代表質疑 庄司あかり議員 (12月12日)
【概要】 学校エアコン設置は地元業者に。
給付型奨学金制度を。
◯庄司あかり議員
日本共産党仙台市議団の庄司あかりです。会派を代表して、提案されている諸議案並びに市政の重要課題について質疑を行います。
「エアコン議会」と称された第3回定例会を終えた10月、郡市長が、市立の小中学校、高校等の普通教室や職員室など、全192校に来年度中にエアコンを設置するという決断をされたことに、子供たちや保護者、教職員を初めとして多くの歓迎の声が寄せられています。国の臨時特例交付金の活用と市債約110億円のうちの70億円が交付税措置されることから、来年度予算措置を予定している市立高校の分と合わせて市の負担額は45億円となります。国の補助事業のタイミングを逸することなく、3900室への設置に一気に取り組むという英断を高く評価するものです。
全国的にエアコン設置の動きが高まる中ですので、発注の仕方など御苦労されることになるかと思います。「エアコン特需」による仕事おこしへの期待も高まっており、地域経済の活性化に資する公共事業です。設置を急ぐ余り、大規模業者やメーカーに丸投げするのではなく、地元業者も取り組みやすくなるように分離分割発注とすべきと考えますが、いかがでしょうか、お考えを伺います。
また、エアコン設置と同様に切実に待たれている学校の老朽化対策を後手に回すわけにはいきません。市内には建設後40年を超える校舎が80校以上あります。どんどん忙しくなる学校施設課の体制を拡充して、教育環境の改善にしっかり取り組むことを求めます。いかがでしょうか、伺います。
エアコンのランニングコストについては、年間の負担がどれくらいになるかまだ示せない段階ですが、どのような断熱対策をするかがランニングコスト抑制に大きく影響します。今、専門家からも学校のエアコン導入とあわせて断熱性能を上げることの重要性が指摘されています。
学校の教室といえば、大きい窓がたくさんあるという構造上、夏は温まりやすく冷えにくい環境です。そこを冷房設備だけで力づくで冷やそうとすれば、使用料が高くつくことが目に見えています。夏の日射が直撃する屋上の断熱、窓からの熱を防ぐために窓ガラスをペアガラスや樹脂サッシにすることや、ひさしの設置も有効だと言われています。エアコンの効率を高めるための断熱対策についてはどのようにお考えでしょうか、御認識を伺います。
(仮称)仙台市いじめの防止等に関する条例の骨子案に対してのパブリックコメントや意見聴取を踏まえた市の考え方が示されました。
当事者である児童生徒の声を取り入れるために、「いじめ防止基本方針の策定の際に児童生徒から意見を聞くこと」を義務とすることは重要です。一方、パブコメでは、「仙台市の責務を明確にすることが重要」、「内容に実効性を持たせるための仕組みまで踏み込んで言及してほしい」などの指摘もありました。
ことし9月、八王子市で中学2年生の女子生徒が自死し、教育委員会は背景にいじめがあったことを認め、検証のための第三者委員会が設置されています。重大なのは、八王子市では2017年に既に「いじめを許さないまち八王子条例」を定めていたという点です。いじめ防止条例を持っていても重大事態が発生したという痛苦の事例は、条例をつくっただけでは不十分で、条例の理念に基づく取り組みをどれだけ現場で実践できるかが問われていることを示しています。
現場の教職員が子供たちと向き合う時間を確保し、子供の心の動きや小さな変化を見逃さず、成長発達の段階を通じて必ず起こり得るいじめをいかにして教育的課題として解決するか。教員も一人で悩み抱え込むのではなく、一緒に事例を検討し、対応に当たる教員集団をつくっていくことが重要です。
仙台市に求められている一番の仕事は、そのための教育環境整備に惜しまず取り組むことです。条例の理念に基づく実践を支えるための財政措置を明記することが、条例をつくっただけにとどめず、効果を上げていくために必要なことだと考えますが、いかがでしょうか。
教職員の長時間労働が社会問題となっていることを受けて、日本共産党は「教職員を増やし、異常な長時間労働の是正を─学校をよりよい教育の場に─」という提言を発表しました。持ち時間数の上限を定め、そのための定数改善計画を行うこと、学校の業務削減を進め、現場に負担を強いる業務を削減、中止すること、教職員の働くルールを確立し、非正規職員の正規化と待遇改善を進めることを提案しています。
教員は労働者であるとともに教育の専門家です。子供たちは、他者との温かい人間関係の中で、一人一人が個性的に人として育ちます。その人間形成を支える教員の仕事は、みずからの使命への自覚、それと結びついた広い教養や深い専門的な知識、技能が求められる、とうとい専門職です。そうした教員の専門性の発揮のためには、それにふさわしい労働条件が必要です。授業の準備、子供への理解や対応、教育活動の振り返り、教育者であり続けるための研究と人間的修養、それらが人間らしい生活の中で保障されなければなりません。
ところが、今、教員は「ブラック」と言われるような異常な労働条件に置かれ、子供の実情や保護者の願いに応じた、柔軟で人間味のある教育が難しくなっています。まともな労働時間の実現は、専門職としての誇りと自覚を培う土台となるものではないでしょうか。教職員をふやし、不要不急の業務の削減など、多忙化の解消へ向けた取り組みを進めることを求めますが、いかがでしょうか、お答えください。
仙台市奨学金返還支援事業の素案が示されました。市内の中小企業に就職した若者に対し、入社後3年間の奨学金返還を支援するというもので、年間18万円の支援額のうち、半分の9万円を、採用した企業が基金に寄附する形で賄われます。
期間を入札後3年間と設定した理由は、新卒は3年以内の離職率が高いため、この制度の活用によって当該企業で3年間働くことになれば、その後の定着につながるという狙いがあるとのことでした。
長期にわたって奨学金の返済をしなければいけない若者と、人材確保に悩む中小企業という二つの課題をつないで支援するという制度で、郡市長が市長選挙の中で訴えていた内容を具現化したものであると受けとめています。
しかし、この素案には課題もあります。人材確保に悩む中小企業が、社員1人当たり年間9万円の寄附を必ずしも行えるわけではないということです。この制度は認定を受ける企業が半額を負担しなければならないというものなので、参加できるのは、採用した社員の給料に加えて、市に9万円掛ける採用人数に応じた金額を支払える企業に限られるということになってしまいます。市内に4万7000あるという中小業者のうち、一体どれくらいの企業がこの制度を活用できるとお考えでしょうか、伺います。
また、認定を受けた企業が、例えば、新卒を3人採りたいが、奨学金返還支援に出せるのは2人分までだと判断した場合、採用時に、「あなたは奨学金の返済予定がありますか」と学生に問い、奨学金を借りている学生を2人、借りていない学生を1人採用するという調整が行われるおそれもあります。これでは、学生にとって奨学金を借りているか否かが採用に影響するという脅威になってしまいます。
また、就職後も、「あなたはほかの社員とは違って会社から9万円追加で出しているんだから」ということを暗に言われ、サービス残業など過密労働を強いられる心配もあります。企業の寄附と支援を受ける若者が余りにも直接的だからこその問題です。
企業から寄附をいただくこと自体は否定するものではありません。中小企業支援と地域の雇用確保に資する制度でもあるので、中小企業からの寄附だけでなく、金融機関や大企業からの寄附を募ることや、ふるさと納税のメニューに加えるなど、幅広く奨学金返還支援基金への寄附を募るべきです。
徳島県では、寄附してくださった企業を奨学金返還支援サポート企業として認証し公表しています。仙台市でも、企業による寄附と支援を受ける若者をひもつきにするのではなく、寄附をいただいた企業名をサポート企業として公表し、インセンティブを与えるという形式にしてはいかがでしょうか、お答えください。
今の制度設計のままでは、年間70人という対象人数が妥当かどうかもわかりません。結局、採用する中小企業がどれくらいお金を出せるかによるものだからです。
北九州市では、企業の寄附を募ってはいますが、寄附をしなくても認定企業になれるため、認定企業数は245社に上っています。対象人数は年間300人、企業への正規就職のほか、保育士や幼稚園教諭、介護福祉士も対象にしています。仙台市でもより多くの若者や中小企業が利用できるような制度とすべきですが、いかがでしょうか、伺います。
郡市長は、奨学金返還支援制度について、「若者の地元定着を支援する仙台版『給付型奨学金』創設という公約に即した形でまとまった」と記者会見で話されました。確かに地元定着を進めるという点では、奨学金返還支援は効果的な制度です。しかし、返還支援は貸与型の奨学金を借りていることが前提なので、返済が不要な「給付型奨学金」制度ではありません。
11月にはみやぎ奨学金問題ネットワークから市長宛てに要望書が出されています。要望書では、市が行った「子どもの生活に関する実態調査」の結果を引いて、子供の意欲や能力ではなく、世帯の収入状況によって進学に対する子供の希望に格差が生じている実態があり、そうした「希望格差」を縮小するために給付型奨学金制度をつくることを求めています。
今、多くの学生が貸与型の奨学金を借りて学び、将来の返済への不安を感じながら学生生活を送っています。給付型奨学金は学生の皆さんに安心して学んでもらうための制度であり、郡市長に多くの若者が期待を寄せたのも、仙台版給付型奨学金を公約に掲げたからではないでしょうか。
奨学金返還支援制度の創設は、まだ公約の半分を実現したにすぎません。給付型奨学金制度をつくることを目指し、検討を進めるべきです。いかがでしょうか、伺います。
10月、放課後等デイサービスを行っている事業者のネットワークである放課後ケアネットワーク仙台が、仙台市議対象の勉強会を開催し、超党派の市議が参加しました。今年度の障害福祉サービスの報酬改定によって、放課後デイの現場では大きな影響が出ているということで、現場の実態を教えていただきました。
今回の報酬改定によって、障害児の状態像に合わせて判定を行い、より重度で支援が必要となる子供を指標該当児、それ以外の子供を指標非該当児として、指標該当児の利用割合が50%以上であれば報酬区分1、50%未満であれば報酬区分2になります。
問題なのは、どちらの区分になっても改定前に比べ基本報酬は減少するということです。全国放課後連が行ったアンケートでは、2017年度決算に比べて、区分1の場合の収支予想では100万円~149万円の減、区分2の場合では250万~299万円の減という回答が最も多かったという結果からもわかるように、経営上大きな打撃となっています。
また、現場からは、子供たちへの適切な支援によってできることがふえ自立度が上がっていくほど、報酬単価が減るという逆転したシステム、この仕組みでは頑張っている事業所が評価されないことになるという声が上がっており、放課後デイが目指していく姿とは相入れない報酬体系であることが指摘されています。
市としても、市内の事業所にどのような影響が出ているのかを今調査しているところとのことですが、その結果も受けて国に抜本的な改定を求めるべきです。いかがでしょうか。
市は、9月に指標判定の見直しを行いました。これによって報酬区分2から区分1に変更となった事業所は21カ所あります。しかし、その場合には、10月以降は新しい区分での報酬となりますが、4月からの半年分については遡及しての支給はされません。岩手県では、暫定的な判定から区分が変更となった場合などに遡及できるようにしています。仙台市も独自の経済的支援を行うべきです。いかがでしょうか、伺います。
宮城県が来年度から重症心身障害者医療費助成制度への県の補助に、精神障害者も対象に加える方針であることが明らかになりました。仙台市も、県の補助に合わせて精神障害者への医療費助成を行うとのことです。障害の種類によって差別されることはあってはならず、障害者差別解消条例の理念に照らしても重要な前進です。
一方、この制度は、障害者が医療機関の窓口でまずは支払いをして、区役所に立てかえた分の申請をし、その後、口座に振り込まれるという償還払いになっています。各区役所の毎月の事務量も非常に多く、金額の間違いも起こっていて、過払いや不足が生じ、制度を利用している障害者の方がその都度対応を余儀なくされるという状況になっています。
市は、今年度から国保については自動償還払いとし、「申請用紙を区役所に提出する手間を省いた。還付金のミスもなくなる」と説明していましたが、実際には、自動償還払いであっても還付金の過不足や還付のおくれが生じています。
私が相談を受けたお父さんは、妻と息子さん、娘さんが障害者で、心身障害者医療費助成を初めとする御家族分の事務手続を一手に担っています。数年前に横浜市から治療のために引っ越してきましたが、横浜市では窓口での支払いが必要ない現物給付だったため、仙台に来てこの制度の不便さに驚いたとお話しになっていました。
私も、そうした御相談を受けて、これまで現物給付化を求めて質問をしてきましたが、その方の娘さんが先日、24歳の若さで急逝されました。先天性の難病と合併症の心臓の不整脈と闘ってきた生涯でした。本当に残念でなりません。そうした中、悲しみに浸る間もなく、お父さんは医療費助成の還付金調整の書類のチェックをしなければならなかったと聞き、愕然としました。
償還払いは、経済的負担も大きい障害者世帯に立てかえ払いをさせ、さらに還付金の過不足などへの対応を強いて、現場の職員にも過大な事務負担を負わせるものであり、何のメリットもありません。仙台市は、県のアンケートに対し、現物給付化するのにかかる市の負担は、国のペナルティ6.6億円と医療費増加分2.4億円、合わせて9億円との試算を出していますが、それでも「現物給付が望ましい」と回答しています。であれば、障害者差別解消条例の理念にもとる償還払いはやめ、現物給付とすることを求めますが、いかがでしょうか。
健康福祉常任委員会で沖縄県の日赤安謝福祉複合施設を視察してきました。市営住宅や特養ホーム、児童館や保育園など福祉施設が複合的に組み合わせられている施設で、赤ちゃんから高齢者まで安心して過ごせる場所です。中でも市営住宅は、LSA室が設置されたシルバーハウジング棟の人気が高いとのことでした。
仙台市内でも、復興公営住宅を初めとした市営住宅の高齢化は深刻です。特に復興公営住宅では、収入超過世帯の家賃値上げで働き盛りの世帯が退去せざるを得なくなり、コミュニティーの維持に自治会などが大変御苦労されています。
ある復興公営住宅では相次いで高齢者がお一人で亡くなっていたと聞いています。震災から1年9カ月、入居時より高齢化が進み、ひとり暮らしがふえるなど、家族構成の変化も見られる復興公営住宅では、孤独死を防止する取り組みが不可欠です。
気仙沼市では、災害公営住宅に高齢者等相談センターを設置し、見守りや健康相談の支援を行っています。仙台市でも復興公営住宅や市営住宅に支援員を配置すべきです。伺います。
この冬は家計が苦しくなると言われています。宮城県生協連の配達灯油の暫定価格は18リットル当たり1926円となっており、資源エネルギー庁が11月に発表した調査によると、約3年9カ月ぶりの高値ということです。
仙台市では、梅原市政時代に、灯油価格の高騰を受け臨時議会を開き福祉灯油の補正予算を組みました。生活保護世帯に1万円、非課税世帯のうち高齢者、障害児者等に6000円を支給しました。このほか福祉施設等へも暖房代の補助を行っています。
このときの灯油価格は1854円ですから、ことしの灯油の高騰は当時の水準を上回っています。さらに、この間、生活保護世帯は生活扶助や冬季加算など相次いで削減されたため、「1日1、2回の食事で我慢している」など、最低限度の生活すら脅かされる事態になっています。
この夏の記録的な猛暑において、子供たちの命にかかわることだとエアコンの設置に機敏に動いた郡市長ですから、冬の寒波に凍える市民へも温かい支援を行うべきです。いかがでしょうか、伺います。
原油高騰の影響で苦しんでいるのは市民だけではありません。軽油の値上がりでバス事業の収支が悪化するというのです。第118号議案、自動車運送事業会計補正予算は、資金不足比率が当初の見込みより1.2%も悪化するというものです。温かい支援はバス事業に対しても必要です。お考えを伺います。
東西線開業から3年。市民からいまだ寄せられるのは、「地下鉄開業でバス路線が不便になった」との声です。今年度からは経営健全化計画に基づき市バスの2.5%の減便や運賃の値上げが行われ、さらに不便になっています。バスの利用をふやすには、便利な路線、便数と低廉な運賃制度が必要ですが、そのどちらにも逆行し、さらに利用を減らしているのが市バスの実態です。負のスパイラルから抜け出す道筋が見えません。
経営改善というなら、利用をふやして営業収入をふやしていくという方向に真っすぐ取り組むべきであり、仙台市もその方向でこそ交通局を支えるべきです。具体的には、これまでも求めてきた学都仙台フリーパスを市の事業とし、敬老パスのように利用実績を運賃として交通局に出すことです。交通局が、「学都フリーパスの利用者がふえたことでバスを増便して費用がふえた。学都フリーパスも市バスの赤字の一つの要因」と分析しているように、本来は経営改善につながるはずの利用者の増加が経営悪化を招くという矛盾に陥っています。
市は、交通局の赤字補填として補助金を出しています。公共交通ですから、一般会計から支えるのは当たり前のことです。しかしながら、補助金は営業外収益になるので、当然、営業収益がふえるほうが資金不足比率の改善に大きく影響します。学都フリーパスの利用実績を運賃収入として試算すると約7億円となり、その分、一般会計からの補助金を減らしたとしても、資金不足比率は約1%改善します。
一般会計からの負担金額が同じであれば、資金不足比率が改善する出し方を選ぶのが最善の道です。市長もそう感じませんか、伺います。
すでにその考え方を実践し、市が運賃として交通局に出しているのが敬老パスです。敬老パスの利用実績はそのまま市バスの運賃収入となり、何と運賃収入全体の約2割を占めています。敬老パスがいかにバス事業を支えているかがわかります。
しかし、敬老パスは、対象者はふえているのに一人当たりの利用金額が減っているという課題があります。利用をふやすために上限を撤廃あるいは緩和すべきだと求めたところ、健康福祉局長は利用実態を調査すると答えました。敬老パスの充実も市バスの経営改善につながります。利用実態の調査はどのくらい進んでいるのかお示しください。
バスの利用をふやしていくためにも、基幹交通までのアクセスをよくする地域交通を補完的に位置づけることが必要です。
今年度から始まった「みんなでつくろう地域交通スタート支援事業」を活用した宮城野区燕沢地区のコミュニティバス、のりあい・つばめには、市民から大きな注目が寄せられました。10月22日から11月16日まで行われた試験運行Ⅰは、目標収支率の20%をクリアできるかどうかが焦点となりました。
のりあい・つばめはワゴン車タイプのため、定員は運転手を除く9名で、運賃は200円です。一便当たり平均4名が乗車すれば収支率が20%になるということで、試験運行Ⅰでは平均4名の乗車を目指して取り組まれました。広報車を出しての周知や、地域包括支援センターがのりあい・つばめに乗って出かけるお食事会を企画するなど、住民の皆さんの工夫と努力によって収支率は24.8%となり目標を達成、今後試験運行Ⅱに進みます。試験運行Ⅱでは目標収支率は30%に上がり、それもクリアできれば実証運行、そして本格運行へとつながります。
地域交通スタート支援事業は、試験運行についての目標収支率は定めていますが、実証運行については目標収支率が示されておらず、どのくらいの利用になれば本格運行に進めるのかが明らかになっていません。また、市は、本格運行への補助制度はいまだに打ち出していません。
しかし、今回ののりあい・つばめの試験運行Ⅰで見ると、1便当たり4人の乗車で収支率20%ですから、8人乗れば40%、満員の9人乗っても収支率は45%にしかなりません。定員以上の利用がある場合もありますが、その際は追走便が出てさらにコストがかかります。もちろん、乗りおりがあるので利用人数がふえる可能性や、企業協賛金を集めることで収支率を引き上げることもできますが、乗務員が一人つく分のコストがかかるので、9人以下の輸送力で採算をとることは現実的に不可能です。
本格運行の際にも補助制度が必要になることは御当局も認識されていることと思います。燕沢地区が来年には試験運行Ⅱに進むことを考えると、来年度には本格運行への補助制度を示す必要がありますが、いかがでしょうか、伺います。
運行経費に対する補助だけでなく、自治体が地域交通の運行を支える支援を行うべきです。
交通政策調査特別委員会で山口市のコミュニティタクシーについて視察してきました。小郡(おごおり)地区のサルビア号は9人乗りワゴンタイプ、月曜日から土曜日に1日8便の運行です。山口市はコミュニティタクシーの運行経費の70%を上限に補助を行っていますが、それ以外にも地域交通の各種運賃割引に市が補填をしています。具体的には、高齢者や障害者の運賃割引、65歳以上で運転免許を返納した人に対する割引です。サルビア号の年間経費が1100万円なのに対し、市からの補助金と運賃割引への補填を合わせた額は970万円に上り、結果的に年間経費の88%を自治体が支えているということでした。こうした運賃割引制度によって利用がふえ、サルビア号は乗車率74%、収支率40.5%という安定運行になっています。
地域交通でも敬老パスやふれあい乗車証を活用できるようにすることが地域交通の利用をふやし、市内各地で走らせていくための鍵になります。IC乗車券用の車載器を設置しなくても、古きよき回数券などで対応すれば可能です。いかがでしょうか、お答えください。
12月5日、来年度の保育所入所申し込みが締め切られました。仙台市の待機児童数は今年度当初で138人。減ってきていると言われていますが、国の定義が毎年のように変わってきたためであり、国定義から除かれた人も含め、待機通知が送られている実質的な待機児童数は631人に上っています。
来年度の第1次申し込み分速報値は5550人、昨年より94人ふえているとのことです。来年10月から幼児教育の無償化が実施されれば、さらにニーズが急増すると言われています。不足する保育士確保のための処遇改善と、6歳まで通えるいわゆる認可保育所を急いでふやさなければ、実質的な待機児童数はさらに増加してしまいます。
仙台市も、公立保育所の廃止民営化方針などに固執している場合ではありません。公立も民間も保育所整備に全力を挙げるべきです。いかがでしょうか。
高すぎる幼稚園授業料や保育料の引き下げ・無償化は大いに進めるべきです。しかし、その財源は消費税増税で賄うのではなく、累進課税の強化や歳出の無駄を削ることで実現すべきです。今回の無償化提案は、基本的には3歳以上児に限定されており、特に保育料負担が重い0~2歳児は対象が非課税世帯などで非常に限られています。
安倍政権はさらに、保育所に通う3歳以上児の給食費について、おかずなどの副食費も実費払いにする方向で調整をしています。副食費の公定価格は月4500円ですから、生活保護世帯や非課税世帯、また第2子以降で保育料の減免を受けていた世帯にはかえって負担増になるという矛盾が起きてしまいます。
給食費を無償化の対象から外す一方で、同時に消費税増税が行われれば、どちらも子育ての負担軽減の願いに逆行するものです。幼稚園も含めて給食費を無償化の対象とすること、無償化の国費負担は公立保育所分ももっとふやすよう仙台市は国に求めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
今月6日、水道の運営権の民間企業への売却、いわゆるコンセッション方式を推進する水道法改定案が自民、公明、維新などの賛成多数で可決されました。
世界では、水道民営化の失敗により水質の低下や水道料金の値上げが起こり、再公営化の動きが加速しています。そうした教訓に背を向け、十分な議論や説明もないまま民営化を進めるのは異常事態です。新潟県議会では、「住民の福祉とはかけ離れた施策である。国民の生命と生活に欠かせない水道事業は民営化になじまない」として、自民党議員も含め水道法改定案に反対する意見書に賛同、可決しています。
厚労省は「自治体から要望があった」と言っていますが、要望書を提出したのは宮城県のみです。村井知事が参議院で参考人として「コンセッション方式にすれば水道料金の高騰を抑えられる」と意見陳述したことに対し、仙台市は詳しい説明を求めています。しかし、これまで市が県に出した質問書への回答もほとんどが「検討中」というもので、納得がいく回答が得られるとも思えません。
仙台市民の命の水を守る立場から、県に対しコンセッション方式はやめるよう強く求めるべきです。いかがでしょうか。最後に伺って、私の第一問といたします。
御清聴まことにありがとうございました。
◯市長(郡和子)
ただいまの庄司あかり議員の御質問にお答えを申し上げます。
給付型奨学金についてでございます。
今般、産業を担う人材の確保と若者の地元定着の促進、そして奨学金の返済が負担となっている若者の支援にもつながるものと考えまして、奨学金返還支援を素案として取りまとめたものでございます。
学ぶ意欲のある若者の就学機会を確保することは社会全体の課題であると考えています。国におきましては、今年度から給付型奨学金が本格実施され、さらにその拡充策を含む高等教育の無償化に向けた検討が進められ、制度の大枠が示されております。
本市といたしましては、国の制度の詳細について、引き続き推移を見定めつつ、対象者の拡大や給付額の増額などの働きかけを行ってまいりたいと存じます。
そのほかの御質問につきましては、水道事業管理者並びに関係局長から御答弁を申し上げます。
以上でございます。
◯財政局長(館圭輔)
私からは、自動車運送事業への原油高騰に係る財政支援についてお答えをいたします。
現在の原油価格高騰に起因する経費の増につきましては、民間事業者も同様の状況でありまして、独立採算制を旨とする地方公営企業の原則的な考え方からも、まずは交通局における経営改善等の自助努力による対応が基本と考えております。
以上でございます。
◯健康福祉局長(舩山明夫)
私からは、健康福祉局にかかわるお尋ねにお答えをいたします。
まず、放課後等デイサービスの報酬改定による事業所への影響についてでございます。
児童の障害の状態像を示す指標の再判定を促す国からの通知を受けまして、本市においても指標の再判定の手続などを進めてまいりました。
再判定の結果、報酬区分が改善した事業所は約35%にとどまっていることを踏まえまして、今般、事業所への影響調査を実施することとしたものでございます。
今後、この調査結果を分析をし、国への要望を検討するなど適切に対応してまいりたいと考えております。
次に、報酬区分が変更となった事業所に対する独自支援についてでございます。
放課後等デイサービス事業に関する今年度の制度改正におきましては、報酬改定による影響ということだけではなくて、障害の状態像に関する判定方法や報酬区分の遡及適用など、制度の運用面で自治体間に差が見られるといった課題が生じているものというふう認識しております。
報酬区分の遡及適用の取り扱いにつきましては、今後改めて国に対して確認を進めますとともに、その結果に応じ、再判定による報酬区分変更に関する遡及適用の柔軟な運用など、国への必要な協議を行ってまいりたいというふうに考えております。
次に、心身障害者医療費助成の現物給付化についてでございます。
医療費を助成する方法につきましては、受給者の負担軽減の観点から、現物給付が望ましいというふうに考えております。
一方、この制度は県の補助事業として県下全ての市町村で実施をしているものであり、本市及び周辺市町村の住民が区域をまたいで受診をするという機会も多く、受給者や医療機関の方々の混乱を避けるためには、県全体としての統一的な対応が必要というふうに考えております。
こうした観点から、宮城県市長会を通じまして県に本制度の現物給付化を要望しており、引き続き強く求めてまいりたいと存じます。
次に、復興公営住宅や市営住宅での見守りや健康相談についてでございます。
健康課題等を抱える復興公営住宅の入居者につきましては、これまでに区保健福祉センター等に的確につなぎ、必要な支援や見守りを行ってきたところであり、引き続き取り組みを進めてまいります。
市営住宅も含め入居者全体を対象とした孤立防止や見守りを進めるに当たりましては、地域コミュニティーの果たす役割が非常に重要だというふうに認識をしております。支援員配置ということではなく、それぞれのコミュニティーが主体的、持続的に活動できるよう、引き続き市社会福祉協議会などと連携をし、コミュニティーの活性化を支援してまいりたいと存じます。
次に、暖房代の補助についてでございます。
本市の平成19年度におきます低所得世帯などに対する暖房代の補助は、当時、急激な灯油価格の高騰を受けまして、国が緊急的かつ臨時的な財政措置を講じ、全国的に対策がとられる状況にあった中で実施をしたものでございます。
現時点におきましては、灯油価格が急激に高騰している状況にはないものというふうに認識をしており、暖房代補助の実施は考えておりませんが、引き続き価格の推移等を注視してまいりたいと考えております。
次に、敬老乗車証の利用実態の調査に関するお尋ねにお答えをいたします。
これまで利用実態の分析を行うためのデータ項目などを検討の上、交通局から必要となる一次データの提供を受けたところでございます。
今後、その一次データを用いまして、敬老乗車証システム上のデータとのひもづけや分析に生かすための加工などの作業を行うこととしており、システム事業者の協力も得ながら、作業手法を整理いたしまして、着実に進めてまいりたいというふうに考えております。
以上でございます。
◯子供未来局長(岡崎宇紹)
私からは、子供未来局に係る数点の御質問にお答えいたします。
まず、(仮称)仙台市いじめの防止等に関する条例案への財政上の措置の明記についてでございます。
条例の実効性担保のためには、必要な施策を展開していくための実際の予算措置を行うことが肝要でございます。
いじめ対策として、これまでもいじめ対策専任教諭やスクールカウンセラー等の配置など必要な措置を講じてきたところでございまして、今後とも毎年度の予算の中で適切に対応していくべきものと考えてございます。
次に、幼児教育、保育の無償化に伴う待機児童対策に関する御質問にお答えいたします。
全ての児童が無償化の対象となる3歳児~5歳児については、本市では既に約97%の児童が幼稚園や保育施設等を利用していることから、無償化を機に新たに施設を利用する児童は限られるものと考えております。
一方で、本市にはいまだ待機児童がおりますことから、引き続きその対策は重要なものと認識しており、無償化に関する今後の動向も注視しつつ、多様な保育基盤の整備と保育士の人材確保に向けた取り組みを着実に進めてまいります。
続きまして、幼児教育、保育の無償化に伴う食材料費の取り扱い等に関する御質問にお答えいたします。
現在、国においては、幼児教育、保育の無償化に伴う保育所における食材料費の取り扱いについて検討を進めているところであり、本市としては、今後の検討の状況を注視してまいりたいと考えております。
また、無償化に係る国と地方の費用負担については、これまで国に全額負担を求めてきたところですが、先般、地方負担に一定程度配慮した修正案が示され、全国市長会としてもこの案を受け入れる方針を固めております。このようなことから、本市としましても、財源負担に関する国への新たな要望は考えていないところでございます。
しかしながら、制度の詳細についていまだ不確定なところもございますことから、引き続き全国市長会や指定都市市長会とも連携しながら、必要に応じて国へ働きかけを行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
◯経済局長(遠藤和夫)
私からは、奨学金返還支援事業に係る数点の質問にお答え申し上げます。
まず、制度の活用企業についてでございます。
この制度につきましては、これまで地元経済界や中小企業の経営者の方々とも意見交換を行ってまいりました。御意見としましては、本制度の創設に賛同するものが多く、また、中小企業としても負担できる内容であるといった声も伺っております。
このことから、なるべく多くの中小企業の方々に認定のための申請を行っていただき、最終的には募集枠が余すところなく活用されますよう、地域の中小企業や学生の方々へ働きかけてまいりたいと考えおります。
次に、本事業を支援する企業の公表等についてでございます。
事業の実施に当たりましては、対象の企業とはならない大企業や金融機関などに対しても趣旨を説明し、広く寄附を受け付けたいと考えており、またふるさと納税を活用することも検討しております。
御賛同いただきました企業につきましては、ホームページやチラシ、合同企業説明会などにおきまして、地域経済の発展の観点から地元中小企業の人材確保に御支援いただいていることを広くお知らせしてまいりたいと考えております。
次に、利用者等の拡大についてでございます。
中小企業の人材確保は、有効求人倍率が低い事務職を除き、全ての職種に共通した課題であり、今般お示ししました素案は、業種を絞ることなく、広く本事業に賛同いただく地元中小企業者を対象にしているところでございます。
なお、保育士や介護福祉士などにつきましては、国において給与等における処遇改善の取り組みが行われており、また、宮城県社会福祉協議会において奨学金返還を免除する制度がございますことから、社会福祉法人等については今回の支援対象とはしていないところでございます。
以上でございます。
◯都市整備局長(小野浩一)
私からは、都市整備局に係る数点の御質問にお答えいたします。
初めに、学都仙台フリーパスへの負担金についてでございます。
学都仙台フリーパスの利用実績に応じた運賃分を一般会計からの負担とした場合、同額の補助金を減らしたとしても、運賃収入が増加することにより、数字上は資金不足比率が改善することとなりますが、学都仙台フリーパスは交通局が事業者として独自の経営判断により実施している制度でございますので、結果的にフリーパスの収支が赤字になっているとしても、その減収分を負担することは考えておらないところでございます。
次に、地域交通への補助制度についてでございます。
現在、燕沢地区交通検討会におきまして、試験運行一の実績や利用者アンケートなどをもとに運行結果を検証し、運行ルートや停留所位置などの見直しを行っております。そして、平成31年春ごろから半年間の試験運行Ⅱの実施を目指しております。
本格運行の補助制度につきましては、2回の試験運行の結果を検証し、他都市の事例なども参考としながら、実証運行前までに本格運行に向けたプロセスや補助内容について検討してまいりたいと考えております。
次に、地域交通における敬老乗車証等の活用についてでございます。
地域交通の運営を安定的なものとしていくには、多くの方々に御利用いただくためのさまざまな方策を地域とともに検討していく必要があるものと考えております。
地域交通において敬老乗車証等が利用できるようになることは、高齢者等の利用増につながると思われ、持続的な運行にも一定程度資するものと考えておりますが、回数券などでの対応につきましては、発行管理など導入に当たって解決すべきさまざまな課題があるものと認識しております。
以上でございます。
◯教育長(佐々木洋)
私からは、教育委員会に係る数点の御質問にお答えします。
初めに、市立学校の空調設備設置工事の発注方式についてでございます。
工事の対象となる学校数が多いことから、円滑な受注や効率のよい施工ができるよう、一契約当たりの学校数の適切な設定や地域別に分けるなど発注方式について配慮が必要と考えております。
また、業者の選定については、多くの地元企業を活用し、地域経済の活性化が図られるよう、市内に本店を置く地元業者を基本とするなど、今後入札条件について担当部門と調整してまいりたいと存じます。
次に、学校の老朽化対策についてでございます。
これまでも長寿命化のための大規模改修や老朽化した校舎の建てかえなどに計画的に取り組んできたところであり、今後も同様に中長期的視点に立って整備していくことにより、児童生徒が学び、生活する場としての教育環境の改善に取り組んでいくことが重要と認識しております。
そのためには、事業規模や業務負担等に応じた組織体制を整え、学校の環境整備に取り組んでまいりたいと存じます。
次に、空調設備の効率を高める断熱対策についてでございます。
既存校舎につきましては、建物の気密性の低さや窓面積が大きいことなど、断熱対策が十分とは言えない状況であることは認識しております。
校舎の断熱性能を向上させることは、空調設備の効率を高め、ランニングコストを抑える有効な方策の一つであると考えますが、今回の空調設備設置に合わせての対策はコスト面から難しいと考えております。
今後、費用対効果を踏まえた有効な対策について研究してまいりたいと存じます。
次に、教員の多忙化解消に向けた取り組みについてでございます。
新学習指導要領への対応や、生徒指導、保護者対応に、より丁寧さが求められるなど教員の在校時間は依然として高い水準を示しており、多忙な状況を解消していくことは急務であると認識しております。
これまでも、いじめ対策専任教諭、児童支援教諭の配置や、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーの増員など人的拡充も図るとともに、さまざまな事務や研修、会議の削減など業務の見直しも行ってまいりました。
また、本年10月には運動部活動の方針を策定し、部活動時間の適正化や休養日の設定なども進めております。
今後とも、国に対して教員定数改善の要望を継続するなど、マンパワーの充実に努めるとともに、学校における働き方改革に係る国の施策に沿って教育委員会として業務改善の考え方を取りまとめ、引き続き多忙化解消に取り組んでまいりたいと存じます。
以上でございます。
◯水道事業管理者(板橋秀樹)
宮城県が検討している水道事業へのコンセッション方式導入についてお答えをいたします。
これまで、仙南・仙塩広域水道の17受水市町で意見集約を行い、県の検討内容に対する確認等を行ってまいりましたが、コンセッション方式の導入をやめるべきとの意見を表明している市町は現在ございません。
県からは、コンセッション方式導入後も、料金設定や契約水量の調整、災害時の対応等は従来どおり県が対応し、改正水道法上の水道事業者として、運営権者である民間事業者を管理していく官民連携のスキームであるとの説明を受けておりますが、現時点では水道法が改正されたばかりで、国内の水道事業での導入事例もないため、詳細が不明な点もまだ多く残されている状況となっております。
引き続き、17受水市町で連携を図りながら、県が公表しているコスト削減効果の受水市町への影響や災害時等のリスク管理の現状からの変更点など、市民や各事業体の不安の解消につながる検証可能な根拠を示すよう、県に対し求めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
◯庄司あかり議員
御答弁いただきましたが、郡市長からは給付型奨学金についての1問だけのお答えだったので非常に残念だなというふう思いましたので、再質問もさせていただきたいというふう思います。
3点について伺います。
奨学金の返還支援ですけれども、より多くの若者ですとか中小企業が活用できるという制度にしていくことが大事だというふうに思います。必ず半額を中小企業が負担しなければならないということであれば、それはもう寄附とは言えないんじゃないかというふうに思うんです。
寄附はいただけるならそれはもうありがたくいただけばいいというふうに思いますし、しかし、それを要件にしてしまうと、企業にとっては経費がふえることになりますので、本当に人材確保に苦労している中小企業が参加できるかどうかわからないという制度になってしまうんじゃないかと危惧しています。
先ほど御答弁の中で、大企業や金融機関からも寄附をいただくとか、ふるさと納税のメニューに加えていくことも検討していくというお答えでしたけれども、そうであれば、他都市でもそうしているように、支援を受ける若者と中小企業からの半額の寄附というのをひもつきにしないということも可能だというふうに思いますし、そうする必要があると思いますので、再度お伺いいたします。
次に、心身障害者医療費助成の現物給付化についてです。
健康福祉局長から、市単独でやると混乱すると、全県で進むのが必要だというお話がございましたけれども、気仙沼市と南三陸町は既に独自で現物給付化をしています。子ども医療費助成だって、対象年齢とか所得制限とかワンコイン負担の有無なんかで県内の自治体で制度はさまざま違いがありますけれども、医療機関の窓口ではしっかり対応していただいていますので、混乱は生じていません。
精神障害者の医療費助成が始まるというタイミングに合わせて現物給付化をすべきだというふうに思います。そうすると、当事者はもちろん、区役所や医療機関にとっても事務負担が大幅に軽減されますので、これは大事な事務事業の見直しにもつながるというふうに思いますが、再度お答えいただきたいと思います。
3点目、学都仙台フリーパスについてです。
都市整備局長は数字上は改善されるというふうにおっしゃいましたけれども、その数字が大事なんだと思うんですよ。資金不足比率が20%になると経営健全化団体に転落するんだと、市民に対して、市政だよりなんかも使って、バスの中とかバス停でも周知、説明をしているところなわけですね。それなのに、市が資金不足比率を改善できる方策があるのにそれをしないということになれば、それは市民の納得は到底得られないというふうに思います。学生のバスの利用がふえて増便まで必要になっていると。それなのにそのことを喜べないというのも、交通事業の本旨とも逆行しているんじゃないかというふうに思います。
敬老パスで既にやっていることですので、それを学都フリーパスにも適用するだけです。一般会計からの負担額は見合いで補助金を減らす分変わらないわけですので、仙台市が交通事業をどのように支えていくかと、問われているのは考え方なんだというふうに思います。1問目では市長にお聞きしましたので、市長の考え方をもう一度伺いたいと思います。
◯市長(郡和子)
お答えを申し上げます。
まず、仙台市の奨学金返還支援事業についてであります。
若者の地元定着ということがこの制度をつくる上での大きな課題だというふうに申し上げました。そういう意味におきましては、受け入れる地元の中小企業の皆様方の協力というのは、これは必要不可欠であるというふうに考えておりまして、まずはこのような制度設計にさせていただいたところでございます。
それから、学都フリーパスについてのことでございますが、市民の日常生活や社会経済活動を支える公共交通、これを持続的なものにしていくには、需要を喚起していくということは大変重要なことだというふうに思っております。
学都仙台フリーパスも公共交通の需要の促進に対して一定の効果があるのと、このように考えているわけでございますけれども、先ほど答弁いたしましたけれども、これは交通局が事業者として事業の収支も含めて経営判断のもとで実施している事業でございます。
私どもは、資金不足比率の改善に向けては、まずは交通局における経営改善に向けた取り組みを進めますとともに、全庁挙げて利用促進の取り組みを行いましてバス事業者の経営を支援してまいりたいと、このように考えております。
◯健康福祉局長(舩山明夫)
心身障害者医療費助成の現物給付化に関する再度のお尋ねにお答えいたします。
先ほども御答弁を申し上げたとおり、私どもといたしまして、宮城県市長会を通じましてこの間県に対し現物給付化の要望を他の市とも連携をしながら進めてまいったわけでございます。そういう意味におきましては、県全体としての統一的な対応を進めていくと。一部、現物給付化に踏み切った自治体もあることは存じておりますけれども、他の市、連携をしながら県全体での統一的な取り扱いを求めていくということでこの間進めてまいったわけでございます。
私どもといたしましては、引き続き市長会を通じ、他の市とも連携をしながら本制度の現物給付化を県に対して求めてまいりたいと存じます。
以上でございます。
◯庄司あかり議員
市長から御答弁をいただきました。再々質問をさせていただきます。
奨学金返還支援について御答弁もいただきましたけれども、中小企業の協力が必要不可欠だというお話で、私は寄附をいただくということ自体を否定しているものではありません。ただ、それをひもつきにするということの問題について指摘をさせていただいています。
他都市の例で見ても、企業の寄附を要件にしなくても寄附というのは寄せられていますので、それはやはり地元の企業をぜひ信頼もしていただいて、こういう学生を応援する制度を仙台市が始めるんだと。ならば、中小企業ももちろんだし、大企業や金融機関にも寄附は寄せていただけるものだと確信しております。
ひもつきで何が問題かというと、この人を採用すると9万円出すことになるというのが中小企業にとって判断基準になっていくわけです。奨学金を借りているか否かというのが採用に影響することになるおそれも指摘をさせていただきました。それは学生にとっても仙台市にとっても望まないことなんじゃないかというふうに思います。
さらに、中小企業といっても、市が採用している中小企業基本法の定義でいいますと、製造業で従業員300人以下の企業からいわゆる小規模企業と言われる従業員5人以下の企業まであって、規模はさまざまなわけです。一人当たり年間9万円の出費がふえることになるこの事業に参加できる企業が限られてしまうのではないかと懸念しています。
若者の地元定着のためということであればなお、幅広い中小企業に活用していただけるように、企業の半額の寄附を要件にすべきではないというふうに思いますけれども、いかがでしょうか、再度お伺いいたします。
◯市長(郡和子)
お答えいたします。
あくまでも、若者、卒業生にとっては職業選択の自由もございます。ひもつきというふうな言い方をされますと少し、企業の皆様方にも何と申し上げていいか、そのような気もいたします。少しぴたっとくるのかなという気もいたします。
この制度は新たに始めさせていただくもので、今、大変中小企業の皆様方にも御協力をいただく意思というのを確認をさせていただいているところですけれども、なるべく多くの中小企業の皆様方に御参加をいただき、その上で制度の動きというのを見てまいりたいというふうに思います。
以上でございます。