(2016年2月議員 高見のり子議員)
◯二十二番(高見のり子)日本共産党仙台市議団の高見のり子です。提案者を代表いたしまして、議第一号学都仙台奨学金条例の提案理由について御説明を申し上げます。 日本の高過ぎる学費が若者を苦しめています。国立大学の学費は、一九七〇年には年間一万二千円、一九八〇年には年間十六万円でした。現在は五十四万円で、入学金も合わせると八十二万円。私立大学では、初年度納付金が平均百三十一万円にも上ります。 OECD加盟三十四カ国で、大学授業料が無償の国は半分の十七カ国、授業料がある国で給付制奨学金のないのは今や日本だけになっています。そのため、大学生の三人に一人が、日本学生支援機構から奨学金を借りています。そのうち七割が有利子で、貸与額三百万円であれば年利三%で利子は八十五万円、一千万円借りれば三百六十万円もの利子負担になります。 その一方で、労働法の改悪で非正規雇用が広がり、高等教育機関を卒業した人の約三分の一が年収三百万円以下にとどまっています。返したくても返せない人がふえるのは当然です。若者の夢と希望を後押しすべき奨学金が、奨学金返済に行き詰まり自己破産など、若者の人生を狂わせるという正反対の結果をもたらしている事態です。 若い人たちが、高い学費や奨学金の返還で苦しんでいるのは、本人の責任ではありません。奨学金返済への不安と負担を軽減するためにも、給付型の奨学金制度が必要です。 現在、本市には、二〇一〇年につくられた高等学校等修学資金借入支援制度があります。しかし、これは利子補給であり、対象が高校生だけになっており、さらに一歩踏み出す支援が必要になっています。 教育基本法では、第四条に教育の機会均等を規定し、地方公共団体にも、能力があるにもかかわらず、経済的理由によって修学困難な者に対して、奨学の措置を講じなければならないと責務を課しています。既に、政令市二十市中、十市で給付型の奨学金制度を独自に持っています。学都仙台の名にふさわしい給付型の奨学金制度をつくることが、今こそ求められています。 今回の提案では、奨学生の資格は、高等学校、大学及び高等専門学校または専修学校に在学する人で、仙台市内に居住する人または市内に居住する人の子供とし、かつ経済的理由で修学困難である人とします。 奨学金の支給額は、高等学校で国公立月五千円、私立で月八千円、大学等で国公立月一万円、私立で二万円としました。予算については、条例が成立した後で市長が決めるべき事柄ですが、提案者といたしましては、一学年高校生百五十人、大学生二百五十人と想定した場合は、総額でおよそ三億円程度と考えています。その選考方法については、選考委員会を設置し、行うものとします。なお、本条例案は、二〇一七年度より実施するものと考えています。 この条例は、学都仙台にふさわしい若者の学びを後押しする施策です。議員の皆様におかれましては、趣旨を御理解の上、御審議、御賛同いただきますよう心からお願い申し上げ、趣旨説明といたします。 御清聴ありがとうございました。(拍手)