【概要】安倍暴走政治をはね返し、市民まもる市政を
(市民アンケート、国保料、住宅再建、
復興公営住宅、地下鉄東西線、市バス再編案)
◯庄司あかり議員
日本共産党仙台市議団の庄司あかりです。会派を代表して、提案されている諸議案及び市政の重要課題について、質疑を行います。
消費税を5%から8%に17年ぶりに引き上げてから、2カ月半が過ぎました。8%になり買い物を週1回にした、10%になったら10日に1回にせざるを得ない、年金だけの生活、生きていることが苦痛になります、これから住宅再建するのに増税は被災者泣かせですなど、私たち日本共産党市議団が行っている市民アンケートでは、消費税増税による暮らしへの影響について、連日、切実な声が届いています。食料品などの生活必需品も含め、あらゆる商品やサービスに課税される消費税が、低所得者や被災者にとって重い負担になっていることがわかります。
厚労省が発表した4月の毎月勤労統計調査によると、基本賃金を示す所定内給与は0.2%減少し、25カ月連続でマイナスになりました。消費税増税の影響で、四月の消費者物価指数は、前年同月比3.2%も急上昇しました。基本賃金が下落する中で、家計は圧迫されるばかりです。市が行っている税務統計調査を見ると、個人市民税の一人当たり負担額は、2008年の12万6000円から2012年には10万2500円と、右肩下がりになっています。市民の暮らしがこれほど疲弊する中で、まさか消費税10%への増税を黙って見ているはずはないと考えますが、奥山市長の御見解を伺います。
4月1日、エイプリルフールにつかれたうその中で最もひどいうそが、消費税の増収分は全て社会保障の充実と安定のために使われますだと、やゆされたほど、社会保障はよくなるどころか、年金は削られ、介護や医療の国民負担はふえ続けています。
政府与党が衆議院で強行した医療・介護総合法案では、介護保険で要支援と認定された約160万人もの方々が、介護保険の適用外とされてしまいます。また、特別養護老人ホームの入所者を要介護3以上に限定することや、これまで一割負担だった介護保険利用料を二割負担に引き上げることも盛り込まれています。医療においても、都道府県に病床再編計画をつくらせ、従わない場合はペナルティーも科して在宅に押し戻し、高齢化のピークとされる2025年までに43万床も減らす計画です。
奥山市長は、社会保障のためなので、やむを得ないなどと言って増税を容認してきましたが、社会保障が次々と改悪される中でも、そんなのんきなことを考えているのでしょうか。
そもそも社会保障には、所得の再分配という機能があります。累進課税など応能負担の原則のもと集めた税金を、公的年金や医療、介護などの社会保障給付によって再分配するというものです。その点で、消費税は低所得者に負担が重く逆進性が強いため、社会保障の財源には最もふさわしくない税金の集め方です。それにもかかわらず、奥山市長が社会保障のための消費税増税という言葉の持つ矛盾に気づかないで、政府の宣伝文句を無批判に受け入れているのであれば、社会保障のそもそも論から出直すべきだと考えます。政府のごまかしを正面から批判し、応能負担の原則に立った社会保障の充実こそ求めるべきです。いかがでしょうか、伺います。
震災で格差と貧困が浮き彫りになり、ますます福祉の充実が求められているときです。それなのに、市は、今年度から国民健康保険料の算定方式を変更し、低所得者や多人数世帯にさらなる負担を押しつけています。国保料の通知が届いた市民からは、収入が減ったのになぜ保険料はふえるのか、経過措置があるのになぜこんなに上がるのか、なぜ制度を変えたのかとの苦情が寄せられています。
こうした事態を招いた要因は、国保の広域化をもくろんで算定方式変更を強要した国の誤った政策です。この被害を最小限にするのが、自治体の役割であるはずです。やはり私たちが主張してきたように、市が独自に繰り入れをふやして、保険料が上がらないよう措置をとるべきでした。今すぐに、保険料大幅引き上げ世帯への負担軽減の緊急対策を行うべきです。具体的には、算定方式変更によって国保料が高くなった世帯に対して、負担増部分を全額免除すべきです。そのために必要な補正を組み、一般会計から繰り入れるべきです。いかがでしょうか。
また、恒久的措置として独自の所得控除を創設し、それに伴う必要な財源は、保険料の枠内ではなく一般会計から繰り入れるべきです。あわせて伺います。
第八十二号議案、第八十三号議案、第八十七号議案及び第八十八号議案は、来年度から始まる子ども・子育て支援法の制定に伴い、基準を定めるものです。
これらは、まず提案の仕方に問題があります。条例のつくり方が、省令何条のとおりと政省令の条項のみを引用する方式で書かれていますが、これでは条例を読んだだけでは基準の内容がわかりません。仙台市の基準がどうなっているのか、市民が見てわかりやすくするためには、政省令等の基準の内容を全て規定する抜き書き方式にすべきです。
さらに、提案の時期も問題です。今回の基準のもととなる厚生労働省の省令が、予定より大幅におくれて4月30日に出されたばかりです。6月議会で上程した政令市は、仙台市を除くと、さいたま市、静岡市、堺市の3市だけです。性急な提案では、結局多くの項目で国基準を機械的に適用するものになってしまい、子育て支援充実の願いには到底応えられません。せっかく市の裁量が認められ、よりよい基準や運用が可能になっているのですから、少しでもよい施策となるよう検討すべきです。
そうした立場から私たちが出した対案では、市独自で保育士の配置基準を規定することや、放課後児童健全育成事業を独立した条例にし、内容も充実を図っています。このように、中身をよくする検討をもっと丁寧に行うべきです。今議会に急いで条例を出す必要はないと考えますが、いかがでしょうか、伺います。
日本共産党仙台市議団は、1993年の北海道南西沖地震と津波から20年を迎えた奥尻島を視察してまいりました。奥尻島は、全国から寄せられた義援金190億円を、日本一の使い方にしようと、被災者への直接支援に惜しむことなく拠出しました。住宅再建には一世帯最大1250万円、旅館などを初め商工業の再建支援に最大4500万円の直接補助を行いました。しかも、こうした支援メニューは、災害から半年余りで出そろったそうです。災害直後の町の説明会では町に対して罵声も飛び交ったけれども、支援策が示され見通しが持てるようになると、住民も安心し始めたといいます。一時的に島外へ出た被災者もいましたが、98%が戻り、人口流出を防ぎました。
こうした奥尻島の教訓もあり、東日本大震災では、配分決定のおくれはあったものの、義援金は被災者に直接届けられました。もちろん東日本大震災は大規模、広域的被害で、奥尻島の被害規模と単純には比べられません。しかしながら、奥尻島の被災者支援の考え方を仙台市に当てはめるならば、復興基金の使い方という点で、参考にすべきではないでしょうか。
仙台市は、震災から3年たって、ようやく実費補助に踏み出す始末です。これまでの独自支援策である、津波浸水区域の盛り土かさ上げ助成や宅地復旧の支援策も、予算は組んでも使われず、繰り越しになっています。さらに、今議会の補正予算を見ても、被災者への直接支援が1円もないことに驚きました。もっと思い切った支援で住宅再建の後押しをすべきです。いかがでしょうか、伺います。
支援の枠組みは整ったなどと胸を張れる状況でしょうか。第九十五号議案及び第九十六号議案では、防災集団移転促進事業の団地整備工事費を、資材及び労務単価の高騰等を理由に増額しています。必要な増額措置であると考えますが、公共事業の枠は拡大するのに、被災者の住宅再建については資材や労務単価の高騰を配慮しないのは、おかしいではありませんか。住宅再建の負担が重くなっていることは、被災者がまさに直面している問題であり、時宜にかなった支援をすべきです。住宅再建の実費補助の増額を求めると同時に、宅地被害も対象に加えることを求めます。あわせてお答えください。
第九十七号議案財産の取得に関する件は、集団移転先の荒井西団地用地を取得するものです。荒井西は、集団移転先の中でも希望者が183世帯と最も多い地区です。待ちに待ったというよりは、待たせ過ぎだというのが被災者の皆さんの思いでしょう。この荒井西地区、2012年6月の説明会では、土地の価格が㎡6万円でした。その後、わずか3カ月で㎡6万8000円に上がり、ことし1月の説明会では㎡8万3000円にまでなりました。説明するたびに価格が上がるなんて本当にひどいだまし討ちです。地価、資材、労務単価の高騰、消費税増税、このしわ寄せが被災者にいくことは許せません。地価などに基づいて決める借地料免除期間は、ローン期間などの個別の事情に合わせ、延長できるよう対策を講じるべきですが、いかがでしょうか、伺います。
4月から復興公営住宅への入居が本格的に始まりました。ようやく狭い仮設住宅を出られると、引っ越される方々のうれしそうな様子に安堵したのもつかの間、復興公営住宅に入ってから始まる家賃負担への不安の声が寄せられています。最も高い人が荒井東4Kで7万8700円、平均1万4755円の家賃に加え、共益費や駐車場代などの負担が被災者にのしかかっています。
国の特別家賃低減事業を利用しているのは、502世帯中、347世帯です。特別家賃低減事業は対象が低所得者に限られており、期間も10年間です。ただでさえ高齢者の年金世帯が主に利用しているのに、10年後、家賃が引き上げられたときに支払えるでしょうか。
日本共産党仙台市議団は、6月9日、国への要望交渉を行いました。国に対して、特別家賃低減事業の延長を求めるとともに、仙台市独自の家賃減免制度を創設すべきです。いかがでしょうか。
被災者は三回コミュニティーを壊されると、ある仮設住宅の自治会長さんがおっしゃいました。一回目は地震や津波でこれまで暮らしてきた地域のコミュニティーが、二回目は仮設住宅での暮らしの中で培われたコミュニティーが、そして三回目が、復興公営住宅に入居してから、高層住宅の中で隣近所の顔が見えず孤独死や孤立死に至ることを指しているそうです。こうした事態を招く前に、市が責任を持ち、復興公営住宅でのコミュニティー構築のために早急に手だてをとるべきですが、いかがでしょうか。例えば、仮設住宅でも行っているように、復興公営住宅の集会所にも支援員を常駐させることを提案いたします。いかがでしょうか、あわせて伺います。
今年度と来年度整備分の復興公営住宅への入居申し込みが、7月から始まります。前年度募集分の空き住戸と合わせて、36住宅、2447戸の募集です。荒井西や久保野などの一部の集合住宅や戸建ての復興公営住宅を除くと最終の募集になると市は説明していますが、これに対して、被災者の間では、本当に入居できるのだろうかとの不安が広がっています。
復興公営住宅に入居を希望する被災者は約3900世帯に上りますが、市は3200戸を整備戸数として算定しました。3月議会で、希望者全員が入ることができる戸数にするよう求めたところ、今後の他の自治体との調整状況と来年度の応募状況を踏まえ、さらなる対応が必要な場合にはさまざまな方策を検討すると答弁しました。しかし、次の応募状況を踏まえていたら12月になってしまいます。入居希望者に対して整備戸数が不足しているのは明らかなのですから、早急に戸数をふやす決断をすべきです。そのための意向調査を行い、整備計画をつくるべきです。伺います。
2015年開業予定の地下鉄東西線に合わせたバス路線再編案の説明会が、32カ所で行われました。再編案では、東西線沿線の地域などで60のバス停が廃止になります。また、仙台駅や大学病院に直通していた路線が廃止され、地下鉄駅に連れていかれるなど、無理やり地下鉄に乗せようという意図が見え見えです。各地の説明会では、高齢者には乗りかえや地下鉄の上りおりは負担になる、たとえ本数を減らしても直通路線を残してほしいなどの不安の声や厳しい批判が相次ぎました。
七郷市民センターで開かれた説明会では、石場地区に集団移転する予定だという被災者から、近くの南長沼バス停から若林区役所に行くルートと運賃について質問がありました。南長沼からバスで荒井駅まで行き、荒井駅から地下鉄で薬師堂駅へ、薬師堂駅からバスで区役所まで行くルートだと、乗りかえ2回で運賃は520円だというのです。これまではバス1本360円で行けたのですから、これには会場もざわつきました。
さらに、荒井駅から南長沼までは、バスが2時間に1本です。幾ら地下鉄が7分半に1本来たとしても、その先のバスが2時間に1本では、速く、時間どおりに、お得に移動などできません。そもそも再編後のバスの運行間隔に、津波被災地の現地再建地区に住民が戻ることも、集団移転先に住宅がふえることも想定していないのは、大きな欠陥だと言えます。
また、バス停が多数廃止される新寺地域の16の寺院から、バス停・バス路線廃止撤回を求める要望書が提出され、若林区老人クラブ連合会でも、再編案への意見を出すよう会員に呼びかけています。
区ごとのまちづくりも商店街など地域経済への影響も顧みず、地下鉄東西線ありきで進めようとするバス路線の廃止、減便はやめるべきです。伺います。
今議会は、IC乗車券導入に要する経費が補正予算として計上されています。バス路線再編説明会では、巨額の税金を投じて導入するイクスカを無理やり使わせようと、乗りかえで上がる運賃の分のポイントをつけて還元すると言っていました。説明会参加者からは、どこかの電気屋が言っているように、ポイントよりも現金割引がうれしいんだ、現金割引をしてほしい、との意見が出され、拍手が起こりました。地下鉄とバス、バスとバスの乗りかえで運賃が上がらないように、現金割引を行うべきです。いかがでしょうか、伺います。
補正予算、第六款経済費では、多面的機能支払交付金交付に要する経費が追加されています。このいわゆる日本型直接支払制度創設と一体に進められているのが、米の直接支払交付金の削減、廃止です。
今年度から米価変動補填交付金が廃止され、米の直接支払交付金については2018年には廃止し、今年度からは激変緩和として、従来の10アール当たり1万5000円から半額の7500円に削減されます。市内の被災農家にとっては、ようやく機械をそろえ、農地が復旧し、営農再開に立ち上がったところでの交付金削減です。1万5000円を見越して経営計画を考えてきたのに、これでは米の作付を続けられないとの悲鳴が上がっています。
安倍政権は、減反を廃止し、飼料用米などの生産誘導を図ろうとしていますが、現在の飼料用米の需要は限定的で、生産しても販路がないというのが実態です。飼料用米などの生産がふえず、主食用の米に集中することは明らかです。米の生産調整の廃止は、米価暴落を招き、地域農業の崩壊をもたらします。米の需給と価格の安定に政府が責任を持ち、生産調整の実施に当たっては転作条件を思い切って有利にし、農家が自主的に選択できる条件を整えることこそ必要です。同時に、米の生産費に見合うだけの価格・所得保障の確立を国に堂々と求めるべきです。いかがでしょうか、伺います。
こうした農業政策の背景には、TPPを前提にして、競争力ある農業を育成し、大多数の中小農家を切り捨てようとする狙いがあります。TPP交渉に当たって、重要農産物の聖域を確保する、できなければ交渉からの離脱も辞さないとの国会決議について、安倍政権、自民党は、再三言明してきました。オーストラリアとのEPAの大筋合意や、対米交渉でのたび重なる譲歩を見れば、国益など守り通せないことは既に明らかです。市長は、動向を注視するなどと言っている場合ではありません。今こそTPP交渉から即時撤退するよう国に強く迫るべきです。伺います。
今、景気対策として必要なのは、地域循環型の経済モデルをつくることです。市は、(仮称)中小企業支援条例の制定に当たって、域内循環を重視するとしています。
地域循環型の経済政策として全国で広がっているのが、住宅リフォーム助成制度です。緊急経済対策や住環境の整備などを目的に取り組む自治体がふえ、昨年度には全国628自治体に上っています。国が住宅リフォーム推進事業を創設し、昨年度補正予算で20億円計上して後押ししました。住宅リフォーム助成は、投資する助成金をはるかに上回る経済効果を生み、業者も住民も地域も元気にする制度です。秋田県では、4年間で補助額の24倍、1628億円の経済波及効果があったと言われており、担当者は、住宅リフォームは公共土木と比べても経済効果は大きく、影響の裾野が広いと語っています。
今、復興事業の中で大手、中央資本のゼネコンに仕事が集中し、税金が域外に流れてしまっているのは、もったいないことです。地域循環型の経済施策として、住宅や商店のリフォーム助成を行うべきです。いかがでしょうか、伺います。
第九十三号議案仙台市学校条例の一部を改正する条例では、坪沼小学校を生出小学校に、荒浜小学校を七郷小学校に統合しようとしています。
坪沼小学校は在校生が8人になったことから、学校のあり方について保護者や地域住民、教育局が懇談を重ねてきました。地域活性化や若い世代を迎えるための方策についても話し合ってきましたが、子供たちや保護者の思いを尊重し、地域としては学校を存続させたいと強く思いながらも、統合を承諾されたそうです。
しかし、いまだ地域の思いは複雑です。コミュニティーの核となる学校がなくなれば、過疎化、高齢化がますます進むのではという不安が生じています。住民の皆さんから、地域の将来とまちづくりへの希望を込めて、坪沼小学校を廃校ではなく休校にできないのかと切実な声が出されています。そうした選択肢もあるはずです。いかがでしょうか、伺います。
荒浜小学校では、何度も開かれた意見交換会で、市は同じ説明を繰り返すばかりで、住民、保護者の意見とは平行線をたどり、諦めさせられたというのが実態です。中野小学校の廃止条例が出された3月議会でも、保護者や住民の合意が十分に得られていない状態で一方的に廃止を決めるべきではないと指摘しましたが、それと全く同じやり方です。
保護者の皆さんは、在校生が荒浜小学校を卒業するまで学校を残してほしいと何度も訴えてきました。こうした声をどのように受けとめているのでしょうか。誠実に対応しようと思えば、こんな条例案は出てこないはずです。いかがでしょうか。
震災以前から、市はこれらの小学校の統廃合を狙っていました。そんな中起こった大震災に乗じて、学校の統廃合が急速に進められています。
学校統廃合だけではありません。念願だと言っているコンベンション施設建設を初め、地下鉄東西線を中心とした開発、コンパクトシティ化といいながら進める強引な機能集約と郊外切り捨てなど、市は自分の理想とする都市像に近づくために、災害を踏み台にしています。まさに惨事便乗型の復興まちづくりだと言わざるを得ません。
雑誌「仙台経済界」が、仙台のプロジェクト100という特別増刊号を発刊しています。この本の中で座談会仙台都心の再開発という特集が組まれ、都市整備局長が参加して話をしています。この座談会で、局長は、今後の抱負を聞かれ、行政には生活のベクトルを一旦外側に向けてしまったという反省があります。それを内側に向けるという意味で、今後とも郊外展開を是としないまちづくりを推進していきたいと話しています。
合併を強引に進めて市域を拡大しておきながら、郊外で暮らしを営む市民を切り捨てていいはずがありません。座談会での都市整備局長の発言の中には、一度も被災者や市民が登場しません。全体として露骨なまでの本音であり、市の姿勢が明らかです。
こうした考え方のもと進められてきたのが、津波被災地の災害危険区域指定です。昨年の12月議会で取り上げましたが、市は2011年3月29日には、住民の意向にかかわらず集団移転を強く推進するとの方針を持っていました。住民がもとの暮らしを取り戻す支援を行うことが優先されるべきなのに、市は震災直後から住民追い出しの方向にかじを切りました。住民の思いよりも、これを機に機能集約型都市を実現したいという市の思惑を優先したからではないでしょうか、伺います。
災害危険区域指定の科学的な裏づけとして出された津波シミュレーションも、かさ上げ県道の詳細設計が出てきたことで、根拠として崩れ始めました。シミュレーション上はかさ上げ県道の西側に来る津波は越流のみで、開口部はないものと条件づけています。しかし、実際のかさ上げ県道には、水路横断面などの開口部が40カ所あるという設計になっています。
県道より西側の地域の内水排水問題について話し合われた、せんだい東部復興市民会議の例会で、当局は、ゲリラ豪雨などが起きても開口部が40カ所あるので問題なく海まで流れていくと説明しました。そうであれば、津波だって同様に流入すると考えるのが自然です。12月議会での私の質問に対し、市は、津波浸水シミュレーションに影響が出ないように暗渠化などさまざまな工夫をしてまいりたいと答弁しています。しかし、構造を見ると、決してそうはなっていません。もはやシミュレーションが机上の空論であることは、はっきりしました。条件の設定次第で結果はどうにでも変わり得る津波シミュレーションだけで一方的に線引きしたことがそもそも誤りだったことを認め、住民の意向に沿った対応をすべきではないでしょうか、伺います。
さらに、蒲生北部では、災害危険区域に指定した上に、業務地区としての区画整理事業を進めています。6月5日に開かれた説明会では、減歩率も清算金の額も定かでないまま、8月には区画整理審議会を立ち上げようという市の一方的な進め方に、疑問の声が出されました。被災者に減歩、清算金を強いるべきではありません。いかがでしょうか。
震災からの3年間、私はたくさんのお別れを経験してきました。災害危険区域にされたふるさとに戻りたいと頑張ってこられた方、以前の暮らしに近い住まいを取り戻すため、よりよい復興公営住宅をつくろうと要望してきた方など、住民の願い実現に向け御一緒に行動してきた方々でしたが、志半ばで、区外、市外あるいは県外へと引っ越していきました。
理由は、家族との関係や経済的な問題など、それぞれに御事情があります。しかし、最大の理由は、ここで生活を再建しようと運動に取り組んでも、市が被災者に背を向け、訴えても訴えても声を聞こうとしなかったからです。これではどうしようもないと諦めざるを得ず、この地を離れていきました。そのどなたも、離れたくて離れたのではありません。悔しさと悲しさを抱えながら、一緒に頑張ってきた仲間を残して行ったのです。まちづくりのリーダーになるだろうと期待されながら、体調を崩し、仮設住宅で亡くなった方もいらっしゃいます。
住民の要望に耳をかさず、諦めるのを待つ、それが市の復興の進め方なのでしょうか。死ぬのを待っているのかという声さえあります。被災者の思いを踏みにじるやり方は断じて許せません。いかがでしょうか、伺います。
5月、市議会超党派のメンバーで東谷地の、できちゃった干潟と南蒲生の現地調査を行いました。東谷地はもともとカヤ場でしたが、津波で壊れた貞山堀から海水が流入し干潟ができました。そこでは、震災前に匹敵する66種類もの生物が暮らしています。中でも絶滅危惧種のセンダイハギを見ることができる貴重な場所です。津波で多くのものを失った仙台で、唯一とも言える津波で生まれた財産です。子供たちの環境教育などに生かせば、すばらしい体験ができると思います。また、南蒲生では、津波でなぎ倒された松林の中でしなやかにたくましく自然が回復している様子に、力強さを感じました。
ところが、今のままの防潮堤、海岸防災林再建計画を進めると、こうした貴重な自然環境が失われてしまうおそれがあります。3年前ハード優先でつくられた計画を、やはり今、自然との共生という視点で見直す必要があるのではないでしょうか。沿岸部は、国、県、市と管轄が複雑に入り組んでいます。豊かな自然環境を守るための三者の連携が求められています。仙台市がリーダーシップをとることを求めますが、いかがでしょうか。
福井地裁で大飯原発の再稼働差しとめという画期的な判決が出されたことに、感動が広がっています。判決は、国民の安全よりコストを優先する考え方を退け、憲法に保障された人格権を尊重し、命や暮らしを守ること以上に大事なものはないとの立場から、原発再稼働にストップの判定を下しました。
反原発の声を上げ、立ち上がる自治体が生まれています。北海道函館市は、4月、対岸の青森県大間町に建設中の大間原発の設置許可は違法だとして、国と事業主を相手に建設差しとめを求める訴訟を、市議会の議決を得て起こしました。この決断は大変重いものであり、函館市長の英断に敬意を表します。函館市を見習い、市民の生命と安全を守る首長として、女川原発の再稼働差しとめを求めるべきです。今月26日には東北電力の株主総会が開かれますから、大株主として、その場でも主張すべきです。いかがでしょうか、伺います。
安倍政権が集団的自衛権を認め、日本を戦争する国に変えようとしていることに、国内外問わず、不安が広がっています。集団的自衛権の行使を認めれば、例えば同盟国であるアメリカが海外で戦争をするところに日本の自衛隊も参加し、命を奪い、奪われることになってしまいます。歴代政権は、憲法上、集団的自衛権の行使はできないと繰り返し表明してきました。ところが、安倍政権は、憲法の解釈を勝手に変えることで、行使できるようにしようというのです。
こうした安倍政権の暴走に、国民の批判が急速に広がっています。世論調査でも集団的自衛権の行使反対が多数を占め、改憲派の憲法学者や、自民党の中でも良識ある元幹部たちが、解釈改憲は国を滅ぼすとの懸念を続々と表明しています。安倍政権は行使は限定的などと言っていますが、ひとたび憲法九条の歯どめをなくせば、時の政権の判断次第で範囲や対象が拡大解釈され、無制限に広がることは明らかです。
憲法は最高法規であり、国家権力が勝手なことをしないように、国民がその手を縛るものです。一内閣の判断で憲法の解釈を変えようなどという、立憲主義を否定する暴挙を許してはなりません。市長の御見解を伺って、私の第一問といたします。
御清聴まことにありがとうございました。(拍手)
◯市長(奥山恵美子)
ただいまの庄司あかり議員の御質問にお答えを申し上げます。
初めに、消費税率に関するお尋ねでございます。
社会保障・税一体改革による消費税率の引き上げは、医療や子育て支援などの社会保障制度の運営のための安定的な税源の確保を目的としたものと承知をしております。社会保障の維持、充実のために今後さらなる経費の増加が見込まれます中で、景気の変動に左右されにくい消費税により、広く国民全体に御負担をいただくことは、国民健康保険事業や、子育て支援などを直接所管いたします基礎自治体の立場からは、やむを得ないものと認識をしております。
他方、本市を含む、被災地東北は復興の道半ばであり、また、地域経済につきましても、その回復を実感するまでには至っていないのが現状でございます。
私といたしましては、そうした被災地におけるさまざまな状況をしっかりと把握しつつ、必要な場合は、その現状を国に伝え、被災地の復興、経済の回復に支障の生ずることのないよう、柔軟な対応も求めてまいる考えでございます。
次に、集団的自衛権についてのお尋ねでございます。
国の基本的枠組みをつかさどる憲法の解釈の変更につきましては、一義的には国政の場において判断されるべきものと考えておりますが、本件に係るこの間の議論の経過を見ますと、国民の皆様の中で意見が分かれる問題であるにもかかわらず、いまだ必ずしも十分な理解が得られないままに検討が進められつつあるように感じております。
本件は、これから将来にわたって我が国が進むべき道に大きくかかわる問題であり、国民の皆様の理解を得ることが何よりも肝要でありますことから、政府与党におきましては、より丁寧な手続を踏まえたしっかりとした議論を行っていただきたいと考えるものでございます。
このほかの御質問につきましては、交通事業管理者並びに関係の局長から御答弁を申し上げます。
以上でございます。
◯危機管理監(加藤俊憲)
女川原子力発電所の再稼働差しとめについてのお尋ねにお答えします。
原子力発電につきましては、再生エネルギー等多様なエネルギーの活用により、その依存度を低減させていくべきものと考えております。
女川原子力発電所の再稼働につきましては、現在、原子力規制委員会において、福島第一原子力発電所の事故の教訓や国際基準を踏まえた新たな規制基準に基づいて適合性の審査が行われております。当該委員会での評価や、電力事業者の安全性向上に向けた取り組み状況を注視しつつ、市民の安全・安心を第一に、市民生活や経済活動への影響等を踏まえ、総合的に判断していく必要がありますことから、このたびの株主総会におきましても、再稼働の差しとめを求めることは考えておりません。
以上でございます。
◯復興事業局長(鈴木三津也)
私からは、復興事業局に係ります御質問にお答えいたします。
初めに、住宅再建支援についてでございます。
本市では、これまで、被災された方々の御要望や議会での御議論などを踏まえ、被災の実態と復興の状況、財源と費用対効果など、さまざまな観点から検討を加え、支援制度を創設し、必要な拡充を図ってまいったところでございます。
このようなことから、さらなる経済的支援を実施する考えはございませんが、今後、これらの枠組みを最大限に活用いただき、個々の世帯の御事情に応じた一日も早い住宅再建を支援してまいりたいと考えてございます。
次に、実費補助等についてでございます。
実費補助につきましては、津波浸水区域の皆様の御要望を踏まえて、生活再建支援金の加算支援金を参考に、再建方法に応じまして定額を補助するものでございますことから、その増額については考えてございません。
また、この実費補助は津波浸水区域を対象とした県の交付金を主な財源として実施するものであり、宅地被害への対象拡大は困難でございます。
次に、移転先の借地料の免除についてでございます。
この制度は、被災前後の土地価格の差額と流失建物等の移転料相当額の合算額を借地料から免除することによりまして、移転される方の負担軽減を図る本市の独自支援でございます。
移転される方お一人お一人の従前の土地、建物の状況や、希望される移転先宅地の価格や面積は異なり、こうした違いを合理的かつ公平に借地料の免除期間に反映することを目的とした制度でございますことから、ローン期間の設定に合わせて延長することは困難でございます。
次に、災害危険区域の指定と津波シミュレーションに関するお尋ねでございます。
本市東部地域の災害危険区域につきましては、津波シミュレーションをもとに、議会における御議論や、地域の方々への丁寧な御説明と意見交換を重ねながら検討を進めてきたものでございまして、市民の皆様の命を守ることを最優先に指定を行ったものでございます。また、かさ上げ道路が既存の水路を横断する部分につきましては、暗渠化を基本として、県道の西側区域への浸水の影響にも十分配慮しながら、設計を進めているところでございます。したがいまして、災害危険区域の見直しは考えてございません。
次に、蒲生北部地区についてでございます。
土地区画整理事業におけます減歩や清算金は、事業の根幹にかかわるものでございまして、公平な負担をいただくために必要不可欠なものでございます。
今後の事業の進め方につきましては、先日、全体説明会を行ったところでございまして、さらに権利者の皆様から意向をお伺いするため、個別説明会も予定しております。今後とも地域の皆様へのきめ細やかな説明、対応に努めながら、事業の推進を図ってまいりたいと存じます。
最後に、本市復興の進め方についてのお尋ねでございました。
復興計画の策定や災害危険区域の指定、そして住宅再建に関する独自支援の創設など、本市復興に関する方針や施策につきましては、地域の方々との意見交換を数多く重ねたほか、議会での御議論を踏まえ、さまざまな立場の方からの御意見や御要望も頂戴しながら、検討をこの間進めてまいったものでございます。
本市といたしましては、これまでも丁寧な取り組みを進めてきたところであり、今後も、一日も早く多くの方々に住宅再建、そして生活再建を果たしていただけますよう、個々の御世帯の状況に応じた支援を進めてまいりたいと考えてございます。
以上でございます。
◯市民局長(渡邊晃)
復興公営住宅におけるコミュニティー支援についての御質問にお答えを申し上げます。
復興公営住宅につきましては、職員の常駐は考えてはいないところでございますが、コミュニティーづくりや見守り体制づくりは重要であると認識をいたしております。
こうした考えから、本年三月に策定いたしました被災者生活再建推進プログラムにおきましても、復興公営住宅入居者の孤立防止策の推進をコミュニティー支援の大きな柱と位置づけており、区役所を初め地域の関係機関、関係団体が連携しながら、入居世帯の孤立防止に努め、コミュニティーの形成支援を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
◯健康福祉局長(高橋宮人)
健康福祉局に係る二点の御質問にお答えをいたします。
まず、社会保障と税の一体改革についてでございます。
高齢化の進展により、自然増を含めた社会保障給付費の増大が見込まれる中、景気動向に左右されない消費税の増収分を安定財源として、持続可能な社会保障制度の確立を目指した改革が進められております。その一方で、消費税の逆進性に関する指摘につきましては、国において、低所得者の負担を考慮した臨時福祉給付金等の支給に加え、現在、軽減税率の導入など具体的な検討も進められております。
また、今回の消費税率引き上げによる増収分につきましては、社会保障給付費の自然増への対応のほか、新たに国民健康保険料軽減の拡充や子ども・子育て支援の充実が図られております。
今後一層、社会保障の機能強化を図るとともに、この制度を将来世代に確実に引き継いでいくためには、低所得者への配慮も行いながら、社会保障制度改革は進めなければならないと考えております。
次に、国民健康保険料についてでございます。
今年度より、保険料は所得に比例して算定される方式と変更いたしましたが、保険料が大幅に上がる世帯については、3年間の激変緩和の経過措置を設けているところでございます。
本市の厳しい財政状況のもと、既に多額の一般会計繰入金を計上している現状において、保険料が上がる世帯の負担増を全額免除するためのさらなる繰り入れは困難でございます。また、保険料算定に係る恒久的な所得控除の創設につきましても、同様の状況から一般会計からの繰り入れは困難と考えているところでございます。
以上でございます。
◯子供未来局長(板橋秀樹)
私からは、子ども・子育て支援法等の施行に伴う各種基準に係る条例案の提案時期及び内容について、お答えをいたします。
まず、本条例案の提案時期につきましては、新制度の開始に向けまして、市民や事業者に対する周知や説明等に十分な期間を確保できること、及び民間事業者がさまざまな準備作業を確実に進めることができる十分な期間を確保すること、こうした点に最大限に配慮することが必要と考えたところでございます。
このため、国での最新の検討状況を踏まえつつ策定作業を進めることとし、基準の策定に当たりましても、社会福祉審議会児童福祉専門分科会や、子ども・子育て会議において御議論をいただいた上で、市民の方へのパブリックコメントを実施する等の所要の手続を積み重ねて、今議会への提案に至ったものでございます。
次に、本条例案における基準の規定方法につきまして、さまざまな手法があるものとは承知をしておりますけれども、本市独自の基準が一目で判別できること、規定の分量を最小限に抑えられること、こうしたことから当該府省令の条項のみ引用するという規定方法を採用したものでございます。
以上でございます。
◯経済局長(氏家道也)
経済局に関する三点の御質問にお答えいたします。
まず、米の生産調整に関するお尋ねでございますが、現在、転作助成金や産地交付金の増額、収入金額が標準的な収入を下回った場合に差額が交付される収入減少影響緩和対策などにより、農家の所得確保に努めておるところでございます。
本市では、これらの施策に係る予算の確保や新たな米の需給調整が円滑に進められますよう、国に対し要望を行ってまいったところでございます。今後とも、農家の経営安定を図るとともに、農業者の不安の払拭や営農意欲の向上に努めてまいりたいと考えております。
次に、TPPからの即時撤退についてでございます。
今般、TPP交渉に先駆け、オーストラリアとのEPA交渉におきまして、米などが関税撤廃等の対象から除外される一方、牛肉については関税の引き下げ等がなされたところでございます。
このことを受け、現在、TPPに関する日米間の交渉が続けられているところでありますことから、今後とも政府の交渉動向等を注意深く見きわめ、国への要望など、適切な対応を行ってまいる考えでございます。
最後に、各種リフォームに関する取り組みのうち、商店のリフォームにつきましての御質問にお答えいたします。
商店に対するリフォーム助成については、新たな助成制度は考えておらないところでございますが、現在も商店も含めた事業所の店舗改修などに対し、小規模事業者向けの低利な融資や設備の省エネ化等に対した融資などを行っているところでございます。
今後とも、これらの制度に加え、店舗のリニューアルによる経営基盤の強化に向けた専門家派遣など、きめ細かな経営支援に努め、地域における商店の活性化を図ってまいりたいと考えております。
以上です。
◯都市整備局長(小島博仁)
都市整備局に係る数点の御質問にお答えいたします。
まず、復興公営住宅のうち、東日本大震災特別家賃低減事業についてでございます。これまでも国による支援期間の延長等について、東北市長会などで国に要望してきたところでございまして、引き続き、要望を行ってまいりたいと考えております。
また、市独自の家賃減免についてでございますが、復興公営住宅の家賃は国の基準に基づき、入居される方の収入と部屋の大きさなどにより決定されるものでございまして、同種の民間賃貸住宅と比較して低廉なものとなっております。さらに国の特別家賃低減制度を活用し、より低所得の世帯に対する家賃負担の軽減を図ることとしておりますことから、市独自支援でのさらなる家賃の減免は考えておらないところでございます。
次に、復興公営住宅の整備戸数についてでございます。
市外で被災された方も含めて、それぞれの世帯の状況を検討しながら、他の自治体における復興のまちづくりの取り組み等も踏まえて、供給目標戸数を三千二百戸としているものでございます。
現在、個別相談会で、被災された皆様の生活再建方針などを伺っているところでございまして、その内容や、今年度実施する全戸分の募集に対する応募状況、他の自治体との調整状況などを踏まえまして、さらなる対応が必要な場合にはさまざまな方策を検討してまいりたいと考えております。
次に、バス路線再編でございます。
本市では、過度な自動車利用を抑制し、公共交通を中心とする機能集約型のまちづくりを進め、市民の皆様の暮らしやすさの確保に取り組んでいるところでございます。今般、東西線開業を目前に控え、鉄道とバスが適切に連携した交通体系を構築するため、バス路線の再編案をお示ししたところでございます。
このたび、市民説明会におきまして、多くの皆様方からさまざまな御意見をいただいたところでございまして、今後、これらについて詳細な分析を行い、対応についてバス事業者とともに検討し、必要な修正を加え、ことしの10月から11月にかけて開催予定の第二回市民説明会におきまして、市民の皆様にお示ししてまいりたいと考えております。
最後に、住宅のリフォーム助成について、お答えいたします。
本市における住宅の改修費用への助成につきましては、東日本大震災の経験も踏まえまして、耐震化への助成を最優先として取り組んでいるところでございます。御指摘の国の長期優良住宅化リフォーム推進事業につきましても、一定の耐震性能を確保することが必須となっておりますことから、住宅の耐震化への効果を期待しているところでございます。
今後も引き続き、耐震化促進の観点を基本に、国の助成制度の活用について検討してまいる考えでございます。
以上でございます。
◯建設局長(吉川誠一)
私からは、海岸公園内の東谷地干潟及び南蒲生海岸防災林における自然環境の保全について、お答えいたします。
現在、防潮堤などの復旧と海岸防災林の再生を進める国と県において、学識者や専門家の方々を初めとする環境対策に関する検討委員会をそれぞれ設け、再生しつつある生態系の保全に配慮した検討を行っているところであり、本市もこれらの委員会に参加し、積極的に連携を図っております。
今後とも、住民の安全を第一とするほか、海水の浸入による農地への影響がないよう、関係機関と情報交換を行いながら、豊かな生態系の保全に配慮してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◯教育長(上田昌孝)
私からは、学校の統合に関するお尋ねにお答えを申し上げます。
初めに、坪沼小の統合についてでございます。
近年、児童数の減少が続いておりましたことから、保護者や地域の皆様が今後の坪沼小のあり方を初め、地域活性化などについて、真剣に協議を重ねてこられました。その結果、地域の皆様も子供たちの教育環境を第一と捉え、良好な教育環境の確保を求める保護者のお考えを尊重し、生出小との統合ということでまとまったものでございます。
平成28年度には在籍児童がいなくなると想定され、将来、上級生がいない状態で新入生を入学させることは教育環境上好ましくないと考えられますことから、休校の措置ではなく、統合の方向となったものでございます。
次に、荒浜小学校の存続についてでございます。
保護者や地域の方々との意見交換の中では、在校生が全員卒業するまで存続させてほしいとの御意見のほか、児童数の減少により友人関係も限定されるので統合もやむを得ないという御意見など、さまざまな御意見をいただきました。そのため、保護者の皆様へのアンケートをお願いしたところ、その多くが平成二十八年四月の統合はやむを得ないというお考えでした。
こうしたアンケート結果も踏まえ、改めて意見交換をする中で、保護者や地域の皆様の御理解をいただきましたことから、このたび条例の改正をお諮りしているところでございます。
以上でございます。
◯交通事業管理者(佐藤清)
バス、地下鉄等の乗りかえに対する現金割引についてでございます。
東西線開業を契機に全市的な立場から望ましい公共交通体系を築いていく上では、鉄道駅へのバス結節は不可欠でございます。それに伴いまして運賃が上昇するエリアも発生いたしますが、この点の緩和と利用促進のため、新たに導入いたします東西線結節駅周辺でのバスの百円均一運賃での軽減や、全ての地下鉄駅でのバス乗り継ぎに対してイクスカによるポイントの付与を行うこととしたところでございます。
さらなる運賃の割引は、バス、地下鉄の両事業の経営を踏まえますと、極めて難しい状況にございます。
以上でございます。
再質問
◯庄司あかり議員
今の御答弁をお聞きして、安倍政権がこれほど国民の声を無視して暴走を加速させているときに、奥山市長は何一つとして声を上げようとしない。必要なときに何かするって、今が必要なときだと思います。函館市長の例も挙げましたけれども、国のひどい政治から市民を守るために声を上げるべきときです。このことを初めに申し上げて、いろいろ言いたいことはありますけれども、三点に絞って再質問をいたします。
子ども・子育て支援制度関連の条例についてです。
市民的関心も高く、認可保育所を中心とした保育環境の充実がこれほど求められているときに、全くやる気が感じられない答弁でした。本当に市民の実態をわかっているのか、疑問です。今、私と同世代の友人たちが、このことで大変悩んでいます。就活、婚活をくぐり抜けても、次に待っているのは保育所を探す活動、保活です。ある友人は、認可保育所は何のためにあるんだろう、女性はよっぽどの理由がない限り働くなということなの、預けて働きたいけれども預けられる場所がない、これじゃあ少子化になって当然と話し、結婚したばかりの友人は、妊娠中から保活しないと認可、無認可かかわらず難しい、心身ともに負担が大き過ぎると語ります。これまで余り政治に関心を持ってこなかった世代が初めてぶつかる行政の壁が保育所に入れないことだといっても過言ではありません。
仙台市の待機児童は、減るどころか、ふえ続けています。子供や保護者にとってよりよい条例にするための検討、努力をもっと丁寧にすべきではないでしょうか、伺います。
二点目は、復興公営住宅の整備戸数についてです。
昨日、復興事業局長は、答弁の中で、生活再建プログラムの中でいまだ生活再建の見通しを持っていない約千世帯への対応が急がれるということで、復興公営住宅などについての情報提供や、関係部局と連携をとって対応していきたいという旨の答弁をされました。今後、さらに復興公営住宅の希望者はふえるということです。
一般抽せんが11月以降ですから、応募状況を見ていたら12月になり、それから整備計画を立てていては、また一年、後ろ倒しになってしまいます。決断がおくれれば、それだけ入居がおくれるということです。これ以上被災者を待たせるんでしょうか。直ちに戸数をふやすことを決め、整備計画をつくり始めることが必要です。改めて伺います。
最後に、復興の進め方についてです。
住民の皆さんの声を聞いてきたとおっしゃいますけれども、全然聞いていないから今回の質問をしているんです。沿岸部の災害危険区域指定、地下鉄駅周辺への集団移転、地下鉄沿線開発、地下鉄に乗せるためのバス路線再編、今回も取り上げましたけれども、震災以降のこの一連の流れは全て同じ思想のもとで行われています。誤ったコンパクトシティ、つまりは住民を無視した強引な機能集約と郊外切り捨てを災害に乗じて進めています。
農村集落を初めとする郊外のコミュニティー一つ一つが、仙台という都市を支えています。そのコミュニティーの自律性を破壊して無理やりに集約を進めることは、都市としてみずからの首を絞めることにつながります。震災に乗じて切り捨てるのではなく、郊外のまちづくりをもっと真剣に考えて、コミュニティーが持続可能となるように知恵を絞ることが必要です。取り返しがつかなくなる前に、惨事便乗型の復興まちづくりはやめて、住民本位の復興にかじを切るべきです。
以上、三点伺います。
◯子供未来局長(板橋秀樹)
子育てをめぐる現状と今議会に提案いたしました条例案の内容の検討というお話でございます。
これまで、先ほど来お話にありますような急速な少子化の進行ですとか、あるいは子供の保育機能が地域、家庭で低下をしている、こういった実態、さらには、子育ての孤立感や負担感の増加、また、生産年齢人口が減少する中で特に注目をされておりますM字カーブといいますか、30代女性の労働力の低下といった問題、これは国の大きな問題であるという認識に立って、今回、社会保障と税の一体改革の中で、高齢化問題、介護問題とあわせて、次世代の育成のためにこれを大きな国の責務として位置づけ、その財源措置を伴う大きな枠組みの変更を行う、これが今回の大きな流れであろうと考えております。
今回御提案をいたしました条例案につきましても、こうした大きな考え方に立って、子ども・子育て三法の改正、その中での子育て支援のための新しい支援制度、これを構築をして、その実現に対しては市町村にその大きな責務を負うと、こういう構造になってございます。
我々は、この大きな社会問題、国全体の問題であります今回の大きな課題に対しまして、どのような形で取り組むか。専門的な御意見も十分踏まえる必要もあります。また、パブリックコメント等により一般の方々の御意見を受けるという、こういう手続も必要でございます。一方で、これまで仙台市が取り組んできたさまざまな子ども・子育て支援活動、これの成果というのも継続をしていかなければいけない。こういった観点に立ちまして、さまざま御議論をいただいて取りまとめたものが、今回、御提案をした条例案という形でございます。
時間の問題あるいは内容の問題、さまざま御意見はあろうと思いますけれども、新しい制度が始まることによって、その給付金に対してかなりの改善効果を期待されているところでもございますので、私どもといたしましては、これを実現するために各事業者の方々、そして新しい給付制度をお待ちの利用者の方々にできるだけ早く情報を提供し、かつ、またその御理解、準備を進めていただく、こういう観点からこのような対応に至ったものでございます。
以上でございます。
◯都市整備局長(小島博仁)
復興公営住宅の整備戸数の件と、コンパクトシティの件、二点についての再質問について、お答えします。
まず、復興公営住宅の整備戸数でございますけれども、御承知のように、復興公営住宅につきましては、持ち家の再建とかあるいは民間賃貸住宅への入居が難しいと、そういった自立での住宅確保が困難な方に供給することを本市としては基本としているところでございまして、その上で、目標戸数につきましては、被災住宅地などの高齢者など住宅確保に配慮が必要な世帯とか世帯収入、さらには被災時居住地など、住宅困窮度などを総合的に判断して、三千二百戸と設定したものでございます。
現在、個別相談を継続しているところでございますが、今回の募集につきましては第五希望までとることが可能であるというふうになっておりますが、相談の中では入りたい住宅のみ希望し、第二希望以下は記入せず、希望する住宅に落選した場合はマンション購入等自力再建するという相談も数多く受けているところでございます。これをどう評価するか、我々としても苦慮しているところでございまして、したがいまして、応募数が募集戸数を上回った、いわゆる希望数が募集戸数を上回ったというだけで整備戸数をふやすという判断には至らないものと考えているところでございまして、今後とも引き続き相談会を開催しまして、被災者の皆様の生活再建方針等を十分に把握しながら、必要に応じて適時適切な方策を検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。
もう一つ、災害にかこつけて無理やりまちづくり、コンパクトシティをしているのではないかという御指摘だったと思います。
当初より、このコンパクトシティ、いわゆる機能集約型市街地形成につきましては、平成10年の総合計画、その段階から方針として打ち出しているものでございまして、震災の年に議決を受けました総合計画におきましても、よりそれを推し進めるという考えでまちづくりの方針としていると、そういうことでございます。
そういった中で、当然震災にかかわる復興事業、これは最優先でございまして、これに取り組んでいるところでございますが、我々としましては、復興後を見据えたまちづくりもあわせて行っていくという中で、コンパクトなまちづくり、いわゆる機能集約型市街地形成ということをさまざま取り組んでいるということでございまして、いわゆる災害、こういったものを排除するとか、災害にかこつけていわゆるコンパクトシティを進めるとか、そういった考えは持っていないというところでございます。
なお、雑誌の記事の掲載について、私の事例を出しておりますけれども、あれは、いわゆる都心部の再開発等において、どういったまちづくりを今後進めるかという中で、その文脈の中で郊外展開を是としないということでございまして、これをもって、いわゆる復興事業を否定すると、あるいはそれを後回しにするということではございません。郊外につきましては、商業機能、都心部における商業機能の展開について、郊外展開、こういったものについてはなかなかそれを方針として進めるということについては、これはとらないということの文脈の中で言っているところでございますので、そこについては御理解を賜りたいと思います。
◯庄司あかり議員
今の御答弁ですと、総合計画でもともと考えていたということなので、災害を踏み台にして、総合計画の達成を一息に進めようとしたように聞こえます。本当に、住民の思いに応える復興だと言えるんでしょうか。
仙台市の復興リポートを見ますと、2012年9月末の移転対象地区の生活再建意向調査では、集団移転が775世帯、単独移転が323世帯でした。しかし、ことしの3月末には集団移転が688世帯、単独移転が494世帯となり、明らかに集団移転から単独移転に切りかえていることがわかります。当初は集団移転を考えていた方でも、仮設での生活が長引き、移転先の地価も上がり続けたために、もう待っていられないと単独移転に変更したのだと思われます。
市が自分の理想とするまちづくり、先ほど総合計画とおっしゃっていましたけれども、この達成を優先したために、コミュニティーは分断されて、被災者はばらばらにさせられてしまいました。このことこそ反省すべきだと思います。機能集約、郊外切り捨て、地下鉄中心のまちづくり、この呪縛から逃れられず、このまま突き進めば、被災者や市民との溝は深まるばかりだと思います。復興とまちづくり全体にかかわる問題です。市長にこのあり方の転換を求めます。
◯市長(奥山恵美子)
仙台における復興の進め方ということでございますが、私は、かねてから何度か申し上げましたとおり、被災された方々の望まれる復興の道を御支援する中でこの復興を丁寧に進めてまいりたいということで、職員ともども進めてきたものでございます。
この間、さまざまな御判断をいただきます際に、事前の説明会の徹底や、またそこにおけます選択、またそれを、例えば住宅の再建のあり方にいたしましても、二度三度とお伺いする中で御意思の確認をさせていただき、まちづくりの一端を御一緒に歩んできたというふうに考えてございます。
総合計画におきますコンパクトシティというのは、人口減少社会におきます我々仙台の置かれました大きな都市全体を考えた場合のまちづくりのありようとして、基本的に踏まえるべき視点でございます。また、一方、復興はその中の一つのフェーズとして、住民の被災された皆様が一日も早く暮らしを再建なさるように、また、我々の都市として失う土地が最小限で済みますように、そうしたことを踏まえつつ、ハード、ソフトの両面からこれに携わっているものでございます。
住民の皆様にさまざまな御意見があることは私も承知をしておりますが、多くの皆様の大方の御意見につきましては、これを可能な限り御一緒に実現するという方向に従って進めてあるものだというふうに私考えているところでございます。そして、これからも、そうした方向性のもとに、最後までお一人お一人の皆様がしっかりと生活再建を果たされるように、寄り添って復興の道を歩いてまいりたいと考えております。