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卸売市場の条例改正は、規制緩和。仲卸業者を守れ

(2019年第4回定例会 嵯峨サダ子議員の一般質問から)
 日本共産党の嵯峨サダ子です。市民に安全で安心な食料を安定的に供給する卸売市場に甚大な影響を与える「仙台市中央卸売市場業務条例改正素案」について一般質問を行います。市の卸売市場業務条例は昭和46年12月22日に制定されました。第1条には、中央卸売市場が適切かつ健全な運営を確保することにより、生鮮食料品等の取引の適正化とその生産及び流通の円滑化を図り、もって消費生活の安定に資することを目的とする。と書かれています。以来、今日までこの目的に基づいた取引ルールのもとで公正な価格形成が行われてきました。
 昨年、国は多くの市場関係者や国民の反対を押し切り、民間企業でも卸売市場を開設できることを盛り込んだ「卸売市場法」を改正しました。その中で、価格と販売先を決める公正な取引ルールである「第三者販売の禁止」「商物一致の原則」「直荷引きの原則禁止」が撤廃されました。
卸売市場法では、卸業者が卸売をする相手方は仲卸業者と売買参加者と決められています。それらの人以外に売ることを第三者販売といい、禁止しています。肉や魚などの現物を必ず市場を通すのが「商物一致の原則」です。生鮮食料品等は鮮度や品質など現物を見なければ価格をつけられません。仙台市は市場に食品監視センターや食肉衛生検査所を併設し、食品の安全を確保していますが、市場に現物が入らなければ安全は担保されず、消費者は安心して食べることができません。「直荷引きの原則禁止」は、仲卸業者は市場で許可された生鮮食料品等を市場の卸売業者以外の者から買い入れて販売してはならないという規定です。この3つが公正な価格形成をなす根幹です。
 市はこの間、卸売市場法「改正」に伴い、卸売市場業務条例の見直しを国の指示で行ってきました。しかし、国は各市場の「公正取引に関わる業務規程、業務条例」については、何らの変更・改定も義務付けてはいません。来年6月の「『改正』卸売市場法」施行時には、国と自治体の関係でとるべき手続きはありますが、条例の「総則」「市場業者」「売買取引」等々の、公正取引に関わる条文についての変更義務を開設自治体に求めているものではありません。この点について、開設者である市のご認識を伺います。

 「業務条例見直しのあり方」を示した農水省の基本方針では、「関係者は、その他のルールを定める場合には、卸売業者及び仲卸業者だけでなく出荷者や売買参加者を始めとする取引参加者の意見を偏りなく十分に聴き・・・ルール設定を行う。」とされています。
 市は今年3月に第1回「業務条例改正検討委員会」を開催しました。市場長から、「業務条例案を来年の第1回定例会に提出し、議決後国に中央卸売市場の認定申請を行う。12月までに業務条例案等をどうするかをまとめ、市としての方針を決める。」との挨拶がありました。藤本副市長からは、業界の皆様方の意見を十分聞いてよい条例案をつくるよう指示がありました。
しかし、業務条例の見直しを実質的に主導してきた市のすすめ方や見直し内容には大きな問題があります。ひとつは、「検討委員会」の委員の構成の問題です。農水省が示している出荷者、売買参加者は参加していません。生産者や買い出し人の多くはその生業に関わる重要な問題の「検討委員会」が市場の中で行われていることさえ知りません。
もうひとつは、「第三者販売の禁止」規定をはじめ、重要な売買取引部分を条例から削除するなど、市場関係者が容認しかねる事項がいくつもあるにもかかわらず、十分な議論も行われず合意に至ることもなく、市のスケジュールありきで進められてきたことです。これは、先に述べた農水省の基本方針にも反するものです。いかがでしょうか、伺います。

8月開催の第2回「検討委員会」に業務条例の改正方針が出され、市から説明がありました。この時の議論を見ると、ある委員から、「今、資料を見たばかりで、これを見て了解ということではない。資料を基にさらに検討しましょう」という意見が出ています。
ところが、10月1日に開催された第3回「検討委員会」に、「条例改正素案」が出されました。その「素案」では、現行条例にある「売買取引の方法」「卸売業者の業務の規制」「卸売の相手方の制限「市場外にある物品の卸売の禁止」などの、特に卸売市場制度の根幹である売買取引に関する条文がことごとく削除されていました。
この時に、市場長から「意見のある者は10月8日まで意見書を提出するように」とのよびかけがあり、卸売市場仲卸経営者協会が中村市場長宛てに意見書を提出しました。内容は、議論がつくされておらず、広く合意形成ができない場合は、その条例は変更しないという態度こそ、住民自治に基づく姿勢ではないか。「第三者販売」や必置原則に基づく卸売業者及び仲卸業者の「業務許可」など重要な項目について、業界の中で「条例を改定しなければならない」という差し迫った要望や熱意が未だ高まっていないことをあげています。
実際、市が行った市場関係者へのアンケートやヒアリング結果を見ても、「第三者販売の禁止」「商物一致の原則」「直荷引きの原則禁止」については、条例を改正せず現状維持とする・原則として現状維持で改正市場法施行後に改めて検討するが過半数を占めました。アンケートの自由記載欄には、「取引規制の緩和、撤廃で大企業主導の利益優先の市場運営におちいる可能性がある」「「市民の食を守るために開設者、卸売業者、仲卸業者、取引参加者がそれぞれの強みを活かし共存共栄、切磋琢磨することが重要である。改正については、しっかりとした協議を重ね内容を精査する必要があり、拙速に変化させることは大きな混乱を招く恐れがある」と書かれています。これが市場関係者の民意と受け取るべきです。いかがでしょうか、伺います。

11月30日に4回目の「検討委員会」が開催されました。水産仲卸組合の理事長から「取引ルールに関わる部分の変更について、組合として合意されていない。組合も仲卸としても同意をしていない」という発言があったと聞いています。こうした意見表明があったにもかかわらず、市の方針どおりに進めることでまとめられたそうです。
そして、12月4日に開催された市場運営協議会で「業務条例改正素案」が了承されたことになっています。当事者の意向を無視したあまりにも乱暴なやり方ではないでしょうか。業界の皆様の意見を十分聞くように指示した藤本副市長に伺います。

条例改正素案で問題なのは、卸売市場の役割や機能を維持する上で重要な部分を規制緩和していることです。素案にはまだ盛り込んでいませんが、せり人の登録、更新等の基準についても緩和する方向です。せり人の登録は現行の経験3年を2年にする。登録を更新する場合は筆記試験と論文の提出が必要ですが、筆記試験をなくして論文だけでよしとしています。せり人は売買取引に十分関わった経験が求められる為3年としてきました。基準を緩和するのは、せり売りを少なくするのがねらいです。卸売市場の活性化にも反します。現行の基準を変更すべきではありません。いかがでしょうか、伺います。

重大なのは、市場の根幹をなす売買取引の規制等を条例から根こそぎ削除して施行規則に移した上で、新たな例外規定項目を設けて規制緩和をしていることです。
条例見直し作業の中で、当局は「第三者販売の禁止」等の取引ルールについて、市場関係者から指摘もあり、担当部局が自ら文書法制課に問い合わせ、「権利義務を規制するのは、きちんと条例で規制しなければならない」との見解が示されたことを検討委員会の中で明らかにしています。
それなのに、売買取引に関わる部分を条例から削除し、規則に移してしまいました。重大な問題です。現行条例で規定している「第三者販売の禁止」について、規則では、「市場における卸売の業務については、仲卸業者及び売買参加者に対してのみ卸売をすること」と、禁止規定ではない文言に改変しました。さらに問題なのは、新たに例外規定として、「その他市場の活性化に資する場合であり、取引委員会の調査審議を経て、市場における取引の秩序を乱すおそれがない旨の市長の承認を受けた場合」を加えています。「市場の活性化に資する場合」はどういう場合なのか、また、「取引委員会の調査審議を経て」とありますが、何を基準として判断するのか、どういった形で採決するのかの問題があります。これを入れたら、市場の流通を完全に自由化する重大な規制緩和です。商物一致の原則や直荷引きの原則禁止も同様の取扱いになっています。大手流通資本がやりやすいようにするねらいがあるのではないでしょうか、伺います。

卸売市場は、生鮮食料品を適正な価格で速やかに市民の台所に送る役割を担っています。市民にとっても、魚や肉などが市場を通して流通しているからこそ安心して消費できるのです。こうした条例改正は公の施設である市場の役割を大きく後退させ、崩壊させることにつながります。いかがでしょうか、伺います。

第三者販売の禁止規定を条例から削除し、規則に移し規制緩和すれば、せり取引が例外規定になり、公正な価格形成に役割を果たしている仲卸の取扱量は確実に減ります。それによって大手流通資本が物を買い占め、生産者には優越的地位を利用して仕入れ価格の値下げを要求し、プライスリーダーは大手流通資本が握ることになります。仲卸業者にとっては死活問題です。卸売市場法制定以来、中卸の財産権・営業権は保障されてきました。仲卸業者は品物の目利きと技が信頼され、品質評価、経済効果、食文化に重要な役割を担っています。卸売市場に目利きの機能があって流通が成り立ってきました。また、まちの小売店、飲食店にとっても大切な存在です。中卸業界で働く人は約900人です。この人たちの生活、雇用がどうなるのか、不安の声が広がっています。これは、中卸にとどまらず関連事業者、組合事務職員、売買参加者などにも甚大な影響を与えることになります。いかがでしょうか、伺います。

12月6日から「卸売市場業務条例改正素案」に対するパブリックコメントが行われていますが、それに対する意見を反映させるのはもちろん、業務条例の見直しは圧倒的多数の出荷者、買出人、市場利用者の声をよく聞くことが重要です。そういう手続きですすめるべきです。いかがでしょうか、伺います。

私は昨年の第一回定例会で卸売市場法改正問題について一般質問しました。その中で郡市長は、「仙台市場のこれまで果たしてきた役割を考慮し、公設公営を基本としながら市場としての役割を果たしいく」と述べました。仙台市中央卸売市場は、生鮮食料品等の価格形成を需給関係を反映させた仕組みで決め、資本の大小による力関係とは無縁な公正・公平な流通を実現する仕組みを条例として採用して来ました。これを見直すとするならば、現状よりも更に仙台市の地域経済の自立が強化される方向、地域の商店街、地域業者、地域企業、地域農林水産業者の活力強化につながるものでなければなりません。札幌市は「第三者販売の禁止」「商物一致の原則」「直荷引きの禁止」は改正せず現行のままにするそうです。京都市は「第三者販売の禁止」は維持するそうです。仙台市でもこうした取引ルールを始め、売買取引は現行条例を維持すべきです。いかがでしょうか、このことを伺って私の第一問と致します。 
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