【概要】普通教室へのエアコン設置を急げ。
(教室は真夏、40℃にも。
就学援助の拡充を。少人数学級に踏み出す時)
◯すげの直子議員
日本共産党仙台市議団のすげの直子です。子供たちが豊かに学べる環境を求めて、早急に取り組むべき課題に絞り、一般質問いたします。
ことしも、9月になってからも30℃を超える日が続きました。夏休みが明けた学校では、先生方が朝7時過ぎには校舎内の全ての窓をあけ、扇風機をつけて回り、子供たちが少しでも快適に登校できるようにとの努力がされていました。
9月1日に青葉区内の中学生代表が弁論を行う少年の主張大会があり、私もスタッフの一人として、会場となる中学校で一日過ごしました。教室の中も体育館も、窓を全開にし扇風機を何台回しても、蒸し暑さは全く解消されません。私と一緒に係をした生徒さんは、私の席は窓も近くにないからもっと暑いんですと教えてくれました。
これまでも、学校の暑さ対策については、多くの会派、議員から指摘されてきました。震災後、まず保健室への設置が5ヵ年計画で始まり、今年度に全校設置が完了します。また、窓をあけることすらできない音楽室にエアコンがない問題についても、繰り返し指摘し、残されていた小学校への設置が今年度から始まりました。この間の市民や議会からの声に応えて、一定の前進をしてきたことは評価するものの、さらなる改善は待ったなしの状況です。
2年前の決算等審査特別委員会で、私は、国の補助対象に本市もなって久しいこと、市が国に対して補助対象にしてほしいと再三要望してきたのは、エアコンを設置したいからではないのかとただしました。子供たちが一日の大半を過ごす学校の普通教室こそ、安全に快適に過ごせるようにすべきです。お金がかかることを理由に一向に踏み出そうとせず、蒸し風呂のような教室の中で子供たちが学んでいることを、奥山市長と教育長はどのように捉えているのでしょうか、お聞かせください。
当局は、毎年、7月中旬から9月初めまでの数日間を抽出し、市内の小中学校、市立高校の職員室と校長室の室温と湿度について記録させ、報告を求めています。今年度についてはまだまとめていないとのことでしたので、昨年度と一昨年度の結果をいただきました。昨年7月15日朝10時の時点で、気温は30.9℃、職員室の室温の最高は35℃でした。午後2時には、気温が29.9℃と下がっているものの、室温の最高は37℃まで上がっています。9月2日には、朝10時、気温は27.8℃ですが、室温は32℃、午後2時には34℃となっていました。
当然ながら、教職員は夏休み中も学校で仕事をしています。この期間には、39℃、40℃を記録している学校もありました。ことしも、ある学校では、室温をはかる温度計が45℃の上限いっぱいを示したという話を伺っています。
学校の室温調査は、2011年度から始まりました。現場から上がってくるこうした報告を数年にわたって受けている御当局は、結果を見て、どういう検討を行い、具体的な手だてを打ったのでしょうか、お聞かせください。
職員室や校長室でさえもこの状況ですから、40人近くの育ち盛りの子供たちがひしめく教室がもっと過酷だということは、想像にかたくありません。御当局は、エアコンを設置しない理由の一つに、エアコンを必要とする期間が短いことを挙げていました。しかし、教室へのエアコン設置が当たり前になりつつある関東地方などでは、夏休み期間自体が8月いっぱいなのに、本市は、早ければお盆明けの8月18日から学校が始まっています。必要期間が短いなどとはとても言えません。
以前、特別委員会で、市内全ての普通教室にガスヒートポンプ式でエアコンを設置した場合の費用はどれくらいか伺いました。今回、改めて試算を求めたところ、2906の教室数で総額94億円、国からの補助を除くと本市の負担は約80億円ということです。国に対してさらに補助率の引き上げを求めるのはもちろんですが、市内全ての学校、全ての普通教室と考えれば、決して高過ぎる税金投入ではありません。まして、今の学校の実情を考えれば、当然決断すべき事柄です。5ヵ年計画にすれば、1年にかかる費用は16億円程度です。大口の契約ですから、公営企業であるガス局も考えていただけるのではないかと私は思います。室温が高くなる校舎、学校から順次普通教室へのエアコン設置を進めるべきです。いかがでしょうか、伺います。
子供たちと日々向き合う教職員の労働環境としても、今の状況を放置してはおけません。子供たち一人一人がわかる喜びが実感できる授業の工夫や、いじめ対策、貧困の中で困難を抱える子供への対応など、教職員に対する社会からの期待や要請は大きくなっており、学校現場では、それに応える懸命な努力や模索が日々続けられています。それなのに、学校はおよそ人間的な職場環境とは言えません。そもそも、朝から35℃以上になるような部屋の中でする事務や会議で、能率が上がるでしょうか。部活で汗をかき、職員室でも汗をかきながら仕事をし、シャワー室も更衣室もない学校のトイレで汗をふき、下着まで着がえているという話もお聞きしました。
県内でも、白石市、角田市など、職員室等へのエアコン設置が進められています。普通教室と同様に、当然、職員室などにもエアコン設置は必要と考えますが、いかがでしょうか、伺います。
次に、本市における就学援助制度についてです。
子供の貧困が深刻になる中、2014年に子どもの貧困対策の推進に関する法律が制定され、子供の貧困対策に関する大綱が策定されました。この大綱には就学援助も位置づけられ、国として就学援助の実施状況等を定期的に調査し公表するとともに、適切な運用、きめ細やかな広報等の取り組みを促し、各市町村における就学援助の活用、充実を図ることと明記されています。義務教育段階の子供の貧困対策には、就学援助の充実がかなめの一つだと国も考えているということです。
決算年度、本市の就学援助の認定者数は、要保護、準要保護合わせて1万70人。全児童生徒に占める認定率は12.71%でした。制度を利用したいと申請はしたものの、基準を超えるなどで認定されなかったのは437人となっています。
本市の基準額は、標準4人世帯で収入390万円、所得258万円以下となっており、この基準額は1997年から一貫して変わっていません。学用品費など、対象費目や援助額について、国が示している以上のものは何もありません。制度の妥当性などを協議する就学援助問題協議会も2005年に廃止したまま、就学援助については、毎年1月の教育委員会で認定率などが報告され、幾つかの質問が出されるのみという状態が続いています。
子供たちが経済的な心配をすることなく学べるように、今こそ制度の充実が必要です。まずは、廃止した就学援助問題協議会を復活させ、より積極的な内容にするための協議を早急に始めるべきです。いかがでしょうか、お答えください。
ひとり親家庭を含めて、困難を抱えていながらも、こうした制度に自分が該当すること、制度があることすら知らない方々はまだまだたくさんいます。私も、子育て中の方の御相談を受ける機会がありますが、やはり制度の周知が足りないと感じます。さらに深刻だと思ったのは、ひとり親家庭で該当するはずのお母さんが、就学援助を勧めた友人に、離婚をしたのは自分に責任があるから大変な思いをするのは仕方がないと語った言葉です。当然の権利としてあるはずの制度の利用をちゅうちょさせるほど、自己責任論が浸透していることを強く感じました。
こうした状況を踏まえて、制度の周知はどうあるべきか考えることが必要です。現在は、新入学前の説明会の際に、膨大な資料とともに、就学援助制度のお知らせが一枚配付されるだけです。進級時にも同様で、4月当初に配られるたくさんの学校からのプリントの中に、難しく書かれた制度のお知らせが紛れて家庭に届くという状態です。
以前調査に伺った東京都荒川区では、制度を利用するかどうかの意向確認書を全家庭から提出してもらっているとのことでした。また、本市内でも、お知らせとともに、校長名を入れたお便りと申請書をつけて配付して、より周知不足がないようにと実践している学校がありました。こうした先進的な例にも学んで、より丁寧な周知をすべきです。いかがでしょうか、伺います。
お知らせそのものからも、対象になるであろう方々に対する、ぜひ申請してねという熱意が、残念ながら感じられません。マイナンバー制度のマイナちゃんに、この点は学ぶべきです。
お便りの形式も内容も20年変えていないということでした。さらに、民生委員が訪問する場合がありますということまで書かれています。ほかの政令市の制度のお知らせも見てみましたが、こんな記述がある自治体はありません。おまけに、ホームページにまで、※印をつけて、申請書の内容については地区の民生委員児童委員が伺う場合がありますと書いています。民生委員の業務には、就学援助利用者を訪問することなど含まれていません。以前にも指摘したことがありましたが、いまだに残していることには何か意図があるのでしょうか。こうした記述は削除して、逆に必要なのは、もっとわかりやすく、困っていたらいつでも申請をということが伝わる工夫だと考えますが、いかがでしょうか、お答えください。
就学援助制度の周知に際しては、スクールソーシャルワーカーの活用が効果的との意見が、子どもの貧困対策に関する検討会でも出されています。本市でも導入してから三年がたちますが、精神保健福祉士や社会福祉士の資格を持つスクールソーシャルワーカーが、困難を抱える家庭に親身に寄り添い、就学援助はもちろん、福祉の窓口にも同行して支援につなげています。先日、直接お話もお聞きしました。かかわる御家庭ごとに抱えている困難はいろいろ、とにかく関係づくりを一番大切にしていると何度もおっしゃっていたのが印象的でした。働いている御家庭も多いので、夜も面談に行くそうです。
学校からも歓迎されているスクールソーシャルワーカーですが、人数が少ないために、かなり限定して要請せざるを得ないという声もあります。少なくとも現在の倍以上にふやして、就学援助を含め、必要な制度につなげる努力を強めるべきです。いかがでしょうか、お答えください。
制度の認定は、申請者の実情を踏まえた、機械的ではない運用とすべきです。兄や姉が仕事につき収入を得たことで、基準を上回り、該当しないとされた例など、数字上だけで画一的な取り扱いになっているのではないでしょうか。今、子育て家庭をめぐっては、より複雑で困難を抱える家庭がふえています。
本市の要綱には、年収が390万円以下であるもの、及びこれに相当すると認められるもの。各号に掲げるもののほか、特に援助が必要だと認められるものと明記されています。例えば、収入基準だけで判断しないなど、要綱の趣旨を生かし、申請した家庭の状況をしっかり把握して、柔軟に活用すべきです。いかがでしょうか、お答えください。
そもそも、本市の基準額は、余りにも低過ぎます。総収入390万円以下というこの基準は、政令市20市中、下から3番目という水準です。これでは、生活保護世帯と変わらないぎりぎりの方しか対象になりません。6月議会でも引き上げを求めましたが、改めて強く求めます。お考えを伺います。
新入学のための学用品費として、小学1年生に2万470円、中学1年生に2万3550円が7月に支給されています。ただでさえ、子供の入学時の経済的負担は大きいものがあります。入学からはるかたってからの支給では、全く意味がありません。
文部科学省が、昨年、児童生徒が援助を必要とする時期に速やかに支給することができるよう十分配慮することという通知を出しました。北九州市は、この9月の議会に補正予算4200万円を提案し、今年度の3月に前払い支給できるように変えるとのことです。政令市では、ほかにも新潟市、福岡市が入学前の3月に前倒しで支給しています。本市も改善を図るべきです。お答えください。
修学旅行代の一時立てかえ払いを家庭に求めるのもやめるべきです。市の負担が新たにふえる話ではありません。学校への概算払いや実費支給に変えるよう求めます。伺います。
横浜市では、市独自に、小学1年生に2万130円、中学1年生に2万3850円の上乗せをしています。また、制度の適用についても、申請した時点からの自治体が多い中、その年の4月時点で該当していたことが確認できれば、いつ申請しても遡及しています。本市が要保護児童しか対象としないクラブ活動費、生徒会費、PTA活動費を準要保護まで支給し、例えば中学1年生のクラブ活動費は、年間2万9600円です。
千葉市は制服調整費として4000円、相模原市は眼鏡購入に1万2000円、神戸市が体操着、水着代として約5000円、熊本市は補助教材費7000円まで、福岡市が卒業記念品費として4300円など、自治体独自で対象になる費目を広げています。国が示す基準だけでは、制度の目的が達成できないからです。
こうした自治体と比べると、国の基準から一歩も出ない本市の制度は、余りにも恥ずかしい水準ではないでしょうか、伺います。
憲法第26条では、義務教育は、これを無償とするとうたっています。しかし、実際には、義務教育段階から、制服やかばん、部活動、副教材などを初め、学校教育で必要とされているのに、その多くが子育て家庭に重い負担となってのしかかっています。
こうした中で、兵庫県明石市を初め、給食費を無料とする自治体が100を超え、副教材費なども自治体負担とするなどの実践が広がっています。子供の貧困への着目から始まったとしても、今や、義務教育は無償という憲法に近づける努力こそが必要という認識のもとで、自治体の挑戦が進められています。本市も漫然としているわけにはいきません。憲法を具現化する具体的な取り組みが必要です。いかがでしょうか、伺います。
最後に、少人数学級の実現と、権限移譲に伴う問題について伺います。
学級編制権の移譲が、来年4月に迫っています。これを機に少人数学級の拡充に踏み出すべきという声は、議会内外で広がっています。しかし、いまだにその決断の表明はありません。
市は、国に対してはその実現を求め、教育への効果はあると認めているのに、みずからが権限を持っても実行しない理由は何なのでしょうか。市民的な願いである少人数学級を拡充することこそ、権限が来たことを最大限に生かす一番の仕事だと考えます。いつまでも市民や学校現場を待たせず、決断すべきです。伺います。
少人数学級を表明しないどころか、市の職員となる教職員の給料を、県費職員時代よりも低くする提案がされていると聞いて、私は本当に驚きました。市立幼稚園の給料表を適用させるとし、基本給も退職金もこれまでより低くなるという扱いです。市立の青陵中等教育学校の中学校担当職員とも違う給料表を適用させるという提案です。
さらに、学校事務の代替は臨時的任用となりますが、県は学校に一人しかいないということに鑑み、代替の事務職員にも正規と同じ給料表を適用していました。それを市は臨時の給料しか出さなくしようとしています。
これまでと同じ仕事をするのに、市への権限移譲で待遇悪化や給料が下がるなど、あってはなりません。最後に伺って、私の第一問といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
◯市長(奥山恵美子)
ただいまのすげの直子議員の御質問にお答えを申し上げます。 子供たちの学びの環境に対してのお尋ねでございます。 子供たちにとって、学校は楽しく学び、安心して活動できる場所であることが必要であり、その教育環境を整えることは何より重要であると認識をしております。 本市においては、東日本大震災以前から全学校の耐震化を最優先で進めてきたところであり、また、震災後は被災した学校の復旧に全力を注いでまいりました。その間も過大規模校の分離新設や老朽化した施設の更新、大規模改修を図り、さらには校舎や体育館のトイレの洋式化、暑さ対策としての保健室や音楽室へのエアコンの設置など、学びの環境改善に資する施策を進めてまいったところでございます。 しかしながら、200校近い学校がある中で、その環境改善にはいまださまざまな課題もありますことから、教育委員会と十分認識を共有した上で、今後も必要な予算を措置してまいる考えでございます。 そのほかの御質問につきましては、教育長から御答弁を申し上げます。 以上でございます。
◯教育長(大越裕光)
私からは、教育に関する数点の御質問にお答えいたします。
初めに、子供たちの学びの環境に対してのお尋ねでございます。
ただいま市長からもお答えがありましたように、子供たちが安心して教育活動に取り組めるように学校環境を整えることは大変重要であると認識しております。これまでも施設改善などに取り組んでまいったところでございますが、学校環境の改善には、いずれも多額の経費と期間を要しますことから、教育委員会といたしましては、優先すべき内容をしっかりと見きわめ、学校環境づくりについて着実に進めてまいりたいと存じます。
次に、学校の職員室及び校長室の室温調査の結果を受けての対応でございます。
これら調査の結果を受けまして、この間、職員室において夜間等でも効果的に換気が行えるよう網戸の設置を進めたり、扇風機の増設を図るなどの対応を講じてきております。また、各学校に熱中症予防に係る注意喚起を定期的に行うほか、すだれやグリーンカーテンの設置など学校で実施された暑さ対策を紹介し、これらを広げるよう努めてきたところでございます。
学校施設のエアコン設置についての御質問でございます。
普通教室や職員室の夏場の環境整備につきましては、先ほどもお答え申し上げたとおり、エアコンによらない形での暑さ対策を進めてきたところでございます。学校の施設整備については、長寿命化のための改修を初め、さまざまな改修、修繕への対応を進めているところでもあり、エアコンの年間の使用期間や多額の設置費用も考えますと、総合的に判断して、普通教室や職員室にエアコンを設置するのはなかなか難しいと考えております。
就学援助に関する一連のお尋ねにお答えいたします。
まずは、就学援助問題協議会の再設置についてでございます。
本市におきましては、就学援助の認定基準額の算出ルールが確立しており、また、多くの政令指定都市においても、本市同様に認定基準の設定についての協議会等は設置していないことから、就学援助問題協議会を再び設置することは考えておりません。
次に、就学援助制度の周知につきましては、新入学児童生徒には入学前の学校説明会及び新入学当初に、また、在校生には前年度の段階で、学校を通じてお知らせの文書を配付しております。そのほか、仙台市のホームページや市政だより、くらしのガイド等、市発行の冊子でも制度についての広報に努めているところでございます。今後とも、より有効な周知のあり方につきまして、検討してまいりたいと存じます。
民生委員に関する記載についてでございます。
就学援助の申請につきましては、家庭の経済状況等、認定に必要な書類の提出をお願いしているところですが、提出された書類だけでは認否の判断ができない場合に、民生委員や児童委員の方の御意見を伺うなど、各家庭の生活実態等について確認する場合が想定されておりましたことから、チラシ等に記載していたところでございます。
近年においてはそのような事例がほとんどないことから、民生委員に関する記載につきましては、今後、見直しをしてまいりたいと存じます。
スクールソーシャルワーカーの活用についてでございます。
教育委員会では、現在、その役割の重要性も踏まえ、5名体制による学校や家庭への訪問対応、電話による相談対応などの支援を行い、関係機関との連携により、児童生徒の状況や家庭生活の改善を図っているところでございます。
人員につきましては、今年度2名を増員し、体制を強化したところであり、その活動実績も見ながら、今後とも適切に人員を配置してまいりたいと存じます。
就学援助制度の運用についてでございます。
就学援助については公金の支出ということもあり、客観的な基準に基づき、適正かつ公平な認定を行う必要がございます。これを前提とした上で、認定に当たっては、収入基準のほか、児童扶養手当を受給しているかどうかや市民税が非課税の世帯であるかどうかなどを考慮しており、また、失業した場合については、前年度だけでなく直近の収入状況をお聞きするなど、ケースに応じた状況を踏まえながら、制度の運用を適切に行っているところでございます。
認定基準額の引き上げについてでございます。
本市の就学援助認定基準額は、生活保護基準額から算出される最低生活費に加え、家庭内での学習費やスポーツ活動に要する経費など、就学に必要となる基本的な経費を積み上げた上で定めております。この基準額については、平成25年度以降に国の生活保護基準額が引き下げられた中でも、それまでと変わらない額を維持している状況であり、引き上げについては考えていないところでございます。
新入学学用品費の前倒しでの支給及び修学旅行費の概算払いについてでございます。
就学援助の認定は、所得の確認を要することから、早くとも5月から6月ころとなっており、仮に御提案のような方法をとるとすれば、認定の前に一度支給を行うことになります。この場合、実際には入学しなかったり、修学旅行に参加しなかったりする事例や、不認定となる事例が想定されるなどの課題もあり、現段階では難しいと考えておりますが、今後、他都市での導入事例等につきまして調査研究してまいりたいと存じます。
本市の就学援助における支給費目につきましては、要保護世帯に対する国の補助対象基準をもとに設定しており、水準としては妥当なものと考えておりますので、独自の費目設定は考えていないところでございます。
義務教育の無償化についてでございます。
国においては、憲法の規定に基づき、義務教育に関する必要な制度設計を行っており、授業料や教科書を無償としているところでございます。また、経済的な理由により就学困難と認められる児童生徒に対しては、就学援助制度により必要な支援を行っております。本市といたしましては、こうした国の制度に基づいた施策を着実に進めてまいりたいと考えております。
権限移譲を機に少人数学級の拡充についてのお尋ねでございます。
少人数学級につきましては、子供と丁寧なかかわりができるという点で一定程度の効果があるものとの認識のもと、教職員定数の改善につきまして、指定都市教育委員・教育長協議会を通して、また、本市教育委員会独自に、国への要望を行っているところでございます。
本市といたしましては、本年度の最優先事項であるいじめ対策専任教諭等を、国の加配を活用し、市内小中学校等に増員配置したところでございます。それに加え、少人数学級を実施するとなれば、相当数の教員の増員と教室等の整備が必要となりますが、国の加配の枠を超えた人員の配置は、市独自の多額の財政負担が生じるという課題もございますことから、より慎重な検討が必要であると考えております。
最後に、県から移譲となる教職員の給与についてでございます。
今般の移譲により教職員の職務職責が変わらないことを勘案し、著しく給与水準が変動しないよう、宮城県との均衡にも配慮することを基本方針として、現在、具体的な制度構築に向けた対応を進めているところでございます。
月例給については、教育職員を対象とした本市の給料表を適用することとし、給料と一体的な手当である地域手当との合算で県の水準を下回らない内容にしてまいりたいと存じます。また、退職手当につきましても、県との均衡を踏まえた対応を考えているところでございます。
以上でございます。
──再質問──
◯すげの直子議員
再質問をさせていただきたいと思います。
私は、第一問では、暑いところで夏の期間、子供たち、先生たちが過ごしていることについて、市長、教育長はどんなふうに受けとめているんですかというふうにお伺いをしたんですけれども、安心して学べる環境にするのは重要だということで、ちょっと聞いたことに真っすぐお答えいただけていなかったんじゃないかというふうに思うんですけれども、市長からは、そういう意味で、子供が安心して学べる環境にするのは重要なので、教育局とも相談しながら必要な予算については措置をしていくというお答えがありました。
ところが、教育長から再三御答弁の中にあったのが、多額の経費、多額の経費という言葉がありました。市長が必要な予算を措置していくというふうに言っているのに、エアコンを学校につけるということが、経費がかかるからということで、教育長として、今の教育行政にとって優先度が高いというふうに見ていらっしゃらないんでしょうか。そうだとすれば、そのこと自体が非常に問題だというふうに私は思います。先ほども紹介した室温調査の結果について、その暑さ対策、どうしていますかということに答えた学校が書いた備考欄まで、私、全部読みました。可能な限り扇風機を入れ使用しているけれども限界を感じると。大変な暑さで児童も職員も体調管理が難しかったと。考えつくことは全てやっていました、救急車を呼ぶことにならなくてほっとしていますと。こういうふうに綿々とつづられております。もはや命にもかかわる問題だというふうに思います。エアコン設置はもう最優先の課題ではないかというふうに思います。
私はですね、教育長、答弁を冷たくすることを求めているんじゃないんです。暑い学校をエアコンで冷やしてくださいということを求めているんです。お答えいただきたいと思います。
就学援助制度についてです。
一点、まず確認をぜひさせていただきたいんですが、新入学学用品費の前倒し、先ほどは政令市だけ御紹介いたしましたけれども、文科省の通知を受けて、多くの、今、自治体で実践がどんどん広がっています。先ほど御答弁で、いろいろ課題は前半おっしゃりながらも、実践している他都市の例も参考にして研究、検討をしていきたいという御答弁だったと思うんですけれども、ぜひとも急ぐべきだというふうに思うんですけれども、この点をまずお伺いしたいということと、基準額についてです。
もともと低い基準額であるから、生活保護基準が下がったときに下げませんでしたということだけを胸を張って言われるというのは、本当に残念な答弁だったと思います。私、さっきは額で、下から4番目だというふうに申し上げました。認定率、その自治体の全児童生徒に占める制度の利用者の割合も比べてみました。実は1市だけお返事をいただけませんでしたので、今の段階で、19市の中でですが、本市の12.71%というのは、その19市の中で下から4番目でした。よく市が比較に持ち出す札仙広福、どうだったかというと、札幌市は15.76%、広島市は29.5%、福岡市は24.3%ということになっています。子供の6人に1人が貧困状態だと。16%を超えているという中で、本市の就学援助を受けている人たち、12.71%。非常に低いと思うんですね。というのは、やっぱり基準額が低過ぎる。だから、対象が非常に狭くなっているということだと思います。基準額を引き上げるべきだと思います。
以上、三点伺います。
◯教育長(大越裕光)
すげの議員の再度の御質問にお答えいたします。
まず、エアコンの設置のお話でございます。子供と生徒、それが学校において暑いことをどう思うのかというところは、決して私は、快適とはもちろん思ってはおりません。そういう中で、いろいろ工夫をしながら過ごしていただいてはおるわけでございますが、やはり私の立場とすれば、トータルに教育の全体の予算の配置を考えていくわけでございます。そういう中で、優先すべきものが当然あるわけでございますので、そういう点で、今時点では、普通教室と職員室、そこについてのエアコンは今時点では考えていないところでございます。
それと、就学援助の前倒しのお話でございます。つきましては、先ほども御答弁申し上げましたように、いろいろと課題はあるわけではございますが、他都市がどのような形で取り組んでいるか、もう少し私どもも調査してみる必要はあろうかと思いますので、その点については調査、研究を進めてまいりたいと存じます。
それと、基準額についてでございますが、認定率のことを挙げられたところでございます。そういう点で、他都市と政令市の中での仙台市というのも、また、数字の比較が必ずしも妥当かどうかは難しいですが、基本的にその利用者をもっともっと、本来対象となる方が利用していないということがあるとすれば、やはり我々の周知に努める必要はあろうかと思います。その点については、今後もいろいろな機会を捉えて周知に図りたいと思います。
また、基準額については、先ほど御答弁申し上げたように、私どもは妥当と考えているところでございます。
以上でございます。
◯すげの直子議員
まず、就学援助の問題なんですけれども、これは答弁を求めないんですけれども、調査、研究はしていくということだったので、文科省も言っているわけですから、ぜひやっていただきたいというふうに思います。
それから、とにかくエアコンなんですね。工夫をしながら暑さ対策をしてもらっているということだったんですけれども、とにかくもう限界なんです。とにかくやれることを全てやったって、熱風が教室の中でかきまぜられているだけだということになっているんです。教育長がもっと毅然とした姿勢で市に向かって必要性を言わなければならないんじゃないかと思うんです。市の財政のことまで教育長がおもんぱかって要求をしないとしたら、非常に問題だというふうに思うんですけれども、教育長には、来年の夏は毎日学校を回って一日過ごすことを強く求めたいというふうに思うんですけれども、そういう点で、大変、教育長が非常に市の財政をなぜか心配して、求めないでいらっしゃるようなんですけれども、学校にエアコンが必要だというのは、客観的にもそうだということは皆さんの認識なんじゃないかなと思うんです。
予算を措置するのはやはり市長ですので、奥山市長にぜひ最後伺いたいんです。エアコンのない、こんな劣悪な環境に、子供たちや先生方を置き続けていいとお考えでしょうか、市長として。かつて子供たちのためにと学校の耐震改修を最優先で予算をつけて取り組んだ時期がありました。そのときは、教育予算、500億円を超えておりました。今、370億円ですから、できない額では決してないというふうに思います。先ほども申し上げましたが、5年計画ぐらいでも、そして、これから始める老朽化対策と一緒に進めるということをすれば、さらに予算措置は少なくて済むのではないかと思うんです。その意味でも、今、教室、職員室等へのエアコン設置、私は決断をすべきだというふうに思います。市長、いかがでしょうか。
◯市長(奥山恵美子)
夏の暑さというのは、子供たちの夏の時期、学習をする中でも、大きな課題の一つであるという認識は持ってございます。しかしながら、ただいま教育長も申し上げましたとおり、仙台市の学校、200校ほどあります中で、全ての普通教室にこれを設置をしていくということは、やはりなかなか財政上は難しい課題であるというふうに、現状、私は思っております。 しかしながら、学校の中で、やはりぐあいの悪いお子さんもありますし、また、音楽室のような窓のないという環境もあるわけでございますので、この間、決して学校における暑さ問題を忘れていたということではなく、まずはできるところから、学校の中でも優先度の高い取り組みということで、それらの必要な教室への配置をし、また、場合によっては扇風機の数等をふやすというようなこともさせていただいたわけでございます。 そういうことでありまして、教育予算の中で、さまざまな、トイレの改修等、御要望の多い課題にも取り組んでおりますので、そういう中で普通教室、また職員室への一律の設置ということについては、なお時間をいただいた検討課題としてまいりたいというふうに考えてございます。