(2014年9月議会 花木則彰議員)
◯四十四番(花木則彰)日本共産党仙台市議団の花木則彰です。提出者を代表して、議第六号仙台市放課後児童健全育成事業条例、議第七号仙台市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例について、提案の理由と趣旨説明をいたします。 子ども・子育て支援法、児童福祉法改正、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供に関する法律の改正に伴い、第二回定例会に提出された第八十八号議案仙台市児童福祉法の施行に関する条例の一部を改正する条例は、その引用した厚生労働省令に誤りが見つかり撤回をされました。出し直しの条例案として、今回、第百十七号議案仙台市放課後児童健全育成事業及び家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例が出されています。 前回の経過から、出し直しのこの条例には、子供たちのために内容上の進歩を期待していましたが、残念ながら相変わらずの内容です。形式上では、批判を受けた丸ごと引用方式は改めて、必要な条文は抜書きをしたり、市が独自に文章化したりするなどに変わりました。しかし、放課後児童健全育成事業と家庭的保育事業等の基準を一つの条例とする理由がわかりません。それぞれ独立した条例にすべきものです。そのため、対案として、議第六号、議第七号の二本を提案するものです。 議第六号仙台市放課後児童健全育成事業条例は、本市が行う放課後児童健全育成事業について定めるとともに、市の区域内で行われる放課後児童健全育成事業の基準について定める条例です。 市が行う仕事には、法律で定められたもののほか、条例、規則、要綱に基づいて行われるものがあります。条例は議会で決めるものですが、規則や要綱は、市長もしくは局長の権限でつくられており、議会の議決は必要としません。 仙台市の放課後児童健全育成事業である仙台市児童クラブ事業は、現在は要綱で行われており、条例はありません。また、事業主体は児童館等の指定管理者等とされています。今回、子ども・子育て支援法で、基準を条例で定めると書かれていますが、基準だけ決めればよいというものではありません。 市が基準を条例で定めておきながら、事業の実施は要綱で済ませているような事業は、仙台市にはこれまでありません。市の条例体系上も問題があると考えます。放課後児童健全育成事業の法的な位置づけが重みを増したわけですから、市としても条例上にきちんと位置づけて、市民に対して、行政として果たすべき役割を明確に約束するべきです。 議第六号は、仙台市児童クラブ事業を条例で実施をする事業に格上げするための条項を第二章として定めています。子ども・子育て支援新制度では、市の児童クラブ事業の事業主体は市自身でなければなりません。要綱の規定は、いずれにせよ変更しなければならないものです。市が事業主体で行うにふさわしく、事業の内容を充実させています。 児童クラブの開所時間は、土曜日も含めて午後七時十五分までとしています。児童クラブへの登録申し込み先や登録の決定も市長、利用料や減免の決定、徴収も市長の仕事としています。 第三章は、届け出により市域内で事業者が行う放課後児童健全育成事業と仙台市が行う仙台市児童クラブ事業のどちらにも適用される、設備、運営の基準として定めています。 この基準で、当局案と内容的に違っている主な点は、放課後児童健全育成事業者について管轄する自治体として、事業の向上に努める必要があることを第十八条第三項に加えています。最低基準の向上について、利用児童の保護者その他児童福祉に係る当事者の意見を聞くことを市長に求めています。 設備の基準について、専用区画等は、専ら当該放課後児童健全育成事業の用に供するものでなければならないものですが、当局案では、続けて、ただし、利用者の支援に支障がない場合は、この限りでないとしています。この限りでないがどこまで容認するものなのか、わかりにくい規定となっています。 議第六号では、第十九条で、児童館児童クラブについてだけ、利用児童の支援に支障がない場合に限り、共用区画の一部を専用区画とみなすことができると規定しました。届け出事業者等には、専用区画を厳格に準備することを求めています。 開所日数については、一年につき二百五十日以上から一年につき二百八十日以上に変えています。現在、仙台市の児童館児童クラブでは、約三百日開所していることから、届け出事業者にも同等の開所を求めるものとするためです。また、非常災害対策の計画は、学校その他関係機関と連携を図りながら作成するよう強調をしてあります。 前回の私たちの提案から基準面で変更したのは、主に経過措置として支援の単位の取り扱いについてです。現在、仙台市児童クラブ事業では、四十人を超える児童クラブが半数以上、七十人を超えるクラブも三分の一という現状を踏まえた提案となっています。 第二十条第五項では、支援の単位が四十人を超える場合には、速やかに、その支援に必要な設備及び備品並びに放課後児童支援員及び補助員を確保し、支援の単位を分割するものと明記しました。四十人という基準を理由に希望者が足切りされるのではなく、受け入れる環境整備に取り組むことを市民にはっきりと示す内容です。 また、支援の単位ごとに専ら従事する職員の例外について、第六項で具体的に例示し、わかりやすく規定をいたしました。 その上で、当面の五年間の経過措置として、支援の単位が四十人を超える場合も想定して、利用児童の人数に応じて放課後児童支援員の配置数をふやすことを求めています。 私は、五年間の経過措置期間内に、本則の基準をクリアできるよう積極的な施設整備を含めた事業計画を策定することを求める立場です。七千人を超えた登録児童、さらに小学六年生まで利用児童の範囲が広がることに、市がしっかりと向き合い、責任を持って対応することを強く求めて、この条例案を提案するものです。 議第七号仙台市家庭的保育事業等の設備及び運営に関する基準を定める条例は、基本的に当局案の形式を踏襲して、強化すべき基準を変更する条例案となっています。 当局案との主な変更箇所は、前回の対案と同じ部分です。保育士の配置について、当局案より手厚い配置を求めています。小規模保育事業A型に比べて、保育士配置が三分の二以上で認められる小規模保育事業B型には、せんだい保育室B型からの移行の場合のみ認めるよう、小規模保育事業の区分第十条に記述を加えています。小規模保育事業B型は、保育士の配置基準以外はA型と同じ基準です。新規に小規模保育事業B型をふやしていくことは、仙台市の子供たちにとって利益とはならないため、仙台市では、小規模保育事業であればA型への参入を給付費の上乗せなどで大いに奨励すべきと考えます。 また、小規模保育事業C型は、家庭的保育者、補助者による保育ではなく、保育士、保育従事者による保育を行うものとしています。同時に、附則第四条で、現在の家庭的保育事業、単独型、共同型から移行ができるように、五年間は保育士にかえて家庭的保育者、保育従事者にかえて補助者による運営を認めています。 以上、子供たちにとって前回の対案に比べても、より充実した支援となる本提案について、当局提案の第百十七号議案とともに、詳細な検討と審議をお願いし、御賛同をいただきますようお願い申し上げて、提案趣旨説明といたします。