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質疑 ふるくぼ和子議員(11月25日)

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質問・答弁を動画で視聴できます。

◯ふるくぼ和子議員

日本共産党仙台市議団のふるくぼ和子です。本臨時会に提案をされている議案のうち、第122号議案 職員の給与に関する条例の一部を改正する条例について質疑いたします。
本議案は、地方公務員法の規定に基づき、人事委員会による「職員の給与等に関する報告及び勧告」を受け、期末・勤勉手当を4.45月から4.30月に、0.15倍を減額する提案です。これにより12月に支給される市職員のボーナスは、職員平均一人あたり5万7000円の減額が行われることになります。
この給与勧告については、公務労働者が労働基本権の制約を受けていることから、その代償措置として行われ、適正な給与を確保する機能を有しているとされています。そのため、毎年人事院と宮城県の人事委員会等と共同で「職種別民間給与実態調査」を行っています。
人事委員会事務局に今年の調査の詳細について伺ったところ、本年4月で調査対象となる事業所は562事業所で、そこから事業所規模や産業・業種によって157事業所を無作為抽出したとのことです。また、157事業所で働く調査職種該当者が2万6581人いるうち、調査実人員は5855人ということです。
仙台市統計書(令和2年版)によると、50人以上の事業所は1686事業所、従業員数は21万8070人です。
調査対象とした事業所は、公務労働にも様々な業種があることから、これまでの見直しで「農業、林業」「宿泊業、飲食サービス業」なども加えて全ての産業へ拡大してきましたが、全産業18業種すべての調査が行えたのか、伺います。
また、調査した人員が50人以上の事業所で働く全従業員数全体の2.5%程度ということでは実態が正確に把握できたといえるのか疑問ですが、いかがでしょうか。あわせて伺います。

そもそも「民間準拠」という考え方にとらわれていること自体が問題です。
昨年度、人事委員会の勧告を受けて行われた月例給と期末・勤勉手当の減額が行われた際、民間準拠が基本としながら人事委員会委員長は「公民較差が生じた場合に、勧告を行うか否かの具体的な基準はございません」と本会議で答弁し、いったい民間格差がいくらから正す必要があるのか、月例給にはその基準はないとのことでした。
今回の勧告では月例給について、民間の給与が職員の給与より0.03% 95円下回っていますが、「公民較差が極めて小さい」との見解で明確な基準がないことから、改定を見送ることにしています。
一方、期末・勤勉手当については、0.05月単位で支給するという基準があるため、民間と市職員との較差は0.14月ですが、この格差より大きい0.15月を減額する提案となっています。
私たち日本共産党は、民間準拠だといって公務労働者の給与を引き下げることは、更なる民間給与の引き下げを招き、結局労働者全体の賃金引き下げにつながり、負のスパイラルに陥るものだと繰り返し指摘してきました。このことについて、いかがお考えでしょうか。
また民間準拠と言いながら、民間よりも低いボーナス基準とすることが妥当だとは思えませんが、この点についても伺います。

本市で今回の人事委員会勧告どおりに期末・勤勉手当の減額が実施された場合、12月に支給されるボーナスが最低額で一人約2万4000円程度、最高額では約12万円の減額となり、その影響額は総額で8億5800万円にも上ります。
先日10日に私たち市議団では「原油高騰により大きく影響を受ける市民生活と事業者を支える施策を緊急に講じるよう求める要望書」を提出し、申し入れを行いましたが、燃油の高騰やこの秋から相次いで実施されている食品の物価の上昇が、市民の実質生活水準を低下させています。このことが消費活動の低下を招き、ひいては地域の経済に大きな打撃を広げることにつながっていきます。
ところが今回の提案は、期末・勤勉手当が減額となる市職員1万1115人分、最大8億5800万円も消費として出回る額を減らしてしまう可能性があるものです。しかも影響はそれだけにとどまるものではありません。仙台市の会計年度任用職員においては、すでに昨年の給与の引き下げ分が今年度に実施されており、今回改定されれば、その分は来年度に影響していくとのことです。さらにコロナ禍で相当な負荷がかかっている外郭団体の給与にも当然影響を与えることになりますので、官製ワーキングプアの解決にならないばかりか、地域経済に与える影響は想定以上に広がりかねません。
年末商戦に向けて「外食は控える」「お歳暮の単価を下げる」「年末の準備の経費を削る」「子どもへのクリスマスプレゼントも購入額を下げる」といった消費抑制行動が生まれることになれば、その与える影響は波及効果まで含め、ますます地域経済を冷え込ませることになってしまいます。
仙台市全体の経済に関わる重大な問題です。民間で働く人の所得が減り、市の職員の所得も減るということが、とりわけコロナ禍の中で落ち込んでいる地域経済に与える影響をどう考えているのでしょうか。深刻な影響を与えているとはお考えにならないでしょうか。伺います。

なによりこの間、仙台市が地方自治体の責務を遂行する上で、市職員の皆さんの働きがこれまで以上に重要な役割を果たしていることをしっかりと評価をすべきです。
新型コロナの対応では、文字通り全庁あげて感染拡大防止対策にあたってきました。これまで経験したことのない規模を対象としたワクチン接種についても、医師会との連携や確実な冷凍保管と接種場所への配布など、円滑な供給と接種の推進のための仕組みづくりなど、難しい課題に取り組んできました。国のワクチン供給が滞ったことで、人口の多い仙台市は多大な影響を受けましたが、計画の立て直しを余儀なくされても迅速に対応し、全国的に見ても本市の接種率をおよそ85%という高い水準にまで引き上げたのは、一人一人の市の職員の働きがあってこそです。
また、新型コロナによる時短営業などで苦しむ市内事業者に対し、地域経済を支える事業所が立ち行かなくなってはいけないと、国の制度に市独自の制度を創設し、周知徹底するための窓口を作るだけにとどまらず、事業所の相談にのり、申請の支援を行ってきたのは市の職員の知恵と働きによるものです。
先に行われた総選挙と知事選についても、突然の日程確定に短期間での事務を余儀なくされました。しかし超過勤務を繰り返してでも対応し、投開票日から連続して月曜日の通常業務まで36時間の連続勤務になっても、投票された一票の果てまで明確にし、選挙の公平性を守るための働きをするのは市の職員です。
こうした事を行いながら、さらに秋口には台風シーズンに備えて、何かあれば直ちに対応することを並行して考え、その体制についても準備を整えておくなど、災害対応も常に念頭において業務にあたるのが公務労働者の使命です。
「公務と類似すると認められる職務」と言いますが、これだけ多岐にわたって緊急の対応と正確さを求められる市職員の働きと類似している民間の業務があるとお考えでしょうか。伺います。

市民の命と健康、生業、そして権利を守り、民主主義を支える働きをする仕事が公務労働であり、市の職員です。もちろん、市民の命を守るためとしても、保健所職員の超過勤務が200時間を超えるなどという事態は本来のあるべき姿ではありませんし、そのために体や心を病んだり、職員の命が脅かされるようなことがあってはなりません。報告の中の「人事管理その他の勤務条件」にもあるように職員の命と健康がしっかりと守られることは言うまでもなく当然の事です。市長もそうお感じでいらっしゃると思いますが、いかがでしょうか。市職員の評価と公務労働の尊さについても、ご認識を伺います。

今年度に発効した「さあ、明日の仙台をむかえにいこう」という市職員募集のパンフレットには、大勢の職員が職種ごとに登場しています。仕事の魅力について「替えがきかない公的なサービスを提供数る立場上、市民から向けられる視線は民間企業よりも厳しくなります。だからこそ市民に納得してもらえるような提案を考え、周囲と協力しながら一つ一つ課題を解決していくことにやりがいを感じます」という方や「生活保護を受けている方の生活全般の相談や支援にたずさわるため、多くの知識や幅広いスキルが求められますが、その分だけ自身の成長を身をもって感じられるところが魅力だと思います。職員がどのような対応や働きかけをすれば、相手の方から信頼され、その方がより良い生活を送ることができるかという考えに基づき、市民の方の視点に立って行動することを大切にしています」など、それぞれの思いが語られています。
災害が起きた時でも、今回の新型コロナという、かつてない対応についても、市民のためにと大きな志で働く市職員のみなさんは本当に尊いものです。民間の事業所で働く皆さんを励まし、市民全体の給与水準を引き上げていくためにも市職員の給与の引き下げは行うべきではなく、今回の期末・勤勉手当の引き下げはやめるべきです。最後にこのことを求め、伺って私の第一問と致します。

◯市長(郡和子)

ただいまのふるくぼ和子議員のご質問にお答えを申し上げます。
本市職員の期末手当引き下げに係る一連のご質問にお答えを申し上げます。
まず、本市職員に対する私の評価と職員の給与改定についてでございます。
今般、感染が一定程度収束に向かいましたのは、何よりも厳しい状況の中で市民や事業者の皆様のご協力やご努力があってこそのものと認識をしておりますが、本市もよるべき前例のない中で、それぞれの職場において使命感を持って精力的に業務にあたってきたものと評価をしております。
一方、今回の条例改正案は人事委員会勧告を踏まえ、民間給与との較差を速やかに解消すべく提案をしたものでございまして、法律の趣旨にのっとり、かつ、本市の実情に沿った対応と考えております。
職員の期末手当を引き下げることによる地域経済の影響につきましては、全く影響がないとまでは言えないと存じますが、先般、国からもコロナ克服・新時代開拓のための経済対策が発表されたところでございまして、こうした動きを十分にふまえながら、本市としても様々な対策を講じてまいりたいと存じます。

◯人事委員会委員長(中塚正志)

私からは五点のお尋ねにお答え申し上げます。
まず、職種別民間給与実態調査を実施した産業についてでございます。
職種別民間給与実態調査は、常勤の従業員で見て企業規模50人以上で、かつ、事業所規模50人以上の市内の民間事業所を対象としております。
本年のおきましては、農業、林業をはじめとした3業種につきましては、要件を満たす民間事業所が市内に存在しないことから、残る15業種について調査を行ったところでございます。

次に実態の把握についてでございます。
職種別民間給与実態調査につきましては、対象事業者の負担等を考慮したうえで精緻な調査を行う観点から、全国統一の制度設計の下で行われている調査でございます。
対象事業所の抽出にあたりましては、人事院において企業規模や産業等の偏りのないように統計的手法に基づき、企業規模によりグループ化した上で無作為に抽出し、全体の状況を推計する方法が取られているところでありまして、適切に実態把握できているものと認識いたしております。

次に民間給与への影響についてでございます。
給与勧告制度は、職員が労働基本権の制約を受けていることの代償措置として、地方公務員法に基づき、民間準拠を基本として社会一般の情勢に適応した適正な職員給与を確保することをその目的といたしております。
したがいまして、民間給与との較差が生じた際には、適切に勧告にその内容を反映させることが、人事委員会の役割であると考えております。

次に、期末・勤勉手当の改定にあたり、民間の支給割合の変動を反映させる際に給与制度の安定性にも配慮して、改定の最小単位を0.05月としているところでございます。国においては本年も0.13月の公民較差を解消するため、0.15月の引下げの勧告がなされたところでございます。
本委員会におきましても、人事院および他都市の人事委員会と同様に、引上げ、引下げいずれの場合についても、0.05月単位で改定を行うよう勧告しているものであり、適切であると認識しております。

次に、公務と類似すると認められる職務についてでございます。
職種別民間給与実態調査におきましては、公務に類似する職務として、民間の事務、技術関係職種を中心に従業員の役職段階等の職務に着目し、その給与実態を比較しているものです。
なお、公務員の職務内容は極めて多岐にわたりますことなどから、調査対象産業を平成25年に「農業・林業」「宿泊業・飲食サービス業」等を加えた全産業に拡大し、より幅広い職務の給与実態を調査することにより、調査の正確性、信頼性を確保しているところです。

◯ふるくぼ和子議員

人事委員会が勧告を行うにあたって実施しました実態調査についてですけれど、そこについてはご答弁では適切に実態把握はできている認識として示されました。
しかし、対象157事業所ということで申し上げましたが、実際に調査をされたのは136事業所ということで18業種あるんだということであったとしても、1業種当たり7事業所程度というぐらいのものになります。あくまでこの7事業所というのも平均的な考え方ですから、実際にこうした平均的な業種別の調査が行われたかどうかという事についてははっきりはしない。そして、その18業種、そうはいってもすべてで調査できたかということについても、ただいま15業種にとどまっているということでした。
さらに期末・勤勉手当についても、昨年の8月から今年の7月までに支給された賞与が調査対象という関係になっていますので、これがどれだけ今回に正確な反映になっていくのかということについても、私はよくわからないな、というふうに思っています。
こうした調査結果をもって、これだけの較差があるといって断言するには私は根拠が薄いというふうに思いますし、市職員の期末・勤勉手当を減額するという説得力についても大変乏しいものではないかというふうに思っています。
一方、市職員のこの間の働きについては、第一問で私も、コロナのことや選挙のこと、地域経済、災害対応と、本当に細かく紹介はさせていただきましたけれども、市長もご答弁の中で公務労働としての役割については当然認めていらっしゃる、市職員の動きについて頑張ってくれたんだという旨の評価もあったというふうに受け止めました。であれば、この正当な評価に対する正当な給与を保障するということを大事にしよう、こういう想いというのはないんでしょうかと。コロナ禍の中で、2年も連続して引き下げるべきでは、そういう意味ではないのではないというふうに思いますので、もう一度お考えをいただきたいと思います。

◯人事委員会委員長(中塚正志)

まず、職種別民間給与実態調査につきましては、民間との給与比較にあたりまして、役職、学歴、年齢が同じ型の給与月額等を職員と精緻に比較を行っているところです。
そのために、単に50人以上の事業所を調査対象とするのではなく、同じ役職等を比較することが可能な常勤の従業員で見て、企業規模50人以上で、かつ事業所規模50人以上の市内企業562社の事業所を対象として、そこから157事業所を抽出して、調査を行ったものでありまして、適切に実態を反映されているものと考えております。

◯ふるくぼ和子議員

いや、伺ったのは調査についての再度の説明をしていただきたいということではなくて、そういうものとして本当に信ぴょう性があるのかというか、根拠があるのか、薄いのではないかと、説得力も大変乏しいのではないかということをお示しさせていただいて、一方、市の職員の働きについてはきちっと評価をされているとすれば、こうした正当な評価に対する正当な給与を保障することを大事にしようというふうには思いませんか。コロナの中で2年も連続して引き下げる、こういうことはすべきではないと思いますが、いかがですかと、このことについてお答えをいただきたいと思います。

◯市長(郡和子)

今回の人事委員会勧告、今どのように調査を行っているか詳細についても触れていただきました。やはり民間給与との較差を速やかに解消すべきだということ、これは法の趣旨にのっとっているわけでございまして、そういう意味からも、職員は大変頑張ったわけではありますけれども、ぜひこの公民較差というのを是正すべく、今回は本市の実情に沿ったご提案だというふうに捉えてうるところでございます。

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