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吉田ごう
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花木則彰
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地域循環バスを市の責任で走らせよう

(2017年第3回定例会 花木則彰議員の一般質問から)

花木則彰議員 私は、郡市長がまちづくりの基本的な考えとして示された、全ての市民が健やかに安心して暮らせるまちづくりの大きな要素として、どの地域でも安心して暮らせる地域づくりが重要だとの立場から、今後の検討課題について整理と提案を行いたいと思います。
コンパクトシティとは、本来、まだ人口がふえていた一九七〇年代に、歩いて暮らせる人間らしいまちを実現する都市計画の考え方として生まれました。しかし、日本では、人口減少対策として、または中心市街地活性化を進める理由として持ち込まれ、郊外の住環境悪化を放置する傾向を生み出しました。その日本であっても、コンパクトシティの前提は交通ネットワークの充実であったはずです。
ところが、仙台市では、交通ネットワークもなしに、コンパクトシティのかけ声と中心部への資本投下が行われてきました。仙台市基本構想には、公共交通を中心とした利便性の高い交通体系のもと、郊外の良好な生活環境を維持しながら都心や拠点に高度な機能を集約した、誰もが快適に暮らし活動できるまちを目指すとしていますが、利便性の高い交通体系も郊外の生活環境の維持もないまま進められているのが実態です。
人口百万人を超える政令市を一つのコンパクトシティに見立てることはもちろん、泉や長町など副都心を加えた三つの拠点でも無理があります。郊外にも拠点がもっと多く必要です。
市長選挙で郡市長の描いたブドウの房の都市像、歩いて暮らせる地域がそれぞれ元気になってこそ仙台市全体が活性化するとの考えに、私は共感するものですし、本来のコンパクトシティの発想にもむしろ近いのではないかと考えます。市長のまちづくりへの思いについてお聞きをいたします。
まちづくりの基盤となる公共交通について、まず伺います。
地下鉄東西線が開業して間もなく二年になります。私は、市会議員となって以来、地下鉄東西線だけでは市の公共交通網の充実改善にならない、むしろ東西線建設にだけ集中することで事態を悪化させると指摘し、幾つかの提案をしてきました。現状は、当時危惧したよりも、さらにひどい状況になっています。地下鉄東西線建設を優先させ、バスを初めとした市民の生活の足をないがしろにした、この二十年ほどの時を取り戻す奮闘が、市には求められています。
まず、当面する課題の解決です。
この秋から、宮城交通がバス運賃の値上げを行うとしています。市は交通局の二営業所、二出張所を民間事業者に委託するとともに、宮城交通に路線移譲を進めてきました。移譲される地域では運行路線本数が減る心配など多く出されたにもかかわらず、強行されました。少なくとも市交通と同レベルのサービスが保障されないのでは、地域切り捨てと言われても仕方がありません。同じ仙台市民でありながら、運賃体系が高いバスしか利用できなくなる地域ができることは大問題です。この間の経緯を踏まえれば、路線移譲が誤りだったと、市交通の運行に乗り出すべきではないでしょうか、伺います。
民間交通事業者が運賃値上げをしなければ経営が成り立たないところまで追い詰められていることから、委託先の労働者の労務、健康管理や低賃金など、待遇悪化の心配も大きくなっています。市交通の運転手などの待遇改善とともに、委託料をふやして委託先でも待遇改善を行わせることは、利用者である市民の安全にとっても必要なことです。いかがでしょうか。
同じ市民なのにという点では、敬老乗車証が青葉区錦ケ丘などを走るバスでは使えない問題や、学都仙台フリーパスも市バスと地下鉄だけで、民間交通事業者の路線や地域では使えない問題も、急いで解決すべきです。
敬老乗車証は、カードを読み取ることができるよう、IC読み取り機を取りつける費用を健康福祉予算から出せば解決します。二つのバス会社合わせても取りつけるバスは十四台ですから、千五百万円ほどです。市民の不公平感をなくすためには安いものだと思いますが、いかがでしょうか。また、地域格差を持ち込んだ敬老乗車証の年間利用上限をやめることも検討を求めますが、いかがでしょうか。
学都仙台フリーパスは、交通局の事業として行っているという立場をやめて、学生応援、子育て応援の施策に発展させるべきです。交通局の努力で、学都仙台フリーパスがバスや地下鉄の利用者増につながることは立証されました。近年、市内にあった大学キャンパスが郊外に移り、民間交通事業者を利用する学生も多くいます。また、県立高校の学区制が廃止され、望むと望まぬによらず市内高校生の通学は遠距離になっています。敬老パスと同様に、運賃に見合う額を市から交通事業者に出す制度とし、ICカードシステムで実現可能です。交通局や民間交通事業者の収入アップになり、公共交通を支える上でも有効な施策と考えますが、いかがでしょうか。
次に、仙台で求められる地域公共交通についてです。
仙台市域は七百八十六・三平方キロメートル、中心部はともかく、多くの地域では歩いて暮らすには広過ぎます。しかし、歩いていける範囲にバス停があるように、例えば中学校区ごとに循環型バスを自治体として走らせるなど、地域公共交通の整備で自家用車なしで暮らせる地域を実現することは十分可能だと考えます。地域交通の充実について伺います。
先日、連合宮城から郡市長に、仙台市における地域交通政策に対する提言書が提出されました。地下鉄東西線の開業に伴うバス路線の再編により、利便性の低下やバス事業の財政収支が懸念されるなど新たな課題も生じている、利用者の拡大や利便性の向上、政策制度にかかわる専門委員会を設置し、提言書を取りまとめたとされています。利用者の立場に立った交通体系、地域間格差が生じない地域交通政策、近隣自治体との連携など、大切な観点が述べられています。とりわけ、交通権の確保は行政の責務、特に中心部を除く地域における移動手段の確保に対する市民のニーズに対応することが不可欠とはっきり書かれていることに、私は共感をいたしました。
財政課題について、バス路線は地下鉄との組み合わせ、地下鉄を補完するものとなっていることから、地下鉄とバスを統合した財政状況を見る必要があると指摘をされています。こういった指摘をどう受けとめているのか伺います。
地域交通政策の提言内容も、幹線路線は交通事業者、巡回型や支線に当たるバスは自治体が財政的に負担しての委託運行、各地域のミニバスターミナルをショッピングセンターや地域住民の活動拠点とするなど、私のこれまでの提起と同じ方向だと感じました。
何度か紹介し議論してきた岐阜市の事例を、市長もかわったことですので、改めて取り上げてみます。
岐阜市では、地域交通を約四十の地域でつくり、全市域をカバーする計画です。私たちが視察に伺った二〇一四年当時、十四地域でしたが、さらにふえて今では十九地域でコミュニティバスが走り、大人一回百円で運行されています。視察させていただいた地域では、日々の買い物をするスーパーが拠点になり、八の字のコースの設定で、銀行、郵便局、病院、学校、集会所、公民館など、地域の住民が利用する施設を巡回していました。市の中心部に向かう幹線バスへの乗りかえポイントでもあります。
おもしろかったのは、バスそのものが動く町内会集会所とも言える存在で、町内会の役員さんが当番制で乗車し、町内のサークル活動や催し物のお知らせ、世間話から困り事相談まで、そのバスで行われています。コミュニティーの維持にも役立っているようでした。委託されている会社の運転手さんもできるだけ固定化してもらっているそうで、顔見知りになり、安心して利用できるとのことでした。
岐阜市では、各地域にまちづくり協議会をつくり、そこが運営主体の一翼を担う形です。バス停の位置やコースなど、シビアな検討と検証が行われ、本当に利用される地域交通になるため、努力が続けられています。
これは、岐阜市がその組織に本当に熱意を注いできた結果だと思います。コーディネートを他人任せにするのではなく、市職員が地域住民と一緒に悩み、取り組んで、一つ一つの地域づくりを行っています。地域交通を単にこれまでの路線バスの代替と位置づけるのではなく、市民協働の地域づくりそのものとして位置づけて市が取り組むことが大切だと考えますが、いかがでしょうか。
岐阜市の補助制度は、コミュニティバスの事業者の公募やコミュニティバス車両の購入は市の責任だと明確にし、まず、住民が取り組みやすいよう手厚く支援しています。そして、数年後の実績評価の基準も、地域の高齢化率なども勘案して現実的な基準としており、地域が維持する努力をできるものにしています。こうした交通施策としての補助金に加えて、地域活動への支援策としての補助金もあわせた支えが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
二〇一〇年十一月に策定されたせんだい都市交通プランでは、現状を分析した上で三つの方針を掲げています。方針一、公共交通をさらに便利にします。方針二、都心の交通環境をもっと快適にします。方針三、市民協働の取り組みで、地域の足を確保します。
こう読むとまともなことが書かれているように見えますが、仙台市では、太白区坪沼で乗り合いタクシーが通学需要に応えることを中心に運行されているほかは、二度の実証運行が行われた太白区青山地域でも運行開始に至っていません。現在、宮城野区燕沢地域と太白区東中田地域で、コーディネーターを派遣しての勉強会が始まったというレベルです。
このようなひどいありさまになっているのには理由があります。まず、方針一で公共交通を便利にすると言っているのですが、方針三でいう地域の足とは、公共交通ではない別物の扱いをしていることです。
プランの言葉の定義では、生活交通とは公共交通のサービスレベルが低い地域における通勤、通学、買い物などの市民の日常生活に必要不可欠な交通のことですと、こうなっています。つまり、もともと低くなっている公共交通のレベルを上げようとはしない。役割も補完程度しか見ていないのです。そして、市民協働だけが強調され、行政の役割はいつも一番最後に、協議の場所つくり、主体となる住民の支援とあるだけです。こんな構えでは住民の心に灯をともせないのは明らかです。
岐阜市地域公共交通網形成計画では、交通事業者の企業努力での路線の維持が困難となれば、高齢化した住民の日常生活の移動の確保が困難となる。こうしたことに対応するため、今後は、地域公共交通の維持確保に向け、自治体が中心的な役割を果たし、適切な役割分担のもとに計画的、継続的に進めると、自治体が中心的な役割を果たすと言っています。それに続いて、全ての関係者が連携し適切な役割分担をしていくためには、自治体が中心となって交通政策を形成していくと、ここでも自治体が中心となる立場を明らかにしています。
仙台市が適切な役割分担といっていつもごまかし、自治体の役割をできるだけ持たないようにしているのとは大違いです。地域公共交通の形成確保は、市が責任を持った役割を果たしてこそ、住民の主体的な取り組みが育つのだと考えます。いかがでしょうか、伺います。
せんだい都市交通プランが今求められている自治体の役割から見て不十分であることが、明らかになりました。当面する課題解決に取り組みながら、新しい観点で地域公共交通条例を策定し、求められる内容の地域公共交通網形成計画をつくるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

郡和子市長 ただいまの花木則彰議員の御質問にお答えを申し上げます。
今後のまちづくりに向けた私の思いについてでございます。
私は、本格的な人口減少を迎える本市におきまして、このまちで暮らす人が安心して日々の生活を送っていくためには、個々の地域、それぞれの地域が持続可能で暮らしやすいものであることが重要であるというふうに考えております。
これまで本市では、暮らしを支える機能の維持、改善により地域の活力向上を図るとともに、都心や拠点、都市軸などにはより高次の都市機能の集積を促進し、それらを鉄道を軸とした公共交通体系によって結ぶことで相乗効果を発揮しようという、両面の考え方を基本として取り組みを進めてきたものと、そういうふうに承知をしております。
高齢化など今日的な課題のある中で、地域交通を含めて、ますます多様化する地域課題への対応に向けて、地域の皆様方を初め、事業者、行政などさまざまな主体が認識を共有しながら、各地域の特性に応じた市民協働の取り組みの推進を図ることによって、暮らしやすい地域づくりを進めてまいりたいと存じます。
次に、地域での市民協働の考え方についてでございます。
将来にわたり持続可能なまちを実現するためには、地域コミュニティーの維持や高齢者の地域における支え合いの体制づくりなど、多様な地域課題の解決に向け、町内会を初めとするさまざまな主体が参画して取り組むこと、これが重要であって、既に芽吹き始めているそうした動きをさらに全市的に広げていくということが必要であるというふうに考えております。
このような地域での協働を進める体制づくりとして、日ごろから地域とともに課題解決に当たっている区役所に、御指摘のあったふるさと支援担当を配置したところでございますが、今後、さらに地域との協働によるまちづくりを進めるために、その機能の強化に努めてまいりたいと存じます。
そのほかの御質問につきましては、交通事業管理者並びに関係の局長から御答弁を申し上げます。
以上でございます。
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