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一般質問 高村直也議員(12月10日)


【概要】
◯流域治水関連法の施行を受けての水害対策
◯旧笊川とその調整池の土砂撤去と草木の伐採
◯被害の実態にあった補償を
◯本市の温室効果ガス削減目標(2030年度)の引き上げを
◯断熱リフォームへの助成拡充で省エネと地域経済回復
◯石炭火力発電所の廃止





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質問・答弁を動画で視聴できます。




◯高村直也議員

日本共産党の高村直也です。気候危機への対策として、水害対策と温室効果ガス排出量の削減にかかわって一般質問します。

今年11月1日に流域治水関連法および関係する政令、省令のすべてが施工されました。あらためて水害対策を推進する時です。
流域治水の考え方については、昨年7月に発表された社会資本整備審議会の答申に示されています。
流域治水とは、流域にいるすべての主体が協力して「①氾濫をできるだけ防ぐ・減らす対策、②被害対象を減少させるための対策、③被害の軽減、早期復旧・復興のための対策、までを多層的に取り組む」こととされています。これまでにない総合的な対策となることが特徴です。
流域治水への転換が行われた背景には、近年の甚大な水害の増加があります。答申では、気候変動の影響について21世紀末に平均気温が4℃上昇した場合、20世紀末と比べ降雨量が約1.3倍、治水計画の目標となる洪水の流量は約1.4倍、洪水の発生頻度は約4倍になると指摘しています。これまでの予測は過去の水害に基づいて確立を計算するものでしたが、今後は気候変動によって起こりうる水害を想定することが基本となります。2017年には水害に対する意識を「施設整備による洪水の発生を防止するもの」から「施設では防ぎきれない大洪水は発生するもの」へと転換するとされました。
これからは気候変動によって、堤防などでは防ぎきれない洪水は発生するものという認識を持つと同時に、ハードからソフトまで住民目線できめ細やかな対策がいっそう重要になると考えますが、ご認識を伺います。

名取川水系旧笊川(きゅうざるがわ)および谷地堀(やちぼり)周辺の北目町地区および郡山南地区では1986年の8.5豪雨、89年7月の台風、90年9月の水害、94年の台風26号、2015年の関東・東北豪雨と床上浸水を伴う水害が繰り返されてきました。令和元年東日本台風では同地域で床上浸水が129件発生し、浸水深が最大約1.5mにもなりました。
このままでは地域から住民がいなくなってしまうと、逆流を防ぐために旧笊川樋門を閉じてしまった場合でも名取川に水を流すことができる、排水機場の設置を求めて署名運動が行われました。要望を受けて排水機場の設備が宮城県の今年度予算に盛り込まれ、住民の皆さんは大いに歓迎しています。計画では排水機場の能力が毎秒9㎥、25mプールの水を約50秒で吸い上げることができるもので、2026年度の稼働を予定しています。
一方、排水機場が稼働すれば深刻な水害の心配が完全になくなるわけではありません。排水機場の能力は、関東・東北豪雨と同様の降雨において床上浸水をゼロとすることを基準としたもので、東日本台風と同様の豪雨に見舞われた場合、床上浸水をゼロにできないとのことです。
せっかく排水機場を整備するのでしたら、今後の降雨量の増加も考慮し、東日本台風と同様の大雨の際に、床上浸水をゼロにできる排水能力に高めるよう、県に求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

北目町、郡山南地区で、関東・東北豪雨と同様の降雨において、床上浸水をゼロにできるとする県のシミュレーションは旧笊川の配水能力が施工当初から何ら損なわれていないという前提で行われています。
実際には河床に大量の土砂が堆積し、草木が生い茂っており、排水能力の低下が懸念されます。地元住民の方からは「20年ほど前には、天然の鮎が遡上(そじょう)し、釣りもできたが今では様変わりしている」とお話を聞いています。
また旧笊川の調整池は、東日本台風後に除草と支障木の伐採が行われましたが、1999年に完成して以来、一度も土砂の撤去が行われていません。
このような状況では、旧笊川の排水能力を十分に発揮することができないと考えられますが、ご認識を伺います。

また、生い茂った草のつるが旧笊川護岸のコンクリートに穴をあけてしまうとの懸念の声もあります。ただちに旧笊川河床および調整池の土砂撤去と草木の伐採を進めるよう県に求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

名取川水系流域治水プロジェクトの一環として本市も、郡山ポンプ場の増強、谷地堀回収を進める予定です。建設中の諏訪ポンプ場と合わせて郡山8丁目の深刻な内水被害への対策を求める声にこたえるものでもあり、評価いたします。これら施設の排水能力は10年確率降雨にあたる1時間あたり52㎜の降雨に対して、床下浸水をゼロにするものとされています。この基準のもとに進めてきた本市の雨水排水施設設備率は2014年度末で33.5%でしたが、それから7年が経過した今も36%にしかなっていません。
福岡市では、浸水被害の影響が大きい天神周辺地区で第1期として10年確率降雨にあたる1時間あたり59.1㎜に対応した施設整備の早期完了を目指すとともに、その後は第2期として1時間あたり79.5㎜に対応した施設の整備に着手するとしています。
本市でも10年確率降雨に対応する施設整備のペースをあげるとともに、少なくとも東日本台風に相当する1時間あたり63㎜の降雨に対応する施設整備に発展させるべきではないでしょうか。伺います。

水害から市民を守るためには、安全に避難できる環境を整えることが求められます。大雨で水かさが増えた状態では、ただでさえ避難をすることが困難になりますが、その際水路と道路の境界線を目視することが困難になります。
岡山市では農業用水路に転落する事故が多発してきたため、今年3月までに危険個所2507件の75%にあたる1904ヶ所で転落防止策や夜間反射材を設置するなどの対策を講じてきました。
東中田6丁目などでは、これまで農地だった土地に子育て世代が新たに家を建て、柵のない農業用水路の近くを子どもが通行するため、水路に柵を設置してほしいとの要望を聞いています。
本市内でも、柵のない危険な水路がどこに何ヶ所あるかを調査するとともに、柵の設置を進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。

対策を講じたうえで、それでも発生する被害には支援が必要です。流域治水では、洪水を「防止するもの」から「発生するもの」という意識の転換を進めるとされています。被害を防ぐことが難しくなったことを認めるものと言えますが、これは温室効果ガスの排出によってもたらされたのであり、その意味で人災と言えます。
世界では、気候変動による影響を人権侵害ととらえる気候正義の考え方が拡がり、国や企業に対する訴訟も行われています。
旧笊川樋門周辺の地域では、東日本台風で床上浸水した住宅の修繕や家財の買い替えに何百万円もかかったが、罹災判定では❝一部損壊 10%未満❞となり、応急修理制度も使えず、災害見舞金の数万円を受け取れただけだと、お話を伺っています。
被害の実態に見合った罹災判定と支援をあらためて国に強く求めるとともに、市独自の支援策も充実すべきと考えますが、いかがでしょうか。

続いて、温室効果ガスの排出量の削減にかかわってお聞きします。
今年10月に第6次エネルギー基本計画が閣議決定されました。この計画には気候危機への対応とともに「エネルギー需給構造の抱える課題の克服」という視点があります。
今LNG(液化天然ガス)や原油が高騰し、今後も続くことが懸念されています。日本は化石燃料を輸入に頼るなかで、再エネと省エネによってエネルギー自給率を高めることが求められます。
脱炭素に向けた取り組みは、温室効果ガス排出量の削減と同時にエネルギーの安定供給につながり持続可能な社会を目指すうえで、これまで以上に重要になっていると考えますが、市長のご所見を伺います。

政府は今年4月に温室効果ガス削減の目標を引き上げ、2030年度に2013年度比46%削減することとしました。一方、世界の先進国は2030年までの目標についてEUが1990年比55%減、イギリスが68%以上減、アメリカが2005年比50から52%減など、高い目標を掲げています。またIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が発表した地球全体で達成すべき目標は2010年比45%ですが、日本の目標が2010年比に直すと42%であり、不十分です。
本市は現在、市としての目標を以前の国の目標に9ポイント上積みして設定しているわけですから、今度は2013年度比55%以上の目標を以上の目標を掲げるべきと考えますが、いかがでしょうか。

高井目標を着実に達成していくためには、客観的な数値目標や評価指標を設定し、進捗状況等を評価し、効果を検証することが求められます。
例えば、郡山市は2030年度までに新築住宅について、建築物省エネ法の基準適合率を100%、公用車における次世代自動車の割合を70%、消費電力の省エネ率を30%電力に占める再生エネの割合を50%とすることなど、18項目の数値目標を定めています。本市の数値目標は温室効果ガス排出量のみですが、今後取り組みの要となる分野では適切な数値目標を定めてはいかがでしょうか。
また、そのことによって本市の取り組みや進捗状況が市民目線からも明らかとなるように「見える化」をはかってはいかがでしょうか。

国内の環境団体やシンクタンクが示している2030年までのシナリオではエネルギー消費量を20~40%減らし、再生可能エネルギーで電力の40~50%程度をまかなえば、CO2を50~60%程度削減できるという点で一致しています。再エネと省エネをバランスよく進めることが重要です。省エネにはたくさんのメリットがあり、仕組みもシンプルで批判にさらされるといったこともありません。
省エネというと文字通りエネルギーの需要を冷え込ませ、その分だけ国内総生産、GDPを減少させるのではないかと思われるかもしれませんが、自然エネルギー財団が昨年12月におこなった試算によるとEUでは1990年比でエネルギー消費量がマイナス4%であるのに対し、GDPがプラス63%となっています。省エネは経済成長とも矛盾しません。
本市の地球温暖化対策における省エネの位置付けについて、伺います。

横浜市は省エネ住宅を導入する6つのメリットとして「100万円の断熱工事費が16年で回収できる」「家のどこにいても快適になる」「ヒートショックから体を守る」など経済性、快適性、健康増進の効果をパンフレットで紹介しています。
こうしたメリットへの認識から、市民・事業者の皆さんが自ら進んで省エネを選択すること、「我慢を強いる」ものではなく「暮らしを豊かにする」ものとして広がっていくことは省エネを推進するうえで重要だと考えますが、ご認識を伺います。

省エネの中でも短期間にたくさん実施でき、地域に仕事と雇用を生み出す点で優れているのが、断熱にかかわる建築物のリフォームです。
リフォームへの助成制度は地域経済活性化のための施策として、すでに各地の自治体で取り組まれています。
本市では断熱リフォームへの助成する「Let,s熱活」補助金がありますが、この補助金については今年の第1回定例会の予算特別委員会で指摘したように、昨年度には3000万円だった予算が今年度には2500万円に減らされてしまいました。そうした中で今年度は4月1日に募集が始まってから約5か月間、前年度よりも約3か月も早く予算の上限に達してしまい、受付が締め切られています。実績も昨年度より58件少ない300件にとどまっています。
またこの補助金の対象は、最も熱の出入りが多い「窓」だけに限られていますが、横浜市では「窓」だけでなく、玄関ドア、床、外壁、浴室などを対象にした「エコリノベーション補助制度」を設けています。窓以外にも、例えば底冷えを防ぐ「床」への断熱リフォームは有効な対策です。
窓だけでもニーズが高いことは明らかなのですから予算を抜本的に増やすとともに、市民がより断熱リフォームに積極的に取り組めるよう対象を窓以外にも広げるよう求めますが、いかがでしょうか。

先日閉幕した気候変動枠組み条約、第26回締約国会議 COP26では、日本がアンモニアや水素の混焼により石炭火力発電を存続することを表明し、化石賞を受賞することとなりました。
アンモニアや水素は燃焼時にCO2は排出されませんが、主に化石燃料から製造されており、その過程でCO2を排出しています。このため石炭火力発電に20%のアンモニアを入れたとしても4%しかCO2の削減にならないという試算が環境団体から示されています。
アンモニア混焼の計画として持ち上がっている長崎県の「ジェネシス松島」は、老朽化した非効率的な石炭火力発電所を用いたもので、政府がフェードアウトを目指すとした非効率な石炭火力発電所を延命するものにほかなりません。
延命の余地を残さないためにも、本市は仙台パワーステーションをはじめとした非効率な石炭火力発電所をいち早くきっぱり廃止にする方針を示すよう、国に求めてはいかがでしょうか。
最後に伺って第一問といたします。





◯市長(郡和子)

ただいまの高村直也議員の御質問にお答え申し上げます。
脱炭素に向けた取組とエネルギーの安定供給についてお答え申し上げます。
脱炭素社会の実現に向けましては、徹底した省エネを行った上で、再生可能エネルギーを最大限導入していくという基本的な考え方に基づきまして、温室効果ガスの排出削減を推進していくことが極めて重要であると認識をしております。
本市におきましては、杜の都環境プランにおいて、脱炭素型の建築物の普及促進や、エネルギーの地産地消を推進することとしており、こうした取組は国の新たなエネルギー基本計画と方向性を一にするものでございます。地域のエネルギー自給率の向上にもつながると、このように考えます。
今後とも、ゼロカーボンシティーを標榜する本市といたしまして、脱炭素都市の実現に向け、力を注いでまいります。
そのほかの御質問につきましては、関係の局長から御答弁を申し上げます。





◯危機管理局長(木村洋二)

私からは、浸水被害に対する支援策に関するお尋ねについてお答えいたします。
本市におきましては、令和元年の東日本台風に際し、本市独自の見舞金の対象を拡大し、また指定都市市長会を通じて被災者支援拡大等の要請を行うなど、被災された方々への支援の拡充を図ってまいりました。国におきましても、被災者生活再建支援金や住宅の応急修理の対象を拡大するなど、支援の拡充に向けた制度改正がなされてきたところでございます。
今後も、浸水被害等発生の際には、各種支援制度の周知に努めるなど、被災された方々の生活再建の支援に向け取り組んでまいります。





◯財政局長(高野一樹)

私からは、浸水被害に対する支援策に関する御質問のうち、罹災判定についてお答えいたします。
水害による建物被害の場合は、国の運用指針等におきまして、床や壁などの部位ごとの損傷割合を積み上げ、建物全体の被害実態を統一的な基準で測ることを基本としつつ、堤防決壊等の外力が作用して損傷が発生した場合には、浸水の深さによって判定も可能であることが示されております。
迅速に罹災判定を行い支援につなげていくことは重要でございまして、被害実態の適切な把握や認定基準の簡素化等につきまして、引き続き国に要望を行ってまいります。





◯環境局長(佐藤和美)

私からは、温室効果ガス排出量の削減に関する御質問のうち、市長がお答えした以外の御質問にお答えいたします。
 
初めに、温室効果ガス削減目標の見直しと新たな数値目標の設定等についてでございます。
杜の都環境プランで掲げる2030年度の目標は、国の改定前の地球温暖化対策計画に基づく施策に加えまして、本市独自の施策による削減量を積み上げることにより設定したものでございます。今般、国の目標が引き上げられたことを踏まえまして、今後、本市の中期目標の在り方についても検討してまいりたいと存じます。
また、新たな数値目標につきましては、地球温暖化対策推進法の改正によりまして、再生可能エネルギー導入目標などの設定が新たに義務づけられたことを踏まえまして、これらと併せ検討してまいりたいと考えております。
市民の皆様には、こうした目標やその進捗状況等について分かりやすくお伝えできるよう、今後とも工夫を重ねてまいりたいと考えております。
 
次に、本市の地球温暖化対策における省エネの位置づけや断熱リフォームについてでございます。
省エネの推進は、地球温暖化対策の重要な柱の一つと位置づけており、杜の都環境プランにおきましても、省エネに関する施策を数多く掲げているところでございます。
市民生活や事業活動における省エネは、光熱費の削減のほか、断熱による快適性の向上や健康増進といった様々なメリットがございます。こうした点を分かりやすくお示ししながら、本市の取組をPRしていくことが重要であると考えております。
住宅の断熱につきましては、これまでも地域の工務店の皆様にも御協力いただきながら、窓断熱の改修を促進してきたところでございます。今後、温室効果ガスの排出削減はもとより、健康面などの観点も含め、施策の在り方について検討してまいりたいと考えております。
 
最後に、非効率な石炭火力発電所の廃止に係る国への要望についてでございます。
国の新たなエネルギー基本計画において、石炭火力は安定供給性や経済性に優れているものの、今後、再生可能エネルギーを最大限導入する中で、電源構成における比率を低減させることとしており、本市として現段階で国への要望は考えていないところでございます。
なお、計画では、再生可能エネルギーなどが十分に導入される前の段階で、石炭火力など火力発電の抑制策を講じることは、電力の安定供給に支障が生じかねないともされておりまして、こうしたエネルギー政策は国の責任において適切に推進されるべきものと考えております。





◯経済局長(村上薫)

水害対策に関する御質問のうち、農業用水路の転落防止柵についてお答え申し上げます。
農業用水路の転落防止柵につきましては、職員が随時行っているパトロールにより把握した箇所や、土地改良区など各地域から御要望のあった箇所について、順次点検や修繕、新規の設置をしているところでございます。
なお、市内の農業用水路は、総延長約1800キロメートルに及んでおり、網羅的な把握が難しいところですが、各区や農業委員会とも連携して、パトロールや情報収集の体制を強化し、柵の設置が必要な箇所のさらなる把握に努め、柵や夜間反射材の設置を進めてまいりたいと存じます。





◯建設局長(千葉幸喜)

私からは、水害対策に関する数点の御質問にお答えいたします。
 
まず初めに、流域治水に関する認識についてでございます。
近年の気候変動によりまして、浸水被害が激甚化、頻発化している状況を踏まえますと、ハード整備だけでは対応し切れない水害は、今後も発生し得るものと考えてございます。
このため、河川整備などの治水対策を進めることはもとより、流域に関わる全ての関係者の協働による流域治水の取組が不可欠となってございます。こうした認識の下、本市といたしましても、国や県、住民の皆様とも連携を図りながら、地域の安全・安心につながるよう対策を進めてまいります。
 
次に、旧笊川排水機場の排水能力についてでございます。
宮城県が整備する排水機場は、その整備効果や経済性などを総合的に勘案し計画したものでありまして、これまでの浸水被害を大幅に軽減できる能力があるほか、本市が整備を進める谷地堀や、下水道からの流入も踏まえた能力を確保しているものでございます。
浸水対策につきましては、ハード整備の限界もありますことから、様々な主体の連携による多層的な流域治水の取組を進め、被害の軽減が図られるよう鋭意取り組んでまいります。
 
次に、旧笊川の維持管理についてでございます。
河川や調整池などの施設は、適切に維持管理を行うことにより、必要な機能が発揮されるものでございます。
旧笊川につきましては、河川管理者である宮城県において、河道や調整池の支障木の伐採や除草が適宜行われているところでございますが、引き続き、適切な維持管理につきまして県へ要請してまいりたいと存じます。
 
最後に、本市の雨水排水施設の整備と整備水準の見直しについてのお尋ねにお答えいたします。
本市では、令和元年東日本台風など、これまでの浸水被害の状況などを踏まえ、庁内横断的な組織である雨水対策委員会において、旧笊川周辺を含め、施設整備を重点的に進める地区を設定したところでございます。
これらの整備を進めることによりまして、10年確率降雨を超える大雨に対しても、一定の被害軽減が見込めますことから、現在の整備水準による施設整備を加速的に進めるとともに、段階的な対策やソフト対策も併せて実施し、市民の皆様の安全・安心を確保できるよう取り組んでまいりたいと考えております。





◯高村直也議員

二点再質問させていただきます。
 
一点目は、雨水排水施設の整備で、目標とする降雨量についてです。
今、御答弁ありましたけれども、10年確率降雨に対応する施設整備をこれからペースを上げていくという話でしたけれども、目標とする降雨量の引上げについてはお考えになっていないというふうな御答弁だったと思います。しかし、国交省の審議会の試算では、これからは産業革命前と比べて気温が四度上昇した場合、下水道計画が対象とする降雨量が約1.3倍になるとされています。もちろん温室効果ガスを削減する対策が第一義的に重要ですけれども、水害対策も同時並行で進めていくべきです。そして、気候変動による降雨量の増加を、今後はしっかりと想定していこうというのが流域治水の考え方でもあるわけです。
 目標とする降雨量を今のまま変えないとするのであれば、基準を超える大雨については、今後は床下浸水などを前提にしてしまうということになってしまうわけです。既に私たちは、東日本台風で施設整備の基準以上の大雨を経験しているわけですから、かつて本市が8.5豪雨を受けて目標とする降雨量を引き上げたように、今後は施設整備の目標の在り方についても検討すべきではないでしょうか。

2つ目に、Let‘s熱活!補助金の拡充についてです。
今年度は、予算が減らされたことで半年もたたないうちに予算の上限に達し、申請受付が締め切られてしまいました。事業者、住民の側にも、それだけニーズがあるということが明らかになったことだと思います。
本市の側から見ても、温室効果ガスを削減する有効な対策である上に、地域経済の活性化にも資するものです。今からでも補正を組んで再募集するということも含めて、この補助金自体の予算を増やし、対象を広げることを求めているので、もう一度伺います。





◯環境局長(佐藤和美)

再度のお尋ねにお答えいたしたいと思います。
 Let‘s熱活!補助金につきましては、平成二十九年度から導入いたしまして、これまで市民の皆様方に窓断熱を中心として、熱を利用した断熱に取り組んでいただき、結果として温室効果ガスの削減に寄与をしている事業でございます。
 今年度、減額をいたしましたが、これはLet‘s熱活!補助金が主に市民のCO2の削減策として展開しております。一方では、温室効果ガス削減アクションプログラムという、温室効果ガス排出量の六割を占める事業活動からの削減も同時に進めたいという思いから、それらにおいても予算を計上し、事業者及び市民の両方からの排出量を一体的に進めたいというふうに考えて、そのバランスも考慮しながら事業を現在進めておるところでございます。
 確かにおかげさまで制度は有効に活用いただいておりますので、さらにその対象の拡充も含めまして、検討してまいりたいというふうに考えております。





◯建設局長(千葉幸喜)

私からは、下水道、雨水排水施設の整備水準の見直しに関する再度のお尋ねにお答えいたします。
私たちといたしましても、水害で被害を受けられる方をゼロにしたいというような思いはございます。その辺は一緒でございますけれども、雨水施設の整備に関しては大きな事業費と長期の期間を要するということもございまして、まだ施設整備が半分まで届いていないというような現状もございます。
 こういった中で、整備水準を上げながら整備をするということは、浸水被害を軽減するスピードがなかなか遅くなるという部分もございます。そのため、現在設定しております10年確率降雨という設定につきましては、1986年の8.5豪雨の床上浸水被害、こちらが2400件ございましたけれども、今般の令和元年東日本台風での被害を床上浸水で1300件まで低減してきたという効果もございます。
我々としましては、仙台市全体での浸水被害の低減に向け、まずはこの10年確率降雨の施設整備をしっかりと進めて、浸水被害を低減してまいりたいというふうに考えております。


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