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中央卸売市場の業務条例改定に反対

(2020年3月議会 庄司あかり議員の討論)

〇庄司あかり議員 今議会では、新型コロナウィルスの感染拡大で、日々刻々と変化する状況と対応策が問われ続けてきました。深刻な影響があらゆる分野で生じています。地域経済、とりわけ雇用・収入についての対策や、市内の中小・小規模事業者を支えるための緊急の対応を求める声が多くの会派から出されました。そうした混乱の中にありながら、地域経済の支え手である卸売市場の姿が大きく変えられようとしています。第32号議案 仙台市中央卸売市場業務条例の全部改正についてです。
条例改正の背景にあるのは卸売市場法の改定であり、公営であった中央卸売市場の民間開設や、セリ原則の取引ルールを撤廃して自由化に道を開くことを可能にするものです。
本市においては、公営を維持することとしたのは当然ですが、第三者販売の禁止、直荷引きの禁止、商物一致の原則という重要な取引ルールについて条例から削除し、規制緩和した上で規則に移すという提案がされています。
卸売市場では、売り手と買い手が一堂に会し、食料品の適正な取引価格が日々決められています。卸売業者が仕入れてきた品物を、買い付けて小売店に売るのが仲卸業者です。生産者の立場で、少しでも高く売ろうとする卸売業者と、小売店や消費者の立場でよいものをより安く買おうとする仲卸業者が、公開のセリで、その日の入荷量と品物などを総合的に判断して価格を決めるのがセリ原則です。この両者の関係が、結果的に生産者と消費者の利益を守ることにつながってきました。
「第三者販売の禁止」「直荷引きの禁止」が緩和されることで、原則とされてきたセリ取引が例外取引となり、卸売業者や仲卸業者と大手のスーパーや外食産業との直接取引が拡大することになります。大手流通資本が物を買い占め、優越的な地位を利用して、仕入れ価格の値下げを要求し、価格決定権を握ることが可能になります。それによって適正な価格形成に役割を果たしてきた仲卸の取引量は確実に減ることになります。
また、肉や魚などの現物を必ず市場を通すという「商物一致の原則」が撤廃されれば、産地の品物が市場に入らず、帳面だけの売買になってしまいます。仲卸の目利きの力に依存してきた専門小売商いわゆる八百屋さん、魚屋さん、肉屋さん、花屋さん、そして料理店、すし店などにおいて、買出人の仕入れが困難となります。仙台市の経済を支えている小規模事業者への影響は計り知れません。
取引ルールの緩和は、仲卸業者にとっては死活問題であり、営業権に大きく関わります。条例見直しにあたって、文書法制課からは「権利義務を規制するのは、きちんと条例で規制しなければならない」との見解が示されたにも関わらず、条例から削除する提案になっていることは重大です。
札幌市は(第三者販売の禁止、直荷引きの禁止、商物一致の原則)を、京都市・横浜市は(第三者販売の禁止、直荷引きの禁止)を条例に残しました。
経済局長は「条例案はおおむね現行の取引ルールを踏まえたもの。原則制限するという考え方に基づけば札幌市、京都市と同じような考え方」とお答えになりましたが、そうであれば他都市と同様に条例に明記すべきです。規則に移すのは後退に他なりません。
予算等審査特別委員会では、規則の改正は議会の承認を得ずに行えるとの指摘に対し市場長が「規則の改正は市長裁量だが、市場関係者との協議を経て決めていきたい」と述べられました。しかし、そもそも今回の条例改正さえ、市場関係者の声を受け止めずに強硬に進めてきたという問題があります。
築地市場で15年間働き、市場についての著書を多く出版している冨岡一成氏は「セリ取引では、数量や輸送コストなどは考慮されない。たくさん買えば安くなるとか、遠くから来た荷が優遇されることは一切なく、単純に需要と供給における商品価値のみが評価される。いくら商品価値が高くても、供給量が大きければ、生産コストに見合った価格がつかないこともあるし、逆に需要の方が高ければ、生産コストを大きく上回る価格も生まれる。投機的要素や欺瞞的行為は介在せずに、常に集荷状況と需要の大きさによって弾力的に価格が決定されるセリ取引は、不安定な生鮮食料品を安定的に供給する最も適した取引方法である。」と語っています。
競争市場における需要と供給の一致点の価格は均衡価格といい、市場は需要と供給を自動的に一致(均衡)させる役割を持ちます。この価格の自動調節機能を近代経済学の祖、アダム・スミスが「神の見えざる手」と表したことはあまりにも有名です。市場の価格均衡は資本主義経済が生み出した合理的な仕組みであり、それを担保するのに必要なのが資本力の大小に関わらず競争に参加できるルールです。そのお手本とも言えるのが卸売市場におけるセリ取引ではないでしょうか。市場の公正・公平な価格形成機能の保障は、市民に安全な食材を安定的に供給するという市場の使命と一体です。重要な取引ルールは条例で堅持することを求めて本議案に反対いたします。
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