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公立保育所の役割は大きい

(2017年第3回定例会 庄司あかり議員の決算審査特別委員会での質疑から)

庄司あかり委員  委員長、途中でパネルを提示いたしますので、御配慮よろしくお願いいたします。
公立保育所廃止民営化に関して伺います。
決算年度、岩切保育所、若林保育所が廃止され、八乙女保育所、将監西保育所の廃止が決められました。八乙女、将監西も含め、決算年度までで合わせて何カ所、定員何人分に上るのか、お示しください。

環境整備課長  来年4月に民営化いたします八乙女、将監西保育所の2カ所も含めますと、民営化を行った公立保育所は13カ所、定員1,213人分となります。

庄司あかり委員  13カ所、1,213人分ということです。そもそも公立保育所の廃止民営化はいつ、どのような計画で始まったんでしょうか。

環境整備課長  老朽化する公立保育所の建てかえにつきましては、平成19年8月に策定いたしました公立保育所の建てかえ等に関するガイドラインなどの方針に基づき、昭和56年以前に建築された22カ所の木造の公立保育所について、児童の安全・安心、よりよい保育環境を確保することを目的に、主に民設民営方式を基本として計画的に整備を進めることとしたところでございます。

庄司あかり委員  2007年に公立保育所の建てかえ等に関するガイドラインを策定して、築25年以上の木造公立保育所の建てかえについては民設民営方式を基本とするとし、始まりました。
そして、2014年には築25年以上にかかわらず、地域拠点保育所とする22カ所以外の公立保育所については原則として廃止民営化の対象としていくと方針転換がありました。地域拠点保育所の考え方についてお示しください。

運営支援課長  地域拠点保育所は、子ども・子育て支援新制度への移行などを踏まえまして、地域の保育施策を他の保育所等と連携しながら推進していくための核となる保育所といたしまして、22カ所の公立保育所を位置づけたものでございます。
具体的な役割といたしましては、地域における子育て支援の充実や新しい保育施設等への相談支援などがございます。

庄司あかり委員  地域拠点保育所の説明の資料を拝見しますと、配慮を必要とする児童等への対応強化ですとか、新設や経験の浅い経営主体に対する相談支援機能、大規模災害時の情報伝達や物資搬送の中継地点として拠点保育所を位置づけています。
今議会でも多くの議論がありましたけれども、配慮を必要とする子供が今増加している中で、わずか22カ所の拠点保育所だけでその役割を担うとするのは、これは時代に合わないというふうに思うんです。また、待機児童の解消が切実に求められているときなのに、公立保育所だけはどんどん廃止していくというのは市民から到底理解されるものではないと思います。
この間、国の待機児童の定義は頻繁に変更されてきましたけれども、最初に待機児童が定義された2001年以降の件数について御説明ください。

認定給付課長  国は平成13年度から平成26年度までについては、待機児童を保育施設等の利用を申し込んでいるものの現に入所できない児童から、国庫補助事業や地方単独保育施策により保育されている場合や特定の保育施設等のみを希望している場合を除いた数と定義いたしました。
その後、新制度が開始した平成27年度に、従来のものに加えて保護者が求職活動を休止している場合は待機児童に含めない、また、育児休業を取得している場合は待機児童に含めないことができるとされました。このうち育児休業については今年度から保育施設等に入所できた後に復職する意思が確認できる場合には待機児童に含めることと変更されております。

庄司あかり委員  今年度からは育児休業を取得している場合は待機児童から除外するというのはなくなったというお話ですけれども、今御説明いただいたように国が待機児童の定義、これは除外するものをふやしてきて対象を狭めてきたということなんだと思うんです。
そのため、待機児童からは除外される幼稚園の一時預かり事業を利用されている方ですとか、兄弟で同じ保育園に入りたいと特定の保育施設を希望している場合、求職活動を休止している方などが隠れ待機児童と呼ばれて、実態に近い数字として示されるように近年なっています。
隠れ待機児童を含む入所保留児童数は決算年度で何人になっているのか、伺います。

認定給付課長  決算年度の取り組みの結果として、平成29年4月1日時点における数をお示しいたしますと、保育施設等の利用を申し込んでいて入所保留となっている児童数は712人となってございます。

庄司あかり委員  保育所に入りたいと申し込みをしたけれども入ることができない人数が712人ということです。これが入所保留児童数ですから、こちらのほうがより実態に近いんだと思うんです。
待機児童解消を目指すときに、国の定義の範囲だけでなく、より実態を反映した数字を念頭に置くべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

環境整備課長  本市では就学前児童や小学生の保護者を対象といたしましたアンケート調査により、今後の就労の意向や保育所の利用希望などを把握した上で、平成27年3月にすこやか子育てプラン2015を策定し、計画的な保育基盤の整備に当たってきたところでございます。
また、保育施設等の整備に当たりましては、従来の認可保育所だけでなく小規模保育や家庭的保育など、さまざまな事業を組み合わせながら、平成27年度以降、毎年1,000人を超える規模で整備を図ってきたところでございます。
今年度も来年4月に向け約1,500人分の定員拡充を進めており、入所を希望する児童を1人でも多く受け入れられるよう取り組んでまいりたいと存じます。

庄司あかり委員  今のお話は待機児童の二百数人だけでなく、今お話ししたような入所保留児童数も念頭に置いての整備計画を持っているということでよろしいんですか、確認します。

環境整備課長  そのとおりでございます。

庄司あかり委員  今もお話ありましたが、子ども・子育て支援新制度で地域型保育事業の小規模保育所や家庭的保育事業なども認可というふうに位置づけられました。市内の保育施設の定員数で見たときに、それらはどのくらいの数を占めるのか伺います。

環境整備課長  本年4月1日現在の認可保育施設等の定員数は1万8413人でございまして、そのうち地域型保育事業の定員数は1,620名、全体の8.8%となります。

庄司あかり委員  ここでパネルを提示したいというふうに思います。
今お話しいただいたように保育施設の総量で見ますと、今は今年度をお示しいただきましたが、決算年度、そして2015年度についてもグラフにしております。保育施設の総量で見ますと地域型保育はふえてきています。しかし、定員数で見れば当然ですけれども6歳まで入ることができる、いわゆる認可保育所が大部分を占めています。
3歳の壁という課題も先ほど議論がございましたけれども、やはり待機児童解消の基本というのは6歳まで入ることができる認可保育所の増設なのだというふうに思います。だからこそ、御当局も答弁の中で、待機児童対策については認可保育所の整備を基本としながら小規模保育や家庭的保育など、さまざまな保育基盤の整備を進めてきたとおっしゃっています。
認可の対象が広がる前、もともとの待機児童というのはこの6歳までの認可保育所に入ることができない児童数でした。そこで、認可保育所に申し込んでも入ることができない児童数について、決算年度の4月、そして今年度の4月、それぞれお示しください。

認定給付課長  保育所の利用を申し込んでいて保育所に入所できない児童数は、現に地域型保育事業などを利用している場合も含まれますが、平成28年4月1日時点で1,102人、平成29年4月1日時点で1,253人でございます。

庄司あかり委員  決算年度で1,102人、今年度で1,253人。6歳までの認可保育所に申し込んでも入ることがかなわないという子供が1,000人を超えたままです。
さて、冒頭にこれまで廃止民営化してきた公立保育所の定員数を累計すると1,213人というふうにお示しをいただきました。現在、認可保育所に入ることができない子供の数にこれは匹敵するものです。
御当局は民営化した際に定員増を図ってきているとおっしゃいますけれども、決算年度まで廃止の11カ所でわずか157人分しかふえていません。70人から120人程度の保育所を新たに建設運営できるだけの力を持っている民間事業者を公立保育所廃止民営化の受け皿にしてしまったということが問題です。
公立保育所は維持しながら、そうした民間事業者の皆さんに力を発揮していただいて、新しく認可保育所を整備してもらえば、認可保育所に入れない子供が1,000人を超えるという事態は解消できていたのではないかとこれまで指摘してまいりました。
第1分科会では議論いたしましたけれども、若林保育所が廃止民営化された若林どろんこ保育園で保護者や子供の意思は関係なく理念も保育方針も全く違う事業者に変わってしまうことで、高い主食代など保護者の負担が増加して、子供たちのけがや事故が相次ぐ事態となっていることを指摘いたしました。
子供の安心・安全が確保されていないと三者協議で保護者の方々が繰り返しお話をされています。信頼関係を築くことができていないのに子供を預けざるを得ない保護者の不安やつらさ、これは市は真摯に受けとめていかなければならないと思います。公立保育所が廃止されなければこんなに苦しまなくて済んだのにという保護者の皆さんの思いは、これは真理だと思いますけれども、いかがでしょうか。

環境整備課長  これまでの保護者説明会や三者協議会等でいただきました保護者の御意見や御指摘につきましては、本市といたしましても真摯に受けとめているところでございます。
現在、入所する全ての児童の保護者を対象としたアンケート調査を実施しておりまして、この調査を通じて保護者のお考えをさらに広くお伺いしたいと考えております。

庄司あかり委員  今行われているその状況は、三者協議の議事録を読んでも公立保育所の保育の継続を投げ出していると言わざるを得ないんです。そういう事業者が廃止民営化を受けるような事態になっています。
これまで公立保育所の廃止民営化に応募してきた事業者数について、それぞれお示しください。

環境整備課長  老朽化する公立保育所の建てかえ民営化に応募いただいた事業者数でございますが、平成21年10月開所の原町保育所では3法人、大野田保育所では4法人、平成25年4月開所の中山保育所では4法人、南光台北保育所では3法人、平成26年4月開所の〆木保育所では1法人、平成27年4月開所の堤保育所、愛子保育所ではそれぞれ1法人、平成28年4月開所の八木山保育所では2法人、将監保育所では1法人、平成29年4月開所の岩切保育所、若林保育所ではそれぞれ1法人でございました。

庄司あかり委員  初めのほうこそ3から4法人から応募がありましたけれども、ここ数年はほとんどが1法人の応募という状況です。ガイドラインではより優良な事業者を確保するために事業者は原則として公募しますとしていますけれども、1法人しか応募がなければ認可保育所の整備基準や保育水準さえ満たしていればそこに頼まざるを得なくなっているというのが実態だと思います。
最初に廃止された原町、大野田保育所の実施状況報告書で、民営化の事業者から経済的メリットがなければ手間と費用と人材をつぎ込まなければならない事業に手を挙げようとする法人は少ないと指摘されたとおりの状況に今なっています。もう限界なんじゃないでしょうか。
毎年この第3回定例会には1年半後に民営化される公立保育所の廃止議案が出されてきましたが、今議会では出されていません。どういう理由でしょうか。

環境整備課長  老朽化いたします公立保育所の建てかえ民営化に伴い議案を提案いたしますのは、設置運営法人が選定された後に行っておりますが、今回はまだ調整中でございまして、提案には至っていないところでございます。

庄司あかり委員  公立保育所を廃止し民間事業者に任せることで建設費や運営費を削減できると、つまりは安上がりにすることができるとして始めた計画ですけれども、その根幹たる民営化を引き受ける民間事業者がいなくなってきているんだと思うんです。これはもう公立保育所廃止民営化方針の行き詰まりを示しているものだと思います。
障害児の受け入れですとかアレルギーや福祉的な支援が必要な子供の対応、地域の子育て支援と、公立保育所の役割は以前にも増して大きくなっています。さらに、多様な保育施設が整備されていく中で、保育水準全体を維持向上させる上でも公立保育所の存在が欠かせないと思います。公立保育所の廃止民営化方針について立ちどまって考えるときではないでしょうか。
待機児童解消には、民間事業者の皆さんに認可保育所の新設に力を発揮していただくことはもちろん、それとともに公立保育所もしっかりと役割を担うべきです。このことを郡市長に申し上げて質問を終わります。

 

 
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