【概要】
〇能登半島地震を踏まえた地域防災計画の見直し
〇被災者中心の災害救助法、生活再建支援法の拡充を
〇災害ケースマネジメントの重要性とアクションプラン策定
〇ガスを活用した災害時の電源確保策
〇マンホールトイレの普及
〇身近な避難所の増設
〇「戸建て木造住宅の耐震化」の拡充と耐震診断の拡大
〇ブロック塀補助制度の拡充
〇高見のり子議員
日本共産党仙台市議団の高見のり子です。地震をはじめ、台風や洪水等頻発する日本列島で、市民の命と財産を守る役割が国と自治体の使命です。防災減災対策について一般質問をいたします。
今年1月1日に発生した能登半島地震で犠牲になられた皆さまに哀悼の意をささげ、被災された皆さまに心からお見舞いを申し上げます。
また、被災地の困難が続く中、被災者救済、支援のために昼夜分かたず奮闘していただいている全ての皆さまに心より敬意を表します。
阪神淡路大震災から29年、東日本大震災から13年になりますが、教訓は生かされているのか、検証する必要があります。今回の能登半島地震の救援活動の遅れ等の問題の原因が石川県の被害想定が不十分だったことが指摘されています。
政府の地震調査研究推進本部の長期評価による地震発生確率値の更新が今年の1月におこなわれ、宮城県沖地震の発生確率が引き上げられました。発表はマグニチュード7.4前後を想定する地震の30年以内の発生確率は昨年の70~80%から70~90%に引き上げられました。
発生確率を4つの地震に分類し発表している中で「宮城県沖の陸寄りで繰り返し発生する、ひとまわり小さいプレート間地震の確立」が上がったのです。このことによって次に起こるであろう地震は建物の被害が心配されます。耐震化をはじめ、避難所等の地域防災計画の見直しが求められると思いますが、いかがでしょうか。伺います。
東日本大震災では、宮城県沖地震の経験から建物の耐震化が進められてきたこともあり、建物の倒壊などでの人的被害には至りませんでした。
しかし、応急修理制度等も活用し、修繕が進んだはずですが、2022年の調査では半壊以上の被害を受けた建物の中で4334棟が未修繕との結果も出ています。こういった住宅の耐震性を高めるためにも、一刻も早く支援して安全な建物にする必要があるはずです。いかがでしょうか。伺います。
市は宮城県沖地震の体験から2002年に戸建て木造住宅の耐震改修助成の制度を作り耐震化を進めてきましたが、1981年5月以前に建築確認を受けて着工したものが対象です。今後発生する地震に備えなければなりません。
耐震改修制度の入り口となる耐震診断は市の助成があり、1万7600円で受けることが出来ます。しかし、自治体によって助成額も違っていて、石巻市は自己負担は0円、村田町、南三陸町では3400円です。市も助成額を増やして、対象となる全ての建物の耐震が実現するようにすべきです。いかがでしょうか。
また、耐震改修助成額も引き上げるべきですが、いかがでしょうか。合わせて伺います。
また、新しい建築基準で建てられた1981年以降の建物も東日本大震災の揺れをうけています。設計当初の耐震性が落ちていることも心配されます。新しい耐震診断の方法や耐震改修の方法を研究し、必要な建物は耐震改修を進めなければなりません。
新たな耐震改修制度の創設が必要です。いかがでしょうか。伺います。
仙台市内には危険なブロック塀が2021年に401箇所だったものが、昨年6月末で244箇所となりました。市はブロック塀除却工事補助交付事業で除却のための支援をおこなっています。残っている危険なブロック塀は除却などの何らかの対応が必要です。
補助額は費用の3分の2以内、15万円上限に県の上乗せで18万700円です。しかし、これでは足りません。自己負担分が捻出できず、除却できない方もいることが考えられます。非課税世帯は全額補助にするなど減免し、除却をすすめるべきですが、いかがでしょうか。
能登半島地震の被害の実相が明らかになるにつれて深刻さが見えてきました。
石川県が1月27日まで発表した使命を公表した死者129人のうち、9割近くの111人が家屋倒壊で死亡したことが判明したそうです。また、地震の死者238人のうち、警察が調査した222人の死因を分析したところ「低体温症・凍死」が32人(14%)にのぼったと報道されています。救助されるまでに寒さで体力を消耗するなどして亡くなったとみられています。中には倒壊した家屋に取り残された家族に水を与え続けて、とうとう救うことができなかったというつらい体験を被災者自身が語り始めています。
地震大国日本が今後、首都直下型地震、南海トラフなどの想定にどのように備えるか問われています。災害救助法は「国が地方公共団体、日本赤十字社その他の団体および国民の協力のもとに応急的に必要な救助をおこなう」と定めています。救助の一番の責任は国にあります。災害時の人命救助優先の原則を改めて国に求め、災害対策の強化を求めるべきと思います。いかがでしょうか。
災害救助法では「避難所、仮設住宅の供与」「飲食、日用品、医療等の供与」「住宅の応急修理制度」「生業(なりわい)に必要な資金の給与、貸与」等がおこなわれます。
また、被災者生活再建支援法は、阪神・淡路大震災の3年後に議員立法で成立しました。この法律は住宅の被害・再建に着目し、世帯に対して金銭給付のみをおこなう仕組みです。今回の能登半島地震の被害状況を見ても大切な家族を失った方々への精神的なフォロー、生業への支援の強化が求められます。
現在の全壊で最大300万円では到底住宅も再建できません。今国会において高齢者世帯などを対象に300万円を追加すると言われていますが、全ての被災者を救済するための支援金の増額が必要です。支援金のさらなる引き上げを国に求めるべきですが、いかがでしょうか。
内閣府は、東日本大震災の経験から多様な被災者の支援を進めることに着目し、2022年3月には事例集を作成し、その後「災害ケースマネジメントの手引きに関する有識者検討会」を設置、2023年3月に手引きを発表しています。
その中で東日本大震災時に市が取り組んだ「仙台市被災者生活再建加速プログラム」が紹介され、生活再建への取り組みを支援するために被災世帯ごとのニーズを個別に把握し、それぞれのケースに応じて個別に考えたとして評価されています。しかし、せっかく先進的な取り組みはされたものの、残念ながら現在防災計画に十分反映されているとは言えません。
市は仮設住宅解消をゴールにして、その後は既存の福祉サービスに移行させてしまいました。本来であれば、個別支援の仕組みを継続して、被災者一人ひとりが抱える問題を解決することが必要です。
全国で初めて危機管理条例に災害ケースマネジメントに関する規定を設けた鳥取県は、2016年に発生した鳥取県中部地震の際、ケースマネジメントをおこなう生活復興支援チームを立ち上げ、生活・住宅・生業再建のために弁護士、工務店関係者、医療・福祉の専門家と県の職員でアウトリーチによる支援を開始して、世帯別の生活復興プランを作成し支援をおこなったそうです。2023年には常設の機関として鳥取県災害福祉支援センターを設置、災害ケースマネジメントと県独自の支援金制度も恒久化しています。
こうした災害ケースマネジメント制度を創設することを求めますが、いかがでしょうか。伺います。
さらに鳥取県では地域防災計画において「アクションプラン」を作成し、具体的な事業計画を数値化し、目標を明らかにして防災に取り組んでいます。災害の被害を最小限にとどめるために、被害を具体的に想定し、死者数や家屋倒壊などの経済被害額の減少のために減災目標を立てて、必要な予算を明らかにしているのです。鳥取県では今回の能登半島地震をうけて、直ちにその見直しがおこなわれているそうです。
宮城県地域防災計画では、昨年11月に改訂された第5次地震被害想定調査結果をもとに「みやぎ震災対策アクションプラン」を作成予定とのことです。
本市は世界に防災都市を標榜(ひょうぼう)しているのですから、県を待たずに防災計画で設定した被害想定をどう軽減するか、耐震化をどう進めるかなど、具体的に「アクションプラン」を作成する必要があるのではないでしょうか。認識を伺います。
災害時には災害対策本部が市庁舎に設置され、その機能を発揮することが求められます。耐震性はもちろん、ライフラインの確保が重要です。先日、防災環境都市調査特別委員会の視察で川崎市の新庁舎を視察し、災害時の業務継続対策を伺ってきました。川崎市は停電時に中圧ガスを利用して電源を確保することができる仕組みを採用していました。中圧ガスの管路は地震に強くガスが途絶しない限り、電気は確保できるということです。
市は仙台市役所本庁舎建替え基本計画を2020年7月に策定していますが、ガス局は「東日本大震災の被災経験」「災害時における庁舎の役割」から川崎市庁舎のような中圧ガスを使ったライフラインを確保する防災力強化策を2018年から繰り返し提案し続けていました。
ところが、市の本庁舎建替え基本計画では電力の2回線受電、非常用自家発電の燃料の備蓄で72時間対応とのことです。非常用の発電は燃油とともにガスによる複数の備えが必要です。何よりも市ガスは公営企業であり、優先供給できるという強みがあります。
市庁舎建替え計画は、災害時のライフライン確保という点から再検討し、対応力を高めるべきですが、いかがでしょうか。
災害時のトイレの問題は大切です。千葉市では水洗トイレとして使用できる災害時マンホールトイレを各避難所に5基ずつ設置しています。2022年度で275カ所の避難所中、すでに161カ所に設置しているそうです。設置には社会資本整備交付金で半額の補助があるわけですから、全国の事例も参考にしながら、本市としてもマンホールトイレの設置を進めるべきですが、いかがでしょうか。
避難所に段ボールベッドやテントを活用することで環境整備を進めることができます。
能登半島地震では発災から1ヵ月半も過ぎているのに避難所の映像を見て愕然とするのは、いまだに体育館に雑魚寝状態であるということです。これでは厳しい寒さを防ぐことができず、 プライバシーもなくストレスも募り、持病を持つ方、高齢者などリスクを持つ方の災害関連死が増えるのではないかと、ますます危惧されています。
欧米の避難所では、簡易ベッドが準備され、テントで家族ごとに避難生活が一般的です。温かい食事の提供も不可欠です。
日本では最初に雑魚寝の避難所ができたのは関東大震災といわれていますが、その後100年以上変わっていません。避難所のあり方について国も地方自治体も人権に配慮した抜本的転換が必要です。いかがお考えでしょうか。
市は段ボールベッドやテントの備品について場所が確保できないとのことで、災害時に提供してもらうよう、企業と協定を結んでいるといいます。こうした協定は31都府県、300市町村がすでに締結しているそうです。しかし、西日本豪雨では協定を結んでいても設置まで7日もかかり、限界がみえたそうです。
大人口をかかえる政令市であり、防災環境都市を名乗る仙台市は備蓄を持つことが必要であり、計画的に進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
避難所運営には多様な市民の視点が必要です。たとえば、東日本大震災でも女性の着替えや授乳の場所の不足、性被害もありました。備品についても生理用品や授乳用品、離乳食、紙おむつも不足しました。その後、女性団体の皆さんからの指摘もあり、改善されてきました。感染症への対応なども新たに加えられ、対策も強化されています。今後はLGBTQの方、外国人等の意見も取り入れた避難所運営も必要です。いかがでしょうか。
能登半島地震の報道では、ペットの避難所のあり方も問われています。動物は家族の一員であり、飼い主が共に避難を願うことは当然の要望です。ペット同伴の避難所のあり方について普段から理解をしあえるような防災教育や防災訓練が必要と思いますが、いかがでしょうか。
市には195カ所の指定避難所と135カ所の補助避難所を設置しています。
指定避難所は主に学校等に設置され、補助避難所は指定避難所が開設し、その後必要となれば開設されるという関係です。東日本大震災の経験から、それまで小中学校のみに設置していた指定避難所を市民センター、コミュニティセンターにも1カ所ずつ拡大しました。
現在、超高齢化社会になって、一人暮らしの高齢者が増えている中で、より身近なところに避難所が必要になってきています。ある地域では、指定避難所の中学校が踏切を越えて行かなくてはならない上、あまりにも遠くて高齢者や障がい者は避難できないので、すぐ近くにある市民センターを指定避難所にしてほしいという声があがっています。指定避難所を増やすためには職員のマンパワーが足りないと言います。
しかし、だから指定避難所を増やせないというのでは、いざとなった時に市民が困ります。
千葉市では小中学校だけでなく、積極的に公共施設や公民館なども指定避難所に設置して275カ所もあります。地域の事情も様々ですが、市民センターやコミュニティセンターなどに、どうすれば指定避難所を設置できるか検討し、災害時に安心して避難できるようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。
大地震以降も災害リスクは低下するどころか、ますます増大しています。いつ、どこで誰がどんな災害にあうか分かりません。今出来ていないことが、災害時にできるはずはないのです。平時の取り組みが試されるのですから、防災対策は常に進化させておく必要があります。最後に市長に決意を伺って第一問といたします。
〇市長(郡和子)
ただいまの高見のり子議員のご質問にお答えいたします。
防災対策への決意についてでございます。
本市においては、東日本大震災の教訓を踏まえ、ハード、ソフト両面での対策の充実を図るとともに、109万市民の総合力による防災の実現を目指して、市民、地域団体、NPO、企業など様々な主体と連携をしながら取り組みを進めてきたところでございます。
今般、県から第5次地震被害想定調査の結果が示されたほか、政府において宮城県沖地震の発生確率が引き上げられました。また、能登半島地震においては、ライフラインや建物の被害、避難所での生活など、様々な面での課題が浮き彫りとなってきており、これらを踏まえた防災対策の強化が必要であることを改めて認識しているところでございます。
今後とも、これまで培ってきた本市の強みをさらに強固なものとしながら、新たな知見を取り入れるなど、防災対策の不断の見直しを行うとともに、日頃から訓練を重ね、実効性を高めることで、市民の皆様の安全・安心の確保に力を尽くしてまいりたいと存じます。
〇危機管理局長(木村洋二)
私からはまず、地域防災計画の見直しと、アクションプランの作成についてお答えいたします。
県では新たに第5次地震被害想定調査を実施し、宮城県沖地震をはじめ、宮城県に影響の大きな4つの巨大地震について、その被害想定を公表したところです。
現在の防災対策を考慮しても、なお地震や津波による被害が想定され、更なる対策が必要なことから、本市も被害を減じていくための目標設定や必要な対策を検討し、アクションプランとなる行動計画を作成する方針としております。
また、地域防災計画につきましては、この行動計画の内容に加え今般の能登半島地震を受けた国等の通知や、職員の被災地派遣により得られた知見なども踏まえながら、より実効性を高められるよう、見直しを進めてまいります。
次に、 災害時の人命救助についてでございます。
災害救助法における応急的な救助の実施主体は自治体となりますが、同法の枠とは別に、消防や警察、自衛隊等により救出活動が行われております。
今回の能登半島地震におきましても、国は総力を挙げて人命救助に当たっていたものと承知しておりますが、今後今般の地震対応全般を踏まえた要望活動等を行っていく中で、こうした観点も踏まえ、国にお伝えしてまいりたいと存じます。
次に、災害ケースマネジメントについてです。
本市では、東日本大震災の折に、仮設住宅に入居し生活再建に課題を抱えている世帯へ適切な支援を行うため、被災者生活再建推進プログラム等を策定し、関係団体と連携した伴走型の個別支援を行いました。
この手法が、災害ケースマネジメントの先行的な取組みとして、国の手引き等においても紹介されているところでございます。
こうした本市の災害ケースマネジメントに係る業務内容や役割分担などの基本的な事項につきましては、既に地域防災計画に盛り込まれているものと考えておりますけれども、より実効性を高められますよう、他都市の状況等も確認しながら、その位置づけについて検討してまいりたいと存じます。
次に、避難所のあり方についてでございます。
内閣府の避難所ガイドラインにおきましても、避難所の生活環境の整備が求められており、避難者の健康管理や衛生環境の維持等を目的に、発災直後から順次、生活環境の改善を図っていくこととしております。
本市におきましても、備蓄物資だけではなく、全国展開のレンタル事業者との協定により、必要に応じて生活環境の改善に資する様々な物資を調達する仕組みを導入しているところでございます。
大規模災害におきましては、安全な指定避難所等に多くの方が避難いたします。こうした場合にも、避難された方がストレスなく安心して過ごせる環境を整えていけますよう、今後も不断の見直しを行ってまいります。
次に、段ボールベッド等の確保についてでございます。
湿気等により劣化しやすい紙製品や、多くの保管場所を要する大型の物資等は、備蓄に適さないことから、協定に基づき配備することとしております。
また、段ボールベッドにつきましては、国のプッシュ型支援でも標準品目となっており、調達手段が複数確保されている形になっております。
今回の能登半島地震では、協定により物資の調達を速やかに行っている自治体もあるということから、こうした事例も参考にしながら安定な物資の調達に引き続き取り組んでまいりたいと存じます。
次に、多様な市民の視点を取り入れた避難所運営についてでございます。
避難所運営におきましては多様な市民の視点を取り入れることが肝要であり、本市の避難所運営マニュアルにも運営委員会への女性の参加などを記載しているところでございます。
また、東日本大震災の経験から多目的に使えるテント式プライベートルームをすべての指定避難所に備蓄いたしましたほか、備蓄食料につきましてはアレルギー対応に加えハラル対応も行うなど、多様なニーズや社会の変化に応じた見直しにも取り組んでまいりました。
今後とも、こうした視点に配慮した避難所運営に努めてまいりたいと存じます。
次に、避難所へのペットとの避難についてお答えいたします。
本市では震災の教訓も踏まえ、避難所運営マニュアルにおいてペットと一緒に避難される方への配慮を行うようにお示ししており、これまでも、地域での防災訓練等の機会に、避難所におけるペットの受け入れ訓練に取り組んできましたほか、仙台防災未来フォーラム等の各種イベントにおいても周知啓発に努めてきたところでございます。
引き続き、避難所の状況に応じたペット飼育管理ルールの設定に向けた支援などを通じ、市民の皆様が相互の理解のもとで安心して避難できる環境の整備に向け、取り組みを進めてまいります。
最後に、指定避難所の指定についてでございます。
本市では、地域住民にとって身近で、一定の広さが確保されている学校を原則として避難所に指定した上で、地域が定める目的により市民センター等を補助避難所として活用できることとしており、その枠組みの中で避難所運営を行っていただくことを基本としているところでございます。
補助避難所につきましては避難所運営委員会において、地域の特性に合わせて具体的な活用方法等を話し合っていただくこととしており、本市といたしましても地域の状況に応じた避難所の運営がなされますよう、避難所運営委員会をサポートしてまいりたいと存じます。
〇財政局長(永渕智大)
私からは、新本庁舎における災害時のライフライン確保についてお答え申しあげます。
東日本大震災を経験した本市として、新本庁舎が災害時に市民の安心・安全を守る防災の中枢拠点として機能するためには、電源確保は重要であると認識をしてございます。
災害時の電源確保にあたりましては、業務継続性を念頭に川崎市新庁舎で採用をしている中圧ガスを用いて発電するシステムも含め、比較検討を行ったところでございます。
新本庁舎では、災害時においても燃料の調達が比較的容易で敷地内のタンクで保管可能な軽油を燃料といたします非常用発電機を2基配置をし、72時間以上運転可能な計画としてございます。また、高圧電力を異なる変電所からそれぞれ引き込む電力引込の二重化を図り、電源の信頼性を確保しているところでございます。
本市災害対応の司令塔としての役割をしっかり果たせるよう、引き続き取り組みを進めてまいります。
〇健康福祉局長(加藤邦治)
被災者生活再建支援制度についてのご質問にお答え申し上げます。
この制度は、自然災害により住居が全壊等した世帯について、最大300万円の支援金を支給するものでございますが、全壊10世帯未満の市町村には適用されないほか、半壊世帯が支援対象に含まれないなど、さまざまな課題がございます。
そのため本市では、市独自要望や東北及び宮城県市長会要望など様々な機会を通じ、上限額や適用範囲の拡大等、制度の総合的な見直しを求めてまいったところでございます。
今般の能登半島地震を受け、被災者支援拡充の必要性を他自治体とも共有いたしながら、引き続き見直しを求めてまいりたいと存じます。
〇都市整備局長(反畑勇樹)
私からはまずはじめに、東日本大震災で半壊以上と判定された住宅に対する耐震化の支援についてでございます。
半壊以上となった建物につきましては、損壊した部位や程度によっては異なりますが、耐震性に課題が生じている場合もございますことから、まずは専門家に相談し、耐震診断による建物の状況を確認することが重要と考えてございます。
本市では、これまで、昭和56年5月以前の基準、いわゆる旧耐震基準の建物に対する耐震診断や改修工事への助成のほか相談先の紹介なども行ってきたところでございまして、引き続き補助制度や相談先の周知に努め、耐震改修が進むよう取り組んでまいりたいと存じます。
次に、耐震診断及び耐震改修の助成についてでございます。
本市では旧耐震基準で建てられた戸建木造住宅の耐震化を促進するため、診断費用の9割を市が助成し、耐震診断士を派遣しております。
また、耐震診断の結果、耐震性が低いと判定された住宅を耐震改修する場合、補助対象工事費の5分の4かつ上限100万円を補助してございます。
本市としましては、災害への備えはお住まいの方の日頃からの意識が大変重要と考えておりまして、個人資産である住宅をご自身で守るという観点から一定のご負担をお願いしつつ、できるだけ多くの住宅の耐震化が図られますよう助成制度の周知などに努めてまいります。
次に、新たな耐震改修制度の創設についてでございます。
地震で被災した建築物につきましては、被害箇所を特定し復旧することで耐震性の回復が見込まれますことから、まずは所有者が専門家に相談していただくことが肝要と考えてございます。
本市といたしましては、地震による人的被害の発生を防止する観点から、耐震診断及び耐震改修への助成について、まずは倒壊の危険性の高い、旧耐震基準の建築物を最優先で進めてまいりたいと存じます。
最後に、危険なブロック塀の除却への補助についてでございます。
危険なブロック塀につきましては職員が定期的に所有者のご自宅を訪問し、除却を含めた安全対策の必要性や補助制度の活用などについて説明を行っているところでございます。
ブロック塀は個人所有の財産であることから、その除却にあたっては一定のご負担をいただいているものの、その緊急性に鑑み、現在スクールゾーン内は6分の5、それ以外についても3分の2という高い補助率で支援を行ってございます。
引き続き、所有者の方々に対しまして、丁寧な説明を行いながら、早期除却に向けた働きかけを進めてまいりたいと存じます。
〇建設局長(佐藤秀樹)
私からは、マンホールトイレについてお答えいたします。
マンホールトイレは備蓄が容易であり、日常の水洗トイレに近い環境を確保できる利点がある一方、下流の下水道施設が被災していないことや、トイレの洗浄水の確保などの制約がございます。
現在、他都市の事例も参考にしながら、既存の排水設備や学校のプール水を活用した導入の手法について検討しているところであり、引き続き関係部局と連携し、いくつかある災害用トイレの組合せの一つとしての活用について検討を進めてまいります。
〇高見のり子議員
ご答弁ありがとうございました。災害ケースマネジメントについてですね、危機管理局長の方からご答弁あって、前向きにですね、ご検討いただけるというふうに私は理解をしたんですけれども。
鳥取のご紹介をしたんですね、私、第1問で。鳥取県では常設の鳥取県災害福祉支援センターというのを設置をして、個々の被災者の状況に合わせた支援を打ち切らずに続けるという姿勢があるんですよね。やっぱりそういった事が非常に大事なんではないかと思うんです。
防災計画にずいぶん盛り込まれているということもあったんですけれども、災害が発生すれば、被災者のおかれる状況というのは一人ひとり違うわけでありますから、被災者に寄り添う支援ということであれば、こういった鳥取県のような常設機関も設けてですね、一人ひとりの災害ケースマネジメントということをおこなうことが必要だと思うので、そういった点も是非考慮していただきたいと思いますので、そこの点でもう一度伺いたいというふうに思います。
耐震診断と耐震改修についてなんですけれども、東日本大震災以降もですね、頻繁に地震がおこっています。その時に倒れなかった建物が何度も揺らされる中で、次の大きな地震に耐えられるのかという問題意識から質問させていただいたんですけれども、所有者が専門家に相談する、ですとか、従来の耐震診断の枠の中でというお話だったんですが、まず1つは、東日本大震災で被災して半壊以上の未修繕の建物というのがまだ残っているということであれば、これを真っ先にまずなくすというか、対策をする。
2つ目は、1981年以前の現行の耐震診断、耐震改修制度、これを使える、この家屋はこれは拡充をすることで進めると、耐震化を進めると。
3つ目に、新たな問題として1981年以降の耐震基準で建てられた建物であっても、これ東日本大震災で揺さぶられました。すでに斜めになっているという住宅なんかもあるということも確認しているんですけれども、そういったものに対して、新しい耐震診断、それから改修の研究を進めてですね、そういった制度を作っていく必要があるということで質問をさせていただいたんですね。
ちょっと耐震診断と耐震改修のところはまとめてになるんですけれども、再度ご答弁いただければと思います。
〇危機管理局長(木村洋二)
災害ケースマネジメントに関しまして、再度のご質問でございます。被災者の方の生活を支援して、一定の状況まで、まず寄り添いながら立ち直していくということが、まず一番に大事なことかと思います。
そのうえで、その後どのような体制でどのような制度を使ってさらにサポートしていくかというのはまた個々の災害の状況によって異なってきて、その場その場で状況判断しながら、判断していくということになろうかと思います。
ただ、ご紹介いただきました鳥取の常設の支援センターにつきましても私どもしっかりと研究して、その中で参考にできるものがあるかどうか確認してまいりたいと存じます。
〇都市整備局長(反畑勇樹)
耐震診断及び耐震改修に関する再度のご質問にお答えさせていただきます。
今ご説明がありました内容ついては、いくつかのパターンがあるかと思うんですけれど、冒頭の言われました何回も揺れを受けたことによる耐震性能が心配だということにつきましては、揺れを受けたことによる被害を受けたということであれば、被害箇所を修繕することによってある程度の耐震性の回復が見込まれると思いますが、そうではなくて、そういった落ちているのではないか、という心配なことにつきましては、耐震診断をすることが非常に高度な技術が必要になってきますし、金額的にも高いということもありまして、なかなかそういったものを制度化することは現状では難しいところがあるのかなというふうに考えているところでございます。
一方で、震災で半壊を受けたけども、それが修繕できていないというパターンでございますが、今制度化してございますのは、あくまでも旧耐震基準のものを耐震の基準を上げると、耐震性能を上げるものでございまして、被害を受けたものを修繕するという制度ではないということもございます。そこにつきましては別の制度のもとでやるのかなと考えておりまして、議員がおしゃってましたように当時の地震におきましても生活再建支援制度の対象になっていなかったという問題はございますが、今回我々が持っている現在の制度とはまた別のものではないかというふうに考えているところでございます。そういったことで、まだ旧耐震基準の建物が一定程度残ってございます。これにつきましては当時5強程度までしか耐えられないという基準でございまして、やはり昨今の事象の被害を見ていましても倒壊による人的被害というのが、非常にリスクが大きいというものがありますので、まず我々としましてはこれの耐震性能を上げるということを最優先で取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます 。