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一般質問 ふなやま由美議員(6月20日)

  【概要】子育て新制度は、公的責任を明確にしたものに

  (保育所待機児童、営利企業、公立保育所、せんだい保育室)

 

 

◯ふなやま由美議員

日本共産党仙台市議団のふなやま由美です。子ども・子育て支援新制度について、一問一答方式で質問いたします。
子供の育ちを支援する枠組みが大きく変わろうとしています。2015年4月からスタートする国の子ども・子育て支援新制度に向けて、市は急ピッチで準備を進めています。国の基準に関する政省令も示されたばかり、公定価格に至っては仮単価が示されただけという極めて不十分な中で、今議会には関連する条例も提案されています。
この新制度は、国と地方自治体による公的責任を後退させ、保育を市場に委ね、もうけの対象にするものだと、保育関係者や国民から多くの危惧の声が広がっていた中で、安倍政権が消費税増税と一体に実施を強行に進めてきたものです。仙台市は、新制度への移行に当たっては、子供にとってよりよいものになっているのか、発達を阻害するものでないのかどうかの視点で取り組まなければなりません。
児童福祉法第二十四条第一項は、市町村の保育の実施責任を明確にしています。一方、第2項に、保育所と保護者の直接契約が持ち込まれました。これを理由にして、行政責任が曖昧にされ、保育を後退させることがあってはなりません。何よりも、子どもの権利条約に明記されている、子供の最善の利益を保障する立場で、基準や事業計画をつくり実施すべきです。いかがでしょうか、伺います。
ことしの4月1日時点の保育所待機児童数は、認可保育所に入所を申し込んでも入れない児童は1083名で、昨年度より144人もふえています。保育ママやせんだい保育室などの保育施設に入所している児童を除いた国定義の場合でも、待機児童は570名になっており、依然として入りたくても入れない状況です。
奥山市長は、昨年の市長選挙時には、待機児童ゼロとは言わず、市民の要求に押された形で、4年間で4千人分の保育基盤整備を行っていくことを公約に掲げました。市民が切実に願っている待機児童ゼロは、市長の言う4千人分の基盤整備で実現できるのでしょうか、お伺いいたします。

新制度が導入されても、この間のすぐれた保育実践をしっかりと生かす取り組みにしていかなければなりません。4月1日現在で62施設あるせんだい保育室は、2018年度までの間に新制度へ移行しなければなりません。既に、小規模保育事業を併設して運営している3歳以上児対象のせんだい保育室は2施設です。今後の移行では、認可保育所は29カ所、小規模保育事業は31カ所になっています。
せんだい保育室から新制度への移行で、今、困難に直面しているのが、せんだい保育室A型の朝市センター保育園です。朝市センター保育園は、1987年に開所し、朝市や近隣で働く保護者を支え、ぬくもりのある保育を実践してきました。同園は、せんだい保育室が廃止されるため、認可保育所への移行を目指していますが、市は風営法などを理由に認可保育所にはできないと、当初言ってきました。
しかし、この間、保護者や卒園者、保育関係者など多くの市民が運動に立ち上がり、市の姿勢を変えさせてきました。6月13日には、2万2681人分の署名を市に届けています。市長は、この間の定例記者会見で、新しい制度の中で発展していきたいという園の意向は大事にしたい、課題を一つ一つクリアする方向で、一緒に考えていきたいという趣旨の発言をされました。この立場で進めるべきです。
朝市センター保育園を含めて、新制度への移行にさまざまな困難を抱えているところもあります。せんだい保育室はこれまで、待機児童を数多く抱える本市の保育の一翼を担い、よりよい保育を実践してきました。しっかりと希望する事業へと移行できるように支援すべきです。いかがでしょうか、伺います。

新制度で保護者は認定申請を行い、満3歳以上で幼稚園や認定こども園の教育のみ受ける第一号認定、満3歳以上で保育が必要な第二号認定、満3歳未満で保育が必要な第三号認定の3種類あり、いずれかの認定証をもらうことになります。市町村は、それぞれの子供の教育、保育必要量として、一日4時間の教育標準時間、一日11時間までの保育標準時間、一日8時間までの保育短時間の3区分で必要量を決めることになります。市は認定申請と審査、交付決定は各区で行うことを想定しているようです。
昨年度から各区に一名、保育サービス相談員を配置し、相談活動や保育サービスの情報提供などの支援を行っていますが、相談窓口での対応がますます重要になります。各区の保育サービス相談員は、もっと人員をふやし、正規職員にし、子供の権利擁護の専門職や保育ソーシャルワーカーのような位置づけを持たせて、保育のニーズをしっかり把握し、支援できるようにすべきです。いかがでしょうか、伺います。
仙台市の幼稚園は、それぞれ特色ある教育実践を行い、人格形成の基礎となる幼児期の子供の成長発達を支えてきました。多くの子供たちがよりよい幼児教育を受け、各園の魅力ある取り組みの中で育まれています。新制度に当たり、公定価格も仮単価のみではっきりと示されない中で、今後の移行を決められないのは当たり前です。
そもそも待機児童解消は、保育の量的整備での対応が求められているのに、そこにお金をかけないで無理やり幼稚園を活用するという新制度の考え方で、これまでの幼稚園の教育実践がさらに充実できるでしょうか。幼稚園が担う大切な役割をもっと高めるために、無理やり新制度の枠に当てはめずに、しっかりと支援することこそ必要です。市は、仙台市の幼稚園を今後どのように発展させようと思っているのか伺います。
6月4日に示された公定価格の仮単価を見ると、保育必要量区分や人件費などから算定した基本部分に、休日、夜間などのさまざまな加算を加えた加算部分を合算しての方式になっています。これまでの国の基準より上がっているようです。実際の運営において、これまでの保育内容を後退させることがあってはなりません。公定価格で必要額を十分に保障すべきです。また、保育料は応能負担の原則で引き上がらないようにすべきですが、いかがでしょうか、伺います。

昨年度、国は、保育士の処遇改善にかかわる補助を全額負担で実施していましたが、ことしは別事業とし、国負担分を4分の3に減らしています。新制度移行後は、公定価格に処遇改善加算分が組み込まれますが、仮単価で示された国の負担分は2分の1だけです。公定価格の枠にはめ込むのでなく、国が全額負担して、別枠で保育士処遇改善のための支援を行うことを強く求めるべきです。あわせて市独自で保育士処遇改善の補助制度を創設することを求めますが、いかがでしょうか、伺います。
国の新制度導入の狙いの一つは、規制緩和で保育の分野を営利企業に明け渡すことです。現にこの間、安倍政権は財界言いなりで、待機児童対策を口実にどんどん株式会社の参入を推し進めてきました。今年度から市が行っている新制度先取りの小規模事業者を見てみると、開所した十四施設のうち九施設は株式会社や有限会社になっています。また、民間認可保育所の中で、株式会社が設置主体になっている保育所は、現在十一カ所ありますが、とりわけ2010年度以降の設置は九カ所にも上っています。
営利企業の保育への参入の問題点は、全国的に指摘されています。安上がりの経営のために、経験年数の浅い保育士が多い問題、処遇が悪いために定着しない問題、国や自治体からの保育所への運営補助が企業の本部経費として上納されている実態などが明らかになっています。
市は、市内の株式会社立の保育所で、こうした問題はないのか把握されているのでしょうか、伺います。
以上、一括質問とし、以下は一問一答で質問いたします。

 

 

◯市長(奥山恵美子)

ただいまの、ふなやま由美議員の御質問にお答えを申し上げます。

私からは、本市における幼稚園の今後について、お答えを申し上げます。
幼稚園が担います幼児教育は、自立した心や他人とかかわる力を養うとともに、基本的な生活習慣を身につけることを通して、小学校以降における学びの基礎を培い、子供たちの人格形成の基礎をつくる根幹に位置づけられているものでございます。
本市におきましては、3歳以上の未就学児の約六割が幼稚園に就園をしておりまして、これまでも幼児期の教育の提供において、重要な役割を果たしていただいているものと認識をしております。
こうした中、多くの方が幼稚園における長時間預かり保育を利用している現状にありまして、質の高い幼児教育と保育を一体的に利用したいという保護者の皆様のニーズには、強いものがあると捉えております。
来年度に実施が予定されている子ども・子育て支援新制度において、認定こども園などへの移行は、各幼稚園の主体的な御判断によることとなりますが、本市といたしましては、市内の幼稚園が長年にわたり培ってこられた幼児教育にかかわる人材やノウハウを生かして、仙台のこれからの将来を担う子供たちの教育と保育にその力を発揮していただけるよう、支援をしてまいりたいと考えているところでございます。
このほかのお尋ねにつきましては、子供未来局長から御答弁を申し上げます。
以上でございます。

 

 

◯子供未来局長(板橋秀樹)

私からは、子ども・子育て支援新制度に関する数点の御質問にお答えをいたします。

初めに、子供の健全育成の視点に立った基準や事業計画のあり方について、お答えをいたします。
子ども・子育て支援新制度におきましては、全ての子供の健やかな成長のために適切な環境が確保されるよう、社会全体で子ども・子育て支援の充実を図ることとされ、子供の健全育成の視点で施設等の基準や事業計画を策定することが求められております。
このため、新制度における各種基準につきましては、本市がこれまで培ってきた保育の質を確保しつつ、保育の受け皿を確保する観点も踏まえた上で、このたびの条例案の内容に至ったものでございます。
また、平成27年度から5年間の事業計画の策定に当たりましても、全ての子供の育ちを支援する観点から、乳幼児期の教育、保育の質の確保のほか、在宅の子育て家庭も含め、地域での子育て支援の充実を図ってまいります。さらに、教育、保育基盤の量的な確保についても、子育て家庭の潜在的なニーズに配慮した上で、その受け皿の整備に努めることとして、当該計画を取りまとめ、その推進を図ってまいります。

次に、待機児童に関するお尋ねでございます。
保育を必要とする児童数につきましては、東日本大震災後の一時的な転入増加の要素も加味しながら、昨年度実施した子ども・子育て支援新制度に係るアンケート調査を基礎に推計を行い、平成29年度当初において2万900人余りと見込んだところでございます。
今後、この推計結果や本年4月の就学前児童数等を加味しながら、保育需要の精査を行い、待機児童の早期解消を目指して、保育基盤の計画的な整備を積極的に推進してまいりたいと考えております。

次に、せんだい保育室に対する移行支援に関する御質問でございます。
せんだい保育室の新制度への移行に当たりましては、国の待機児童解消加速化プランの活用による、施設の改修費や賃借料に対する補助などの財政支援を実施しております。
せんだい保育室については、新制度下においても、これまで培ってきた実績を十分に発揮していただけるように、施設それぞれが抱える事情に配慮しながら、でき得る限り希望に沿った形で、認可保育所あるいは小規模保育事業へ円滑に移行できるよう、きめ細かな支援をしてまいる所存でございます。

次に、保育サービスの相談体制についてでございます。
新制度のスタートに向けましては、区役所窓口での相談が増加するとともに、相談内容も多様化するものと想定し、各区に保育サービス相談員を配置する等の対応を行っております。また、各区において、子供の保健福祉等に関する総合的な相談のため、ケースワーカー、保健師等による子供家庭総合相談を実施しております。
引き続き保育サービス相談員とケースワーカー等が必要な情報の共有を図りながら、保護者のニーズを踏まえた適切な支援に努めてまいりたいと考えております。

次に、公定価格と保育料に関するお尋ねでございます。
本市の給付水準につきましては、今回、国から示されました公定価格で必要な額が一定程度確保されるものと認識をしております。
また、保育料につきましては、現在、本市の独自施策として、国の基準額より引き下げている状況にあります。新制度におきましては、現在、所得税ベースで設定している料金表を、市県民税ベースに変更するなどの必要がございますので、そうした中で、保護者負担のあり方を含め検討を行ってまいりたいと考えております。

次に、保育士の処遇改善に関するお尋ねでございます。
保育士の処遇改善事業につきましては、これまで国の補助金を活用し、単年度限りの事業として実施してまいりましたが、子ども・子育て支援新制度のもとで公定価格に組み込まれることによりまして、本市の一定の負担はございますが、国の義務的経費と位置づけられ、継続して処遇改善に取り組めることになったものでございます。
また、今後、新たな財源が措置されれば、さらなる処遇改善が図られるとされており、引き続き、国に要望を行ってまいりたいと考えております。

次に、本市単独での保育士の処遇改善でございますが、新制度施行後に現在の教育、保育施設がどのような形態、規模の施設に移行することになるのかを把握し、影響額を見きわめた上で、助成措置を含めた現行の給付水準と、新制度における給付水準とを比較検証し、その必要性を含め、検討してまいりたいと考えております。
最後に、株式会社の保育所の現状に関するお尋ねでございます。
市内で株式会社が運営する保育所につきましては、平成22年4月に開設した施設が多くを占めるため、比較的経験年数が短い保育士が多い状況にありますが、全体として定着率が低いとは認識しておりません。こうした施設に対しましては、毎年実施している指導監査におきまして、児童の処遇や施設の運営管理体制について確認した上で、必要な場合は適宜指導を行い、保育の質の確保に努めているところでございます。
また、市から委託費として支払った運営費につきましては、運営主体が株式会社か否かを問わず、本市と協議を行い、一定の要件を満たすことが確認できれば、法人本部の運営に要する経費にその一部を充当することも認められております。
以上でございます。

 

 

◯ふなやま由美議員

ただいま御答弁いただきましたけれども、まず待機児童に関する問題です。先ほどの子供未来局長の御答弁では、待機児童の早期解消に向けて取り組んでいくというお答えでしたが、市長のはっきりとした御答弁がございませんでした。先ほども議論があったところですけれども、2016年度当初までの4年間の今の市の4千人整備の計画で、本当に待機児童が解決するのか。そして、待機児童ゼロを公約として掲げなかった市長、ここでもはっきりと掲げるべきだと、はっきり言うべきだと思いますけれども、最初に市長にお伺いしたいと思います。

 

 

◯市長(奥山恵美子)

さきにこの議会でもお答えを申し上げましたとおり、本市におきます保育基盤の総量の問題につきましては、当該児童の年齢層の全体に比較しまして、いまだ他都市と比べて低い状況でございます。そうした中で、社会的なさまざまな、働きたい、働き続けたいという女性の方々や、また男女それぞれの双方の方々からのそうしたお気持ちに応えるべく、私としては、本市の財政面、またそれから受け皿となります、さまざまな経営主体の方々の受け入れる力、そうしたものを勘案します中で、最大限の努力として、年度間に千の保育総量を整備するということを考え、それを公約として掲げさせていただいたものでございます。
私の問題意識の基本につきまして、そのようなことでございますので、ここにおきまして、例えば瞬間風速的に待機児童ゼロを達成するということは、あるいは可能かもしれませんが、私としては、そうしたことは市民の皆様に対して責任あるお約束にはならないものと考えまして、私として基本的に考えますお約束をさせていただいたところでございます。

 

 

◯ふなやま由美議員

結局、待機児童ゼロとははっきりとおっしゃらないと。その公約にも掲げられないで、今の市民の願いに応えようとしないという姿勢があらわれたというふうに思います。待機児童の問題ですけれども、あくまでも認可保育所への入所を申し込んでも入所できない子供の数を待機児童と言っていますけれども、国は、この間、自治体による認証保育所や幼稚園の預かり保育、特定の保育所を希望している場合などを待機児童から外して、定義をどんどんと曖昧にしてきました。
仙台市は待機児童という場合に、現在はこれまでの新定義と、それから旧定義と、それぞれ把握をされて常任委員会にも報告をしておりますけれども、新制度移行後も、あくまでも認可保育所を希望しても入れない場合を待機児童と捉えるべきだと思います。認可保育所を希望しているのに、定員がいっぱいで入所ができないということで、小規模保育事業などに入所したという場合についても、やはり待機児童と捉える考え方を堅持すべきだと思います。そして、市民ニーズをきちんと把握して、待機児童解決のための事業計画に反映させることを求めますが、いかがでしょうか。

 

 

◯子供未来局長(板橋秀樹)

新制度における事業計画の策定についてでございますが、市民の方の多様なニーズに対応できるように、昨年秋に実施をいたしました市民アンケートの結果も参考に、さまざまな形態の施設や事業による量の確保に努めてまいりたいと考えております。なお、新制度の開始により、保育所以外にも認定こども園や小規模保育、保育ママなど、本市から認可等を受ける多様な施設等の中から、保護者がみずからの意向により市町村に利用を申し込み、市町村がその希望を踏まえて利用調整を行う仕組みとなりますことから、それらの多様な施設等も保育の受け皿として位置づけることとしております。
以上でございます。

 

 

◯ふなやま由美議員

結局、先ほど市長が待機児童ゼロと言えない、言わないということの根底には、この概念、待機児童の捉え方の問題が大きくかかわると思います。認可保育所を希望しても、入りたくても入れない子供という定義は、これは明確にしていくべきだというふうに思うんですね。結局、この支援新制度の狙いの中に、認可保育所を希望しても入れない子供というその概念、待機児童の概念そのものをなくしてしまうという考え方がありますから、これは公的責任を放棄する考え方です。ごまかすのはやめて、しっかりと市民ニーズを把握すべきです。その上で、あくまでも新制度で保育所に入る場合、市は利用調整やあっせんを行うことになりますけれども、認可保育所を希望する人、それから小規模保育所を希望する人、家庭保育室を希望する人、それぞれいらっしゃいますから、選択肢を決めるのはあくまでも保護者自身、あくまでも保護者の意向に沿った対応が行われるべきと考えますけれども、いかがでしょうか。

 

 

◯子供未来局長(板橋秀樹)

新制度における保育利用の申し込みに当たりましては、保護者の利用希望をお伺いした上で、利用希望が集中する保育所等の場合は、優先度の高い方から順に利用調整を行い、利用可能な保育所等を決定していくという仕組みとなっているものでございます。

 

 

 

◯ふなやま由美議員

それから、小規模保育事業や家庭保育室で保育を受ける対象年齢が三歳未満となります。三歳になれば、ほかの連携施設に移らなければならなくなります。さらに、新制度では、認定書をもらっても入所希望に見合う施設整備がなければ、保護者が行きたくても行けない、受け入れられないという状況は変わりませんから、三歳を迎えたときに行き場を失わないようにすべきだと思います。安定した保育提供を支えるための基盤整備が欠かせないと考えますけれども、いかがでしょうか。

 

 

◯子供未来局長(板橋秀樹)

小規模保育事業や家庭的保育事業の卒園児童の受け皿となる保育基盤についてでございます。
市民の皆様に安心して小規模保育事業等を御利用いただくためには、卒園後の受け皿となる保育所や認定こども園、幼稚園が確保されていることが大変重要であると認識しております。今後の保育基盤整備に当たりましては、子ども・子育て支援新制度における5カ年の事業計画の中で定めていくこととなりますが、受け皿として必要となる保育需要を踏まえながら、必要な施設整備が図られるよう取り組んでまいりたいと考えております。

 

 

◯ふなやま由美議員

しっかりと安定した保育提供のための基盤整備を求めたいと思います。その上でも、やはり認可保育所の整備が欠かせないと思います。その中で、子供の保育の継続の保障のためにも、公立の認可保育所の役割はますます大事になってくると思います。それなのに、仙台市がこの間行ってきた政策は逆行していまして、公立保育所を廃止して、9カ所、808名分の定員減らし、これを進めているというのは全く逆行です。廃止計画は今すぐやめるべきだと、これを強く指摘しておきたいと思います。
新制度移行後、3歳以降の連携施設を確保する問題や、障害や支援の必要な子供たちをしっかりと受け入れて、求められるニーズに応えて、保育の量も質もしっかりと保障できるように、公立保育所がその役割を果たすべきだと考えますけれども、いかがでしょうか。

 

 

◯子供未来局長(板橋秀樹)

小規模保育事業等の連携施設の確保につきましては、民間保育所、認定こども園、幼稚園のほか、公立保育所についてもその活用を検討することとしております。
また、障害児など特別な支援の必要な子供の保育につきましては、主に公立保育所において処遇の著しく困難な児童の受け入れを行ってきており、現在の役割を基本としながら、新制度における公立と民間の役割について検討してまいりたいと考えております。
こうした取り組みを通じて、新制度下において、公立保育所に求められる役割を十分に果たせるよう検討してまいります。

 

 

◯ふなやま由美議員

ぜひ、ますます役割が大事になるわけですから、公立保育所を廃止するなんていうことはやめていただきたいというふうに思います。
次の問題に移りますが、保育への営利企業参入の問題です。先ほど一括質問への御答弁の中で、余りにも仙台市の認識が甘いんじゃないかというふうに思いました。定着率が低いとは認識していないですとか、指導監査でやっていくからいいんだというような御答弁でしたけれども、本当に実態を捉えていらっしゃるのでしょうか。そのことを強く思いました。
私は、市内のある株式会社が運営する認可保育所に勤務していた方からお話をお伺いしました。細切れの配置で、職員とも子供とも信頼関係が築けない。同系列の別な園で人員が足りないと、突然、応援体制が組まれる。保育士は将棋の駒のように扱われて、疲れ果ててやめてしまったと語っておられました。こういうことが、本市の株式会社立の保育所で行われているのです。これで、市は本当に子供たちのよりよい保育の保障に責任を持っていると言えるのでしょうか。どのように認識しているのでしょうか、伺います。

 

 

◯子供未来局長(板橋秀樹)

保育所の運営内容につきましては、先ほども申し上げましたけれども、定期的な指導監査におきまして所定の基準に適合していることを確認いたしております。また、運営内容につきましては、経営方針、経営内容、さまざまな所定の書式についての記述内容と実態を照合しながら、その適正な運営について継続して指導しているところでございます。

 

 

◯ふなやま由美議員

市の認識が余りにもなさ過ぎると思うんですね。認可保育所を運営するときの人件費率ですけれども、8割近くに上るというのが普通の運営です。私、この間、仙台市の認可保育所の中で、株式会社立の保育所がどうなっているのか、当局に資料を出していただきました。決算収支内訳書を見て、大変驚いたことがあります。
それは、株式会社立の認可保育所の人件費率が余りにも低いということです。少ないところでは5割にも満たず、45%というところまでありました。これは、余りにも異常な運営と言えるのではないでしょうか、伺います。

 

 

◯子供未来局長(板橋秀樹)

市内の株式会社が運営する保育所につきましては、先ほども御答弁申し上げましたけれども、比較的最近開設した施設が多いため、経験年数が短く若い保育士が多い状況にあります。そのため、人件費の割合が低い状況にございますが、社会福祉法人など、ほかの主体が運営する保育所と比較して、児童の処遇や施設の運営において支障があるとは認識をしておりません。

 

 

◯ふなやま由美議員

45%にも満たない人件費率で支障がない、それは子供の保育がどうなっているかと心配に思わないんでしょうか、伺います。

 

 

◯子供未来局長(板橋秀樹)

運営の内容の適否というのは、人件費比率のみで考慮されるものではないというふうに認識をしております。

 

 

◯ふなやま由美議員

子供たちの保育、心配じゃありませんか。子供未来局長、お答えください。

 

 

◯子供未来局長(板橋秀樹)

保育の質の確保につきましては、先ほども申し上げましたように、所定の基準に適合していることを定期的な指導監査等で適宜確認の上、必要な場合は指導を行っているところでございます。

 

 

◯ふなやま由美議員

本当に子供たちの命を預かる大事な保育の仕事を担う仙台市が、しっかりとこうした事例がないかということで、是正や勧告、指導を行っていく必要があるというふうに思います。再度、強く決意を求めますけれども、いかがですか。

 

 

◯子供未来局長(板橋秀樹)

適正な運営の確保というのは当然でございまして、これは制度にのっとって我々として必要な措置をきちんと行っていく覚悟でございます。

 

 

◯ふなやま由美議員

さらには、全国的には大手の営利企業による保育所の撤退問題、突然の閉鎖などが起きて、継続しての安心の保育が根底から崩れていると、こういったことまで指摘をされています。市はこうした現状も検討しないで、この間、20年間の賃借料などの補助を、これを先払いまでして株式会社立の保育所を認可させてきました。全国チェーンの大手のように、保育事業でもうけようなどという営利企業は参入させるべきではないと思いますけれども、いかがでしょうか。

 

 

◯子供未来局長(板橋秀樹)

国におきましては、待機児童の解消等の課題に対して、地域の実情に応じた取り組みを容易にするため、平成12年に設置主体の制限を撤廃し、株式会社の参入を可能としたところでございます。本市におきましても、多様な主体により保育基盤の拡充を図るため、株式会社の参入を進めてまいりました。
保育所を円滑に運営していくためには、運営主体の安定した経営が必要であることは、社会福祉法人でも株式会社でも同様でございます。本市では、経営の安定性や経営理念、保育所の運営方針等について十分な確認を行い、年度ごとの指導監査におきましても子供の処遇や経理の監査を行い、必要な指導を行っておりますことから、営利企業であることのみをもって保育所運営の参入を拒む考えは持っておりません。

 

 

◯ふなやま由美議員

安倍内閣はどんどん保育の分野、福祉の分野の規制緩和を進めて、新制度に当たっても各自治体に株式会社を参入させないというような取り決めをしないような、そんな通知まで出しているんですね。これは、本当にとんでもない中身だと思います。先ほどからも何度も申し上げていますけれども、子供の命を預かっているのです。子供の保育は、決して商品ではございません。この立場でしっかりと新制度に当たっても子供の最善の利益を保障する保育を提供すると、堅持すると、このことを強く求めておきたいと、これは市長にお伺いしますが、いかがですか。

 

 

◯市長(奥山恵美子)

子ども・子育て支援新制度の運用に当たりまして、これは仙台市の子供たちがよりよい保育、教育を受けられるようにということで進めているものでございます。

 

 

◯ふなやま由美議員

しっかりとした決意もお答えいただけないというのは非常に残念なんですけれども、次に財源の問題で、安倍政権が当初、子ども・子育て支援新制度の財源には、1兆円を超える財源を確保して、量的拡大だけでなく質の向上を行うということを約束していました。しかし、この約束もすっかりほごにされて、ことし三月になってからは、大幅に当初約束から後退して、7千億円の施策案になりました。そのために、当初、質の改善については8700億円充てると言っていたのですが、たった三千億円に圧縮されてしまいました。これでは、約束した質の改善すら全くなされないのではないでしょうか。財源保障を国に強く求めるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

 

 

◯子供未来局長(板橋秀樹)

新制度における保育等の質の改善に向けた財源の確保でございますが、この新制度が成立する際の法案審議の過程におきましては、いわゆる3党合意や関連法案に対する附帯決議におきまして、幼児教育、保育、子育て支援の質、量の充実を図るため、1兆円を超える程度の財源が必要であり、政府はその財源の確保に最大限努力するとの文言が盛り込まれております。
消費税増収分から充当される7千億円程度以外の3千億円超については、今後、国の予算編成過程において、歳入歳出の見直し等の動向を踏まえて、確保に取り組むこととされております。新制度のもとでの子ども・子育て支援の質と量の充実を図るための財源の確保に向け、今後、他の指定都市等とも連携し、国に対して要望してまいりたいと考えております。

 

 

◯ふなやま由美議員

しっかりと財源確保に取り組んでいただきたいと思います。そして、そもそも、この子ども・子育て支援新制度の枠組みが消費税と一体になっているというこの制度設計そのものが、根本から間違っていると思います。こんなやり方をやめて、先進国の中でも極めて低い水準にとどめられている子育て支援策について抜本的に引き上げていくことこそ、安倍政権は責任を持つべきだというふうに思います。この立場で強く求めていただきたいと思います。
子供たちの最善の利益を保障する保育の実現こそ重要です。仙台市がその役割を果たすことを強く求めて、質問を終わらせていただきます。(拍手)
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