(2015年2月議会 高見のり子議員の一般質問)
○高見のり子議員 昨年の七月に防災集団移転事業の対象世帯の優先入居が行われました。八月には高齢者、障害者、一人親世帯の優先順位の方々とコミュニティ入居の募集で抽選が行われました。この時、優先順位の方々は第五希望まで書いて応募したのに百三十三世帯が落選をしました。優先順位なのに落選をすると言うことでは優先の意味がありません。
その後、落選をした世帯を含めて十一月に行った一般抽選では再び優先順位の方々が一〇七世帯応募しましたが、そのうち六十六世帯も落選をしました。重ねて落選をした方がどんな思いでいらっしゃるか想像すればわかるはずです。名取市閖上で津波被害にあった高齢の方は「津波で死んでしまえば良かった。帰れと言われてももう帰りたくない」とつらい胸の内を話してくれました。被災して様々な事情がある方にとって落選という結果は失望以外の何者でもありません。
被災者の方にこんな思いをさせながら、今議会で市長は「現時点では復興公営住宅の数がたりないという判断には至っていない」と信じられない答弁をしました。市は、三回目の抽選結果を見て判断するといいますが、二回目の結果を見ても足りないことははっきりしています。ことここに至っても市長は本当にそういう認識なのでしょうか。伺います。
本来なら優先順位の最初の抽選で落ちた百三十三世帯には一般抽選の前に個別対応が必要だったはずです。市は二〇一四年第四回定例会において、私が代表質疑で質したのに対し、落選した優先順位の世帯には「個別相談を丁寧にする」と答弁しました。その後の対応をお聞きしたところ、生活再建推進室が電話をして要望された世帯に訪問をして、申し込み案内と手続き支援を行っただけだったそうです。復興公営住宅室が相談をうけて具体的に入居出来た方は一人もいないということでした。
住宅を必要とする被災者全員が復興公営住宅に入ることができるようにするのが、復興と言うことのはずです。まして何らかの支援の必要な優先順位の世帯が入居できないなどと言うことはあってはなりません。
空き戸数の間取りで多く残っているのが、車いす仕様の五十二戸です。車いす仕様の入居要件は常時車いすを使っている方に限られているので応募がないという状況です。
今議会では車いす住居の要件緩和を行なって「優先順位の方に入居調整を行なう」との答弁がありました。市も優先順位の方に対して手立てが必要だと考えているからです。しかし、復興公営住宅が足りないという、根本的な問題の解決にならないことは明らかです。優先順位の中でも、車いす住宅を希望しない方や場所が合わない方もいるはずです。そういった方はどうするのでしょうか。お答えください。
第二回一般抽選には四百三十三戸に対して八〇六世帯の応募がありました。 部屋のタイプごとに抽選されるため、五百六十一世帯が落選することになります。 大きく不足しているのは一人暮らしの世帯が入居する二Kでありペット可も含めて八十六戸の募集に、三百五十五世帯が応募して住宅ごとにみると二百九十一世帯もの方が落選ということになります。
今後行われる第三回一般抽選の二Kの間取りでは、茂庭第二団地に十九戸、落合に三戸で合計二十一戸しかありません。第二回抽選で落選する方の数には二七〇戸も足りないと言うことです。何度抽選を行っても不足は明らかです。
二Kの間取りをふくめ復興公営住宅の整備戸数を増やすことを決断すべきです。いかがでしょうか。伺います。
防災集団移転ではできるだけ被災した地域に近いところに住みたいという被災者の要望があり、移転先は仙台東部地区付近に集中しています。ところが復興公営住宅の建設場所は被災者の希望と言うよりは市の思惑だけで一方的に建設されました。そのためミスマッチがおきています。なぜ、防災集団移転事業で出来た被災者への配慮が復興公営住宅の建設で出来なかったのか、明確にお答えください。
建設場所や間取りについてミスマッチが出ているのは被災者の要望に合わないからです。市は被災者の事情をよくわかっていたはずです。わかっているのに、対応しなかったのは市の責任です。落選するのは被災者のせいではありません。
復興公営住宅を希望する全世帯訪問をあらためて行って、被災者の希望にあった整備をすべきです。いかがですか伺います。
被災者支援を担当する生活再建推進室と復興公営住宅の建設を担当する復興公営住宅室がどのような連携をとっていたのか疑問があります。
現在復興公営住宅室は市営住宅課の一角にありますが、それが大きな間違いでした。将来、市営住宅の管理になるからと建物の管理にばかり思いをかけて被災者のための住宅であると言う本来の復興公営住宅の目的が後景に追いやられてしまったように見えます。
今後、被災者の状況を把握し、お一人おひとりが復興を果たすためには両者の連携が不可欠です。そう考えると入居された被災者も含めてこれからの対応が重要ですから、復興事業局の中に復興公営住宅室を置くべきと考えますがいかがでしょうか。伺います。
次に入居資格について伺います。宮城県は昨年十二月一〇日に「災害公営住宅の入居資格について」という通知を出しました。「一部損壊であって家屋を解体している場合」と「福島県からの避難者で避難指示区域が解除された場合」においてそれぞれ「災害公営住宅の供給目的を踏まえた運用が求められていることから入居希望がある場合要件等を十分に勘案した上で対応願いたい」「解体に至った理由及び入居希望者の状況等を十分聴き取り、総合的に判断されるように」とし柔軟な対応を各市町に求めました。
ところが市は福島からの原発避難者で一部損壊の判定で公費解体した方の復興公営住宅への入居を認めていません。県の通知を受けた後もかたくなに態度を変えようとしないのは問題です。
市は原発事故によって故郷を追われ,苦渋の決断をしているこういった方を排除して住宅再建が完了したなどと言うつもりなのでしょうか。お答えください。
復興公営住宅の敷金猶予は二〇一五年度末とされてきました。その後の対応は検討中とのことですが、猶予された方が二年たったから支払えるとは限りません。敷金については免除する決断をして、これまで支払った方には返還をすべきですがいかがでしょうか。伺います。
復興公営住宅は住宅をなくされた被災者に恒久住宅として提供されるものです。ところが三年が過ぎれば世帯の所得月額が十五万八千円、裁量階層の場合は二十一万四千円を超えた方は住宅の明け渡し努力義務が課され、家賃が割り増しされます。さらに五年たつと明け渡し請求がされます。これではとうてい安心して住み続けることが出来ません。このような市営住宅の基準を機械的に復興公営住宅に適用すべきではありません。いかがでしょうか、伺います。
家賃についても「高すぎて負担が重い」「高い家賃で生活資金が不足するので引っ越しできない」など不安の声が届いています。そもそも、近傍家賃に合わせるので家賃が高すぎるのです。これでは住み続けられなくなってしまい、復興公営住宅の役割をはたせません。低所得者には十年間適用される国の特別家賃低減事業がありますが、それだけでは対象が狭すぎます。市独自の家賃減免制度を作るべきですがいかがでしょうか。お答えください。
これまで復興公営住宅の増設については「将来的に市営住宅となるため維持管理費がかかるため大変だ」という間違った財政議論がされてきました。
市営住宅の収支は昨年度の決算を見ても市営住宅管理費が約九億円に対し家賃収入は約十八億円でした。新年度の予算案で住宅管理費を見ると約十億三千万円、一方家賃収入は約二十億八千万円です。決算を見ても予算をみても収支結果は収入が大きく上回っています。このことから見ても、お金がかかるということを復興公営住宅を増やさないという理由にすることは成り立ちません。
復興公営住宅は建設にあたって国から補助が八分の七でます。そのことも勘案すれば必要な復興公営住宅を増やすことは十分可能です。そうではありませんか。伺います。
○都市整備局長
(整備戸数の増加について)
今回の応募結果等についてでございますが、応募世帯と募集戸数の差は第1回に比べて減少してきております。またこれまでと同様、団地や間取りの応募に偏りが生じており、募集戸数に満たない団地もございました。
こうした状況やこれまでの相談状況を踏まえますと、民間賃貸での自力再建も選択肢として検討されている方もいらっしゃるものと考えられます。
更なる対応の必要性につきましては、2月末から実施予定の第3回一般抽選募集の結果を見極めながら、判断してまいりたいと考えております。
(抽選で落ちた方への対応について)
優先順位の方で第2回の抽選で漏れた方への対応でございます。まずは、空いている車いす住戸への入居をご案内し、実際に車いす住戸の状況をご覧いただいたうえで、入居調整を行うこととしたところでございまして、関係部局と連携して、個別に丁寧に行ってまいりたいと考えております。
(建設場所について)
(被災者の希望に合った整備について)
(国庫補助の活用について)
防災集団移転促進事業につきましては、津波等による被害の危険性が高い特定の地域について、移転により安全な住まいの再建を図る事業であり、従前の地域コミュニティを維持しながら新たなまちづくりを進める必要があることから、可能な限り希望に沿った移転先及び戸数の確保に努めたものでございます。
復興公営住宅の建設場所については、当初から被災者の皆様の意向を把握する中で、被災時の居住地や全市的な配置バランス等を総合的に勘案して、決めたところでございまして、今後改めて整備の希望を伺うことは考えておりません。
また、整備戸数につきましては、建設経費や補助の割合等にかかわらず、他市町の状況や特に住宅の確保に配慮が必要な世帯を考慮して3,200戸としたものでございます。
先程も申しましたとおり、さらなる対応の必要性につきましては、第3回の募集結果を見極めながら、判断してまいりたいと考えております。
なお、ご指摘の市営住宅の収支でございますが、昨年度の決算につきましては、市営住宅使用料等約19億円に対し、市営住宅管理費のほか、建設等に伴う市債借入の返済や人件費等で約21億円の経費を要しますことから、収支はマイナスでございます。また、新年度予算についても同様に、使用料等約22億円に対し、市債借入の返済等も含めた経費は約23億円で、収支はマイナスとなる見込みでございます。
(生活再建推進室と復興公営住宅室との連携について)
生活再建推進室との連携についてでございますが、これまでも緊密に連携を取りながら対応してきたところでございまして、今後も抽選に漏れた方に対しましては、新たなお住まいへ早期に移行できますよう、生活再建推進室など関係部局と連携し、策定予定の生活再建加速プログラムにより、生活状況やご意向等を丁寧に伺いながら対応してまいりたいと存じます。
(入居資格について)
一部損壊や原発避難指示区域が解除された方への対応でございます。
県との協議により、各自治体の状況に応じて判断することとなりましたが、県内他市町に確認したところ、一部損壊での入居など資格要件の拡大は行わないと伺っております。また、福島県においても、原発避難指示が解除された区域にお住まいだった方の入居は認めない方針であると伺っております。
本市といたしましては、半壊以上で住宅を滅失された方や原発避難指示区域にお住まいだった方への供給を目的としており、現状においては本来の供給対象者について供給が終了していないことから、復興公営住宅の入居資格要件の変更は考えておらないところでございます。
(敷金の免除について)
敷金の免除についてでございますが、申請により27年度末まで支払いを猶予しているところでございます。
今後、猶予の期限を迎える前に改めて生活状況等を確認し、生活再建が困難と判断される世帯につきましては、猶予期間の延長や減免を含めた対応がとれるよう検討してまいります。
(市営住宅の基準の適用について)
収入に関する基準についてでございます。
復興公営住宅においては、国の制度により入居に際して収入要件を問わないこととなっております。
一方、入居後は、市営住宅と同様に世帯の収入に応じて家賃を負担していただいているところでございます。
住宅に困窮する方に提供するという趣旨から、入居後一定期間を経た後は、収入超過者には住宅を明け渡すよう努めていただき、さらに高額所得者については明渡し義務が生じることとなります。
このことにつきましては、説明会や相談会、募集案内においてご説明しており、ご理解いただいているものと考えております。
(家賃減免制度について)
市独自の家賃減免制度についてでございますが、復興公営住宅の家賃は国の基準に基づきまして、入居される方の収入と部屋の大きさなどにより決定されるものであり、同種の民間賃貸住宅と比較して低廉なものとなっております。
さらに、より低所得の世帯に対しましては、国の東日本大震災特別家賃低減制度を活用し、家賃負担の軽減を図ることとしておりますことから、市独自支援でのさらなる家賃の減免は考えておらないところでございます。