【概要】学童保育、児童クラブの現状と課題
(待機児童、指導員の拡充、放課後児童クラブ)
◯花木則彰議員
日本共産党仙台市議団の花木則彰です。子ども・子育て支援、とりわけ学童保育、児童クラブについて、一般質問をいたします。
子ども・子育て支援新制度の問題点と移行への仙台市の課題については、さきの2013年第四回定例会で、ふるくぼ和子議員の質問で明らかにしました。
改めて、児童福祉法第二十四条一項の市町村による保育の実施義務が残った意義をしっかりと生かし、認可保育所として継続させることが大切です。仙台市が独自に行ってきた、保育士加配での上乗せ加算などを引き続き充実すべきです。また、本市の子育て支援に私立幼稚園が大きく寄与してきた歴史を踏まえて、幼稚園として継続する道を支えるため、幼稚園就園奨励金などの諸制度を引き続き充実させるべきです。これら市の独自制度は、期限を区切らず続けていく姿勢を明らかにすべきです。いかがでしょうか。
また、待機児童を受け入れ、支えてきたせんだい保育室の皆さんの力を今後も発揮していただくことが必要です。
現在、A型、B型合わせて64施設のうち、認可保育所への移行を希望しているのは25施設です。それぞれの地域で培ってきた実績や信頼関係が継続され、認可保育所への移行が可能となるよう、単に個別相談に乗るだけではなく、個別の手だてや支援が必要です。用地の無償貸与や財政支援、特例としての要件の緩和など、子供未来局に必要な予算や権限も与えて移行を推進すべきと考えます。伺います。
子ども・子育て支援新制度によって市が条例等を定めなければならない事項は、保育の必要性の認定に関する条例、施設型給付を受ける特定教育・保育施設の運営基準条例、地域型保育事業者の認可基準条例、保育料徴収基準の条例、幼保連携型認定こども園の認可条例と設備、運営基準条例、加えて放課後児童クラブの設備、運営基準条例と公設クラブの施設設置条例などです。
新たな制度のもとで市がつくる各種条例は、従来の水準から後退せず、充実させる決意で決めていくことが必要です。いかがでしょうか。
小規模保育事業など、地域型保育事業者の認可条例も市で決めることになります。
ゼロ歳から3歳までの子供、6人から19人までを保育する小規模保育事業には、3つの類型が挙げられています。全ての職員が保育士資格を持つA型、資格者が半数以上のB型、資格者が半数未満のC型です。
現在でも、保育士資格者の配置が少ない保育施設ほど、乳児の死亡事故が多くなっています。保育の質にかかわる問題です。
また、人件費コストが違うため、利用者が支払う保育料に差が出ることになれば、所得の低い世帯の子供たちは質の低い保育しか受けられないということにつながります。さらには、コスト競争の末、大方の施設の水準が低いほうに偏る危険が高いものです。
本来、全ての職員が保育士資格者であるべきです。C型は現在の共同型家庭保育室からの移行に限り、B型は現在のせんだい保育室からの移行に限り認める条例にすべきです。その際も、必要な研修を受けることや、B型からA型にできるだけ移行してもらえるような手厚い支援策をとるべきですが、お考えを伺います。
せんだい保育室から小規模保育事業へ移行を希望している事業者は現在33施設あり、方向性が未定の施設も5施設残されています。
小規模保育事業者には、その施設を卒園した後、3歳以上児を受け入れる連携施設を定めることが求められています。移行に際して当面猶予されるとしていますが、卒園後の子供の行き先を持っていないで運営することは、保護者や子供にとっても不安です。認可保育所を希望する小規模保育卒園児が全員入所できるよう、実施責任を持つ仙台市が調整することは大前提です。さらに、せんだい保育室から移行する小規模保育事業施設については、公立認可保育所が連携施設としての役割を移行時に受けることも含めて調整すべきと考えますが、いかがでしょうか。
私は、仙台市の学童保育、放課後児童クラブの充実、発展を願って一貫して取り組んでまいりました。国の事業名としては放課後児童健全育成事業と呼ばれるこの分野では、今回の子ども・子育て支援新制度は、仙台市の施策を発展させる機会だと捉えています。
最初に、仙台市の学童保育をめぐる歴史と課題についてです。
1950年代、ほかの大都市と同様に、働く保護者同士による共同学童保育として始まりました。1970年代、支援を求める声に応えて、市は、教育局の留守家庭児童補導事業として家賃補助や指導員の人件費補助を出すようになり、その後、充実させました。市内の学童保育数は約50カ所までふえました。
1988年には、旧仙台市にはなかった児童館を、合併する泉市、宮城町に合わせつくることになり、児童館での学童保育実施の方針が出されました。このときに、本来別事業である学童保育事業を児童館事業の一部として行うとされたことが、その後、問題解決が図られないネックとなっています。
一番の問題は、学童保育のニーズ増加に児童館建設のスピードが追いつかないことです。一学区一児童館の整備は25年かかってほぼ達成しましたが、その間に、学童保育、児童クラブのニーズは既に児童館にはおさまらないレベルに達しています。
現在、109館の児童館に6519名の登録児童が通っています。うち、70名以上の大規模クラブは39館もあります。学校の余裕教室などを借りて児童館サテライトを23カ所でつくり対応していますが、抜本的な対策にはなっていません。
そもそも、仙台市の児童館は狭過ぎます。小型児童館の基準も満たせないコミュニティ児童館が二館、マイスクール児童館も9館あります。児童館が子育て支援の地域拠点として役割を果たすためには、必要な規模で整備すべきです。
児童クラブの専用室もない児童館は31館、あっても実際には共用とされていて専用室とは呼べないところや、大変狭いところも多数残されています。
もう一つは、放課後児童クラブの専任指導員が配置されないことです。児童館職員は、市の嘱託職員からひと・まち交流財団に身分移籍し、その後、指定管理者制度導入でNPOへの指定管理委託もふえました。児童厚生員の身分、待遇は、全体として悪化傾向にあります。地域の子育て支援の拠点として児童館への期待に応えることも、毎日必ず通ってくる児童クラブ事業のニーズの高まりに応えることも、両方とも困難になってしまっています。
1999年から、児童クラブ専用室と指導員の専任化、大規模クラブの分割など、児童館、児童クラブの学童保育としての質の充実を求める市民、保護者の運動が粘り強く続けられてきました。市は、この間、さまざまな指定管理者のもとで行われる児童クラブ事業の水準の均一化のためとして、指針を初めて作成しました。その中で児童クラブの指導員の仕事など記載していますが、まだマニュアル的で、学童保育を必要とする児童の生活を保障する観点がないなど問題があります。
この根源に、学童保育、児童クラブを放課後児童健全育成事業として独自に位置づけていない仙台市の特殊な問題があるのです。
奥山市長は、教育局生涯学習課長をされていた当時から、これらの問題に直接かかわってこられたと思います。私も、繰り返しこの根本問題を指摘してきました。改めて、市長のお考えを伺います。
さて、子ども・子育て支援新制度では、学童保育、児童クラブはどのように変わるのでしょうか。子ども・子育て支援法では、市町村が行う地域子ども・子育て支援事業となり、学童保育の整備計画を含む地域子ども・子育て支援事業計画を策定する義務が課せられました。附則には、放課後児童健全育成事業に従事する者等の処遇の改善を検討し、措置を講ずることも盛り込まれました。
また、児童福祉法も改定され、対象児童をおおむね10歳までから小学6年生までに引き上げ、自治体以外の者が学童保育を実施する場合、届け出ること、国が学童保育の基準を省令で決め、市町村は基準に従い条例で定めることなどが書き加えられました。
仙台市では、学童保育条例や事業計画の策定に向けて、どのような準備、検討が行われているのか、今後のスケジュールも含めて、お伺いをいたします。
国の社会保障審議会児童部会放課後児童クラブの基準に関する専門委員会で、児童クラブの質にかかわる大切な検討が行われています。昨年末、報告書が出され、1月には全国厚生労働関係部局長会議が開かれ、仙台市も報告を受けています。
放課後児童クラブの提供すべきサービス、特性とは何かという点について検討し、整理されています。
放課後児童クラブに求められる機能としては、児童と保護者が安心して利用できる居場所としてふさわしい環境を整備していくことが適当であり、クラブにおける児童の様子を家庭に伝え、児童を見守る視点を家庭と放課後児童クラブとで補い合うことで、保護者が安心して子育てと就労を両立できるよう支えることが適当であるとしています。
こうした機能、役割を持って、児童の発達、成長と自立を促し、健全な育成を図る事業であるということを、仙台市の学童保育条例でも目的に書き込み、明確に位置づけるべきです。いかがでしょうか。
学童保育、放課後児童クラブは、共働き、ひとり親家庭などの小学生が、学校のある日は放課後の時間、土曜日や長期休業日は朝から夕方までの一日を過ごす施設です。家庭と同じように過ごせる生活の場なのです。このことを通じて、保護者の子育てと働き続けることを支援する制度です。
小学校低学年の場合、学校にいる時間は年間1221時間です。一方、学童保育で過ごす時間は1681時間にもなります。学童保育での時間と場所が、子供たちの成長にかけがえのない大切なものであることを私は切実に感じます。
現在の市の児童クラブは、施設設備面でも、児童数の多さ、指導員の配置を含めた質の面でも、十分なものとは言えません。児童クラブを仙台市が行う事業として条例で定め、市民に約束するわけですから、現状容認のレベルで市が考えているとしたら問題です。児童福祉法第三十四条八の二で規定されたように、児童の発達のために必要な水準を真剣に考え、市の設備、運営基準条例に規定すべきです。いかがでしょうか。
放課後の生活というためには、食、休息、遊び、学習が総合的に保障されなければなりません。楽しくリズムある生活の一部としてのおやつや補食。体調や気持ちがさえないときでも、静かに過ごすことができる場所。学校での緊張や体を動かす遊びの合間にのんびりリラックスできる場所。子供同士あるいは指導員とのおしゃべり。もちろん、好きな遊びができることも大切です。
生活の保障は、時間の保障、場所の保障だけではできません。人とのかかわりの中で生活の保障をする。子供たちにとっての人間関係をつくり育てるのが、学童保育、放課後児童クラブの役割です。子供たちが学校などで感じたうれしかったことも、やりきれない思いも、聞いてもらえる存在がいることで、伝え合う力をつけることができます。子供たちの成長に大きくかかわります。
また、継続的に毎日通えることが、子供たちにとっても親にとっても必要条件です。ですから、継続的な集団づくり、どの子も排除されない集団づくりができなければなりません。
そのために必要な、施設環境や適正な集団規模、そして指導員の力量について検討するべきです。児童クラブでの放課後の生活の保障について、必要なこれらの基準も含めて明確にすべきです。単なる放課後の居場所、放課後子ども教室などとは全く違うものです。
市が条例化する際、国に従うべき基準として、従事する職員の資格があります。報告では、おおむね児童の遊びを指導する者を基本とする方向が出されています。しかし、単純に児童厚生員の資格があればよしとはしていません。
なぜなら、生活の場を与える放課後児童クラブと、児童館などの児童厚生施設とでは、児童とのかかわり方の観点や求められる知識や職務の内容が異なるからです。指導員の資格の名称も、単純に児童厚生員ではなく、遊びの指導のみならず、児童の生活の指導、支援を行う人であることをあらわすよう求めています。
この点からも、市の定める条例では、指導員の資格として放課後児童クラブ指導員との名称とし、児童厚生員の資格を持つ人や2年以上放課後児童クラブ事業に従事した人で、基本的生活習慣の習得の援助、自立に向けた支援、家庭と連携した生活支援等に必要な知識、技能を補完する内容の研修を修めた人とすることを提案いたします。いかがでしょうか。
仙台市は、児童館、児童クラブに専任指導員を配置せず、児童クラブ担当だけ決めて、実際には次々と日がわりで充てざるを得なくなっています。子供たちにとっては、指導員への信頼感を深める機会も少なく、たとえ、あの先生には何でも話せるという人ができても、必要なタイミングでいてくれないことになります。国が求める基準である1クラブ40人をめどにしたクラブ運営を行い、資格を持った放課後児童クラブ指導員複数と必要な補助指導員を配置し、日常の運営に当たる配置基準を求めます。お答えください。
施設の広さについての基準では、国の報告書は一人当たり1.65㎡以上としています。これは、児童クラブ専用室についての広さです。児童館で放課後児童クラブの児童とそれ以外の児童が同じ建物で過ごす場合も、専用室は、放課後児童クラブの対象となる児童が生活する上で支障を及ぼさない場所と考えるとしています。児童の活動の場は別としており、児童館の遊戯室などはこの面積に含めないことは明らかです。
仙台市の児童館の標準的な広さは全体で約300㎡です。そのうち児童クラブ専用室は約40㎡。1.65㎡で割ると、約24人分の広さしかないことになります。
放課後児童クラブの施設、設備の基準を条例に明記することが求められています。児童館の中で行われるときも、それ以外の場所で行われるときも、仙台市以外の者が事業を行うときも、守るべき基準として、専用室1人当たり1.65㎡以上と定めるべきです。いかがでしょうか。
静養スペースや発達段階に応じた遊具、図書などの配備についても必要と条例上、書き込むべきです。お考えを伺います。
放課後児童クラブ専用室は、登録児童が自分の家として生活する場所です。ランドセルやつくりかけの工作などを入れておける個人専用のロッカーは必須です。おやつや補食に使える流し、調理台、冷蔵庫なども、生活ですからあって当然です。学童保育は、狭い部屋にぎゅうぎゅう詰めで、騒々しくて当然という発想でなく、必要な備品など環境整備に努めるべきです。いかがでしょうか。
地域子ども・子育て支援事業計画をつくる上でも、今でも不足する児童クラブ定員と箇所数を、小学校6年生までのニーズや、一児童クラブの規模を40名程度とすることを求める基準に応えるため、大幅にふやしていく計画とすることが求められています。
おおむね40名の児童クラブを一小学校区に複数つくる、それも基準に見合う施設を整備する必要があります。児童館の施設だけで児童クラブを行うのでは不可能だと考えますが、いかがでしょうか。児童館に専用室等を整備するとともに、ほかの形で放課後児童クラブ専用施設整備を行うべきです。あわせてお答えください。
70名以上の大規模クラブは国の補助金も出ないことになって、仙台市がとった手だてが児童館サテライト方式です。しかし、余りにも場当たり的で、不十分なものです。
例えば、小学校の余裕教室をサテライトとして使っている場合も、部屋はふえたけれどクラブは分割されたわけではなく、きょうは1年生がサテライトを使う日などとして運用されています。児童クラブの終わりの会には本館に戻って、6時以降の延長は本館だけで行われます。これでは、一人一人の子供を継続して生活支援する放課後児童クラブの役割が果たせません。
近隣の自治体でも、利府町では、児童館の本来業務と本館施設管理を指定管理委託とし、児童クラブの事業は、本館内で行うものも、サテライト等で行うものも、別の業務委託契約としています。放課後児童クラブの水準を定め、クラブごとに指導員を配置し、そのための委託料を積算し委託するこの方式が、児童館本館での児童クラブと、別の場所での児童クラブが同じ水準で運営されるためにも必要な措置だと考えます。いかがでしょうか。
仙台市が行う放課後児童クラブが必要な水準となるよう、市民に約束をする条例や事業計画でもあります。各種の基準の検討に際して、子ども・子育て会議に放課後児童クラブ専門部会を設けて、当局や指定管理受託者に加え、仙台市内で学童保育の充実、発展に取り組んできた団体や利用経験者、研究者などの意見が反映されるよう取り組むことを求めます。
このことを最後に伺って私の第一問といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
◯市長(奥山恵美子)
ただいまの花木則彰議員の御質問にお答えを申し上げます。
本市におきましては、放課後に保護者が不在の小学校低学年への施策として、当初は民家などを借り上げて運営するクラブに運営費を補助する留守家庭児童補導事業を実施しておりましたが、現在は、児童福祉法に定めるところの放課後児童健全育成事業として、児童館において児童クラブ事業を実施しているところでございます。
このような方式で、ほぼ全市での展開を実現するとともに、開設時間の延長や長期休業中の早朝開所など、サービスの内容を見直しつつ、保護者の御要望にもお応えをしながら、制度の改善充実を図ってきたところでございます。
近年、保育需要の高まりと軌を一にして、登録希望児童が増加をし、放課後に子供たちが安心して過ごせる場所をどのように確保していくかが大きな課題となってまいりましたことから、国において議論が進められ、児童福祉法が改正され、放課後児童健全育成事業に係る制度的な基盤を整えるとともに、受け入れ拡大に向けた対応を図ることとされたところでございます。
需要の増加という状況は、本市においても同様であり、これまでの本市の推進手法をベースにしながら、子ども・子育て支援新制度での位置づけを踏まえた必要な措置を講じ、地域の実情に応じた子供の居場所づくりに、引き続き、力を入れてまいりたいと考えております。
このほかのお尋ねにつきましては、子供未来局長から御答弁を申し上げます。
以上でございます。
◯子供未来局長(西城正美)
初めに、子ども・子育て支援新制度についての御質問にお答えいたします。
まず、認可保育所及び私立幼稚園への本市独自補助金についてでございます。
認可保育所に対する本市独自の補助金につきましては、国の制度による運営費を補うものとして実施しておりますことから、今後、国から示される子ども・子育て支援新制度における給付費の水準や算定基準などを踏まえ、そのあり方について検討を加える必要があるものと考えております。
また、新制度の給付を受けない幼稚園に対しまして、国の私学助成や幼稚園就園費補助等の支援が継続されることとなっておりまして、本市といたしましても、その内容や新制度との整合性などを勘案しながら、今後の支援のあり方について検討を行ってまいりたいと存じます。
次に、せんだい保育室の認可保育所移行支援についてでございます。
せんだい保育室には、現在、本市の保育基盤の一翼を担っていただいているところでありまして、新制度への円滑な移行が図られるよう、国の制度を活用しながら支援を行っていく考えでございます。
引き続き、それぞれの事情をお聞きしながら、可能な限り実情に応じた対応をしてまいりたいと存じますが、個別の支援として用地を無償で提供することや特別に要件を緩和することは、公平性等の問題があるものと考えております。
次に、子ども・子育て支援新制度で新たに策定すべき条例等の水準についてでございます。
各種の施設及び事業の設備や運営の基準の策定に当たっては、基本的な考え方として、現在の本市の事業等の基準が国の示す基準よりも高く、保育等の質にかかわる事項については、本市の現在の基準を維持し、また、本市の事業等が国の基準に合わせて運営が行われており、特段、運営上の課題が認められない事項や、今般、新たに定められる基準については、国の基準案を基本とすることとしてございます。
また、新制度での教育、保育を利用する際の保護者負担につきましては、政令で定める額を限度として、世帯の所得の状況等を勘案し、市町村が定めることとされておりまして、今後、国より示される基準額を踏まえ検討することとしております。
なお、保育の必要性の認定の基準は、現在、国から示されている案に沿って、その事由についてはやや広げる方向とし、就業時間の下限については、月換算で64時間以上という本市の現在の取り扱いを継続してまいりたいと考えております。
次に、小規模保育事業についてでございます。
小規模保育事業は、市中心部などの認可保育所を整備することが困難な地域における三歳未満児の待機児童対策として、多様な主体が多様なスペースを活用して質の確保された保育を提供するために実施するものでありまして、B型やC型につきましても、せんだい保育室や家庭保育福祉員からの移行に加え、新規整備を推進することにより、増大する保育需要に対応してまいりたいと考えております。
また、国基準では、小規模保育事業B型は保育士割合が2分の1以上とされておりますが、本市においては、現在のせんだい保育室の基準と同様に3分の2以上とする予定であり、保育士以外の保育従事者には必要な研修を義務づけることとしております。さらに、国において、B型の保育士割合が向上した場合、施設への給付額を段階的に引き上げる制度を検討しており、これにより、B型からA型への移行が促進されるものと考えております。
次に、小規模保育事業の卒園後の受け皿となる連携施設についてでございます。
本市といたしましては、認可保育所を希望する利用者に対して、入所事務において受け入れ先の調整を行う予定でございますが、あわせて、幼稚園や認定こども園、民間保育所の皆様とも御相談しながら、公立保育所の活用も含め、連携施設の確保に向けた環境づくりを進めてまいりたいと考えておりまして、経過措置期間中で十分に調整してまいりたいと考えております。
続きまして、放課後児童健全育成事業に関する御質問にお答えいたします。
まず、児童クラブ事業に係る条例制定と事業計画についてでございます。
設備及び運営の基準については、国の省令で定める基準を踏まえて市町村が条例で定めることとされており、このたび、現在の国の検討案に沿って本市としての基準案の考え方を作成し、仙台市社会福祉審議会児童福祉専門分科会に御提示し、御審議いただいたところでございます。
今後のスケジュールとしましては、2月末からパブリックコメントを実施し、その後、3月末に示される省令を踏まえて最終案を作成し、第2回市議会定例会で条例案として提案いたしたいと考えております。
また、事業計画につきましては、現在、昨年実施いたしましたアンケート結果の詳細な分析を進めておりまして、平成26年9月ごろの中間案取りまとめを目指し、検討を進めてまいりたいと考えております。
なお、条例につきましては、第一次地方分権一括法により条例委任された児童福祉施設の設備及び運営に関する基準と同様に、児童福祉法の施行に関する条例の中で規定することを予定しております。事業の目的について改めて規定することは考えておりませんが、国の専門委員会報告に示された機能、役割を踏まえて事業推進を図ってまいります。
次に、児童クラブ事業の基準に係る本市の考え方についてでございます。
今般、国の基準に関する専門委員会報告書で示された内容は、児童福祉法に規定されている児童の発達のために必要な水準を確保するものとなっており、この報告書を踏まえて制定される国の省令の項目及び基準を基本とし、本市としての条例を定めることとなります。
国が検討している具体的な基準についてですが、まず児童クラブの指導員の資格でございます。報告書では、この事業に従事する資格として、児童の遊びを指導する者であるほか、加えて基本的生活習慣の習得の援助等の研修を修了した者とされております。
今後、生活の場としての視点も加味しながら、名称の取り扱いも含めて国の検討が進められると考えておりまして、最終的には国の省令等が定められるものと見込んでおりまして、それを踏まえて本市としての対応を定めていきたいというふうに思っております。
次に、児童クラブの規模と職員配置についてでございます。
児童の集団の規模はおおむね40人までとすること、その集団に対して職員を2名以上配置することとし、そのうち1名は有資格者とすることとされております。
次に、児童クラブの施設、設備の基準でございます。
専用室または専用スペースを設けることとされており、また、児童館で実施する場合には、児童クラブに登録していない児童とのスペースの共用も可能であるという考え方が示されております。
専用スペースにつきましては、児童一人当たりおおむね1.65㎡以上確保すること、静養スペースの設置方法は、子供の安全面等に配慮しつつ、各クラブの実情に応じたものとすること、発達段階に応じた遊具や図書等の備品等の配備についても適切に対応することが望ましいとされております。
国の省令は3月末に示される予定となっておりますが、国においては、この報告書をもとに検討を進めておりまして、本市といたしましては、現在まで、このような報告書の内容を踏まえて本市の基準案を検討し、現時点での取りまとめを行ったところでございます。
次に、児童クラブ事業を実施する施設についてでございます。
事業の登録希望者が増加する中で、これまでもサテライト室を設置し、受け入れ枠の拡大を図ってきたところでございますが、今後は、これに加え、民間児童クラブの受け入れ枠の拡大に向けて補助制度の拡充も図ってまいります。
今回定める設備及び運営の基準は、サテライト室はもとより、本市に届け出をして行う民間の児童クラブ事業にも適用されるものであり、引き続き、サテライト室での受け入れ枠拡大を図るとともに、この基準をクリアする民間事業の参入促進にも取り組んでまいりたいと考えております。
次に、児童館業務と児童クラブ事業の分離についてでございます。
児童福祉法上、児童厚生施設としての児童館と、放課後児童健全育成事業としての児童クラブ事業は、それぞれ別個の制度として位置づけられております。
一方で、法は、児童クラブ事業を児童館で実施することを予定しており、一体的に事業を実施することで、それぞれの事業が効率的、効果的に実施できるという側面がございます。
現在のところ、本市といたしましては、児童館運営業務に児童クラブ運営を含めて指定管理契約とする現行の方式を継続する考えでありますが、このような契約形態の中でも、集団の規模に応じた対応なども含め、必要な改善策について検討を進めてまいります。
最後に、放課後児童健全育成事業の基準検討に当たり、子ども・子育て会議に部会を設けるとの御提案についてでございます。
本市では、児童福祉の学識経験者、児童館の指定管理者、学校関係者や地域の子育て支援者等を構成員とし、児童福祉に関する業務を所管する社会福祉審議会児童福祉専門分科会を設置しておりまして、従来から児童館について御審議をいただいております。今年度も三回にわたり児童クラブ事業の設備及び運営に関する基準について御審議をいただきながら、今般、基準案を取りまとめたところでございます。
今後、パブリックコメントの実施により広く御意見もいただきながら、引き続き、本専門分科会で御審議をいただく考えであります。
以上でございます。
──再質問──
◯花木則彰議員
御答弁ありがとうございました。
まず、保育については、これまでの水準を下げないということで、市が行うべきこと、検討すべきことが比較的はっきりしているというふうに感じました。
多様な形態での保育ということでは、ふえ続ける待機児童を減らし、なくすことには、そのままではならないというのは明らかだと思いますし、認可保育所をいかにふやすかが鍵であるということは、御当局も認識をされているというふうに私は聞き取ったんですけれども、ぜひ、安上がりな施策ということで子育て支援を追求しないで、新制度では、多様な形態を含めた保育水準全体を維持向上させる上で、公立保育所の役割ですね、またそこでの人材をどう生かすかということについて、ぜひ、しっかりと御議論いただきたいというふうに思います。
特に、御答弁の中で言えば、やはり連携施設の問題等ですね。今、努力されている方々が新制度に移行する上で不安になるものについては、やはり先延ばしではなくて、市としてしっかり対応を先々にとっていくということが大切だと思います。この点について、特に、経過期間の中で調整をするのではなくて、やはり移行時に、この部分については、公立保育所で連携施設としての役割をちゃんと持つよということをはっきりさせるべきだと思いますので、これについては、再度、御答弁をお願いしたいと思います。
放課後児童クラブについては、大方の基準について国の報告に倣う形でやるということが示されました。
指導員の配置について2人ということで、そのうち1人は資格者というのが報告の中身ですけれども、それは最低限の話であって、常時2名の指導員がいるということが必要になりますから、2人だけでは実際には足りないんですね。そうすると3人ということになる。3人以上ということになりますので、そのうちの2人は、やはり資格を持った者を配置するということでしっかり整理をしていただきたい。これは再検討をお願いをしたいし、答弁いただきたいと思います。
そのほかなんですけれども、言われた広さの問題、それからクラブの規模の問題、これを基準として受けとめて実際にやっていこうとすると、お話し申しましたとおり、今の児童館で受け入れられる人数というのは相当少なくなってしまうんですね。専用室の広さからいうと、24人ぐらいしか平均的な広さの児童館で受け入れられなくなるんです。ですから、事業計画でそれをどう整備していくのか、大胆にふやしていくという計画を持たざるを得なくなっています。
これについてお聞きをしているんですけれども、大幅にふやしていくということが聞かれないと。聞かれないだけではなくて、民間に参入促進するという話がちらっと出たぐらいで、そういう規模で、今、既に6000人を超えている子供たちの放課後の居場所、それも6年生までのニーズに応えていくということは無理なことははっきりしていると思うので、この点について責任ある答弁をいただきたい。
その際、児童館の中での児童クラブということだけでは足りないのではないかという話をしているわけで、それについても認識をお伺いしておきたいと思います。
最後ですけれども、この間、根本問題として問うてきたのは、やはり、今、求められているのは児童館の基準が求められているのではないんですね。放課後児童クラブの基準が求められているんです。これのしっかりとした検討というためには、やはり児童館の指定管理者というだけではなくて、学童保育なり留守家庭児童会を含めて、これまでの仙台市の放課後児童健全育成事業にかかわってきた方々や、あるいは研究者の意見をちゃんと聞くべきだということで求めているわけで、それについても御答弁をいただきたいと思います。
以上です。
◯子供未来局長(西城正美)
子ども・子育て支援制度に関しましては、保育基盤の拡充につきましては、多様な保育資源を整備いたしまして、認可保育所、認定こども園、それに3歳未満児の待機児童対策として小規模保育施設の整備も含め、保育総量を確保したいと思っております。
小規模保育施設の整備に当たりましては、連携施設が肝心な点になりますので、経過措置期間の中で整理をするということを確実に担保するためにも、早目の検討をしてまいりたいというふうに考えております。
次に、放課後児童健全育成事業についてでございますが、職員の配置につきましては、基準といたしまして、集団ごとに2名、うち1名は有資格者という基準が国の検討案で示されております。それに沿って本市としても対応してまいりたいと考えておりまして、具体的な対応については今後詰めていきたいというふうに思っております。
専用スペースの考え方につきましては、いわゆる自由来館の子供との共用するスペースも加味することができるという考え方が国の報告書では示されております。共用スペース全てを児童クラブのスペースと考えるわけではなく、自由来館児童と児童館の児童の割合等を勘案しながら適切に設定してまいりたいと思っております。
そのような設定をした上でも、児童クラブのスペース的な問題というのは発生してくるものと見込んでおりまして、これまでのサテライト方式での拡大に加え、民間の児童クラブ事業の参入促進、それらも選択肢として含めながら、今後、事業計画の策定の中で検討を加えてまいりたいというふうに思っております。
その際には、児童クラブ事業の機能、役割として、遊びの場だけではなく、生活の場としての役割があるのだということは、今回の国の報告書でも指摘をしているところでございまして、静養スペースを初め、各種の設備、備品についても検討を加えてまいることとしております。
最後に、検討に当たっての体制でございますが、児童館運営に携わっている方につきましても社会福祉審議会のほうに加わっていただきまして、その立場からの発言もいただきながら検討をしておりまして、今後、児童クラブ事業の基準につきましては、この社会福祉審議会専門分科会の中で、引き続き、対応してまいりたいと思っておりまして、事業計画につきましては、子ども・子育て支援事業計画全体として、子ども・子育て会議の中で今後の中間案作成に向けて議論をいただきたいというふうに思っております。必要に応じ、パブリックコメント等を実施しながら幅広く意見をいただき、計画策定を進めてまいりたいというふうに思っております。
以上でございます。
◯副議長(日下富士夫)
この際、時間を延長します。
──再々質問──
◯花木則彰議員
御答弁がどうもはっきりしないので再々質問をさせていただきますが、まず一つは、いわゆる児童クラブ専用室あるいはスペースについての考え方。これについては、児童館のほかの自由来館で来る子供たちと一緒に共用する場合であってもということで、国の報告書の中では相当明確に書かれています。それは、共用する場合であっても、児童クラブの子供たちの生活に支障を来さないということが大事なんだということを言っています。ですから、その場所については、いわゆる遊戯室だとか、活動の場所というのはそことは別なんだと、生活の場所であるということが専用室の基本なんだと言っているんですね。
ですから、児童館の遊戯室があるのもいいし、いろんな図書の施設があるのもいいけれども、ここで言っている1.65というのは専用室ですよと、専用室が例えば100㎡ぐらいあって、そのうちの何平米かを共用で使っている子供たちがいるんだという話だったら、24人ではなくて、もっと多く収容できるかもしれませんけれども、専用室自体が40㎡しかないんだから、共用できるとかできないとか関係なく大変狭いということを指摘しているので、ここはしっかり読み取っていただいて真剣な検討をしていただきたいと、これを求めたいと思います。
市長に、最後、お聞きしておきますが、先ほどの局長の答弁の中でも、結局、児童館の指定管理者などの方々で話を聞いて検討するとなっているんですよ。そうではだめなのではないんですかと。ここは放課後児童クラブの基準が求められているので、そういうことをこれまで考えてきたり、あるいは取り組んできた方々の意見をちゃんと聞いてくださいと。児童館の運営を考えてきた人だけでは、やはり、これはだめなんだと思うので、ぜひ、そういう方々の意見を聞くということを市長に答弁を求めたいと思います。
以上です。
◯市長(奥山恵美子)
検討のあり方についてのお尋ねでございますけれども、ただいま局長のほうから経過も含めまして御説明を申し上げましたとおり、本市の児童クラブ事業におきましては、これを児童館事業と一体として行うという形を基本として、この間、留守家庭児童補導事業からの移管を図ってきたという経過がございます。
したがいまして、本市の児童館運営の事業者は、現時点におきましても現に児童クラブの運営に携わっており、その経験が十分にあるということでございまして、それらを踏まえて、今回の国の新基準等にのっとり新たな運営を我々としても御議論をいただくと、そのように考えているところでありまして、また、個別にさまざまに御意見をお持ちの保護者の皆様等々もおられますことから、パブリックコメントにより、それらの意見もしっかりとお伺いをして、今後の児童クラブがよりよい形で運営されるように我々としても検討を深めてまいりたいと、このように考えてございます。