(2014年9月議会 嵯峨サダ子議員の代表質疑)
○嵯峨サダ子議員 震災からの復興をめぐって、市政のありようが問われています。
二〇一三年度一般会計決算における実質収支額は、五十九億二千五百万円の黒字となりました。震災から三カ年とも毎年、黒字額がふえています。決算年度は、被災者の医療費、介護料免除が非情にも打ち切られました。被災者からは、医療費負担が重く、暮らしていけないなどの悲痛な訴えが相次ぎました。医療機関では、免除打ち切りによる受診抑制が顕著になりました。
被災者の皆さんは免除継続を繰り返し訴えましたが、奥山市長は、もう支え切れないとはねつけました。しかし、決算を見れば医療費免除は十分できたはずです。奥山市長は猛省すべきです。いかがでしょうか、伺います。
被災者の運動が政治を動かし、ことしの四月から、大規模半壊以上かつ市民税非課税世帯を対象とする医療費、介護料免除が再開されました。しかし、免除対象から外された方が九割近くにも上っています。
宮城県保険医協会が仮設住宅居住者を対象に行ったアンケート調査では、約七割の方が限定的な再開に納得できず、拡充を求めていることが明らかになりました。また、八割以上の方が現在持病があり、健康に何らかの不安を抱えていることがわかりました。中には、経済的に苦しいという理由で医療機関を受診していないという深刻な実態が明らかになりました。
医療費免除が一部再開されても、多くの被災者の健康が損なわれています。免除対象をもとに戻すべきだと思いますが、いかがでしょうか、伺います。
先日、岩手、宮城、福島三県の共産党の地方議員がそろって政府交渉を行いました。岩手県は、三百億円の復興基金を活用し、独自に百万円の住宅再建支援や被災者の医療費、介護料の免除措置を行い、暮らしやなりわいの再建を目いっぱいやっています。そのため二〇一八年度には基金が枯渇しそうだと、復興基金の増額を訴えました。
仙台市は、復興期間でありながら、財政調整基金を前年度より三十五億円ふやし、二百九十六億円に達しました。復興基金は二十七億円しか使わず、百九十八億円とし、前年度よりふやしました。市の復興期間は来年度までというのに、こんなにため込んでどうするつもりなのでしょうか。
奥山市長は、決算年度に、復興を実感できる取り組みを加速的に推進する予算だと言いましたが、決算を見れば、お金だけためて被災者の復興をおくらせた一年だったのではないでしょうか、伺います。
◯財政局長 基金の残高についての御質問にお答えいたします。
財政調整基金の増加は、概算交付を受けた国庫補助金等で翌年度以降に返還すべきものや、予定外の収入を決算剰余金で積み立てるという事情が生じたことが主な要因でございます。
加えて、震災の影響を勘案し、抑制的に予算計上いたしました市税が、現在の復興需要に支えられた側面もあり、決算では大きく予算を上回り、基金取り崩しが抑えられるという状況もございました。
いずれも予算編成段階では把握できなかったものであり、一時的な、あるいは短期的な要素を含んだものと捉えておりますが、これらにつきましては、今後有効に活用してまいります。
復興の取り組みは、防災集団移転などの被災者の生活再建につながる主要な事業は、国からの財政支援などもあり、おおむね着実な進展を見せていると認識しておりますが、国の集中復興期間後の財政支援の方向性は、現段階では明確には示されておりません。
また、被災者の生活再建のための施策は、復興計画期間後も継続的な取り組みが求められており、実施内容や事業規模などが確定していない復興事業もございますので、震災復興基金につきましては、それらの状況を見きわめながら、計画的に活用してまいりたいと考えております。
次に、予算の配分に関するお尋ねでございます。
震災後、本市の財政運営は、被災された方々の生活再建、復旧・復興事業を最優先としてまいりました。あわせて、そうした中であっても、子育て環境の整備や雇用機会の創出、中小企業支援策の強化など、市民の方々の暮らしを支えるソフト面を中心とした施策にも鋭意取り組んでまいったところでございます。
一方で、仙台が復興後の将来にわたり活力を維持、向上させていくためには、新たな都市軸の形成に向けた地下鉄東西線整備や交流人口拡大のための新展示施設の整備なども極めて重要であり、これらに取り組んでまいりました。
今後も、中長期的な視点も踏まえ、各般にわたる事業全体の中でハードとソフトのそれぞれに予算を的確に配分してまいりたいと存じます。