(2013年6月議会 花木則彰議員)
◯四十四番(花木則彰)日本共産党仙台市議団の花木則彰です。 議第五号平成二十三年東北地方太平洋沖地震による被災住宅再建費助成条例の提出者を代表して趣旨説明を行います。 東日本大震災は、本市にも重大な被害をもたらしました。とりわけ約八千世帯が津波によって流失、浸水被害を受け、約五千世帯が宅地被害を受け、生活の基盤となる住宅を失った市民が多数に上りました。震災後、二年以上が経過した現在でも、応急仮設住宅に暮らす世帯は約一万世帯となっています。 被災者の生活再建と地域のコミュニティーの再生こそ、復興の第一の課題です。中でも、住宅の再建は、その中心課題とも言えるものです。これまでの大きな災害からの復興では、避難所、仮設住宅、復興公営住宅という一連の施策が国の制度として行われてきました。しかし、被災した住宅の再建への支援は薄く、やっと阪神・淡路大震災後、被災者生活再建支援制度の加算金ができた程度です。 本市においても、約一万世帯の仮設入居者に対して、自力再建できない被災者が入る復興公営住宅は、計画戸数三千戸にすぎません。入居希望者は既に計画戸数をオーバーしていますが、自力再建への支援が薄い状況では、さらに復興公営住宅不足が懸念されています。 県内でも、津波被災自治体を中心に、住宅の自力再建を支援する制度が模索されています。石巻市での住宅再建事業や、多賀城市が被災者住宅再建総合支援制度を今月から実施しているのに続き、亘理町、山元町、南三陸町でも自治体独自の被災住宅再建支援を行う方針が発表されています。これらの自力再建支援のかなめは、利子補給だけではなく、実際に建設や修繕に係る費用への助成を組み合わせていることです。例えば、被災者が高齢の場合、新たな多額の住宅ローンを組むことはなかなかできません。被災者からは、実費助成が何よりも求められています。 市は、これまで、個人の資産形成に資するものとして、実費助成に否定的な対応を続けてきました。多くの被災自治体では、既にこのような後ろ向きの姿勢を克服しています。国も定住促進策として実費助成を例示するなど、新たな対応を促しています。仙台市においても、住宅再建への実費助成に踏み込んだ独自支援策をつくるべきです。 今回提案する制度は、被災した住宅を解体し、市域内に新たに建設もしくは購入する世帯に対して、実費助成三百万円と、利子補給七百八万円を支給する。被災住宅を修繕してみずから居住する世帯に対して、全壊、大規模半壊では百万円、半壊では五十万円の実費助成と、それぞれ利子補給で二百五十万円を支給するものです。 住宅の建設購入の場合、さきの震災で実際に浸水した津波浸水区域の被災者には、実費助成を二百万円上乗せします。また、宅地被害等で住宅が傾いた場合、修復の工事への実費助成分二百万円を上乗せしています。住宅の傾きを修復する工事の場合、一部損壊を含めて助成対象としています。 助成の対象となる工事や借り入れは、平成二十三年三月十一日から平成三十年三月三十一日までに行われたものとしており、事業期間は平成三十年度までを予定しています。この制度によって、被災者の住宅の自力再建を励ますとともに、生活再建と地域コミュニティー再生に寄与するものです。今後、数十年にわたる復興公営住宅関連の経費を節減することにもなります。 また、かつて、鳥取県での独自の支援金制度が国の被災者生活再建支援制度につながったように、災害の多い日本で安心して暮らしていける制度へつながる被災地仙台からの発信となるものです。 議員各位の御賛同をお願いいたしまして、提案といたします。