【概要】
〇ハラスメントの根絶へ
・パワハラ防止法など2020年施行。措置義務の周知・徹底を
・ハラスメントは人権侵害、重大なリスク
・沈黙の鎖を解く啓発活動
・ハラスメント禁止は世界の流れ。条例も活かして対応を
・NPO・ボランティアも対策を
〇高村直也議員
日本共産党の高村直也です。ハラスメント対策に関わって、一般質問します。
ハラスメントによって深刻な人権侵害がおきています。
精神障害による労災保険の支給は厚労省の発表によると、昨年度710件で4年間連続増加しています。うち、パワーハラスメントによるものが147件と最多です。このうち自殺者12件です。
また、厚労省が委託した2020年の調査によると労働者のうち、ハラスメントを3年間に一度以上経験した方の割合は、パワハラが31.4%、カスタマーハラスメントが15%、セクハラが10.2%とされています。10人いれば、何人かはハラスメントを受けたことがある、ということですから、どの職場でも他人事ではありません。
民間シンクタンクのパーソル総合研究所の調査と推計によると、国内で年間約87万人の方がハラスメントにより離職し、うち約57万人がハラスメントが原因であることを会社に伝えていない、とのことです。明るみに出ないハラスメントが多数存在していると考えられます。
意欲や目標をもって仕事に就いた方達が、そのことと直接関係なく心身の健康を害され、離職を余儀なくされることは理不尽です。ハラスメントの深刻さや対策の重要性について、市長の認識を伺います。
この数年間に、様々な仕組みが整備されました。2020年6月にパワハラ防止法、改正労働施策総合推進法が施行され、パワハラが初めて法的に定義されました。昨年には従業員10人以上のすべての事業所でパワハラ対策を就業規則に盛り込むことが義務化され、パワハラは懲戒処分の対象にもなっています。
同じく2020年に改正男女雇用機会均等法が施行されました。この法律では、性差別を禁止する規定とは別立てで、出張先などを含む〝職場における性的な言動〟に対し、事業主の措置義務などが定められました。配慮義務だったものが、トップの宣言や相談窓口の設置などの措置義務に強化されたものです。また被害者の性自認、性的指向に関わらずセクシャルハラスメントにあたることが厚労省の指針で規定されております。
ジェンダーハラスメントについては、性別役割分担意識に基づく言動をなくすことが、セクハラ防止に重要であると、この指針に規定をされています。
妊娠や出産に関わるマタニティハラスメントについては、すでに事業主による防止のための措置義務規定があります。
2020年には改正育児・介護休業法も施行され、育休取得などに対するケアハラスメントへの責務規定も強化されました。
しかし市民の皆さんと対話しますと、これらの法改定について知らない方が多く、ハラスメントに対する意識が浸透していないと感じます。とくにパワハラについては精神的な攻撃、過大な要求、個の侵害など、類型や事例も示されているわけですが、職場には何の変化もない、などと声を聴いています。
まずは現行法で定められている内容を広く知らせ、浸透させていくことが重要だと考えますが、ご認識を伺います。本市と直接かかわるのは職員の皆さんの労働環境です。
地方公務員たる本市職員にはパワハラ防止法などに加え「公務の職場はハラスメント対策の模範となるべき」として、人事院規則の内容についても取り組めるよう求める、昨年12月の総務省通達があります。
この通達で、パワハラ、セクハラ、ケアハラおよびマタハラについて、地方自治体への実況調査の結果が示されております。
本市は調査項目のすべてを措置済みとされましたが、明文での規定がない項目があると指摘されています。
とくにパワハラの再発防止については政令指定都市で唯一、明文の規定がない自治体とされています。
ハラスメントの再発防止については、加害者に対する再発防止研修の実施、組織内部での事例検証など、さまざまに大事な取り組みがあります。こうした具体的事例も示しつつ、少なくとも調査項目のすべてで明文の規定をハラスメント対策の要綱や要領などに盛り込むべきと考えますが、いかがでしょうが。
また調査項目の中には「他の事業主のもとで働く人から、本市職員に対するハラスメント」への対策も含まれています。
外郭団体の職員や指定管理者などの委託職員には、本市職員に対するハラスメント対策はもちろん、職場内でもハラスメント防止の措置義務などが果たされるよう、本市の要綱などとは別立てでチラシを作成し、配布してはいかがでしょうか。
本市のハラスメントに関する苦情相談員の役割を示した文書には、ハラスメントが「職員や職場に及ぼす影響」について、▷被害者は心身の健康の悪化により、出勤困難や退職に至ること ▷加害者は懲戒処分の対象となること ▷職場は人間関係の悪化によりモチベーションも低下し、業務能率の低下につながること ▷本市にとっては市民からの信用失墜につながること――と、深刻なリスクが指摘をされております。こうした観点から、民間企業においても経営管理手法であるリスクマネジメントの一環として、ハラスメント対策が取り組まれています。
本市ではこの間、事務処理ミスが様々に発覚してきました。その中には簡単なチェックさえできていれば、起きるはずのないミスもありました。
ミスが起こる背景をめぐってはチェック体制のあまさもさることながら、職員同士がお互いに間違いなどを指摘しあえる関係など、組織風土のあり方も問われます。
ハラスメント対策が十分でなければ、深刻なリスクを恐れて委縮してしまい、間違いを見つけても黙認してしまうということも考えられます。
今後事務処理ミスをなくすため、組織風土づくりの一環としてもハラスメント対策に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
ハラスメント対策で神経質になるあまりに、コミュニケーション不足になるのではないか、という懸念の声があります。コミュニケーションの不足は誤解やすれ違いにつながり、加害者が意識を持たないまま、ハラスメントがおこなわれる温床になると考えられます。また、ネグレクトもハラスメントにあたります。
厚労省委託事業の実態調査によると、パワハラやセクハラを経験した方としていない方を比較すると、経験した方は職場で上司と部下とのコミュニケーションが少ない、と答える割合が多くなっています。ハラスメントが起きる職場の特徴として、コミュニケーションの不足が浮かび上がっております。
ハラスメントにあたる例だけでなく、あたらない例も紹介するなど良好なコミュニケーションを推進する取り組みも重要だと考えますが、いかがでしょうか。
顧客から職場へのハラスメントである、カスタマーハラスメント、カスハラも深刻です。
先月には、大阪で有名な食品会社「551HORAI」の26歳男性社員が自殺したのはカスハラが原因だとして、社員の母親が労災と認めるよう求め、大阪地裁に提訴しました。
深刻な人権侵害が起きていると思われるカスハラへの対策も、その推進は待ったなしです。
札幌市は「自覚なく〝カスハラ〟しているかも」というタイトルの独自ポスターをつくり、カスハラ対策を啓発しています。このポスターは暴言、時間の拘束、過度な要求、SNSのへの投稿――についてのカスハラを無自覚におこなっている顧客の様子を漫画で示したもので、わかりやすく印象的です。
本市もカスハラを啓発する独自ポスターをつくり、掲示してはいかがでしょうか。
セクハラやパワハラをめぐっては近年、MeToo運動を皮切りにジャニーズやプロスポーツの分野などで、その実態が明るみに出されました。
こうしたハラスメントは個人間のレベルで起こるものではなく、周りの人たちが見て見ぬふりをすることや、組織の利害関係とも相まって大変根深い問題と言えます。そうした組織的な隠ぺいに対し、沈黙の鎖が解かれつつあるのが現況です。
一方、宝塚でハラスメントが疑われる事案をめぐっては、被害者とされる方が自殺に追いやられています。ハラスメントを告発する動きに対して激しいバックラッシュとのせめぎ合いの状況が伺われます。
本市は男女共同参画財団と協力して、ポスターの掲示やリーフレットの配布などを様々なテーマでおこなってきました。近年発覚したハラスメントの事件を受けて、今あらためて新たな啓発活動に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
ILO第190号条約「仕事の世界における暴力およびハラスメントに関する条約」はセクハラを含む、仕事におけるハラスメントの禁止を加盟国に求めています。この条約は2021年に発効し、イギリス、ドイツ、フランスなど36ヵ国が批准しています。
日本はこの条約に賛成しましたが、批准していません。日本の法律にはハラスメント対策の措置義務がありますが、禁止規定がないからです。
措置義務だけでは加害者の行為がハラスメントにあたるのかどうか、行政側の明確な判断ができません。行政の側が判断できるのは、事業主が措置義務を果たしているかどうかだけです。ここに限界があります。
一方、本市の「仙台市男女共同参画推進条例」には、2003年の時点で「セクシャルハラスメント」を「性別による人権侵害」であるとして「禁止」しています。
東京都豊島区の男女共同参画推進条例には、セクハラの禁止はもちろん、性自認、性的指向のアウティング(※)を禁止する規定が盛り込まれています。
(※ 本人の了解も得ずに他の人に公にしていない性的指向や性同一性等の秘密を暴露する行為)
同区はこれを活かして、あっせんにより性的指向のアウティングで精神疾患になった被害者に企業側から和解金を払わせた、という事例があります。
本市でもセクハラの禁止規定を活かして、被害者を救済する実効性ある取り組みを進めるべきではないでしょうか。
また、本市の男女共同参画推進条例にも、性自認・性的指向に関するハラスメントなどを位置づけた条文を盛り込むべきではないでしょうか。条例の名称も「性の平等と多様性を尊重する社会づくり条例」などとしてはいかがでしょうか。伺います。
ILO第190号条約は包括的な対策を求めており、労働者だけでなく、ボランティアも対象としています。
NPOやボランティア団体で起きるハラスメントについて、相談事業を手がける市民団体の事業を紹介した記事が先月、地元紙に掲載されました。
▷団体役員から利用者への性加害 ▷ボランティアから職員へのつきまとい ▷利用者からボランティア、また職員から団体代表への中傷 ▷寄付者からのセクハラ――などが実際に起きています。団体でヒト、モノ、カネが足りないことも影響し、様々なハラスメントが起きていると報じられています。
法人格を持たないNPOやボランティア団体の多くは、ハラスメントが起きた時に対応するルールや相談窓口を作っていません。また、目的を明確にして非営利や無償で自発的に活動する人々の集団だけに、まさかハラスメントは起こらないだろう、などの先入観が対策を困難にしています。
そこでまず、ボランティアなどにおけるハラスメントへの啓発や相談窓口などを紹介したチラシを本市で作成してはいかがでしょうか。
そして、そのチラシを多くの団体が利用する、本市社会福祉協議会のボランティアセンターの各窓口で保険加入時に配布するよう、呼びかけてはいかがでしょうか。
またボランティアは、大学で単位を認定されるなどして広く取り組まれています。若い世代に心の傷を負わせないよう、チラシは市内大学のボランティアセンターや、中高生がジュニアリーダーに登録する窓口となる生涯学習支援センターでも配布を呼びかけてはいかがでしょうか。
相談窓口の設置も求められます。市民活動サポートセンターの相談窓口には、主に団体の運営や財政などについて相談に応じていますが、ハラスメントについてもホームページに案内文を入れて相談を受け付けるようにすべきと考えますが、いかがでしょうか。
いくつかの自治体では、町内会にもハラスメント対策が呼びかけられています。
神奈川県平塚市では、町内会長ハンドブックで「ハラスメントは町内会でも起こりうる」として、対策を呼びかけています。新潟市はセクハラ防止を啓発するホームページで、町内会を例示しています。本市でも、宮城野区と若林区の町内会活動の手引きには、セクハラへの注意が呼びかけられています。
本市の町内会役員向け講座では、昨年度若い世代に関心をもってもらう、参加してもらう、ことがテーマになりました。
町内会の方から「若い世代と話しづらい」という声をお聞きすることがありますが、その背景には世代のギャップもあり、何がハラスメントにあたるのかわからない、ということもあるのではないでしょうか。
若い世代に活動を広げ、世代間の円滑なコミュニケーションを保障する、積極的な取り組みの一環として、ハラスメントの学習を町内会役員向け講座に盛り込んではいかがでしょうか。
最後に伺って第一問といたします。
◯市長(郡和子)
ただいまの高村直也議員の御質問にお答えを申し上げます。
ハラスメントなどに関する認識についてお答えいたします。
ハラスメントは、労働者にとっては、その能力発揮を妨げ、個人の尊厳や人格を不当に傷つけるなど、人権に関わる許されない行為でございます。事業者にとっても、業務への支障や貴重な人材の損失、社会的評価への悪影響を与えかねない問題で、法令に基づきその対策を確実に行うことが重要であると認識しております。
本市では、そうした認識に基づいて仙台市労働相談室を設置し、ハラスメントを含む労働相談に応じているほか、勤労者と事業者向けに配付しております労働関係法令やまた制度に関するガイドブックにおいて、ハラスメント防止に関し呼びかけを行っているところでございます。
今後とも、労働者の方が安心してその能力を十分に発揮するための良好な労働環境づくりに向けて、必要な支援や啓発に努めてまいります。
◯総務局長(佐野直樹)
私からは、初めに、職員のハラスメント防止対策についてお答えを申し上げます。
毎年の総務省の調査では、周知啓発、窓口の設置、是正措置等に関して、実施の有無に加え、要綱やマニュアルなど文書への記載の有無を回答しております。
これまでも、本市要綱に基づき、個別の事案に即して是正措置を行い、併せて再発防止策を実施してきておりますが、こうした再発防止策も含め対応内容をより明確に示すことは安全・安心な職場づくりに資するものでございまして、今後、この点も意識して要綱やマニュアル等の見直しを行ってまいりたいと存じます。
次に、外郭団体、指定管理者等におけるハラスメント防止の取組についてでございます。
ハラスメント対策については、関係法により事業主に対して措置義務が課せられており、外郭団体や指定管理者についても、まずは各団体において法にのっとった対策が図られるべきものと認識しております。
その上で、本市といたしましても、職員向けのハラスメント相談員研修に外郭団体職員の参加を呼びかけ、本市のハラスメント防止の要綱やチラシを提供するなど支援を行っているところであり、引き続き各団体が適切な対応を図ることができるように努めてまいりたいと存じます。
次に、組織風土づくり及びコミュニケーションの推進についてでございます。
職員同士が業務上の疑問点などを話し合える関係性の構築は、不適切な事務の発生防止に有効でございます。あわせて、職場での優位性などを背景としたハラスメント対策にも取り組むことが重要であるというふうに認識してございます。
こうしたことから、所属長による日常的な声がけやオフサイトミーティングの実施など、コミュニケーションの活性化を図るとともに、ハラスメント研修を行い、正しい理解の促進を図ってまいってきてございます。
引き続き、これらの取組を進めるとともに、参考となる事例の周知など、そういった工夫も取り入れながら、職員同士が自由に意見を言い合える組織風土づくりに鋭意努めてまいりたいと存じます。
◯市民局長(天野元)
私からは、ハラスメント対策について、市長がお答えした以外の市民局に係る数点のお尋ねにお答えいたします。
まず、カスタマーハラスメントに係る独自ポスターによる啓発についてでございます。
札幌市と同様のポスターは国が既に複数のデザインで作成しており、どなたでも使用可能となっていることから、事業所などに対してその御紹介をするなど、周知啓発の手法について検討してまいります。
次に、近年の事件を踏まえた新たな啓発活動についてでございます。
職場におけるハラスメントの対象範囲については、具体的な事案の発生や社会通念の変化に伴い見直しが行われており、それを踏まえた啓発が求められていると考えております。
こうした動きの一つとして、厚生労働省の指針により、同性間のセクシュアルハラスメントについて職場におけるハラスメントに含まれるとされており、そのような内容につきましても適切な啓発に努めてまいります。
次に、セクシュアルハラスメントへの実効性のある取組と性自認等に関するハラスメントへの対応についてお答えいたします。
本市では、男女共同参画推進条例に基づき、エル・ソーラに相談窓口を置き、性別や性自認に起因するハラスメントを抱えた方々からの御相談に対応しており、必要に応じ関係機関や専門家につなぐなどして解決に向けた支援をしているところでございます。
性自認に起因するハラスメントに関する御相談の実績はまだないところではございますが、現在、国においていわゆるLGBT理解増進法に基づいた議論が行われており、今後国から示される方針等を踏まえて必要な対応を検討してまいります。
次に、市民活動サポートセンターの相談窓口と周知についてでございます。
センターでは、市民活動に関する幅広い御相談に対して、必要に応じて様々な専門家や関係機関とも連携しながら解決に向けたサポートを行っており、ハラスメントの相談につきましても、まずはセンターで御相談の内容をお伺いしているところでございます。
現在、センターの相談窓口に関してはホームページやチラシにより周知しておりますが、悩みを抱えている方々が御相談しやすいよう、引き続き広報を工夫してまいりたいと存じます。
最後に、町内会のハラスメント対策についてでございます。
多くの町内会において担い手の確保が課題となっている中、年齢や性別にかかわらず、地域の様々な方々が参加しやすい環境づくりが重要なものと認識しております。
本市では、町内会役員向けの講座の中で、若い世代の視点や世代間で生じるギャップについても話題としており、また、町内会においても、若い世代のニーズ把握のためのアンケートの実施や女性の目線に立った運営の工夫など、独自の取組も生まれているところでございます。
引き続き、こうしたことを通じて多くの世代が参加する町内会の実現に努めてまいりたいと存じます。
◯健康福祉局長(加藤邦治)
私からは、ボランティアセンター窓口でのハラスメントに関するチラシの配付等についての御質問にお答えを申し上げます。
本市社会福祉協議会が運営するボランティアセンターは、市民活動に関わる多様な団体や個人からのボランティア保険加入申込みを受け付けているとともに、ボランティアに参加したい方とボランティアをお願いしたい方をつなぐための窓口として御利用いただいております。
窓口利用者に向け、ハラスメント対策に特化したチラシを作成、配付することまでは考えておりませんが、ボランティアセンターにおけるハラスメントについての啓発や相談対応等に関し、大学のボランティアセンターへの周知等と併せて検討してまいりたいと考えております。
◯教育長(福田洋之)
ハラスメント対策に係るジュニアリーダーへの啓発についてお答えをいたします。
現在、市民センターでは、ジュニアリーダーとして多くの中学生・高校生ボランティアが子ども会活動の支援などで活躍をしております。
これまでも対人コミュニケーションの在り方などの研修を行ってきたところでございますが、引き続き、互いにハラスメントをしない、困ったときには相談できるような知識を身につけるといった視点も加え、研修を工夫するなど、効果的な啓発に努めてまいりたいと存じます。
◯高村直也議員
一点再質問させていただきます。
独自ポスターによるカスハラ、カスタマーハラスメントの啓発についてですけれども、確かに国が作成しているポスターは種類があって利用できるということで、そういう御答弁があったわけですけれども、札幌市のポスターは、イラストもあるんですけれども、ぜひ現物を見ていただきたいと思うんですけれども、とても印象的な漫画で啓発しているんですね。それから、「自覚無く“カスハラ”しているかも?」というふうなタイトルで、特に無自覚なカスハラに対してしっかり啓発するという特徴があるんですね。
無自覚にカスハラをしている人というのは、加害の意識があるないどころか、むしろ正義感を持ってカスハラをしていると。そのためにカスハラが起こっているということが多いわけですね。ですから、そういう人に対して、もしかしたら自分もハラスメントをしているかもというふうに気づかせるということが本当にとりわけ大事になってくると思うんです。
特にこのカスハラについては、比較的新しい概念という側面がありまして、厚労省でも、ようやく昨年、対策マニュアルができたばかりだということがありまして、カスハラという言葉自体、知らないという方もたくさんおられることと思います。印象的なカスハラ対策ポスター、ぜひ市独自で作っていくべきだと考えますけれども、最後に伺います。
◯市民局長(天野元)
カスタマーハラスメントについての再度の御質問でございます。
議員御指摘のとおり、カスハラにつきましては、客側に訴求しなければいけないという課題がございます。ということで、従業員向けというよりは客向けのポスターということになろうと思います。
一方、カスハラの現場は多岐にわたっておりまして、例えば飲食店であったり物販店であったり、それから対人サービス業など、それぞれなシチュエーションがあるものですから、それぞれに応じたポスターが有効ということになります。
私のほうで先ほど御答弁しました国の外郭団体で用意しているポスターにつきましては、それぞれの現場の状況を想起できるようなイラスト、例えば物販店のレジの場のイラストであったり、例えば飲食店でのイラストであったり物販店でのイラストであったり、そして吹き出しには、例えば土下座しろとかお客様は神様じゃないのか、そういった吹き出しがあるようなものがありまして、それぞれのシチュエーションに応じてカスタマイズできるようになっているという大変優れたものでございます。
そうしたことから、我々としては、国で御用意していただいているそうしたポスターの利用促進に向けて周知を図ってまいりたいというふうに考えております。