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一般質問 庄司あかり議員 (9月12日)

  

【概要】地域経済を豊かにする支援策

 

 

◯庄司あかり議員

日本共産党仙台市議団の庄司あかりです。市民の暮らしを豊かにすることで地域経済の活力を高める施策の実現を求めて、一般質問いたします。
『経済活動とは何か。それは端的に言うと「人間の営み」である。経済活動を営むのは人間だけである。そのような活動が人間を不幸にするはずがない。我々は人間を幸せにする営み以外は経済活動と認めたくない。人権の礎となってこそ経済活動であり、人権を踏みにじるのは経済活動ではない。ところが、現実には、経済が前に出るほど人間が脇に追いやられ、労働者いじめが横行している。人間と経済活動は対立関係にあると思い込むようになり、経済活動の結果で仕方がないと思うようになった。正しい経済観を取り戻すことが重要だ。』
同志社大学大学院、浜矩子教授の講演をお聞きし、胸を打たれました。
このたび、仙台市経済成長戦略2023の骨子が示されました。副題には、「豊かさを実感できる仙台・東北を目指して」、とうたわれています。都市のためではなく、市民が豊かさを実感し、市民が幸せになるための成長戦略であるべきと考えますが、郡市長の御認識を伺います。

現在、グローバルに活躍し、世界でも名だたる日本の大企業であるソニーやホンダも、もともとは中小企業です。特に、ホンダは創業者の名前が社名になっている典型的な中小企業として出発し、発展の過程の中では、中小企業特有の悩みと言うべき資金不足や経営基盤の脆弱さゆえ、倒産の危機を迎えたこともあったそうです。苦境にあった当社ですが、会社の未来の可能性を見据えて金融機関が融資を行い、危機を乗り越え、今やグローバル大企業として発展を遂げたと聞いています。
一時的に見れば、経営不振にあえぐ中小企業の延命措置ととられるようなことかもしれません。しかし、中小企業支援には、先を見通す難しさとともに、後の日本を代表する企業を育てるというおもしろさ、魅力があると思います。
成長戦略の重点プロジェクトには、『「地域リーディング企業」を生み出す徹底的集中支援』として、高成長が見込まれる企業等への集中支援や第二創業などを後押しすることが書かれています。地域リーディング企業を生み出すということで事業承継を挙げていますが、中小企業の多くが抱え得る課題であると考えます。売り上げや事業規模で選別せずに事業承継の支援をすることが必要と思いますが、いかがでしょうか。
また、地域経済を牽引する企業をどのくらいのスパンで育てようとしているのかも気になります。徹底的集中支援というと、短い期間で効果を上げようとしているように聞こえますが、長い目で見て中小企業を育てるという発想も重要だと思います。いかがでしょうか、あわせてお答えください。

一方、中小企業は、目まぐるしく成長、発展していくという役割だけでなく、事業を持続的に発展させていくという大事な役割を果たしています。2014年につくられた小規模企業振興基本法は、商店街や町工場に代表されるような小規模企業が、事業の持続的な発展に何十年にもわたって努力し、地域経済の礎として頑張っていらっしゃることを評価して支援するという法律です。郡市長が衆議院議員時代に全会一致で可決されたこの法律の趣旨を、ぜひ市内の小規模企業への支援に生かすべきです。
実際、2014年から2016年の市内の新規創業数は6600件であるのに対し、事業を継続できず廃業したのは8500件です。幾ら起業を支援しても、追いつかないほど年々廃業しています。事業を継続することができるよう支援を強める必要があると考えますが、いかがでしょうか。

今回、『ローカル経済循環を拡大する「地消地産」の推進』が重点プロジェクトに位置づけられたことを評価するものです。ローカル経済循環が柱の一つに入った理由を伺ったところ、「中小業者からの聞き取りの中で重要性が強調されていたから」とのことでした。この間、戦略の策定に向けて、経済局みずから中小業者の皆さんのところに足を運び、現場主義で声を聞いてこられたことがここでも生かされているのだと感じます。仙台市内の中小業者数は約4万8000社です。現場の声に基づく生きた施策をつくっていくためにも、さらに踏み込んで悉皆調査を行うべきですが、いかがでしょうか。

「地消地産」の言葉から思い浮かぶのは農産物ですが、今回の成長戦略は農業支援の位置づけが低い印象になっていることが指摘されています。前計画の経済成長デザインでは、農業販売額100億円の達成を目標に、6次化による付加価値の創出などの支援を行いましたが、米価暴落の影響もあり、約83億円の到達となりました。計画策定に当たり数値目標を持つことで、どこを目指すのかがわかりやすく、施策の有効性をはかる指標にもなります。
秋田県立金足農業高校が甲子園で準優勝したことが東北を励ましていますが、とりわけ農家の皆さんは、日本農業新聞で、「農作業どころじゃない」、と報道されるほど喜んでいらっしゃいます。農業高校や農作業が改めて脚光を浴びる一方、農家の皆さんは、米の直接支払交付金の廃止やTPP11など農業を取り巻く大きな変化に直面し、後継者不足という課題も抱えています。成長戦略でも、数値目標は設定するとのことですが、農業の位置づけを高めるためにも目標を持って市独自の農業支援を積極的に行うべきです。いかがでしょうか、伺います。

域内循環を高めるために有効となるのが公契約条例の制定です。自治体が公共工事や業務委託を受注する元請企業に対し、従事する労働者の賃金の最低基準額等を義務づける制度で、労働者の賃金、労働条件の改善を初め、公共サービスの質の確保、地域経済の活性化につながるとして、千葉県野田市を皮切りに、川崎市、相模原市など全国に広がっています。
2015年に公契約条例を制定した兵庫県加西市では、条例の効果として、「受注者は過当競争の不安から脱し、労働者の権利や安定雇用に真摯に向き合うようになった」「指定管理の現場では、契約更新による雇用不安が改善され、労働意欲や技術の向上につながっている」などを挙げています。
本市でも公契約条例を制定すべきと考えますが、検討状況をお聞かせください。

最低賃金の引き上げは多くの労働者の願いであり、地域経済の好循環にもつながります。食品、雑貨、衣料品などの生活必需品や公共料金、通信費などの地域差は少なくなっています。各政党の選挙公約を見ても、与野党問わずほとんどが「時給1000円」を掲げている状況であり、公約どおりの引き上げが待たれています。
一方、最低賃金の引き上げは中小企業の経営を大きく圧迫することから、引き上げと同時に中小企業への直接支援が欠かせません。アメリカでは、3年間で最低賃金を41%引き上げた際に、5年間で8800億円の中小企業減税を実施、フランスでは、3年間で11.4%の賃上げとともに、中小企業の社会保険料負担を2兆2800億円軽減しました。
私がお話を伺った経営者は、「従業員の処遇改善と思い社会保険に加入したが、事業主負担が余りに大きかったため、国保に戻すことにした」、とのことでした。最低賃金の引き上げとともに、中小企業支援として社会保険料負担の軽減策を講ずるよう国に求めるべきです。いかがでしょうか、伺います。

仙台市は、中小企業活性化条例に基づいて基金を持っています。この基金は2015年に30億円積んでからまだ5億4000万円しか使っておらず、今年度には4億3000万円取り崩す計画です。財政的な裏づけを大いに活用して施策を推進することが求められています。
基金を活用した支援メニューの一つ、商店街集客力向上では、まちゼミやまちバル、百円商店街などの取り組みを応援しています。若林区の連坊商興会では、薬師堂商店会と一緒に「連坊×薬師堂オモシロ街教室」を行っています。パン屋さんが教えるパンづくり体験、魚屋さんによる魚のおろし方教室、電気屋さんの親子でつくる乾電池講座など、30教室にも上ります。商店街の方々が先生になって、役に立つ情報を教えてくれるという企画が好評です。私も、衣料品店のストールの巻き方教室に参加して学んできました。
まちゼミに取り組むメリットは、これまでお店の前を通っても入りづらかった方が店主と顔見知りになること、まちゼミを繰り返し行うと、同じ講座に参加する人はいないので、新しいお客さんが来ることなどがあると伺いました。個店の売り上げ向上に資する取り組みであり、こうした支援をさらに強めることが重要です。
ある商店街では、イベントを行う際に区役所の助成制度を活用しようとしたところ、「利益を得る目的では使えない」と説明され、商店街で取り組むのにそれではしようがないと諦めたというお話を伺いました。そういうときこそ経済局の出番です。個店の売り上げアップに資するイベントを応援するのは経済局しかないという強みを押し出し、支援のメニューと予算をふやすべきですが、いかがでしょうか、伺います。

市民の安心・安全を守ることと同時に、中小業者の仕事おこしにもつながる支援として時宜にかなった施策となるのが危険なブロック塀の除却への支援制度です。
大阪北部地震で、ブロック塀の倒壊によって登校中の小学4年生の女の子と通学児童の見守りに向かった80歳の男性が亡くなった痛ましい出来事は、全国に重大な教訓をもたらしました。
仙台市では、民地におけるブロック塀について、ブロック塀等除却工事補助金と生垣づくり助成金で除却を促しており、相談はふえてきているとのことです。しかし、市内には、空き家やごみ屋敷のようになっている住宅のブロック塀が傾き、危険な状況であっても所有者が対策を行わないために、三角コーンを設置して注意喚起しているだけという場所があります。
京都市では、緊急に7月から、道に面するものはもちろん、保育所や幼稚園、学校、公園などに面する場所にある危険なブロック塀の除却に対して支援を行っています。助成対象はブロック塀の所有者だけでなく、所有者の同意を得て除却を行う近隣住民なども含まれていることが特徴です。
仙台市としても、緊急性を鑑み、既存の制度に加えて危険なブロック塀の除却を促すための支援策が必要です。いかがでしょうか、お答えください。

地域経済を活性化させる方策として、域外需要、いわゆる外需を取り込むということがあります。今回示された交流人口ビジネス活性化戦略もその一つです。
一方、外需の動向に左右されない持続可能な経済にしていくためには、内需を拡大させることが欠かせません。市民の懐を温め、地域経済を活性化させることが同時に必要です。
郡市長が、35人以下学級の拡大に向けての教員採用や、特別支援教育支援員や補助員、スクールソーシャルワーカーの配置など、教育分野で体制強化を進めていることは歓迎されています。同時に、こうした取り組みは市が行う直接の雇用対策という側面もあり、まだまだ足りない教職員や保育士、市の職員の採用に努力すべきです。また、若手保育士に対する市独自の処遇改善は、保育士不足に悩む民間の保育現場で前向きな変化として受けとめられています。
教育や福祉施策としてのこれらの取り組みが仙台市経済に与える影響をどう評価されているのでしょうか。経済局長に伺います。

公共投資で景気を回復させるというケインズの理論は余りにも有名ですが、不要不急の公共事業に無理に取り組まなくても、自治体ができる公共投資はたくさんあります。切実に求められている学校や保育所の大規模改修、学校のエアコン設置、地域公共交通の充実など、市民が幸せになるための経済活動に仙台市が前向きに取り組むことです。
また、市民の可処分所得をふやす施策として市が直接的に行うことができるのが、さまざまな福祉施策です。市民が納めた税金を市の施策として還元し、市民の所得がふえ、中小企業に仕事が回り、市民の担税力が高まり、市税収入がふえる。自治体の本旨である住民福祉の向上に取り組むことが、血液がめぐるようにお金が還流する内需主導の循環型経済をつくる上での土台になります。郡市長はいかがお考えでしょうか、お答えください。

安倍政権は、来年10月から消費税を10%に引き上げ、あわせて食料品と新聞について軽減税率を適用し、2023年からはインボイス制度を導入するとしています。事業者にとっては、10%の取引になるものと8%の取引になるものを区分けしなければならなくなります。
インボイス(適格請求書)は、事業者が支払うことになる消費税について、適用税率や税額を示すための書類です。しかし、免税事業者はインボイスを発行できないため、全国で約500万の免税事業者や簡易課税制度を利用する約120万の事業者が取引から排除される危険性があります。
そもそも消費税法では、事業者が税を預かる義務も、消費者が税を預かる義務も規定されていません。しかしながら、実態としては、事業者が年間の売り上げに応じてまとまった額の消費税を支払う仕組みになっています。そのため、赤字であっても消費税を払わなければならず、消費税の負担は多くの中小業者を悩ませています。
インボイスになると、あくまで計算上の税額が記載されるだけで、事業者が利益を確保できているか、取引の中で消費税をのまざるを得ない力関係になっているかなどは見えなくなってしまいます。複数税率の導入で、中小企業に膨大な事務負担を発生させるインボイス制度の問題点をどのように捉えているのか伺います。
また、地域経済に冷や水を浴びせ、中小業者のさらなる廃業につながる消費税10%増税には反対の声を上げるべきです。いかがでしょうか、あわせて伺って私の第一問といたします。

 

◯市長(郡和子)

ただいまの庄司あかり議員の御質問にお答え申し上げます。

まず、経済成長戦略に対する私の認識についてのお尋ねでございます。
戦略骨子では、経済分野でのさまざまな取り組みを通じて持続的な本市経済の成長を図り、仙台、東北で暮らす人々が豊かさを実感できる未来を目指したいと考えまして、副題として掲げたものでございます。
経済成長戦略におきましては、都市と市民とが相対するものではなくて、人や企業が成長することによって都市が豊かになり、そして、まちが活力を向上することによってさらに人や企業のさらなる成長や集積が図られるという、この好循環を創出することが重要だと、そう考えております。
こうした考えのもとで、仙台、東北の人々が経済的な豊かさと心の豊かさを実感できるよう、しっかりと本市の経済成長に向けて取り組んでまいります。

それから、農業に関する目標設定や市独自の農業支援に関するお尋ねにお答えをいたします。
農業は、食料の安定供給、そしてまた国土の保全などの多面的な機能を有する産業でございまして、本市にとっても重要なものであると認識をしております。
担い手の育成や有害鳥獣対策などを初め農業振興の取り組みにつきましては、国の法令や仙台市地域農業基盤強化プランなどの各種計画に基づき実施しているところでありまして、仙台枝豆プロジェクトやせんだい次世代農業経営者育成ゼミなどの本市独自の施策についても取り組んでいるところでございます。
今回の戦略の骨子におきましては、販路開拓やそれから高付加価値化など、収益性の高い農業の実現を目指した取り組みを掲げたところでございまして、数値目標につきましては、今後、成案策定に向けて整理してまいりますけれども、今後とも農業の活性化のために農業関係団体とも連携しながら注力してまいりたいと思っているところでございます。
そのほかの御質問につきましては、関係局長から御答弁を申し上げます。
私からは以上でございます。

 

◯財政局長(館圭輔)

私からは、財政局に係る数点の御質問にお答えをいたします。

まず、公契約条例の検討状況についてお答えをいたします。
自治体が制定する公契約条例では、その自治体が発注する業務に従事する労働者のみが対象となりますが、労働条件の確保については、本来、労働政策、賃金政策に係る全国的な法制により解決されるべきものと認識しているところでございます。
本市では、一定の工事及び業務委託の契約において低入札価格制度や最低制限価格制度を導入しており、引き続きこれらの制度を実施していくことによりまして、行き過ぎた価格競争の防止や労働条件の確保に努めてまいりたいと考えております。

次に、消費税に関する御質問にお答えいたします。
いわゆるインボイス制度の導入に伴いましては、事業者は、この制度に対応するレジスターの導入やシステム改修など、さまざまな準備が必要となるものと認識しておりますが、国においては、事業者が円滑に対応できるような取り組みを行っていると承知しております。
また、来年10月1日の消費税率の引き上げは、我が国の社会保障制度の維持、充実のためにさらなる経費の増加が見込まれる中で、より安定的な恒久財源を確保するために行われるものと認識しているところでございます。
以上でございます。

 

◯経済局長(遠藤和夫)

私からは、経済局に係る数点の御質問にお答え申し上げます。

まず、経済成長戦略における事業承継や中小企業の育成支援についてでございます。
戦略骨子では、上場企業など地域経済を牽引する企業を輩出するため、地域リーディング企業を生み出す徹底的集中支援を重点プロジェクトに掲げたところであり、ここでは事業承継を契機とした第二創業などの経営革新についても促進してまいりたいと考えているところでございます。
また、地域経済の活性化のためには、本市企業の大宗を占め、市民生活に密着したサービスを提供する中小企業、小規模事業者の継続や育成に向けた支援は欠かせないものと認識しております。
このため、重点プロジェクトでありますローカル経済循環を拡大する地消地産の推進におきましては、商工会議所などとも連携し、事業承継や企業の成長段階に応じた相談、支援に取り組むとともに、起業支援センター、アシ☆スタにおける起業後のフォローアップなどにも引き続き取り組んでまいります。

次に、現場の声に基づく生きた施策についてでございます。
骨子策定に当たりましては、懇話会の開催のほか、約百の企業、団体に対しましてヒアリングを行いました。また、本市では、市内1000社を対象とする地域経済動向調査を年4回実施しているところでございます。
現時点では悉皆調査の実施は予定しておりませんが、今後も施策の推進に当たりましては、企業の実態や現場の生の声をきめ細かく把握するため、経済団体や地元企業へのヒアリングなどを積極的に行ってまいります。

次に、最低賃金引き上げと中小企業の社会保険料の負担軽減についてでございます。
宮城県の最低賃金につきましては、この五年間で約15%引き上げられており、また、国では事業者の賃金引き上げに対して助成金や税制上の優遇措置を設けております。
社会保険料の事業主負担につきましては、小規模企業振興基本法の成立時に、効果的な支援策の実現を図るとされた附帯決議がなされております。
これらのことから、本市といたしましては、国の動向を注視していくとともに、保険料を負担します地元中小企業の収益向上に向けて取り組んでまいる所存でございます。

次に、商店街の個店の売り上げ向上に資する取り組みについてでございます。
少子高齢化の進行とネット通販など電子商取引の拡大により、商店街を取り巻く環境は厳しさを増しており、商店街の活性化には、来街者、まちに来る方の増加と個店の売り上げ向上が欠かせないものと認識しております。
このため、今年度、まちゼミやまちバルといった顧客との顔が見える関係づくりを進めるため、商店街ファンづくりサポート事業を新たに実施しております。
商店街の回遊性を高め、個店の売り上げの向上につながる支援策につきまして、区役所との情報共有も図りながら進めてまいります。

最後に、教育や福祉施策が本市経済に与える影響及び循環型経済の認識についてでございます。
教育分野の体制強化や保育士の処遇改善、あるいは住民福祉向上への取り組みは、本市経済にとりましても、市民の所得向上や人材の確保、育成などにつながる側面もあるものと認識しております。
一方で、財源に制約がある中において特定分野に資源を集中的に投入することにつきましては、他分野への財源の減少につながるものでもありますことから、一概に地域経済の循環を促すものとなるとは言い切れないものと認識しております。
本市といたしましては、地域における経済循環の維持拡大の観点から、戦略骨子の重点プロジェクトとしてローカル経済循環を拡大する地消地産の推進を掲げたところであり、さまざまな分野におきまして中小企業の基礎体力向上や企業間連携の促進を進めることで循環型経済の構築を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。

 

◯都市整備局長(小野浩一)

私からは、危険なブロック塀の除却に対する支援制度の拡充に関するお尋ねにお答えいたします。
これまで本市では、ブロック塀の所有者に対しまして安全点検を促すとともに、危険なブロック塀に関しましては、ブロック塀等除却助成制度や生垣づくり助成制度も御案内しながら除却などを働きかけてきたところでございます。
御例示のありました支援制度における所有者以外の方へのブロック塀除却補助につきましては、その対象が個人の財産であり、所有者及び同意の確認といった課題もございますことから、他都市の事例なども参考にしながら研究してまいりたいと考えております。
以上でございます。

 

◯庄司あかり議員

今、御答弁いただきました。三点について再質問をいたします。

まず、中小企業の悉皆調査についてですけれども、積極的に実態や生の声を企業から聞いていくという決意は今述べていただいたわけですけれども、ぜひ全量調査ということに踏み出していただきたいなと思うんです。
約4万8000企業全てとなると大変に聞こえるんですけれども、建設関連は都市整備局や建設局、福祉関連は健康福祉局がとか、ガス、水道、交通も各局がなど、市が一丸となって取り組めばそう難しいことではないと思うんですね。専門性を持って聞き取りもできるわけですので、それを施策に生かしていくことのメリットというのは経済だけにとどまらないというふうに思うんです。現場主義をさらに発揮するためにぜひ取り組んでいただきたいというふうに思いますので、再度お伺いいたします。

次に、公契約条例についてですけれども、公務にかかわる労働者のみが対象になるということですとか、あるいは労働環境の改善というのは国が取り組むべきことなんだということをこれまでもおっしゃっているわけですけれども、それはやっぱり自治体として公的サービスにかかわっている方たちの労働条件をどう保障していくかということにかかわるわけで、国が全体的に整えるような問題ではないというふうに思うんです。条例でどこまで対象にするかということにもかかわってくるんじゃないかと思います。
工事や業務委託だけでなくて、今、指定管理者制度のもとでの不安定雇用ですとか低賃金の問題が顕在化しています。いわゆる公的なサービスの提供において、労働者の賃金や労働条件を改善するということにしていけば、対象は大きくもなりますし、官製ワーキングプアをなくすという点で非常に効果があるというふうに思います。他都市の調査もこれまでされてきたというふうに思いますので、前向きに検討を進めるべきと思います。再度伺います。

最後に、消費税についてですけれども、インボイスの問題点を財政局長は挙げていただきました。レジ購入とかシステム改修を挙げられたんですけれども、そういう物理的なものだけじゃなくて、私が第一問で申し上げたとおり、免税事業者が取引から排除されるおそれがあるなど経営への影響もあるわけです。
複数税率を導入するからインボイスを出さなくてはいけなくなるわけで、そういう問題ですから、これは10%増税を中止すればすっきり解決することだというふうに思うんです。恒久的な安定財源だということで、財源の心配をされているんだというふうに思うんですけれども、であれば、特に社会保障の財源として考えるなら、逆進性の高い消費税ではなく、累進課税という税金の集め方の原則に基づいて財源確保することを国に求めるのが筋ではないかというふうに思います。
これはぜひ市長にお答えいただきたいと思いますけれども、市が幾ら中小企業支援を強めて、起業ですとか事業承継を進めていっても、中小企業の事業が立ち行かなくなってしまっては元も子もないというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
三点についてお答えください。

 

◯副市長(藤本章)

私からは、消費税に関連しての再度の御質問にお答えをいたします。
先ほど財政局長からも御答弁も申し上げておりますけれども、私から申し上げるまでもなく、例えば2025年問題など超高齢化社会が急激なスピードで到来すると、こういう部分については、ほぼ確実な状況であるという理解が広がっているというふうに思います。
そうした中で、社会保障制度をやはりいかに維持していくか、継続していくかというのが最重要の課題だというふうに認識をいたしておりまして、それは、当然、地方行政を担う側としましても非常に大きな課題というふうに認識しております。そのために、来年10月の消費税率の引き上げということにつきましては、やはり安定した恒久的な財源を確保すると、こういう狙いだというふうに理解をいたしておるところでございます。

 

◯財政局長(館圭輔)

公契約条例に係ります再度の御質問にお答えをいたします。
ほかの自治体というお話も今ございましたけれども、指定都市で見てみますと、議員からお話のありました川崎市、相模原市、それから京都市ということで、三団体が制定済みのものというふうに認識をしております。京都市につきましては、賃金規定は含んでいないものというふうに認識をしてございます。したがいまして、賃金規定があるのは2都市というふうに認識をしております。
あとは繰り返しのお答えになりますけれども、賃金というものにつきましては、これは、公契約条例という形になりますと、自治体間での不均衡が生じるということでございます。したがいまして、これはきちんと全国で統一的に労働政策、賃金政策の話として解決されるべきもの、そして、自治体としましては、我々としましては、低入札価格制度、最低制限価格制度、こういったもので引き続き行き過ぎた価格競争の防止、労働条件の確保に努めていくというふうに考えております。

 

◯経済局長(遠藤和夫)

悉皆調査に関する再度の質問にお答え申し上げます。
先ほども申し上げました地域経済動向調査などにおきましては、その回答から、一定の傾向、その他個別意見の有意性が得られているのではないかと考えております。
また、特定のテーマなどの設定がある場合に関しましては、関係企業、それから団体にヒアリングを行うとか、もしくは対象を絞った形での調査を行うことがマンパワーや費用対効果の観点からも有効と考えておりますので、そのような形で対応させていただきたいと考えております。
以上でございます。

 

◯庄司あかり議員

消費税については、藤本副市長からお答えをいただきましたけれども、社会保障制度を維持していくというために必要な財源なんだというお話でしたけれども、社会保障の財源だということなら、なおさらふさわしくないというふうに思うんです。社会保障というのは所得の再分配機能を持っておりますので、なおさら、低所得者にとって負担が大きい、いわゆる逆進性の強い消費税というのは、その財源としては最もふさわしくないものだというふうに思います。だからこそ、先ほども申し上げたように、累進課税の原則に基づいて財源を確保するという当たり前の道をぜひ要求もしていただきたいと思うんですね。
再質問でお答えいただけなかったのが、中小企業への影響も含めてお考えいただく必要があるんじゃないかということを申し上げました。第一問で紹介した8500件の廃業というのは、2014年から2016年までの件数ですので、消費税が8%に引き上げられた後の影響というのが反映された数字です。
国もこれまで、やはり経済状況を見ながら10%増税を延期してきた経過もあるわけですね。市民に最も身近な基礎自治体の長として、家計消費の動向など市民の暮らしですとか地域経済の状況を見て、国に意見を上げるということを判断する必要もあるんじゃないかと思いますけれども、市長の御見解を伺います。

 

◯市長(郡和子)

お答えいたします。
私は、国会におりましたときに、これからの日本を考えたときに、やはり広く浅く財源を確保するためには、消費税の増税というのが必要であるという観点で議論をし、そして決断をさせていただいたと認識をしております。できれば、この間の経済状況で二度延期されているわけですけれども、これを着実に行うということが、それこそ私ども地方行政を担う私といたしましても大変重要なことであるというふうに認識をしているところでございます。改めてこのことは申し上げたいというふうに思います。
加えて、各中小の商店を含めてさまざまなところで複数税率になる状況ですから、大変な御苦労があろうかと思いますけれども、これに対しては、国のほうでもさまざまな対応というのをとっていただける、既にいろいろな説明等々は始まっているというふうに聞いているところでございます。
いずれにいたしましても、今後の少子超高齢社会をにらんだ上でも、恒久財源の確保のために行われる、私どもはそうすべきであろうと思っているところでございます。

 

 
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