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変型労働時間制は、長時間労働を固定化。導入の条件は、ない

(2020年2月議会 ふるくぼ和子議員の一般質問)

〇ふるくぼ和子議員 今回の条例案には入っていませんが、2021年4月1日が施行期日となっている「一年単位の変形労働時間制」が変更点のもう一つです。
「一年単位の変形労働時間制」とは、「繁忙期」に1日10時間労働まで可能とし、「閑散期」と合わせ平均で1日当たり8時間に収める制度です。学校現場では、現在の退勤時間が16時45分なら、繁忙期には18時19時となり、これまで16時45分までと設定されていた会議などは18時19時まで可能となります。すると、それから授業準備を行うことになりかねず、まさに長時間労働を固定化、助長するものへとつながっていきます。繁忙期の体と心の疲労は閑散期で回復できるという単純なものではなく、変形労働時間制は逆に人間の生理にあった「1日8時間労働」の原則を破る労働時間法制の改悪と言わざるを得ません。
仙台市の昨年度の教職員の正規の勤務時間外の在校時間調査では、一ヶ月平均小学校で41.1時間、中学校で66.8時間、高等学校・中等教育学校で45.6時間となっており、5年前と比べて、小・中・高、すべての学校で在校時間はさらに伸びています。増加する授業時数に合わせて増える授業準備や研究授業の準備に事務作業、子どもたちへの対応をはじめ、夏休みなどの長期休暇中でも部活動や研修、研究会への参加と、閑散期などない、繁忙期がずっと続く状況です。
学校は、子どもの状況などで臨時的な対応が絶えず求められる職場です。子どもたちに常に向き合う仕事に、繁忙期や閑散期などと言うこと自体があり得ないとみるべきですが、当局のご認識を伺います。

教職員の「変形労働時間制」の導入に対して、教職員や教育関係者からは「さらにひどい働かされ方になる」「過労死が増える」と次々と声が上がり、反対の大運動がおこりました。
緊急署名を呼び掛けたネットには、「毎日平均して11時間は在校していますが、時間外手当もなく、振替休日もなく、貴重な親子の時間を持つこともできないまま、娘は中学生になりました。仕事という大義名分の下に、生徒には何時間も向き合いますが、我が子には1日1時間もまともに向き合えない状況です。こんなことがまかり通っていることが普通でしょうか。」という声や「1歳と3歳を抱えながら教員をしています。上の子は自閉症で療育にも連れて行かないといけません。平日の勤務時間を19時までにする変形労働時間制…子どもの顔を見るなということでしょうか?」という声など、教職員が一人の人間として、今も当たり前のことができない苦しみがたくさんつづられています。
これから新学習指導要領が実施されれば道徳の所見や小学校英語、プログラミング教育など、教員の業務はさらに増えます。ところが増員は小学校英語の分だけで、学校現場の多忙化が進むことが危惧されます。
教職員の労働実態は、政府の調査でも1日平均12時間近い異常な長時間労働といわれ、解決すべきは長時間労働そのものをなくすことです。まずまっすぐに教職員の長時間労働の改善のために、新学習指導要領の実施に必要な人員増などを国に求めるべきですが、いかがでしょうか。

「一年単位の変形労働時間制」を運用するには、政令市では条例化しなければなりません。しかし、制度導入の法改正の議論の中で、萩生田文部科学大臣は国会答弁で「自治体の判断で採用しないこともある」と答えています。制度導入は、完全に選択制であり、その判断は自治体にゆだねられています。
また、制度導入には、労働基準法では職場ごとの過半数の労働者の同意が必要としていますが、「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」では条例で定めるとされていますので、教職員の意思が無視される恐れがあります。すべての学校での検討は当然、教育委員会が全ての教職員の意見を聞くことを大前提としなければなりません。国の言うままに、現場の声を無視してそのまま条例化することは許されませんが、いかがでしょうか、伺います。

仮に条例化したとしても、実際の運用については、各学校の判断であり、毎年度検討して決めることになっています。
このことも国会の文部科学大臣の答弁で、「各学校の意向も踏まえずに一律に条例で規制しても何の意味もない」「校長とそれぞれの教師がしっかり対話をしていただいて、個々の事情、介護だとか子どもが小さいとか、いろいろ事情があると思うのでくみ取ることが求められている」「学校のみんなが嫌だというものを条例ができたからと言って、それを運用して動かすことは無理」と、明確にされました。
さらに、いったん導入を決めた学校でも次年度にやめることもできると、初等中等教育長が明言しています。
仙台市においても当然そうした立場が貫かれるものと考えますが、ご見解を伺います。

変形労働時間制を導入する前提に、国の「公立学校の教師の勤務時間の上限に関するガイドライン」、残業時間月45時間、年360時間以下の遵守が条件とされていることも大変重要です。
変形労働時間制を適応する教職員は全員、ガイドライン以下でなければならないこと、その教職員がガイドラインを守れないと分かった場合、途中でもやめられることが国会審議の中で約束されました。
仙台市では、中学校・高等学校等ですでに月平均45時間を超えており、小学校でも45時間を超える月が4か月あります。年360時間については、すべての学校が大きく上回っている現状です。
この月45時間、年360時間以下というガイドラインをどうやってクリアしようとお考えなのでしょうか、伺います。

その際、文部科学大臣も言及している通り、「勤務時間管理が徹底されていなければ導入することはできない」のは当然です。
現在市内の学校にはタイムカードが設置され、時間管理の徹底を図っているところではありますが、正確な活用が求められています。
残念ながら東京都内のいくつかの区や市では「目標達成のために5時半には打刻してくれと管理職に言われている」とか、「朝早く学校に来てもカードは勤務時間になってからといわれた」などの事例が報告されています。
勤務時間管理は労働安全衛生法の改正で2019年から公立学校を含め使用者の法的義務になりました。民間では違反した場合、罰則が伴いますが、今回公立学校でも虚偽報告は懲戒処分になることが国会で答弁されました。
教職員の労働条件と健康を守るためにも、時間管理は実態が正確に反映されるものでなければなりませんが、取り組むにあたってのご当局の決意を伺います。

こうした時間管理を行うのは教頭先生の仕事となっています。現在の一人一人の教職員の時間管理だけでも相当膨大で大変な業務になっていると考えますが、変形労働時間制を導入するとなると、業務はさらに複雑化し、増大します。
制度の運用のためには、3月には全教職員から導入についての意向や個々の状況を聞き取らなければなりません。そして制度を適用する対象者を決定します。そのうえで4月5月の個々人のシフト表を決め、その後また4月には6月分、5月に7月分という具合にシフト表を決めます。さらに、各人の勤務状況がシフト表に照らしてどうなのかのチェックも必要となり、これまでの業務にプラスして大変な作業を行わなければなりません。
制度導入によって起きる、こうした管理職の業務の増大について、どのようにお考えになっているのでしょうか、伺います。

また、変形労働時間制では「勤務の割り振り変更」ができなくなりますので、さらに管理は大変です。「勤務の割り振り変更」とは、通常の勤務時間に生徒対応などで勤務が2時間ほど伸びることが予想される場合、別の日にその2時間を少なく割り振るといった方法です。
変形労働時間制を選択した場合には、はじめから繁忙期と閑散期に分けて勤務時間を設定するわけですから、「勤務の割り振り変更」の考え方自体が成立しません。さらに、繁忙期として勤務時間を伸ばした日は、最初から必要な時間を伸ばしたことになりますので、時間外勤務も行わせられないことになっています。
学校は突発的な対応が求められる仕事です。学校業務の多さを考えても突発的対応を想定しても、結局それらは持ち帰り残業、サービス残業となるのではないでしょうか。ご認識を伺います。

変形労働時間制には何のメリットもありません。無理難題を現場に持ち込み、これまでの矛盾や課題を解消するどころか積み上げ、拡大するものと断定せざるを得ません。
自治体で判断、決定ができるのですから、変形労働時間制は導入しないことを早期に決断すべきです。この際、条例化しない、導入しない表明を求めますが、伺います。

教職員の多忙化を解消し、働き方改革を真に進める道筋は明確です。
この間、教職員の多忙化解消に取り組んできていますが、先生を増やすことと、学校に押し付ける不要不急の業務の大幅削減なしに、解決はあり得ません。
かつて、教員定数を定める法律を制定した際には、一日8時間労働の下で授業とその準備ができるようにと「教員一人一日4コマ」を基準にして教員配置が行われていました。ところが週5日制になり、学習指導要領で新たな教科が増えているにもかかわらず、この基準が守られるどころかなし崩しにされ、現在の教職員の長時間労働が作り出されてきました。法制化の際の基準で計算すると教員を2割も増やす必要があります。
中学校で始めた35人以下学級を小学校に拡大することは、国に定数増を求めながら仙台市独自でできる仕事です。事務職員や養護教諭の全校への複数配置を行うことや、全校にフリー教員を配置するなど、自治体で創意工夫を凝らしてやれば、教職員の多忙化解消だけでなく、子ども一人一人に目が届く教育の充実につながります。市長、豊かな発想で学校を豊かに発展させようではありませんか。ご所見を伺います。

もう一つは、国の通知でさえも教育委員会に求めている、学校現場にかけている負担の見直し、過大な授業時数の見直し、研究事業や行政研修の簡素化です。
先生の一番の仕事は授業とその準備、子どもとじっくりと向き合い話すことです。それを妨げるものは思い切って削減すべきです。市はこれまで、現場の意見を聞きながら、小学校陸上記録会のプログラム改善などに取り組んできました。この立場で、標準学力検査や子ども体験プラザ事業など、現場から負担だとの声が上がっている事業は直ちに削減検討を行うべきですが、いかがでしょうか。教育委員会こそが、こうした現場の声に耳を傾けるべきと考えますが、伺います。

一人の人間である教職員自身が、労働者として働き甲斐を持って暮らせる保障を、一日も早く取り戻さなければなりません。子どもたちとゆっくり向き合える時間を持つことは、教職としての喜びでもあります。そしてそれは子どもたちへの教育を学校でしっかり保障していく道でもあります。
子どもたちの学校での育ちを大事にし、教職員の生活と命を守るために必要な財源を投入することをためらうべきではありませんが、いかがでしょうか。
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