、それぞれの地域での支援体制づくりが求められており、専門性が高く、きめ細かに対応できる地域包括支援センターもその一翼を担っております。
本市では、センターがそうした役割を果たせるよう、これまでも委託料の増額のほか、担当圏域の見直しやセンターの増設を行ってまいりました。さらに、今年度より全50ヵ所を増員体制としたほか、専門性の向上などに資するさまざまな研修を行うなど、支援を行っているところでございます。
住民福祉の向上は、もとより市の責任において行うべきものであり、行政と地域包括支援センターとの適切な役割分担のもと、その機能の充実や支援のあり方について、引き続き検討を行うとともに、さらなる連携強化を図ってまいります。

次に、福祉施設における防犯体制に関する御質問にお答えいたします。
相模原市の事件を受けての本市の対応ですが、事件の重大性に鑑み、緊急に施設の防犯体制の徹底を各事業者にお願いするとともに、施設関係者を集めまして、施設の防犯対応力を高めるための情報提供や意見交換を行うなど、入所者の安全確保に向けた取り組みを進めてまいりました。
また、本市も加盟しております21大都市心身障害者福祉主管課長会議として、国に対して防犯に関する指針の提示や、自治体に対する補助について、今週12日に緊急要望を行ったところでございます。本市としては、国における事件の検証及び再発防止策検討チームの議論、今後の予算措置を踏まえて、防犯カメラの設置や通報設備の整備のほか、施設への侵入者を想定した訓練の実施など、施設の実情も伺いながら福祉施設の安全確保に向けた取り組みを進めてまいります。

最後に、浸水、土砂災害等に係る高齢者施設等における対応に関する御質問にお答えします。
今般の岩手県岩泉町の災害を受け、改めて各施設における非常災害時の体制整備について、文書により確認を行うこととしております。その上で、施設の立地状況に応じた安全の確保等といった視点を取り入れた、より具体的な指導について、関係部局と連携して対応してまいる所存です。
以上でございます。

 

 

──再質問──

◯ふなやま由美議員

再質問をさせていただきます。

まず1点目は、来年から行われる新しい総合事業に関してです。 要支援1、2の方々の通所介護や訪問介護の基準を緩和する内容が今提案されているところですけれども、この点について、現行サービスを基本にすべきと私は第一問で伺ったところ、今の局長答弁では、きめ細かいサービスが行われて、利用者の選択肢、選択の幅が広がるというふうに緩和型サービスについて捉える答弁をなされています。既に行われている自治体で起こっている問題点を見れば、逆に選択肢が広がるどころか、選択すらできない状況に市民が陥っている。必要な介護を受けられない事態になっているということが問題になっています。 さらに、今、市民の皆さんからもこの新制度について不安の声が寄せられています。要支援1で、現在デイサービスに週一回通っている方ですけれども、施設から、来年から全額自己負担になるかもしれないと言われたそうです。体操やゲームやおしゃべりや、生きがいになっているこの支援が、もう通えなくなるのではないかという心配の声が出されていました。 新総合事業で仙台市がはっきりと、今のサービスは引き続き行いますよということで、必要な介護を引き剥がすものではないという運用をきちんと行って、進めていくべきだというふうに思います。これが一点目です。

それから、2点目ですけれども、求められる地域包括ケアのあり方について質問させていただきました。 基盤にあるのは、やはり介護保険制度がしっかりと確立している、その上に立ってNPOや市民やボランティアなど、さまざまな主体が積極的な展開がされていくということが大事です。 具体的に私は、こうした地域での健康支援活動の運営に関する助成制度をつくるべきではないかと求めたんですけれども、残念ながら、この助成制度についてのお答えがなかったと思いますので、この点についてお答えをいただきたいと思います。認知症を抱える高齢者も増加する中で、財政措置も行いながら、市長が積極的に地域丸ごとの取り組みを進めていくべきだと思いますので、お答えください。

それから、3点目です。安倍政権の介護保険制度改悪をこのまま突き進んだら、本当に大変なことになると思います。第一の問いに対して、来年から移行されるのは要支援1、2の方ですが、今後は要介護1、2の方まで介護保険給付の対象から外してしまうという検討がなされています。 市長の答弁は、国において幅広く議論されるものであると。理解を得ながら進めるよう、国にも意見を述べていくというお答えでしたけれども、何か傍観者のような発言のように聞こえました。来年からの要支援サービスが自治体ごとに事業に切り離されますし、さらに今後要介護1、2の方の、具体的に言いますと、生活援助や福祉用具貸与や住宅改修が、原則自己負担になるという中身なんですね。例えばヘルパー利用、1回今250円でヘルパーさんに来ていただいているところが2500円、車椅子レンタルを利用すると1回700円、月に700円で利用しているところが月に7000円、これ10倍になるわけですから、全く保険の意味をなさないものだというふうに思います。 国民の社会保障を充実させる責務を完全に投げ捨てるという、こうした国のやり方については、やはりはっきりと市民生活を守る立場で、国に対して発言し、市長は行動すべきだというふうに思います。この点について再度お答えをいただきたいと思います。

 

◯市長(奥山恵美子)

現在、進められております来年以降の介護保険制度の改正に係る私ども地方自治体としての対応についての再度のお尋ねでございます。
先ほども御答弁申し上げましたが、ただいま国において来年度以降の制度について、さまざまな観点からこれを議論を深めている段階であると認識をしております。その中には、今後の自己負担のあり方なども課題の一つとして入っているわけでございまして、この間、私といたしましては、制度の長期的な運営の安定の保障ということ、また御利用される方々にとっての生活実態に即した介護保険の運営になるように、この二つの視点から必要な点について国に、さまざまな機会を通して意見を申し上げてきたということでございまして、このたびの審議の過程におきましても私の視点はこれと同様でございまして、必要な意見についてははっきりと申し述べていきたいと、このように考えております。

 

◯健康福祉局長(佐々木洋)

再質問に関しまして2件お答えいたします。

まず、要支援1、2の方に対する緩和したサービスについてでございますが、先ほど御答弁申し上げましたとおり、今回の総合事業への移行に当たってのメニューでございますが、現行のサービスに加えて緩和型のサービスも加えるというものでございまして、何ら現行のサービスを排除するものではございません。
今後、利用者等への周知を丁寧に行いながら、来年4月の移行に向けた取り組みを進めてまいりたいと存じます。

2点目の地域包括ケアの関係でございますが、地域包括ケアの推進のためには、介護、医療、福祉の各分野の関係者による緊密な連携が求められているところでございます。また、住民に身近な分野でございますが、地域の団体、住民を主体とする活動、生活支援ですとかサロン活動、こういったものは地域での支え合い体制づくりとして、大変重要であると認識してございます。
先ほど申し上げましたとおり、モデル事業などを行い、さらにその検証を進めながら、地域の方々の主体的な活動がさらに加速されますよう、支援のあり方を含め検討してまいりたいと存じます。
以上でございます。

 

 

──再々質問──

◯ふなやま由美議員

再度再質問させていただきたいと思うんですが、市長にお伺いしたいと思うんですが、今局長が、まず新総合事業、来年4月からの事業について御説明をいただいたんですけれども、現行サービスと、それから緩和型サービスと二つ提案をしていますので、現行サービスとは何ら変わらないですよという説明をしていくというお話がありました。これ本質的には違うんですね。倉敷市などで行われているのは、そもそも緩和型サービスを市が提案する新総合事業の案には含めていないと。現行相当サービスのプランでいきますよということを提案しているわけです。市として、今の要支援1、2の方々の新総合事業の提案の仕方としては、やはり現行相当サービスをきちんと柱に据えていくというふうにしていくことが明確だと思います。そのことを第1問でも第2問でも求めていますので、介護が必要な方々がサービスを受けられないという事態をつくってはなりませんので、その点、これがもう一度お答えいただきたい点です。

それから、もう一つ目の点ですけれども、国の介護保険制度改定の内容について、国においていろいろな議論がなされていると。その途中経緯の段階で、自治体の首長がしっかりと、このままこのことが進んでしまったら自分のまちの市民にはどういう影響が及ぶんだろうかということを、しっかり考えていただいて発言もしていただきたいと思うんですね。既に第1問で言ったように、当時介護保険をつくった生みの親と言われる元厚労省の方でさえ、国家的詐欺でないかというような指摘をされているんですが、私は本当にサービスを受けたい人が受けられなくなるような、しかも保険料は天引きをされると、国家的詐欺そのものではないかというふうに強く思うわけです。そういう意味からも、国に対しては市長はものを言っていただきたいですし、実際に市民サービスを行う点においても、財政支援も行いながら構築していく必要があると思うんです。
先ほども健康支援活動への運営に関する助成制度については何もお答えになっておりませんので、この点についてもしっかりと市長が、この高齢者を支える健康なまちにしていくんだという強い信念を持って、財政措置も行いながら取り組んでいくべきだと思います。再度お答えをいただきたいと思います。

 

◯市長(奥山恵美子)

重ねてのお尋ねにお答えを申し上げます。
まず、制度の改正に係る動向についてでございますけれども、この件に関しましては、先ほども申し上げましたところでありますが、国において審議の途上でございます。さまざまな御議論があることも十分承知をしておりますし、またそれらが市民の皆様の今後の介護保険制度の利用に当たって、大きな影響を与える要素もあるということも承知をしてございます。
私として必要な情報を適時得ながら、必要な場合にはしっかりと意見を申し述べていくということを申し上げたことでございまして、私としてさまざまな動きが、国家的詐欺という表現が妥当かどうかについては、やや異なる見解を持っているところでございます。

それから続きまして、新総合計画における緩和型サービスの導入の可否ということでございますけれども、新総合事業につきましては、御承知のとおり既存の事業のままにおいても、これを新総合事業としてスタートしたというふうに言うことも可能でございます。御例示の市がどのようなお考えなのか、今後とも未来永劫緩和型サービスには取り組まないというお考えのもとに述べられたのか、残念ながら私そこまで把握をしていないところでございますが、本市におきましては、新総合事業における新しいサービスの形態が可能になったということでありますので、私どもとして新しい形態の緩和型サービスも御選択いただけるような基盤を整えた上で、この新総合事業をスタートしたいということで、今回の運びとなったものでございますので、その運用に当たっては、なお広く市民の皆様にも御理解を賜れるように、努めてまいりたいと存ずるところでございます。
そしてまた、求められる地域包括ケアへの地域の皆様の活動に対する支援ということでございますが、この件は先ほど局長から申し上げましたとおり、ただいまモデル事業等を行いまして、どのような活動が展開され得るか、そこにおける課題などについて検証させていただいているところでございます。その検証を踏まえまして、よりよい本市としての地域包括ケアの活動が、地域の方々とともに取り組めるよう、支援のあり方についても考えていくと、そのような気持ちでございます。

 

 
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