【概要】「郡市長の新年度予算。変わり始めた市政」
〇花木則彰議員
花木則彰です。日本共産党を代表して、来年度予算案他上程されでいる議案と郡市長の施政方針、および市政の重要課題について順次質疑いたします。
市長は、来年度予算の重点配分を3つのテーマで行ったと説明されました。これまでの市政と比べて、新市政の大きな特徴となっているのが、「人を育み、人がつながるまちづくり」の分野です。市民の暮らしや、子どもたちの教育環境など、「仙台市は冷たい」と言われてきたこの分野で、変化が起こりつつあることを歓迎するものです。教育や医療・福祉、被災者支援、環境・エネルギー問題など長年地道な活動を続けてきている多くの市民のみなさんからも期待の声が寄せられています。復興住宅の家賃問題では、市内38の復興公営住宅のうち、23住宅から31名が連名で呼びかけ人となり、復興公営住宅の家賃軽減をはじめ、4項目の緊急署名を昨年5月から集めてきました。各住宅での反応や取り組みなどを交流しながら集めた署名を奥山前市長に1978筆、郡市長にばって1380(723+657)筆と、合計で3358筆となりました。前市長の時、直接区話を聞いてほしいと何度も要請しましたが断られ、市の回答も「国に制度の延長をお願いしている」というだけで市独自の考えを示さないものでした。市長選挙後は、担当部長が「市長の判断を仰ぎたい」と述べ、11月9日郡市長が直接約20名の入居者と意見交換する機会が持たれました。この時市長は「国にお願いするとともに、市として皆さんの声にどのように応えられるのか議論させてほしい」と答え、参加者は市が被災者に寄り添った姿勢に変わったことを実感しました。11月21日に復興庁から「復興公営住宅の家賃について地方公共団体が独自に減免することが可能」とする事務連絡が出されたこと、減免対象となっている被災入居者の経済状況が今後大きく好転するものでないこと、などから今回、市独自の施策で、これまで同様の減免を10年目まで続けることが決断されたと報告されました。私は、まさしく「市民の力」が発揮された出来事だと感じています。この間、郡市長ご自身が、どのように悩み決断されたのか、復興公営住宅入居者の方々の取り組みをどう受け止めておられるのかお聞きします。
まもなく被災から7年となります。しかし、被災者の生活再建にはまだまだ多くの課題を残しています。市の真摯な取り組みを求めるものです。まず、緊急署名にもある、収入超過世帯の家賃賃上げ問題です。政令月収が基準より高い世帯は入居後4年目から大幅な家賃賃上げとなります。復興公営住宅にも一般の市営住宅の収入基準とそれを超えた場合の割り増し家賃が適用されるためです。これでは、事実上の追い出しとなり、被災で住家を失くした被災者の恒久的住宅を提供する災害公営住宅の役割と矛盾します。岩手県は、県として家賃の上限を決めて減免する手立てをとっているそうです。石巻市も4年目から9年目まで割り増しをしない措置を決めました。先に触れた、復興庁の事務連絡でも、地方地方公共公共団体で政令月収の基準を15.8万円から25.9万円に引き上げることや家賃割り増し分を減免することが可能だと指摘しています。仙台市でも、15.8万円を超える世帯が、約250世帯あると見込まれています。市の対応策について検討状況をお聞きします。合わせて、政令月収が31.3万円を超える入居者が、5年目以降明け渡しを求める問題にどう対応するのかお考えをお聞かせください。
被災者生活再建支援金は、基礎支援金の申請期限を数次にわたって延長してきました。今のままだと今年4月10日で締め切られることになります。罹災証明が全壊、大規模半壊の世帯に支給されますが、まだ申請を行っていない世帯は昨年末現在で320戸。また、被災した半壊以上の住宅を解体した場合には全壊として扱われますが、解体による全壊扱いの申請をしていない世帯が約700戸あります。その中にはアパートなどに入居していた方で罹災証明が大規模半壊または半壊であってもアパートがその後解体されれば全壊扱いで申請できますが、被災時に住んでいたアパートが解体されても、そのことを知らない被災者もまだ残っていると思われます。未申請の理由を丁寧に掴んで、急いで申請ができるように支援すべきです。市政だよりだけでなく、テレビや新聞などにも取り上げてもらって大いに周知を徹底すべきです。いかがでしょうか。
また、実際、半壊となり退去させられた賃貸マンションが、やっと今になって解体工事が始まろうとしているところもあります。このまま、申請受付を締め切ってよいものか、よく調査して、再度延長を県に求めるべきですがいかがでしょうか。
災害援護資金の返済が始まりました。被災者が生活を維持しながら返済していけるように、市が特段の対応をとる必要があります。阪神淡路大震災での神戸市が行ってきた取り組みについて、宮城県が県内自治体の担当者を集めて研修会を行いました。県は年間償還予定額を月割りにしたものより少ない償還払を認める「少額償還」の取り扱いを通知しました。仙台市では、償還の相談に被災者が訪れても、月払いを勧めるだけで少額償還の案内はありません。少しずつでも返したいとの気持ちに応えて、「少額償還」を認めるべきですが対応をお聞きします。
復興公営住宅でのコミュニティーづくりは、どこの復興公営住宅自治会でも苦労されています。区役所や社協なども支援を行っていますが、より一層手厚い支援が求められています。仮設住宅の集会室に支援員が常駐したように、復興公営住宅でも集会室が日常的な集いの場になるように、また自治会の役員のみなさんをサポートする為に、常駐の支援員を置くことが必要です。いかがでしょうか。
市長は、「未来を担う子どもたちを取り巻く環境づくりに力を入れたい」として、35人以下学級の対象学年拡大をはじめ、学校現場の体制を強化するための様々な施策を打ち出しました。これからも、市民や教育関係者が長年求め続けてきたものであり、市長の英断に賛同します。いじめ問題に限らず、学校が子どもたちの多様性を受けいれ、誰もが楽しく学べる場となるために、子どもたち一人一人と向き合い、目配りできる教員の体制が必要です。まず、新年度中学3年生までに拡大するための、教室を確保するための500万円と、備品整備にかかる2500万円も計上されています。新年度、35人学級拡大の成果も踏まえて、小学校でも1、2年生までとなっている対象学年を拡大する検討も進めていただきたいと思います。市長も当然小学校への拡充をお考えだと思いますが、伺います。
スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー、不登校学校訪問相談員、特別支援教育指導補助員の拡充など、教育現場の人員体制の拡充に期待します。専門スタッフがそれぞれの専門性を高め、経験を蓄積していけるように、一年契約で待遇が低い状況を変える必要があります。人員体制の拡充とともに、待遇の改善も行うことを求めますがいかがでしょうか。
関連して不登校対策について伺います。不登校になった子どもたちに直接原因を尋ねてもなかなかはっきりした答えを得られないことが多いのが現実です。しかし、原因は子ども自身にあるよりも、学校や家庭など子どもを取り巻く環境にあると言われています。「不登校防止」が「違いを認め合い育ちあえる学校づくり」であれば良いのですが、学校の現状は変わらないのに、子どもを学校に復帰させることを目指してはいけないと思います。いじめからの緊急避難や、貧困、被災経験、競争教育の激化など様々な理由で学校に通えない子どもたちに、学習や成長を保障することが大切です。まず、不登校となっている原因や、子どもたちと保護者が置かれた現状について市が把握すること。そして適応指導センターや適応指導教室の名称も改め、役割を強化することを求めます。設置個所、教員の配置を含めた人員体制の拡充、職員の待遇改善が必要です。いかがでしょうか。
いじめ問題では、現在3つの第三者委員会に加えて、専任組織を子供未来局に作るとしています。新しい教育委員会制度となった今も、教育委員会は独立した執行機関です。とりわけ教育の政治的中立性を確保するためには、教育の内容については市当局や議会が進めるべきは、35人以下学級導入など教育環境の整備や充実を行う事です。各第三者委員会での調査や協議、検討・提言を踏まえて、教育施策を学校現場と協力して具体化する仕事は教育委員会が自ら苦労して行うことでこそ仙台市の教育に責任を持つ力をつけることになります。いかがでしょうか。
市長は、いじめ防止の条例をつくることを表明されています。私たちは、いじめは禁止したり、手続きを定めさせたりすることで無くすことはできないと考えています。全国には世田谷区のように、子どもの権利条約に着目し、子どもの人権を保障する条例を定めているところもあります。この仕事は、教育局や、子供未来局などどこかの部局だけで進めるものではありません。市長部局に新たにつくる専任組織では、こうした子どもの人権保障という観点から、市は全庁的に取り組む、さらに市民と協働して取り組む方策について具体化していって欲しいと考えます。市長のご見解を伺います。
子どもの貧困対策を、人を育て、支え、力を育む課題として位置付け、強化すると市長は話されました。子ども食堂への助成や、学習支援強化もうたわれています。しかし、子どもの貧困対策に逆行する、施策の後退があることを見逃すわけにはいきません。市が独自に準要保護の世帯に出している入学援助金、小学校で2万2000円、中学校で2万7000円を廃止しようとしていることは重大問題です。昨年から就学援助の入学準備金が増額され、また郡市政がその前倒し支給を決め喜ばれていた矢先に、増額された額よりも大きな金額を減らすことは、それらを不意にするものでありやめるべきです。さらに生活保護世帯の子どもの入学祝い金、小学校3000円、中学校5000円も廃止することになっています。これのどこが貧困対策の拡充なのでしょうか。健康福祉局の低所得者福祉として年間5000万円ほどの予算で行われていた3つの制度を廃止しなければならない理由はありません。「子どもの貧困対策を充実させる」と言いながら、一方こんな後退をさせることは、市民の願いと期待を裏切り、市長自身の施策方針をゆがめることになります。制度廃止を撤回するよう強く求めます。市長ご自身のお考えをお聞きします。
国においても、子どもの貧困対策に逆行する、生活保護基準額の、母子加算の減額が行われます。2015年の住宅扶助費引き下げに続くもので、毎年のように取りざたされる生活扶助基準引き下げと合わせて、生活保護利用者に不安を与えています。生活保護制度は、貧困家庭の子どもたちにとっては、生きていくために、学び成長するために必要な制度であり、憲法が保障する権利です。自治体として生活保護基準の引き下げに抗議すべきと考えますが、市長のご見解を伺います。
待機児童解消は「切れ目のない子育て支援の充実」にとっても、依然として最重要課題です。この間保育を必要とする児童の数は、予測を大きく超えてきました。市の子育て支援事業計画も、後半の2年間で整備する目標を上方修正することになります。計画期間の後1年も加えた3年間で、2300人分整備する計画です。うち19か所は6歳まで通う、いわゆる認可保育所で整備し、48か所は3歳までの小規模保育等でとの考えです。民間保育所の整備には、保育士の確保など困難が増大しています。「箱は作れど、人集まらず」では子どもたちの受け入れはできません。今回、保育士確保に市が独自支援策を打ち出したことは大切です。3年目までの若手保育士に月5000円の補助、保育士向けの宿舎を借り上げる保育事業者に費用の一部助成を行います。2月12日仙台市が初めて開く、保育士就職合同説明会が開かれました。61の市内保育事業者がブースを開き、約170名の就職希望者が訪れました。事業者からは「こういう場所があって助かる、年に2回ぐらいお願いしたい」、県外から来年の就職活動にと参加した学生さんも「仙台の保育所の事情が開けて参考になった」と喜ばれていました。保育士を目指す若い皆さんが、こういう姿勢の仙台市ならば、仙台に住もう、働こう!となってもらえるよう、これからも努力していくべきです。一方こういう努力をしたからと、すぐ保育士を確保できるわけでもありません。現在運営している保育園を維持していくだけでも大変なのに、新たに19ヶ所も民営事業者に作ってもらえるのか、大いに疑問です。このような時に、公立保育所の建替えにあたってまで、民間事業者の協力を求めることは待機児童解消に逆向する方針です。市は2007年に策定した「公立保育所の建替え等に関するガイドライン」で築25年以上の木造公立保育所の建替えについて、民設民営方式ですすめてきました。そして2014年には築年数に関わらず、地域拠点保育所とする22ヶ所以外の保育所は原則として廃止民営化の対象にするとし、毎年2ヶ所ずつ強行してきました。移行にあたって、これまで公立保育所で守られてきた所長の資格要件を、移行先の民営保育所でも守ってもらうこと、公立保育所に通っていた子どもたちの生活が移行後も守られるように引き継ぎ保育の要件などが決められました。ところが、新年度移行予定の将監西保育所において、所長候補者がこれまでの募集要項で定められた要件に合致しない方であることが明らかになりました。それを「将監西保育所の保護者の同意を得たから」と言って、市は認める決定を行いました。また、このことを受けて、新たに民営化する保育所の募集要項では、最初から資格要件を緩和しています。これらの経緯は、議会に全く報告されていません。さらに、今年1月から引き継ぎ保育に入ることになっていた保育士6名のうち3名が確保されていません。市と事業者が合意した移行計画が、履行されていない状況です。無理に廃止民営化をすすめれば、犠牲になるのは民間に移行する公立保育所に通う子どもたちと保護者です。2017年度に民営化された若林どろんこ保育園でも引き継ぎ開始直前の10月に所長予定者の変更があり、引き継ぎ保育が1ヶ月遅れたという経緯がありました。また、法人独自の保育内容が押しつけられ、保育の継続がされず保護者と子どもが困惑しています。月3000円もの主食代をとる等、保護者負担の増大も問題です。こうした事態が相次ぐのは、民営化を引き受ける事業者が少なくなっているため、市当局が、求めるハードルを下げてでも引き受け手を探そうとしているからです。もはや、公立保育所の廃止・民営化方針は行き詰り、限界に達しています。待機児童解消のため公立も民間も力を合わせていかなければならない状況の中で、公立保育所の廃止民営化は一旦凍結すべきです。郡市長の答弁を求めます。
第46号議案 児童福祉施設条例の一部を改正する条例では、公立保育所廃止・民営化の方針が、いかに市の保育施策をゆがめてきたかが明らかになっています。震災で被災した仙台市立の中山保育所と南光台保育所の建替えについて、震災復旧工事として国の災害復旧費を充てるためには「仙台市立保育所」として建替えなければなりませんでした。しかし、建替え時に民営化する方針のため、市立保育所として建替えながら運営は民間に委託する、いわゆる「公営民営」の保育所とされました。こんな姑息な対応ではなく、仙台市立保育所として建替え、運営すればあと数十年は公立保育所として維持できたはずです。そして、今回は、公立保育所として廃止する議案です。じゃあ民間に土地や建物を売って民営化するのかといえば、それでは災害復旧費を返さなくてはならないので、土地と建物を貸すことにするというのです。どういう必要があって、廃止するのでしょうか、伺います。
公立保育所の廃止・民営化方針を決めて以来、市立保育所の修繕や施設の改良費などの予算が大きく削られてきました。床や柱がささくれたまま、床板が浮いてきてもガムテープで止めたなど、子どもの安全な保育にとって支障が出る状況があります。保育室の窓がアルミサッシでもなく、いまだに木枠の窓で隙間風が吹く保育所も残されています。とりわけ深刻なのは、市立保育所の保育士の欠員状態が恒常化していることです。毎年新規採用を行っていますが、仙台市に合格しても首都圏なども合格すれば辞退者が出ます。年度始めから欠員状態となります。もっと余裕をもって採用し、プール保育士も多く確保すべきではないでしょうか。修繕など施設整備と市立保育所の保育士確保に、市が責任を果たすよう求めます。お答えください。
第1号議案 平成29年度一般会計補正予算(第4号)、第15号議案 平成30年度国民健康保険事業会計予算、および第42号議案 国民健康保険条例の一部を改正する条例について伺います。補正予算では健康福祉費で、国保会計への繰り入れを35億円も減額します。昨年度の決算で議論したように、今年度も結局高い保険料を市民に課したために、繰り入れすることになっていた予算が減額されたということです。国からくるお金や、収納率、市が独自に繰り入れる金額を、正確に計上して6月の保険料本算定を行えば、国保料の引き下げが可能なことを示しています。来年度の保険料の上限額を引き上げる条例改正も必要ないと考えますが、いかがでしょうか。
被災者の医療費免除制度について、市は「国の金額負担で行われるべきもの」と、理由にもならない理由で免除再開を求める被災者の願いを冷たくあしらってきました。この問題は、特別家賃低減制度をめぐる状況と同じではないでしょうか。国からは、被災自治体のためにと交付金がきており、自治体の判断で免除は可能と言っています。岩手県は全自治体で、県内でも9自治体が免除を継続しているのは、国からの交付金を被災者のために使おうと自治体が考えているからです。今年も20億円弱の特別交付金がきます。被災者の医療費免除は、役2億円あれば再開できます。被災者の生活の状況を市がつかんだからこそ、復興公営住宅家賃で独自施策を行う決断をされたはずです。福祉や健康に責任を持つ健康福祉局が、冷たい対応を続けるべきではありません。伺います。
「人を育み、人がつながるまちづくり」の分野への財政負担が心配だとの議論がありますが本当に心配なのは、「まちを育む、活力デザイン」分野です。青葉山公園整備や定禅寺通りの活性化など、従来から進められてきた内容に加えて、音楽ホールや放射光施設、中心部のメモリアル施設など、教育、福祉分野での経緯とは桁違いの整備費がかかるものばかりです。音楽ホールについては、関係者・専門家の方々で音楽ホール検討懇談会が作られ、現状や課題について整理され、設置目的やどのような施設像をめざすのか協議が進められています。楽都仙台として、市民の旺盛な音楽活動を支える施設として使いやすい施設であること。そして2000席規模の音響を重視した多目的ホールを備えた施設であること。二つの性格の施設が求められていると思います。夢は広がりますが、良い場所に広い用地を確保すること、建設・施設費、さらに運営費と多額の財政負担がかかることは否めません。県民会館の建て替えの課題をかかえた県との調整も進んでいるのか伺います。
また、市が単独で整備したとしても、結局のところ、ネーミングライツで企業名を冠することになるのではないでしょうか。社会貢献として民間企業による整備・運営を呼びかけることなどもしてはどうでしょうか。お答えをお聞きします。
東北放射光施設計画は、日本の産業界において渇望されている軟エックス線領域が使える3GeVの放射光施設を青葉山に誘致しようとする計画です。円形の加速器から、多くのビームラインを設けることができるため、多くの研究者や企業が利用できることが特徴です。これで何かをつくるというものではありませんが、物質をナノレベルで見ることや、化学反応の様子を見ることができるため、幅広い分野で利用することが可能です。国は「官民地域パートナーシップによる次世代型放射光施設の推進」を掲げており、地元自治体の支援が求められています。市長は、すでに誘致推進の立場を表明していますが、施設整備にかかる340億円のうち基本建屋や研究準備交流棟、追加ビームライン整備などにかかる費用150億円ほど、さらに用地取得土地造成費は、地域・民間負担とされており、地元自治体の負担が大きくなることが危惧されます。市は財政支援ではなく、中小を含む地元の企業が活用できるように、研究者とのマッチングや、ものづくりフレンドリーバンクとして考えられるような少ない負担で共同利用できる仕組みづくりとその運営に力を発揮すべきと考えますが、いかがでしょうか。
第60号議案 乗合自動車運賃条例の一部を改正する条例は、学都仙台フリーパスを値上げしようとするものです。子育て世帯にとっても、仙台で学ぶ学生にとっても、大変喜ばれているこの施策を、発展させることはあっても後退させるべきではありません。この値上げによって、交通局の収入は2400万円の増収見込みです。逆に言えば、市が2400万円の手当をすれば値上げしなくてよい、という程度の問題です。交通局の施策として行ってきた制度ですが、まちづくり政策局の学都推進の施策として大いに応援していくべきです。在仙の大学が連名で要望されているのは、宮城交通など民間バス事業者にも使えるフリーパスにしてほしいということです。実際に乗った乗車料分は、市が交通事業者に運賃として支払う制度にすれば、交通局はもちろん民間交通事業者でも使えるフリーパスになります。通学の交通費に悩む高校生を持つ子育て世代に大歓迎されます。多くの大学が中心部から郊外にキャンパスを移した中、学生生活で交通費の占める割合は高くなっています。学生にやさしいまち仙台として、仙台の人気は全国的に高まるでしょう。施策の発展を急ぎ検討するとともに、当面の値上げを見送るべきと考えます。交通局ではなく市長の答弁を求めます。
公共交通、とりわけバスが、どんどん使いづらいものになり、市民生活を維持することが困難になっているとの切実な訴えを多く聞きます。公共交通を使ってそれぞれの地域で暮らせる地域づくりと、中心部を含めた市内各所に移動できる公共交通網の維持・整備の両面が求められています。広大な市域をもつ政令指定都市として、公共交通はあらゆる公共サービスの基盤であり、市域発展のための最重要のインフラです。交通局任せ、民間事業者任せの了見の狭い考えでは、公共交通は守れません。地域公共交通の整備を含めた抜本的な公共交通施策の見直しへの決意をお聞きします。
最後に市民の安全・安心にかかわる問題について伺います。太白区秋保地域で、小学校の真上、住宅地の中を、米軍のジェット戦闘機が低空飛行を繰り返している実態が明らかになってきました。私も、秋保に行って聞き取り調査を行いましたが、昨年は少なくとも3回の低空飛行が行われたことがわかりました。7月27日は、秋保境野地区の方が親子3人で目撃しています。「ステルス機のような黒で、おなかにミサイルを装着しているのが見えた。北朝鮮のミサイル発射と関係があるのではと怖くなった。子どもは足が震えて怖がっていた。そのくらい大きな爆音で、低空の飛行だった、」との話でした。10月23日は、秋保小学校の先生たちの目撃情報です。「先生方はほぼ全員職員室にいるとき校舎の裏側(北)から大きな爆音が近づいてきて、頭の上を爆音は通貨した。校舎のガラスがビリビリとなるような大きな音だった。南側の窓を見ると、2機が館山(たてやま)の右側を蔵王方向に飛んでいくのが見えた」とのことです。11月28日は、石神町内会長さんが目撃しています。「ジェット機2機が、北から、谷を横切り向かいの尾根を越えて飛び去った。変電所からの高圧電線に沿う方向で、高さは100メートルほどだった。あまりにも大きな音が近づいてきたので、部屋から外に出て目撃をした」そうです。この問題は、住民の安全にとって重大な問題です。2月14日には、秋保地域の全ての3連合町内会と秋保小PTA、子ども育成会の代表のみなさんが、県と仙台市に「低空飛行の中止を求める」要請をされました。私も同席しました。米軍機による落下物が小学校や保育園に落ちた沖縄での事件、相次ぐ不時着や墜落、自衛隊のヘリコプターが民家に墜落した佐賀県での事件など不安は絶えません。現在行われている日米共同演習では、王城寺ヶ原の演習場での訓練にオスプレイも参加させると発表されており、霞目飛行場など市域への飛来も心配されます。低空飛行問題とオスプレイ問題での市当局の対応をお聞きします。
以上、私の第一問とします。ご清聴ありがとうございました。
◯市長(郡和子)
ただいまの花木則彰議員の御質問にお答えをいたします。
まず、本市が独自に復興公営住宅の家賃負担の軽減措置を講じることにしたことについてのお尋ねでございます。
この間、私自身、花木議員から御紹介のあった署名活動を含めまして、さまざまな機会に入居者の皆様方のお声を直接伺ってまいりました。そうしたお声や昨年11月の通知に示された国の考え方を受けとめて、独自支援策の必要性等を検討する必要があると考えるに至ったわけでございます。
その後、入居者の方々の収入状況等の調査を急ぎ、改めて確認できた復興減免世帯の皆さんたちの実情や他の被災市町の動向などを総合的に考慮し、このたびお示しをしております独自支援の実施が必要と判断したものでございます。
次に、35人以下学級に関する御質問にお答えいたします。
35人以下学級につきましては、教員が子供一人一人にしっかりと向き合うことが学校におけるさまざまな課題の解決の基本となるものと考えまして、中学校を優先して拡充することといたしたものでございます。
35人以下学級の拡充には、教員の確保、そしてまたその経費、施設整備の費用などの財政負担が伴います。
小学校に拡充することとした場合に、学校数が多うございます。それに加えて、実施の際に必要となる教室も多いこと、また、校地に余裕がなくて空き教室を児童館として転用しているなど、小学校特有の事情もあることがはっきりいたしました。そこで、まずは中学校における円滑な実施を進めてまいりたいと考えているところでございます。
それから、いじめ対策に係る専任組織に関するお尋ねでございます。
教育行政につきましては、もとより教育委員会が学校現場と一体となって進めていくものでございますけれども、いじめの背景には、虐待や貧困など、教育部門のみならず、一般行政部門との連携が重要となる課題があります。そこで、市長部局に専任組織を設置し、施策の統括や検証を行うことにしたものでございます。
新しい組織におきましては、教育委員会の権限や独立性にも配慮しつつ、全庁的な観点に立って、関係部局との連携を強めながら、各部局におけるいじめ対策が実効性のあるものとなるよう取り組んでまいります。
いじめ対策につきましては、先月いただきましたいじめ対策等検証専門家会議の第一次提言の中で、学校や教育委員会以外の相談窓口の設置、それから学校と地域との連携強化などさまざまな御提案をいただきました。
いじめの防止の取り組みに当たりましては、この提言を踏まえまして、今回設置いたしますいじめ対策推進室が中心となり、教育局はもとより健康福祉局などの関係部局と密接に連携しながら検討を深める必要がございます。
今後とも、議会における御議論や市民の皆様方の御意見、また総合教育会議における協議を踏まえながら、私のもとで全庁を挙げて取り組んでまいりたいと存じます。
入学援助金に関する私の考え方についてでございます。
私は、子供たちが健やかに育ち、学びながら、このまちに愛着を抱き、将来への期待を膨らませることができる環境づくりに力を注いでまいりたいと強く思っております。
子供の貧困対策に関する施策を計画的かつ効果的に推進するために、(仮称)つなぐ・つながる仙台子ども応援プランのもと、施策全体としていかにあるべきかを総合的に検討してまいりました。
限りある財源の中で新たな施策展開を行うためには、従来の事業についても不断の見直しが必要でありまして、事業の目的、趣旨に鑑み、子供たちの日常の生活を支える視点での事業が今まさに求められており、優先されるべきものと判断したところでございます。子供の貧困対策という喫緊の課題への対応として、より高い効果が期待できる施策を講じたものと考えております。
そのほかの質問につきましては、関係の局長から御答弁を申し上げます。
私からは以上でございます。
◯総務局長(加藤俊憲)
航空機の低空飛行問題と日米共同訓練へのオスプレイ参加に関するお尋ねにお答えいたします。
秋保地区における軍用機と見られる航空機の低空飛行につきましては、本市においても飛行実態の確認をした上で、2月14日に東北防衛局に対し、本市周辺で自衛隊や米軍が訓練を行う際は、迅速かつ適切な情報提供を行うとともに、住宅地や学校施設付近等において危険な低空飛行を行わないよう米軍に申し入れるなど、万全の措置を講じるよう要請したところでございます。
また、王城寺原演習場における日米共同訓練へのオスプレイの参加につきましても、訓練の開始に先立ち、事前に飛行ルート等の訓練計画の内容について情報提供を行うとともに、オスプレイの飛行モードの転換は演習場上空で実施することや進入経路は人口密集地を避けることなど、改めて日米合意を遵守するよう米国政府に申し入れることをあわせて要請をいたしております。
今回の訓練からは、オスプレイの離発着場所、時刻等について、東北防衛局から得た情報を本市ホームページでも提供しているところでございますが、今後とも、市民の不安解消や安全確保のため、宮城県とも情報共有に努めながら適切に対応してまいりたいと存じます。
以上でございます。
◯まちづくり政策局長(大槻文博)
私からは、まず、東北放射光施設計画に対する支援についてお答えいたします。
次世代放射光施設の立地は、これに伴う投資や雇用など大きな経済波及効果が期待されますことから、本市では固定資産税等相当額の補助を基本とした財政支援を行う方向で検討を進めています。
お尋ねの地元企業による活用の促進策でございますが、既存の助成金制度により研究開発に向けた設備投資を支援するとともに、施設の詳細な運用計画や地元企業のニーズなどを十分に見きわめながら、放射光施設を最大限有効に活用するために必要な支援のあり方について、これは重要なことでございますので検討してまいります。
次に、学都仙台フリーパスについてでございます。
先般、仙台学長会議より、学生を対象とした新たな運賃値引き制度の創設に関する陳情をいただきました。
学都仙台フリーパスは仙台市交通局が事業者の経営判断のもとで独自のサービスとして実施しており、値上げは最終的には事業者の経営判断によるものとなります。
値上げを含む本制度のあり方につきましては、交通局や事業者に対する本市からの新たな補助などの財政的な面や、宮城県との役割分担、運用体制の構築など、なかなかさまざまな課題があるものと認識しているところでございます。
以上でございます。
◯市民局長(村山光彦)
復興公営住宅でのコミュニティーづくり支援についてお答えをいたします。
昨年5月までに全ての復興公営住宅において町内会の設立や近隣町内会への合流が完了したところでございますが、町内会の運営が軌道に乗るよう、引き続き区役所が中心となって、被災者同士や周辺住民との交流の機会づくりなどの支援を行っております。
新たに支援員を配置することは考えておりませんが、今後とも、関連部局や地域の関係団体と連携しながら、住民の交流や高齢者の孤立防止などに取り組む町内会の活動が軌道に乗りますよう引き続き支援してまいりたいと存じます。
以上でございます。
◯健康福祉局長(佐々木洋)
私からは、健康福祉局に係る市長答弁以外の御質問にお答えします。
初めに、被災者生活再建支援金の周知についてです。
この支援金のうち基礎支援金については、大規模半壊または全壊の世帯に加え、住宅が半壊し、その後やむなく解体した世帯も含め、未申請の世帯には個別の通知を複数回にわたりお送りし、申請を促しているところです。
また、宮城県による広報のほか、本市においても、市政だよりやラジオ、テレビのデータ放送、ホームページ等を活用し、申請期限の周知を行っているところです。引き続き未申請世帯への周知に努めてまいりたいと考えております。
次に、基礎支援金の再度の延長についてです。
基礎支援金の申請期限については、実施主体である宮城県によりこれまで数次にわたり延長されてまいりましたが、昨年1月の6回目の延長決定の際に、当該延長が最後であるとの考えが県より示されたところです。
本市においては、市内で被災され仮設住宅に入居されている方は全て住宅再建される見込みであったこと、また、支援金の未申請世帯に対しては、個別に通知をお送りし、申請を促す予定としていたこと等を勘案し、県の方針を受け入れたものです。このことから、県に対し再度の延長を求めることは考えていないところです。
次に、災害援護資金についてでございます。
少額償還は、当初計画どおりの償還が真に困難である場合に、一時的に本来よりも少額で償還いただくものでございます。
これまで、国、宮城県、県内関係自治体と少額償還の適用基準について情報交換を行ってきたところであり、本市としても制度の詳細を整理し、相談受付体制の整備など実施に向けて検討しているところでございます。
次に、生活保護基準についてでございます。
生活保護は、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、積極的に世帯の自立助長を図ることを目的とした制度であり、憲法の規定に基づき国の責務とされているところでございます。
基準の改定に当たっては、国の審議会における議論等を踏まえ、保護世帯への影響も勘案しながら見直されるもので、一方、子供の健全育成に必要な費用については、一部増額、拡充もなされるものと承知しております。
本市に適用される生活扶助基準の詳細については、まだ国から示されていないところですが、各世帯への周知に際しては丁寧に説明してまいる考えでございます。
次に、国民健康保険料についてです。
本市における法定外の一般会計繰入金は、公費等の歳入を充当してもなお不足する財源を補填し、収支均衡させるためにやむを得ず予算計上しているものであり、その後、財源が確保できることとなった等により繰入金を減ずるものです。
限度額の引き上げにつきましては、限度額超過世帯の割合を被用者保険に近づけていくという方針に基づいて行われた、国民健康保険法施行令の改正に対応するもので、所得の高い方の保険料を引き上げることにより、その他の所得層の負担増を抑制する効果がございます。
次に、被災者に係る国民健康保険の一部負担金についてでございます。
医療費の一部負担金免除につきましては、国の全額財政支援によって行われるべきと考えております。しかし、それが実施されず、責任を持って国民健康保険制度を運営していく観点から、本市として再開できる状況にないという判断はこれまでと変わらないものでございます。
また、被災自治体に対する特別調整交付金は、震災以降の医療費増加の中においても国保財政全体の健全性を維持し、事業を安定的に運営するためのものであることから、その交付目的に沿った対応をすべきと考えており、これによって免除を行うことは考えていないところでございます。
以上でございます。
◯子供未来局長(福田洋之)
私からは、保育所に係る質問にお答えをいたします。
まず、公立保育所の民営化についてお答えをいたします。
老朽化する公立保育所の建てかえにつきましては、昭和56年以前に建築された木造の建物ということもあり、児童の安全・安心、よりよい保育環境を確保するため、早期に実施していく必要があると考えております。
また、建てかえの際には、本市の限られた財源を有効に活用し、子育て支援施策を一層充実させていくため、民間の力をおかりし、新たな保育サービスの提供や必要に応じた定員増なども行ってまいりました。今後につきましても、円滑な移行となりますよう、保育士の確保策などもあわせ進めながら、建てかえ民営化を計画的に進めてまいりたいと存じます。
次に、中山保育所、南光台北保育所の廃止に関する御質問にお答えをいたします。
これらの保育所は、公立保育所の建替え等に関するガイドラインなどの方針に基づき建てかえを予定をしておりましたが、東日本大震災により園舎が使用できない状況となったため、早急に建てかえる必要が生じたものでございます。
建てかえを迅速かつ確実に実施するために、被災した園舎を本市が建てかえ、運営を民間事業者に業務委託してまいりましたが、この5年にわたる適切な保育所運営を踏まえ、これまでの民営化事業と同様に民設民営方式に移行するものでございます。
これによりまして、設置者と運営者が同一ということになり、運営者の責任のもと、より迅速かつ柔軟な保育所運営が行えるようになるものと考えております。
次に、公立保育所の修繕についてでございます。
公共施設全体の維持管理コストの増大が見込まれる中で、保育所の施設をより長く、安全な状態で使用するためには、計画的に修繕を実施する必要がございます。
今年度から公共施設マネジメントプランに基づく大規模改修を開始したところであり、今後も年に3カ所程度ずつ実施してまいりたいというふうに考えております。また、小規模な修繕につきましては、これまで同様、職員の巡回などによる応急修繕や専門業者による修繕などを行い、安全で良好な保育環境の整備に努めてまいりたいと存じます。
次に、公立保育所の保育士確保についての御質問です。
正規職員の採用につきましては、退職者数の見込みや民間の力を活用した公立保育所の建てかえ民営化の進捗状況を踏まえ、保育士の将来的な年齢構成も見通しつつ、計画的に進めているところでございます。
また、朝夕の延長保育等で、正規職員のほか非常勤職員により対応しているところでもあり、ハローワークや広報誌などによる継続的な募集を行うとともに、採用説明会を複数回開催することなどにより欠員の解消に努めてまいりたいと存じます。
以上でございます。
◯文化観光局長(館圭輔)
私からは、音楽ホール整備に関する県との調整及び施設の運営や整備手法に関するお尋ねについてお答えいたします。
宮城県とはこれまで、節目節目で意見交換の場を設けるなどさまざまな形で情報共有を進めてまいりました。県では、新年度、仙台市が整備する音楽ホールが2000席規模の多機能型ホールであることを前提として、県民会館のあり方に関する検討を進めるため、ホールの需要調査を行うと伺っております。今後も引き続き連携を図ってまいります。
また、施設の運営や整備手法につきましては、今後検討懇話会において、民間活力の導入も含め、さまざまな可能性について検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◯都市整備局長(鈴木三津也)
私からは、まず、復興公営住宅の収入超過者への対応につきましてお答えをいたします。
収入超過者は、引き続き3年以上復興公営住宅に入居し、所得月額が15万8000円を超える一般世帯や21万4000円を超える高齢者などの世帯が該当するものでございます。
収入超過者に対しましては独自の支援策を講じようとされておられる自治体があることは承知しておりますが、そのような市町におきましては、津波による被害が大変大きく、また民間賃貸住宅も少ないということから、復興公営住宅への居住を継続する必要性が高いという理由より判断されたものと伺っております。
一方、本市におきましては、民間賃貸住宅における空き住戸が平成25年度の住宅・土地統計調査では3万戸程度となっており、家賃につきましても幅広い設定がなされているため、収入や生活条件など個々の実情に応じた選択が可能なことから、収入超過者への対応の必要性はないものと考えております。
また、5年以上入居し、かつ、2年間引き続き所得月額が31万3000円を超える高額所得者には、期限を定めて明け渡しを求めることができることとなっておりますが、対象となられた方に対しましては、こちらから説明を重ねるなど丁寧な対応を行ってまいりたいと考えております。
次に、公共交通施策についてでございます。
公共交通は、市民の日常生活を支え、地域の活力を維持するための重要な基盤の一つであると考えております。本市では、そうした認識のもと、せんだい都市交通プランに基づき、定時性、速達性にすぐれた鉄道にバスが結節する交通体系の構築を推進するとともに、いわゆる地域交通によるきめ細かな交通の確保を目指し、地域の皆様とともに取り組んでまいりました。
今後、人口減少や高齢化が進展し、バス事業を取り巻く環境が厳しさを増す中にあっても、鉄道と路線バスを中心とする交通体系のあり方に変わりはないものと考えております。
一方、地域、交通事業者、行政の適切な役割分担のもとでの地域交通の取り組みの重要性はより増していくものと考えており、新年度には地域交通確保に向けた実証実験費用の助成などを行ってまいりたいと考えております。
今後の長期的な交通施策のあり方につきましては、次期都市交通プランの策定も見据えつつ、パーソントリップ調査の結果なども踏まえながら、市民生活をしっかりと支えていけるよう検討してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◯教育長(大越裕光)
私からは、教育現場等の人員体制などについてのお尋ねにお答えいたします。
子供たちを取り巻く環境が複雑化する中、いじめ、不登校を初め多様な課題を解決していくためには、教員のみならず専門職も含めて体制を強化することが必要でございます。それぞれの専門性を生かしていくことで、組織としての対応力の向上、さらには教員の多忙化解消にもつながるものと考えております。
こうしたことから、新年度、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど専門職の配置拡充も含め、体制強化を図ることとしたところでございます。
今後も、質の高い人材確保という視点を持ち、適切な勤務条件としながら、現在の組織を基本としつつ、各現場において子供たち一人一人の状況に合わせた対応ができる体制づくりに引き続き取り組んでまいりたいと存じす。
以上でございます。
──再質問──
◯花木則彰議員
今回、私は、市長の施政方針は全体として市民から歓迎されているものだというふうに受けとめて、だからこそ、その方針に沿ってもっと前に進めてほしいということについて質疑をさせていただきました。御答弁いろいろありまして、いいのもあれば、全くこれまでと変わらないというものもあってがっかりした部分もあるんですが、しかし、以下3点については再質問せざるを得ないと思って立ちました。
まず、市立保育所の廃止民営化の凍結を求めた件です。
前の市政と同じ答弁の繰り返しなんですね。この間いかに行き詰まってきているのかということを、具体的な問題を指摘をして私質問をいたしました。また、待機児童解消の取り組み、これから3年間で2300人分の受け皿をつくるんだという計画との矛盾も明らかにいたしました。また、今御答弁でもあったように、建てかえの必要はあるんだと。建てかえる際に、限られた予算を有効に使うためにといって、民間の活力、民営化するんだというのは、結局、本当の節約にもなっているか疑わしい予算の節約のために子供たちを犠牲にする、そういう方針だと。実態としてはそうなっているんですね。
ですから、市長が言われる切れ目のない子育て支援を進めるという施政方針に沿って、新たな判断をすべきだと。公立保育所の廃止民営化は一旦凍結することについて、ぜひ検討して決断をしてほしいということを市長に求めたいと思います。ぜひ御答弁をお願いします。
また、学都仙台フリーパスについても、質問に答えていないと思うんですね。
交通局の経営施策のままでは、これでは要望に応えられないというのはだから明確になっているんですよ。そこを変えなければ応えられないんだと。値上げなど後退させる結果となることもわかったということですので、市の施策、まちづくり政策局の施策とすべきだということを問いかけたんですけれども、いろいろ難しいみたいな話だけで、考えるのか考えないのか、そこら辺もはっきりしないということですので、ぜひこれは再度答弁していただきたい。
また、一番やはり大きいのが、準要保護世帯の子供たちへの入学準備金など市が独自に行ってきている現金給付型の支援の廃止の問題です。
市長は、このことについて、子供の貧困対策全体として一生懸命進めるんだと、だから、限られた予算もあって、優先しなければならないものもあるんだというふうに言っています。施策の目的がどうなのかということが問われるんだというお話でしたけれども、例えば入学援助金、これについては就学援助がふえた分よりも大きな減額をしているんです。ですから、前よりも、就学援助の入学援助金が上がるその前よりもさらに下がっちゃうということなんですね。
子供たちにとっては、2年間、両方合わせて、市の独自分と合わせてもらえているわけですけれども、じゃあ再来年の入学の方は、市の出していた分丸々2万7000円、中学校でいえば減ってしまうと。これでは、中学生の入学に必要な例えば制服代だとか、そういうのにも就学援助の入学金だけでは足らないんですから、やはりぜひここは考え直していただく必要があると思います。
中でも、修学旅行に対する支援金をなぜ削る必要があるんだろうかと。これは目的からいえば、当然ですけれども、修学旅行にみんなが行けるようにということで出されているんだと思うんですね。実際、子供の貧困というのはなかなか見えにくい、子供たちにとってはそれを隠す方向で当然いるわけで、そこが難しさの一つでもありますが、しかし、修学旅行にあの子は行けないということになるというのは、もう誰から見てもそこのうちは貧困なんだということがわかる、そういう大変子供にとってはつらい出来事なんです。ですから、もっとこの分野で支援を充実すべき、そういう課題なんだと私は思います。
しかし、そこで、なぜこんな急な提案で支援の廃止を決めるのかと。もう5月、6月には子供たちの修学旅行は始まるわけですから、こういう子供たちにつらい思いをさせていいのかということだと思うんです。市民の願いと期待という方向、そして市長自身の施政方針という方向から見て、これはやはり再度考え直していただきたいというふうに思います。
以上、再質問いたします。
◯市長(郡和子)
先ほども御答弁させていただきました。このまちの未来を担う子供たちを取り巻く環境づくり、中でも子供の貧困対策については、議員御指摘のとおり大変重要な課題であるというふうに認識をしておりまして、この間検討を重ねてきたところでございます。
一方で、予算を編成するに当たりましては、財源に限りがあるのもこれ事実でございます。そうしたことから、いろいろ既存の事業のあり方も含めて検証し、より必要性の高い施策に財源を充てていく、子供の貧困対策全体として充実を図ったというのが今回の御提案でございます。
その上で、今いただいた御指摘、再来年度でございますので、それまでにつきましては、時間もございますので、丁寧な説明をしていくということが重要であろうというふうに思っているところでございます。
修学旅行の援助金につきましては、確かに説明の時期というのもいとまがないというふうな御指摘だとすれば、その指摘はそのとおりであるかもしれません。ただ、私自身、本当にこれ悩ましいところですけれども、全体としてこのようにさせていただきたいと思ったところでございまして、何とぞ御理解賜りますようにお願い申し上げます。
◯副市長(藤本章)
市長がお答えしました以外の二点について御答弁申し上げます。
まず、公立保育所の民営化の凍結という御指摘でございますが、これは、平成19年度に現在の公立保育所の民営化について一つ方針を定めさせていただきました。この時点では、ある程度老朽化した保育所を建てかえるという、どちらかというとそういう方針のもとに進めてまいったわけでございますが、その後の保育事情等を考えましたときに、やはり仙台市としても一定の責任をある形で対応しなければいけないということの中で、22カ所について、御質問にもございましたけれども、22カ所については公立の保育所として維持しようということで進めてきたところでございます。
その間、東日本大震災の関係で中山保育所と南光台北保育所の扱いはございましたが、現時点では、やはり老朽化した保育所については、民間の力をいただきながら改修、建てかえを進めるという基本でまいりたいというふうに思っております。
あと、学都フリーパスにつきましては、御質問には、2400万円ということで、交通事業が持つ部分を一般会計で持てばいいでしょうという御指摘でございましたけれども、やはりこれは、現時点では、交通事業の厳しい経営状況の中での対応の一環として、このテーマを、学都フリーパスについて値上げをさせていただきたいということで、交通局のほうでも説明を丁寧にさせていただいてきたというふうに思っておりますので、現時点におきましてはこの方針を是とする中で私どもとしては対応してまいりたいというふうに考えております。
◯花木則彰議員
市長と副市長と答えていただきました。
やっぱりこの問題はしっかりと議論しなければいけないと、この議会中においても引き続き議論しなければいけない課題だと思います。
その中でも、しかし、ここでと思っているのは、例えば修学旅行の援助でかかっているお金というのは、年間、今年度の予算でいえば800万円ぐらいなんですよ、実際問題。先ほどから市長が言われているように、限られた財源で、ほかの子供の貧困問題でたくさんお金を使ったから、これを減らさなければどうしようもないという額では全くない、そういうことなんです。
問題は、考え方として、これまでの市政が進めてきた現金給付型の支給をできるだけ減らしたいということが私たちは背景にあるんじゃないかと思っているんですね。こういう貧困対策については、やはり現金給付による直接支援も必要なんだと。だからこそ、国も就学援助金の入学準備金の増額なんかをやっているんだと思うんですね。ここの認識は、ぜひこれは一致をしていただきたいと。
その上で、限られた財源の中でどういうふうにすべきなのかと。どういう目的の際には直接給付なのか、どういう目的のときには費用がかからないようにする方策なのか、いろんな方策を一つずつやはりしっかりと検討していくということについては、これからこの議会の中でも議論したいと思うんですが、最低限そこだけ、ぜひ、市長として現金給付は絶対だめというようなことを思っているわけでないという認識については確認をさせていただきたいと思います。
◯市長(郡和子)
再々度のお尋ねでございます。お答えいたしますが、もちろん現金給付がだめだということを必ずしも申し上げているつもりはございませんけれども、子供の貧困対策全体として考えた上でどのようにしたいかということが、今回実はお示しをさせていただいたところでございますので、どうぞ御理解賜りますようにお願い申し上げます。