【概要】
〇学校給食無償化、子どもの医療費助成の拡充を
〇介護の充実へ、国の負担割合を増やせ
〇宿泊税に頼らない観光振興の充実を
〇公立保育所の廃止ストップ、改修・改築を
〇給付型奨学金制度の創設
〇市独自の思い切った物価高騰対策を
〇市の財政力の実態を市民に正確に伝えよ
〇敬老乗車証の利用者負担2.5倍化は取り下げよ
〇女川原発の再稼働に反対の表明を
〇4病院問題、白紙撤回を知事にせまれ
〇花木則彰議員
日本共産党の花木則彰です。会派を代表して質疑を行います。
最初に、能登半島地震で被災された皆様にお見舞いとお悔やみを申し上げます。
地震発生から1ヵ月半がすでに経過しています。被害実態の全体がやっと見えてきました。
石川県内で2月13日現在、建物の被害は人が住む建物だけで6万5570戸、死者241名のうち災害関連死15名、避難所などに避難されている方は約2万4000人。断水は解消された自治体も増えてきましたが、いまだに3万1700戸が残されています。
私たちが味わった苦しみを2度と繰り返させないため、救援・復興のこれからの段階で次々と変化する被災地のニーズに応える支援を、仙台市としても積極的におこなっていく必要があります。
同時に能登半島地震での教訓を、本市の防災に活かす取り組みも重要課題となっています。石川県の地域防災計画での地震被害想定が26年間も更新されていなかったことが、被害を大きくしてしまった一因だといわれてます。その間に石川県内の自治体数は41市町村から19市町にまで広域合併が進められていました。半島部のお互いに行き来が困難な地域で合併がおこなわれ、人員削減が進められたのです。被害状況の把握、救助・救援、避難所の運営、支援物資の届けなど、深刻なマンパワー不足による困難な状況が伝わってきます。いわゆる「行財政改革」による人員削減が、いかに防災に弱い地域を生み出してしまうのか。東日本大震災、コロナ感染拡大のなかで私たちも身に染みたはずです。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」とならないように肝に銘じるべきです。市民の命を守り抜く役割を果たすため、人減らしを厳に慎み、人を育てる不断の努力を市長に求めます。いかがでしょうか。
市長の施政方針、来年度予算案など提案されている議案、および市政の重要課題について、順次伺います。
施政方針で市長は「ひと中心のまちづくり」を世界に通用するステージへと押し上げる、と述べられました。
2017年の郡市政誕生に寄せられた市民の願いは「ハコモノづくりや、ハードとしての街づくりにはお金をかけるが、市民の福祉や教育には冷たく削減をすすめる」市政を転換してほしいというものでした。「街の主役は人」の公約が期待を集めました。来年度に向けて、学校の特別教室と体育館へのエアコン設置、男性育休取得奨励金、新たな学生フリーパス制度、不妊検査・治療助成制度など進めていることは評価します。
一方で、子育て分野でも子ども医療費助成の18歳までの拡充、市民も議会も強く求めている学校給食費の無償化に向けた取り組み、多様な役割が求められている公立保育所の廃止など、大事な問題で従来通りの「行革」に固執する姿勢が続いています。
高齢者の分野では目立った前進面がないどころか、敬老乗車証の利用者負担を2.5倍にもする改悪案が示され、市民意見の対立を生み出しました。「高齢者が増え高齢者福祉予算が増大する」との理由での利用者負担増は、あらゆる高齢者福祉が後退させられる道です。学生・青年にやさしい街になっているのか、地元中小事業者の苦しみに本当に寄り添った施策が打てているのか「街の主役は人」の公約実現には乗り越えなければならない課題がまだまだ残されています。
市民・住民を大切にする市政として、県内・国内で誇れるレベルにならなくては「世界に通用するステージ」などあり得ないと考えます。主役である仙台市民を大切にする、新しいステージに踏み出す決断を求めますが、いかがでしょうか。
次に、第14号議案 令和6年度一般会計予算案について伺います。
予算編成にあたって「未来の担い手を育み、生き生きと学べる環境の充実」「都市個性を活かした賑わい・活力の創出とグローバルな魅力の発信」「安全・安心な暮らしを支え、自分らしく輝ける活躍の応援」の3つを柱に重点を置いたと説明をされました。しかし予算額は第1の柱とする子育て応援の分野では、たった21億円にすぎません。過去最高の6481億円となった一般会計の0.3%です。3本の柱すべて合わせても117億円、1.8%。これで重点的な予算配分と言えるのでしょうか。どうして市長が重点とする予算がこの程度になったのかお聞きします。
せめて数%の規模で、市民の強い要望である学校給食の無償化を実現する38億円や、子どもの医療費助成の年齢拡大とワンコイン負担廃止8億円なども重点に捉えて予算措置をおこなうべきではないでしょうか。伺います。
学校のエアコンでは、特別教室・体育館への設置が方針となったことは、求めてきたことであり、歓迎します。これから建て替えや大規模改修の設計をおこなう学校では、特別教室に業務用のエアコン、体育館には断熱性を高めて大型エアコンを設置します。建て替え等の計画が3年以内にない学校には、ルームエアコン、冷風機を3年程度で順次設置し対応する計画です。
問題は普通教室より広い特別教室で、あの暑さを和らげる効果がルームエアコンでどのぐらいあるのか、確証がないことです。今後10年20年と大規模改修などの計画がまわってこない学校もあります。その間、ずっとルームエアコンで済ませるわけにはいきません。
仙台市では、すべての小中学校と市立高校について普通教室へのエアコン設置を3年間でやり遂げました。設計、発注、工事をこのスピードでおこなうノウハウはすでに持っているということです。技術職を増やすなど、学校施設課の体制も強化して普通教室と同様に特別教室も子どもたちの学びの場にふさわしい環境をつくりましょう。とりあえずのルームエアコン設置ではなく、しっかりした業務エアコンの設置をすすめるべきです。いかがでしょうか。
児童館の遊戯室・ホールへのエアコン設置も3年間ですすめることになったことも歓迎します。この間「児童館・児童クラブのあり方検討会」で議論され、担当局も努力してきた結果だと思います。児童クラブに通う子供の割合が増え続ける中、どの児童館・児童クラブも狭い所に大勢の子どもが生活するという劣悪な状況に置かれています。とりわけ長期休暇中の酷暑の中で丸一日過ごす場所として、このまま放置できないとの判断だと思います。今回、児童クラブの専有面積基準を引き上げることも提案されています。子どもたちの生活の場として、児童館・児童クラブの施設と運営がサテライト室も含めて引き続き充実されるよう求めます。伺います。
4月から特別支援保育の対象が、これまで保育を受けられなかった重度障害のある児童にもひろがります。大変良い事だと思います。重度のお子さんの成長を支えられる保育へと質量ともに充実をさせることが行政の責任です。
保育の受け入れの多くは公立保育所が担うことになるとおもいます。ただ、保育士の人数が増えただけでは十分な保育はできません。軽度・中程度の障害児保育とはレベルの違うスキルが求められています。受け入れの要望に応えるには、市の保育士からスキルを持った一定数の核となる集団が必要です。その人たちを特別支援を必要とする児童と一緒に受け入れ保育所に配置することで、子どもたちも保育所も安心して新年度当初からの保育を始められるのではないでしょうか。伺います。
研修がこれからだとすれば、うけ入れる保育所に今働いている保育士が研修を受けなければなりません。研修時間を保障するための保育士の配置も含めて年度内の仕事です。しっかりした受け入れの準備をおこなうことを求めます。
体制と共に施設面でも万全を期す必要があります。市は「集団生活が可能なお子さんが対象」としていますが、四六時中大勢の子どもたちと同じ部屋では過ごせません。ゆったりと過ごしたり、クールダウンできる落ち着いた別の場所・環境も必要です。いかがでしょうか。
市はいまだに公立保育所の削減・廃止計画を続けています。そのために拠点保育所以外の保育所は建て替えもされず、内装もボロボロの状態で放置されています。「外から見るとまるで監獄の建物のようで、子どもを預けるのに躊躇した」と保護者から言われるようなところもあります。部屋の中は子どもたちがケガをしないように壁や柱、床など至る所にガムテープで「補修」してある保育所もあります。
子どもたちの安全はもちろん、気持ちよく快適に過ごすために、どの保育所も改修・改築の計画を持つべきです。重度の特別支援保育など、新しい機能・役割を果たすためにも欠かせないと考えます。保育環境づくりが重点だというなら、公立保育所の廃止方針をやめ、ぜひすべての公立保育所の改修・改築を進めてください。市長、いかがでしょうか。
仙台こども財団が昨年11月に設立され、新年度から事業も本格化します。
子どもたちの幸せを何よりも大切にする仙台市政へ歩みを進めなければなりません。その指針となるのが、子どもの権利条約です。子どもの意見表明権をはじめとする子どもの権利が全面的に保障されるよう、子どもの権利条例が本市でも必要です。これは子ども自身がよくわかる条例にしなければなりません。子どもに関わる様々な市民団体との共同作業として、こども財団がコーディネートする取り組みに最適ではないでしょうか。ご所見を伺います。
学生・青年分野での新しい通学支援策「せんだいバスフリー+」や、新婚家庭への住まいに関する費用の補助制度など支援策とともに、若者の声を活かす努力が始まったと受け止めています。その上で結婚新生活支援制度として「結婚」する人だけではなく、ダイバーシティを目指すのなら、学生や新社会人を含めて仙台での新生活を送る若者への家賃補助制度も必要だと考えますが、いかがでしょうか。
奨学金の返還支援は、就職する事業者や職種によって支援を受けられません。就職してからの若者支援であり、学生が安心して学ぶ支援にはなっていません。仙台市で学ぶ学生を応援するためには、やはり市独自の給付型奨学金制度が必要です。いかがでしょうか。
自衛隊員募集のダイレクトメールを送るために、18歳になる若い市民8674人の個人情報が今年度も仙台市によって自衛隊に渡されました。「私の個人情報は漏らさないで」という人からの「除外申請」は11件でした。しかし、市政だよりに一度載せただけで、個人情報が渡されると知らないままだった人がほとんどだと思います。市は対象者にあらかじめ「除外申請」ができることを郵送でお知らせすべきです。
自衛隊員が海外の戦争に参加させられる危険は高まっています。また、自衛隊内にセクハラ・パワハラがあること、自死者やメンタルの被害も増えていることが社会問題になっています。警察や消防、市の職員の募集だって、ある年齢の全員にダイレクトメールを送るなんていうことはしません。市が市民から預かっている個人情報ですから、一括での情報提供はきっぱり断るべきだと考えます。いかがでしょうか。
今年度はロシアによるウクライナ侵攻が続き、イスラエルによるガザ侵攻が続き、国際的な食糧事情、エネルギー事情が不安定で物価高騰が続きました。市民の生活は困難に陥りました。とりわけ福祉・教育の分野、中小企業の分野では緊急の生活支援策が必要とされ、その都度補正予算を組み、対応してきました。コロナ感染拡大の時期から毎年のように続いています。国からの財政出動待ちになると対応が遅れる、国の枠組みにとらわれて本当に必要なレベルの支援とならないケースもあります。
来年度予算に学校給食の食材の高騰分を市が負担するための予算7億円、公立保育所給食食材料費(物価高騰分)約3900万円が組まれたことは当然です。しかし、この2つ以外の今年度に市民生活応援のためにおこなった取り組みはすべて打ち切られ、必要なら補正予算で対応するとの方針です。民間保育所の食材費補助、民間福祉施設への水光熱費高騰の補助など、物価が下がったわけではありませんから、必ず必要な支援です。本予算にあらかじめ組み入れることが大切です。伺います。
本庁舎の水光熱費について、新年度の予算は電気代・ガス代などの高騰分を見込んだものとしています。これが当たり前です。
例えば、児童館や市民センターなど、ほとんどの市民利用施設が指定管理になっています。これからは指定管理の契約を結ぶところについては、高騰した水光熱費を見込んで委託料が決められます。しかし、それ以外の施設では、もうすでに「これまでと同じ予算では水光熱費が足らなくなる」とわかっているのにもかかわらず、高騰前の計算で決められた委託料で上乗せも変更もせずに予算が計上されています。これでは利用者である子どもたちや市民にガマンを押し付けることになりかねません。必要な指定管理料の増額変更をおこなう本予算にすべきです。いかがでしょうか。
市の施設でありながら、そのままでは運営できない額で予算をたてる、はじめから補正が必要だとわかっている予算案を議会に提案するとはどういうことでしょう。予算審査のあり方に関わる問題だと考えます。責任ある答弁を求めます。
宿泊税の導入について伺います。市は、一泊200円の宿泊税を導入する案を持ち、同じく導入を考えている宮城県との協議をおこなうとしています。それを財源として、観光振興の施策や事業を進めるといいます。一方で、今回の柱の一つである「都市個性を活かした賑わい・活力の創出とグローバルな魅力の発信」に関する予算について、新たな「財源」が必要だとは言っていません。大事な観光振興施策であれば、必要な予算を組めば良いのではないか、ことさら宿泊税を取らなければならない理由はないと考えますが、いかがでしょうか。
各種予算案に関連して、毎年出される「財政見通し」についてです。近年は今後10年間の試算となり、「財源不足」とされる額は3000億円を大きく超えて発表されています。今回発表された「令和7年度から令和16年度の財政見通し」では、収支差は3838億円とされました。市民から「仙台市はお金がないんでしょ」と言われる唯一の情報ソースがこの財政見通しと、それをうけたマスコミの報道です。しかし、この財政見通しの通りに「財源不足」や赤字になったことはありません。逆に、震災復興基金と震災復興交付金基金を除いた各種基金の総額は毎年度増え続けてきたのが実態です。明らかに本市の財政見通しが実態とは、かけ離れている表れです。市民に市の財政力の実態を正確に伝えず、様々な市民要求を断る道具とされているとすれば大問題です。伺います。
提案されている、第1号議案 令和5年度一般会計補正予算(第6号)を見れば、今年度も市の財政に余裕があったことがわかります。
補正のうち減額補正は272億円です。増額補正だけ取り出してみると、71億6000万円しかありません。そのうち基金への積み立てが17億8000万円ありますが、これは実質的には年度内に仕事をしないお金だといえます。また生活保護費は13億6000万円増えていますが、地方交付税など国の負担で手当されているものなので、市の財政を圧迫するものではありません。つまり、今年度予算に200億円以上の余裕があることになります。
そうであれば、もっと市民生活支援に思い切った使い方ができたのではないでしょうか。とりわけ給食費の無償化だって十分やれることを示していると考えます。もう「市の財政が厳しい、膨大な費用がかかる」と圧力を加えることはやめるべきです。伺います。
財政見通しでは対応の方向性として、投資的経費については「厳しい財政状況が続く中にあっても源泉重点化を図りながら着実に進めていく必要がある」と特別に記述しています。こっちの方は「財政難だから」と削ったりせず、着実にお金を充てていくというのです。事実上、義務的経費より優先させる姿勢があらわれています。これからの大規模事業の概算について、国の補助金の見込みが書かれれていて、丸々事業費が市の持ち出しにならないといっているようです。一方で生活保護費をはじめ、扶助費における国庫負担の額や地方交付税で措置されるべきお金であることは書かれていないため、扶助費等が財政難の原因のように受け取れかねない記述となっています。
歳出の規模が大きい、普通建設事業費においては国の補助事業としておこなわれるものと、市の単独事業としておこなう場合の市の財政負担の違いがあり、この分野が「身の丈に合った」取り組みとなっているかが、健全な財政運営の焦点といえます。
もう一つは市債について。「お金が足りないから借金をする」「子どもや孫の世代に負担を負わせるので借金はしない方がいい」という市民の誤解を利用した世論誘導になっているのではないでしょうか。市債を発行するのは主に建設事業であり、福祉などでは借金は増えません。一人当たりの福祉費(民生費)が政令指定都市中、下から4番目という少ない福祉予算の増額に、今あるお金は優先して充てる、将来の市民の負担が重すぎることのないように市債残高を管理し、10年間で使える建設事業を逆算し、その範囲で事業を進めることが大切ではないでしょうか。伺います。
第41号議案 仙台市介護保険条例の一部を改正する条例に関連して伺います。
来年度の介護報酬の改定がおこなわれました。全体ではわずか1.59%の増であり、介護職員の待遇改善に逆行する訪問介護基本報酬の引き下げという内容です。20分未満の身体介護は1回あたり40円引き下げて1630円とするなど、生活介助、自動車への乗り降り介助を含め、軒並み引き下げられました。訪問介護は物価高騰が直撃し、2022年の倒産は過去最高となっています。この上に基本報酬が引き下げられれば、市内の訪問介護事業者も撤退し、介護ニーズに応えられない、在宅医療も成り立たない事態を招きかねません。介護事業者や介護職員への直接支援を仙台市独自にも強める必要があると考えますが、いかがでしょうか。
国はさらに次の改定に向け、利用料の原則1割負担から2割負担への引き上げ、ケアプランの有料化、要介護1・2の訪問介護や通所介護などを保険外とし、総合事業化するなどを検討するとしています。介護の社会化を進めるとして導入された介護保険制度ですが、このままでは高い保険料を払い続けても、いざ介護が必要になった時には提供する業者がいない、保険外とされるケースが増えてしまいます。国家的保険詐欺との声さえ上がっています。仙台市も保険者として積極的に役割を果たしていくべきです。とりわけ今回も値上げとなる被保険者である市民の保険料負担や仙台市の負担が大きくならずに介護サービスをより良いものにしていくためには、国の負担割合を上げさせることが絶対必要です。
自民党と公明党もかつて介護保険の公費負担割合を現在の5割から6割以上に上げることを公約に掲げていました。地方自治体にとっても死活問題です。国に負担割合引き上げを強く迫るべきですが、いかがでしょうか。
第75号議案 国民健康保険条例の一部を改正する条例についても同様の課題があります。公的な負担割合が低いため、被保険者の保険料負担が高くなりすぎています。保険者である各自治体は保険料の算出方法を工夫したり、国保会計への繰り入れをおこなうなど、保険料値上げを抑える努力をしてきました。仙台市は、子どもの均等割りの減免に全国でも早い段階から取り組んできました。この流れを止めないで18歳までの免除へと拡充すべきです。いかがでしょうか。
第39号議案 敬老乗車証の一部を改正する条例について伺います。
本市における敬老乗車証制度は、今から約50年前の1973年に始まりました。その目的は「多年に渡り社会の進展に寄与し、かつ豊富な知識と経験を有する人として高齢者に敬老の意を表」わすものでした。紙の乗車証で当初市バスのみでしたが、のちに宮城交通バスにも無料で乗ることができました。これが約30年続きました。2002年に一部負担がが持ち込まれ、5000円の負担で1年間のフリーパスとして使える第1種と、無料で1万円分乗れる第2種の乗車証を選んで交付を受ける制度でした。2012年にはいわゆる「応益負担」として10%負担と、年間利用12万円の上限が導入され今に至っています。
敬老乗車証制度は、単なる高齢者サービスではありません。そもそも条例の名前を敬老乗車証条例としているように、高齢者に敬老の意を表す制度です。高齢者が公共交通をつかって外出をすることによって、健康維持、医療介護費軽減に役立っています。仙台の市民力の大きな部分を高齢者が担っているなど、社会参加で地域社会つくりに貢献しています。おじいちゃん、おばあちゃんが若い世代の子育てを支援するにも敬老乗車証が役立っています。近年では高齢者による交通事故を防止するため、運転免許の返納が推奨されていますが、自家用車から公共交通への切り替えを応援する役割も注目されています。中心商店街をはじめ地域経済の活性化に役立っています。市バスや民間バス事業者の経営を支え、都市のインフラとしての地域公共交通を守る役割も果たしてきました。あらゆる世代に益があり、市のまちづくりにとっても重要な施策ではないでしょうか。こうした制度ですから、高齢者に「受益と負担の適正化」を求めるのは間違っていると考えます。市長は敬老乗車証制度の多面的な役割をどう捉えているのか、伺います。
名古屋市では2013年におこなった敬老パスの調査で、当時の事業費が139億円に対して直接的な経済効果が316億円もあること、波及効果も入れると500億円を超えていると報告されています。市は「敬老乗車証制度の見直し」にあたって、事業費とその経済効果について調査や検討もしていません。大切な役割がある制度として、必要な調査はしっかりおこなうべきです。いかがでしょうか。
市は「高齢福祉費が10年間で70億円も増加する」と述べ、制度を持続させるには高齢者の負担増が必要だと迫ります。しかし、高齢福祉費が増える多くの部分は介護保険での市の負担分であり、先に述べたように国の負担割合を引き上げさせることこそ必要です。そもそも、高齢者が増えるのはずっと前からわかっていたことで、その費用が増えるのは高齢者が悪いわけではありません。
さらに市は、市の一般財源からの支出をコロナ前の水準(令和元年 26億6000万円)を超えないようにと目途を示しました。しかし、なぜその額が目途となるのか、合理的な理由は一つも示されていません。現在の負担割合のままでも約30億円で頭打ちになる推計も出されています。つまり、あと3億円ほど市が増やせば10年は安定して施策を続けることができます。市の財政力は年間3億円が出せないものではないはずです。27億円は出せて30億円は出せない理由はどこにあるのか。わかりやすくご説明ください。
負担を2.5倍に引き上げる「見直し中間案」についてのパブリックコメントには、666件の市民意見が寄せられました。明らかになったのは、市民の世論は真っ二つに分かれているというとと、中間案通り2.5倍への引き上げは半数以上から受け入れられなかったという事実です。「中間案通り」が23.8%、「中間案よりもっと負担増を」が14.9%、合わせて38.7%ありましたが、「現行維持・もっと引き下げ」が45.5%と約半数にのぼりました。「25%は高すぎる」が10.4%ですから、合わせて55.9%が中間案通りの引き上げに反対の意見を述べたことになります。このパブリックコメントを受け止めて、なぜ中間案通りの負担を2.5倍に引き上げる条例改正案が出されたのか全く理解することができません。お答えください。
「現行の負担割合を維持してほしいという署名」が集められ、先日2000筆を超え提出されました。たった2週間で幅広い年代の方の署名です。「母親が敬老乗車証で元気に出歩いてくれるから、自分も安心して出かけることができる」と現役世代の方、若い人たちからも街頭で励まされたそうです。2.5倍という負担増は物価高騰、保険料など公的支出の値上がり、低い年金に苦しむ高齢者に対する耐え難い仕打ちになります。
この様な時に拙速に大幅負担増を進めれば、今後の市政運営に禍根を残すことになります。市民との対話を大切にする市政ならば、市民から丁寧に意見を聞き、疑問に答える努力をすべきではないでしょうか。幸い、この見直しは何としても今やらなければならないひっ迫した課題ではありません。条例案の取り下げの決断を求めます。この決断は市長しかできませんから、郡市長の直接の答弁を求めます。
次に市政の重要課題として、災害対策と原発の問題について伺います。
冒頭述べたように能登半島地震をうけ、本市の防災・減災の取り組み、被災時の取り組みを拡充することが求められています。第一に、新しい被害想定に基づく地域防災計画の更新です。昨年11月に宮城県が発表した第5次地震被害想定では、太平洋沖地震、宮城県沖地震に加え、今後30年以内60~70%の発生確率でスラブ内地震が起こるとの想定を加えました。この地震では、揺れによる市内の建物被害が大きくなる想定です。更新の際に、本市が先駆けとして評価をされた「災害ケースマネジメント」が計画に盛り込まれること、実際に減災を進めるためのアクションプランを持つことが必要だと考えますが、いかがでしょうか。
本市の地域防災計画には「原子力災害対策編」が定められています。しかし、その被害想定も福島原発事故の後の状況も踏まえ更新する必要があります。定めた時から約10年が経過しています。女川原発は当時も福島第一原発と同じ古い型の原子炉でしたが、さらに古いものになっています。時間をかけている「安全対策」は、世界では標準となっているレベルにはならず、後付けの間に合わせ的な対策にとどまっています。原子炉を作り替えないわけですから当然です。志賀原発で問題となっている基準地震動を大きく超える揺れに耐えられるのか、高くした防波堤を超える津波の場合どうなるのか、これから起きる地震の想定がますます大きくなる中で、安全な原発と言い張ることの誤りは明らかです。
福島第一原発事故で全村避難となった飯館村は、原発から50kmでした。女川原発と仙台市も同じく50kmです。しかも、間は海であり、放射性物質を含むプルームは途中で落ちることなく仙台市に上陸します。風向きがこちらで風速5mとすると3時間弱で到達します。本市が住民避難の必要なレベルで放射能汚染を受ける可能性があることを直視した対応が必要です。それも地震被害・津波被害との複合的である場合が強く想定される中での対応であり、簡単ではありません。事故の情報を電力待ち、県待ちではなく直接仙台市が女川原発内にモニターを設置し、つかむこと、単純な「屋内避難」ではなく3時間の間に外気から遮断されたコンクリート製の建物に妊婦さん子どもたちを避難させることなど、危機に対応する原子力災害対策の計画にすべきです。いかがでしょうか。
本市をはじめ、各自治体が現実にこれらの対策をおこなうには人も費用も膨大に必要となります。このような「いのちのリスク」費用の負担をかけてまで女川原発の再稼働は必要な事なのでしょうか。地元紙で取り上げられたように、原子力発電が決してコストが低い方式ではないことも広範な認識になりました。
宮城県村井知事は、女川原発再稼働に反対する市民・県民の声を無視して「地元合意」を与えました。能登半島地震を踏まえて、原発近隣自治体の避難計画を会見等することは必須の課題です。県に「地元合意」を撤回し、責任ある再検討をおこなうよう市民・県民とともに求めるべきです。いかがでしょうか。
仙台市と県との良好な関係は大切ですが、ダメなものはダメと正す事こそ仙台市には求められています。
県営住宅の全面廃止方針も市民の住環境への大きな影響があり、自治体として県が果たすべき責任放棄にあたります。市内の県営住宅は4386戸もあり、市営住宅とともに公的住宅として市民の住まいの権利を保障する役割を果たしています。また、募集に対する応募の倍率は七北田住宅では7戸の募集に245世帯の応募で35倍、新坂住宅も9倍と高く、ニーズは大きいといえます。老朽化した県営住宅を計画的に建て替えることは県の責任です。県に廃止方針をやめ、役割を果たせと仙台市から県に申し入れるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
仙台赤十字病院と労災病院の市外への移転を含む4病院の統合・再編計画は、知事の横暴勝手、県立病院の廃止をすすめ、医療に対する県の責任放棄、仙台市をはじめ自治の蹂躙(じゅうりん)、県政運営自体の民主主義破壊など、あらゆる側面で全国でもない異常な事態となっています。とりわけ仙台医療圏の人口の7割を占める仙台市からの理路整然とした疑問・質問に全く答えず進めている現状、病院が出ていく側の自治体が仙台市のみであるにも関わらず、県市長会において多数で抑えこもうとする異常さも耐え難いものです。全国知事会の会長としてふさわしくない振る舞いと言わざるを得ません。
昨年末に日赤本社と宮城県医療機構、宮城県の三者で、仙台赤十字病院と県立がんセンターを統合して名取市に置く「基本合意」が結ばれました。5日前の住民説明会では全く伝えられなかったものです。統合といいながら規模は2病院を合わせたものの半分となり、事実上県立がんセンターは廃止し、仙台赤十字病院を名取に移転させる内容です。
急性期ベッドを減らすことによって、国の医療費負担を削るという政策にのって、国からのお金欲しさ、県立病院減らしのための計画です。しかし、その重点支援区域への指定について厚労省は異例の条件を付けました。「仙台市をはじめとする関係自治体に丁寧に説明をおこない、理解を得ること。医療機能の再編等により影響を受ける地域住民に丁寧に説明をおこない、理解を得ること」です。県は知事がなぜ出てこないのか明らかにできないまま、3回の説明会を開きましたが、「住民が理解していない」ことは明らかです。
仙台市は2月9日「4病院再編案に係る協議の要請」を宮城県に対しておこないました。協議しなければならない事項も改めて示しています。協議がおこなわれたとしても、市民が納得できる回答にならないことは明らかです。「丁寧な説明にはあたらないこと」「理解できない」旨を毎回はっきり表明すること、労災病院と精神医療センターとの合築・移転はもちろん、基本合意がなされた赤十字病院と県立がんセンターの統合についても「白紙撤回」を迫ることを市長に求めます。いかがでしょうか。
以上、伺いまして私の第一問といたします。
〇市長(郡和子)
ただいまの花木則彰議員のご質問にお答え申し上げます。
「ひと中心のまちづくり」に関するお尋ねにお答えいたします。
私は、かねてより「まちの中心はひと」との思いのもと、子育て環境の充実や困難を抱える女性や若者の支援、また若い世代の活躍を後押しするなど、市民の皆様の暮らしを支え、自分らしく活躍できる環境づくりに取り組んでまいりました。
一方、このまちを魅力ある姿で次の世代へと引き継いでいくため、青葉山エリアのまちづくりや都心再構築など、ひとの活躍の舞台となる都市基盤の整備を推し進めてきたところでございます。
今般の施政方針におきましても、安心して出産できる環境づくりや、年齢に関わらず健やかに生活できる健康の都づくりをはじめとした、安全・安心な暮らしを支える施策と併せ、DXの推進や世界標準のダイバーシティまちづくりにより海外からの高度人材の受入を図るなど、都市活力の創出に向けた施策を盛り込んでおります。
今後とも、ひとの活躍とまちの成長が好循環を生み出せるまちの実現に向けて、各般の施策を推し進めてまいる考えでございます。
次に、敬老乗車証制度の見直しについてお答えをいたします。
敬老乗車証については、高齢者人口が増加する中においても、将来にわたってご利用いただけるよう、見直しの検討を進めてまいりました。
高齢者施策を取り巻く現状や、その将来推計、この間の社会福祉審議会老人福祉専門分科会でのご議論やパブリックコメントで寄せられたご意見等を総合的に勘案して、速やかに見直しを進めるべきとの考えのもと、このたびの条例案等を提案させていただいたものでございます。
こうした見直しの背景や、高齢者施策全般の持続性が懸念される中で見直しを進めなくてはならない必要性等については、本市ホームページの充実を図るほか、市政だよりでの特集に加えて、地下鉄やバスの車内広告の掲載などの多様な媒体を活用した周知や、また市民説明会を開催するなど、市民の皆さまにご理解をいただけるように丁寧な周知や説明に尽くしてまいる所存でございます。
次に、4病院の再編についてでございます。
病院再編におけるこれまでの県の進め方は、十分な情報開示や丁寧な説明、慎重な検討など、本市がこれまで県に繰り返し求めてきた対応がなされているとは言い難いものであり、今般国から条件が付けられたことなどの状況も踏まえまして、県に協議を要請したものでございます。
この協議の開始をもって本市が理解をした、というものではなく、再編の必要性や、本市がこれまで示してきた懸念や課題について、県からの具体的な説明や対応がなされ、そのうえで本市が合理性、妥当性等の観点から判断を行うために必要なものと考えております。
県に対しましては、そのような点を明確にしつつ、将来にわたり本市の医療提供体制が適切に確保されるよう協議を進めてまいりたいと存じます。
〇危機管理局長(木村洋二)
私からはまず、地域防災計画の更新についてお答えいたします。
今般の第五次地震被害想定調査では、長町―利府線断層帯地震により本市の被害が最大と想定されることが明らかとなりました。今後、この被害想定の分析を行い、減災のための行動計画を策定するとともに必要な内容を本市地域防災計画に反映してまいる予定でございます。
また、災害ケースマネジメントに係る基本的な事項につきましては、既に地域防災計画に反映されているものと考えておりますけれども、より実効性を高められるよう他都市の状況等も確認しながらその位置づけについて検討してまいりたいと存じます。
次に原子力災害対策の計画についてです。
本市地域防災計画には、屋内退避や避難等の対応を定めているところでございますが、原子力災害対策は広域での対応が必要であり、国や県との連携が求められるものでございます。
女川原子力発電所から30km圏外に影響が及ぶような災害時は、国の原子力災害対策本部の指示のもと、状況に応じて防護対策を講じることとされておりますため、退避のあり方を含め国や県と異なる基準を設けることは想定しておらず、女川原子力発電所周辺の放射線量の独自の測定も考えておらないところでございます。
次に、地元同意の撤回を県に求めることについてでございます。
再稼働の是非につきましては、令和2年11月の市町村長会議の場で、宮城県と立地自治体である女川町、石巻市に判断が一任され、すでに三者により同意が表明されているものであり、改めて本市が意見を申し上げることは考えていないところでございます。
本市といたしましては避難計画の実効性の更なる向上について、県や関係市町と連携しながら引き続き取り組んでまいりたいと存じます。
〇総務局長(佐野直樹)
私からは、災害等の教訓も踏まえた人員体制の確保についてお答え申し上げます。。
この間、本市では、民間活力の導入や人員配置の見直しなど、効率的な組織の構築を進めるとともに、その時々の社会的な要請や行政課題に的確に対応するため、必要な人員の確保にも努めてまいりました。
新年度におきましても、今後の新興・再興感染症も念頭に、平時からの健康危機管理体制の強化を見込むなど、有事も見据えた体制の構築に取り組んでいるところでございます。
令和5年度を始期といたします定員管理計画におきましても、当面の定員規模を維持する方針としており、引き続き、市民の皆様の安全・安心な暮らしを支えられますよう、必要な職員体制の確保を図ってまいりたいと存じます
〇財政局長(永渕智大)
私からはまず、新年度予算における重点配分経費についてお答え申し上げます。
御指摘の数字は、新規・拡充事業などを分かりやすく取りまとめるという観点から集計したものとなってございますが、企業会計を含む全会計の主要事業における3つの柱ごとの事業費といたしましては、それぞれ「未来の担い手」関係が1175億円、「活力創出・魅力発信」関係が779億円、「安全・安心な暮らし」関係が1476億円となってございます。
引き続き、限られた財源の中で、必要な事業を実施できるよう、努めてまいります。
次に、新年度予算における物価高騰対応についてでございます。
本市におきましては、長引く物価高騰の影響を踏まえ、国の交付金等も活用し、これまで数次にわたる対策を実施してまいりました。
先の第4回定例会におきましては、国の総合経済対策に基づき、低所得者世帯向け給付金事業や事業者向けの賃上げ支援策などを補正予算として計上したところでございます。加えて、新年度には国民負担軽減の観点から定額減税も実施される予定であり、こうした状況を見極めつつ、物価の状況や国の動向等を踏まえながら、必要な対応を検討してまいりたいと考えてございます。
次に、指定管理施設における光熱水費に係る対応についてでございます。
本市では、指定管理者との協定において、物価変動に係るリスクは事業者側の負担によるものとしているところであり、光熱費高騰への対応は、当該リスク分担に基づき対応することを基本としてございます。
また、国からも、協定等においてリスク分担の考え方が示されている場合は、それに基づき適切に対応されるべき旨が通知されてございます。
このことを踏まえつつも、市民利用施設の安定した運営の観点から、急激な光熱費高騰により収支赤字が見込まれる施設に対しましては、今回もそうでありますが、これまでも補正予算により必要な対応を図ってきたところでございまして、令和6年度におきましても、物価高騰の影響を注視しつつ、必要な対応を行ってまいります。
次に、財政見通しについてお答え申し上げます。
今般お示しした財政見通しは歳入では国の経済見通しなど、歳出では事業費の伸び率などにより試算したものでございます。
本市財政は、義務的経費など歳出の伸びが市税収入など主要一般財源の伸びを上回る厳しい状況が続くことが見込まれ、令和6年度予算では減額補正により捻出した財源も最大限に活用し、編成させていただいたところでございます。
財政見通しは予算をベースにした試算であり、事業の執行率などにより収支が改善した決算とは異なりますが、不確実な収支改善額を見込まない現行の試算方法が基本であると考えてございます。
また、分かりやすさ、見える化の観点から今後の主な大規模事業費の見込みや、市債残高の推移についても取りまとめてございます。
大規模事業を含む投資的経費につきましては、扶助費などの義務的経費と異なり、施設ごとの整備計画に基づき実施しておりますが、将来世代の負担が過大にならないよう、税源涵養の視点も併せ持ちながら、市債残高の適切な管理に努め、財政規律を堅持してまいります。
〇市民局長(天野元)
私からは、自衛官の募集対象者情報の提供に関するお尋ねにお答えいたします。
自衛隊法及び同法施行令に規定されている自治体が行う募集事務は法定受託事務とされており、それらの法令に基づき、自衛官募集に必要となる資料の提供を防衛大臣から求められた場合に、市町村長が住民基本台帳の一部の写しを提供することは特段の問題を生ずるものではない旨が国より示されております。
本市におきましては、提供を望まない方からの除外の申し出について、市政だよりのほか、本市のホームページにおいて周知を行い、申し出があった方については除いているところでございます。
今後とも、関係法令等に基づき、適切に対応してまいりますとともに、市民の皆様への周知・広報に努めてまいります。
〇健康福祉局長(加藤邦治)
健康福祉局に関わるご質問のうち、市長からお答えした以外のご質問にお答えを申し上げます。
はじめに、介護保険制度のうち、介護報酬の改定についてでございます。
令和6年度の報酬改定では、国の介護事業経営実態調査において、訪問介護の利益率が介護サービス全体の平均を上回ったことが、報酬引下げの要因になったものでございます。
一方で、訪問介護につきましては、処遇改善加算の加算率が他のサービスより高く設定されるほか、従来より加算を取得しやすくなるよう要件緩和を行う方針等も示されております。
今後、こうした加算も活用しながら安定的に介護サービスをご提供いただけるよう、事業者を積極的に支援してまいりますとともに、報酬改定の影響に係る事業者の実情等もお伺いしながら、国に対し適切な報酬の設定について要望してまいります。
次に介護保険制度に係る国庫負担割合の引き上げについてでございます。
介護保険制度においては、高齢化の進展に伴う介護給付費の増加等により、被保険者の保険料の上昇や市町村負担の増大といった課題が懸念されております。
本市では、介護保険事業を円滑に運営し、適切にサービスを提供していくことができるよう、これまで給付適正化などの取り組みを推進するとともに、他都市とも連携しつつ、国費負担割合の引き上げについて要望を重ねてまいりました。 今後とも介護を必要とする方に、安心して日常生活を営んでいただけるよう、国に国費負担割合の引き上げを求めるとともに、保険給付の抑制につながる予防的な取り組みの強化や保険料の収納率向上を図りながら、保険者として安定的に介護保険制度を運営してまいります。
次に、国民健康保険料の18歳までの均等割減免の拡充についてでございます。
本市におきましては、財政調整基金を活用して、保険料負担の軽減を図るとともに、子育て世帯を対象とした均等割の減免を独自に実施してきたところでございます。
自治体の国保財政が、依然として厳しい状況にある中、更なる負担の軽減につきましては、国の財政負担のもと、全国一律に措置されるべきものと認識をしております。
引き続き、他の政令指定都市等と連携して、均等割軽減の対象年齢及び軽減割合の拡大を、国に対して求めてまいりたいと考えております。
次に、敬老乗車証制度の見直しに係る数点のご質問にお答えを申し上げます。
はじめに、敬老乗車証制度が果たしている役割についてでございます。
本制度は、高齢者の社会参加を助長し、もって福祉の増進を図ることを目的としており、令和4年度に実施した市民意識アンケートでは、買い物や通院、趣味・娯楽など、日常の様々な場面で利用されている実態も把握されたところでございます。
今般の見直しにおいては、こうした実態も踏まえ、利用控えの影響等を考慮しつつ、所得の低い方への配慮や、利便性向上の視点を取り入れながら、将来にわたり制度を持続できるよう、必要となる負担をお願いすることとしたものでございます。
次に、敬老乗車証の経済効果についてでございます。
ご紹介の他都市の事例では、敬老パスの有無と外出時の消費額との関係の分析が十分ではないなど、厳密な分析手法が確立されていない中で、いわゆる経済効果を算出することは難しいものと考えております。
一方で、本市においては、令和4年度に実施した市民意識アンケートにおいて、敬老乗車証を利用して外出した際の、買い物等の支出額に関して調査をしており、その回答を踏まえますと、消費活動への一定の影響はあるものと考えております。
最後に、敬老乗車証制度の見直しの理由についてでございます。
敬老乗車証制度の一般財源は、令和元年度決算において、過去最高額である約27億円を計上しております。
医療や介護など、高齢者施策全般に係る一般財源が、今後10年間で約70億円増加することが見込まれる切迫した状況を踏まえると、高齢者施策全体の持続性を確保していくため、敬老乗車証制度を運用していく必要があると考えたところであり、今後10年間の一般財源負担額の平均が、令和元年度決算額を大幅に上回ることがないよう、今回の見直し案を取りまとめたところでございます。
次に、敬老乗車証に係るパブリックコメントの受け止めについてでございます。
この度のパブリックコメントにおいては、幅広い世代から、666件のご意見が寄せられたところであり、そのうち、利用者負担割合の変更に関するご意見は、584件でございました。その中では、現状維持を求める意見が4割以上であったのに対し、見直しを容認する意見も同程度ございました。年代別に見ると、60歳台以下では容認意見が多く、制度対象者である70歳台以上からも容認意見が少なからず寄せられたところでございます。
パブリックコメントは単なる賛否を問うものではございませんが、制度対象者を中心として、現状維持を求める意見が多く寄せられたものの、そうした方も含めた幅広い世代から、見直しを容認する意見も多く寄せられているところであり、制度維持のために、何らかの見直しが必要という部分については、一定の理解が得られたと考えております。
こうしたパブリックコメントで寄せられたご意見等のほか、高齢者施策を取り巻く現状や、その将来推計、この間の社会福祉審議会老人福祉専門分科会でのご議論等を総合的に勘案し、将来にわたり制度を安定的に運用することができるよう、中間案を基本として条例案等を取りまとめたものでございます。
〇こども若者局長(白山幸喜)
私からははじめに、児童館・児童クラブ事業の充実についてのお尋ねにお答えいたします。
児童館・児童クラブのあり方検討部会におきましては、遊戯室へのエアコンの設置や、児童クラブ専用区画面積基準の拡大の方針など、子どもの安全安心な居場所としてのあるべき方向性について、ご議論いただいてまいりました。
本市としましても、この児童館・児童クラブが子どもたちの生活の場、また遊びの場としてより充実した環境となりますように担当部署の体制強化も図りながら、あり方検討会においてまとめられた報告書に基づいた各般の取り組みを着実に推進してまいりたいと存じます。
次に、重度障害児の受入れに向けました公立保育所の体制についてでございます。
重度障害児の受入れにあたりましては、保育を提供する職員のより一層の専門性向上が必要と考えてございます。
公立保育所におきましては、これまでも特別支援保育研修等の専門研修を通じまして職員のスキルアップを図ってきたところでございますが、次年度からの受入れにあたりましては、当該研修を受講し特別支援保育の経験が豊富な職員を充てることとしております。
加えまして、職員の更なる知識と技能習得に向けまして、各保育所において職員の受講機会を十分に確保するための業務調整を行いながら、重度障害児の保育に特化した集合研修を行ってまいります。その上でアーチルや運営支援課の職員が各保育所を直接訪問いたしまして、重い障害のある児童に必要な個別の配慮や対応について、説明・指導等を行うことといたしております。
引き続き、特別支援保育を受ける児童が保育所で安全・安心に過ごせるよう、必要な受入れ体制を整えてまいります。
次に、特別支援保育の環境等についてでございます。
特別支援保育の対象児童には、一日の保育生活の中で、ゆったりとした時間を設けることが必要な子どももおります。そのため、各保育所では既存の施設の中でスペースを設けまして、落ち着ける環境を確保しておりますほか、現在進めている公立保育所の建替えにあたりましては、特別支援保育室を設けることといたしております。
また、地域拠点保育所についてでございますけれども、大規模改修や建替えを計画的に実施してまいりますとともに、それ以外の地域拠点保育所以外の公立保育所につきましては、地域の保育需要の動向、建物の老朽化の状況、さらには近隣の民間保育施設の整備状況等を勘案いたしながら、民設民営方式による建替えや定員減・廃止等を順次行っていく方針としてございます。
引き続き、全ての公立保育所におきまして、定期的な点検や必要に応じた修繕等を行いながら、安全・安心な保育環境の確保を図ってまいりたいと考えてございます。
次に、仙台こども財団におけます取り組みについてでございます。
「こども基本法」におきましては、児童の権利に関する条約の精神にのっとりまして、子どもの意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮されることを基本理念として謳っておりまして、本市としても、また、こども財団といたしましても、この理念に基づいて、子どもを中心に据えた施策を展開していくこととしてございます。
新年度、こども財団では、「子ども・若者会議」を開催する予定としておりますが、そのテーマ設定も含めて、子ども・若者が中心となって考えていくプロセスが大切であると考えておりまして、本市としても今後の施策に反映するため、子どもや若者からの意見を聴取する取組を積極的に進めますとともに、今後こども財団からなされる提言なども参考にしながら、子ども・若者施策を推進してまいりたいと存じます。
最後に、若い世代への新生活への支援についてのお尋ねでございます。
若い世代が、経済的な不安などから、結婚や妊娠、出産に踏み切れない状況が少子化の一因にもなっているものと認識してございます。
新年度に新たに開始いたします結婚新生活支援事業は、そういった方々が、自らが希望するライフステージへ踏み出すための支援として、有効な施策ではないかと我々としては考えておりまして、そういった若い世代を対象として、これに要する住居取得や家賃、引越などの費用を補助することとしたものでございます。
〇文化観光局長(金子雅)
宿泊税に関するご質問にお答えいたします。
国内人口が減少局面に入り、国内観光市場の縮小も予想される中、現行の施策の延長線上の取り組みだけでは、激しさを増す都市間競争を勝ち抜くことは難しいと認識しております。
今後の観光を基軸とした交流人口の拡大には、これまでの枠組みを超えた、ハード・ソフト両面からの取組みを一層強化していく必要があり、そのための新たな財源の検討は不可欠です。
「交流人口拡大推進検討会議」においても、これまでの一般財源などによる施策に加えて、今後必要な取組みとして、訴求力のあるコンテンツづくりや、中長期的な視点での受入環境整備の必要性などのご意見をいただいており、観光という特定の目的に充てる、一定規模で、安定的かつ継続的な財源として、宿泊税導入に向けた検討を進めることといたしました。
このような考えのもと、本市の宿泊税に関する案をお示ししたところであり、今後、パブリックコメントなどで広くご意見を伺うとともに、宿泊施設をはじめ、関連する事業者の皆様の声も丁寧にお伺いしながら、検討を進めてまいります。
〇都市整備局長(反畑勇樹)
私からは、県営住宅に係る県への申し入れに関するご質問についてお答えいたします。
県では、集約移転の対象となった入居者に対して昨年秋より移転先や時期に関する面談を実施しており、1回目の面談については終了したと聞いております。
県に対しましては、これまで入居者の移転先確保が困難となる場合には、県営住宅の一部建替えや借上げによる対応を検討するなど申し入れを行ってきたところでございます。
引き続き、県に対しましては県営住宅にお住まいの皆様の居住の安定確保に向けて、責任をもって対応するよう求めてまいります。
〇教育長(福田洋之)
はじめに、特別教室へのエアコン整備についてお答えいたします。
業務用エアコンを整備する場合、大型の室外機の設置や配管の取り回しなど、こういった設計が必要となりますほか、相応の工事期間を要することになり、学習環境への影響も少なくないものと考えております。
このため、増改築や大規模改修の際に業務用エアコンを整備することとし、当面、増改築等の予定がない学校については、比較的短い工期で設置ができるルームエアコンを整備することとしたところでございます。
整備にあたりましては、対象となる教室の面積や形状に応じて、十分な冷房能力を確保できるよう機器を選定するとともに、複数台を配置するなどして、早期の学習環境の改善に取り組んでまいります。
次に、給付型奨学金制度についてです。
学生等が家計の状況によらずに修学の機会を確保することは、国全体で対処すべき課題であり、国においては給付型奨学金の拡充を含めた高等教育修学支援新制度による支援を行っているところでございます。
令和6年度からは、多子世帯の中間所得層にも支援が拡大されることとなっており、本市としては、こうした国の修学支援制度を学生や保護者が活用できるよう、引き続き、ホームページや高校生向けのチラシの配布などを通じて情報提供を行い、修学機会の確保につなげてまいりたいと存じます。
〇花木則彰議員
再質問したい事、たくさんありますけれども、絞ってお聞きしたいと思います。
一つは敬老乗車証問題です。私は全体でこの問題を5問お聞きしました。
1問目の、制度の多面的な役割については、まあ認めるといえば認めるお答えだったのかなと思いますが、しかし後はどれも聞いたことに正面からは答えていない状況だと思います。
一つは多面的な効果、経済効果も一定あるというふうにお認めならば、見直し、そして負担の引き上げで、その効果がいったいどうなるのかということについての影響ですね、これが検討されてないというのがまず第一の問題です。
これについて検討すべきだということを求めているんですが、再度お答えねがいたい。
持続可能な制度にするためというふうに言われますが、総合的に、とごまかしているだけで、いったいなぜ持続可能な制度にこのままだとならないのか、ということについて全く高齢者の皆さんや市民に伝わる論理構成になってないだと思うんです。繰り返し私委員会等でもお聞きしているんですが、何度聞いてもそこがないんですよね。今後年間の予算、敬老乗車証についてはあと3億円予算を増やせば値上げしなくても10年間は大丈夫だって、市の方が推計出しているんですよ。そういう推計を。27億は出せるんだけど30億は出せないっていう話も何度聞いても今の答えでもはっきりお答えにならない。
またパブコメの理解の問題ですけれども、相当なごまかしがあると思いましたけれども「何らかの値上げ・見直しは必要だということでは一定の理解が得られたと考えている」ということと、2.5倍のこの中間案の見直しについては過半数の方が反対の意見を言われていてね、そのまま2.5倍で出してくるっていうのはなぜなのか、っていうことについてもお答えがありませんでした。
結局、その3億円出せないという話も答えないし、2.5倍にしなきゃいけないんだという話も論理的にないから、結局そういう形であいまいな、「総合的に考えて中間案通りにしました」という話になっているんだと思うんです。
これでは、いくらホームページやあるいは、これから説明会を開いたとしても説明する中身がないんじゃないでしょうか。
市長にお伺いしますけれども、値上げを決めてしまってから「背景や必要性について丁寧に説明する」といいますけれども、この場所で説明できないことをあとでできるとは思えません。是非ですね、市民に直接説明をするおつもりになって、以上の点、5点聞きましたけど、4点そのまま答えになっていないので、4点についてご自身でお答えいただきたい。それを答えることが難しいとお感じなのであれば、それはやはりここ数年、過去最高額にも達しないというのもわかっているわけですから、是非この場では一旦取り下げて、市民との対話にしっかり取り組む決断をすべきだと思います。是非お答えください。
もう一点は、いわゆる市の施設、指定管理になっているような施設たくさんあります。ここについて見直しはしないということを方針としてもったんだ、というお話ですよね。
質問の第一問で聞いてます通り、それでは、子どもたちや市民の利用者にガマンしなきゃいけない事態になるんじゃないかと言ってるんですよ。
ですから必ずですね、今もう足りないってわかっているわけですから、急に水光熱費が下がるってことありませんから、今の時点で上がってる、来年度についても高い水光熱費がかかるというようなことがわかっている時に、事業者の責任で対応するんだなんて言ってたら、本当に利用者が困りますよ。これが仙台市の施設の維持管理の予算としてふさわしいのか、ということでお聞きしてるんです。
財政局長はお答えになりませんでしたが、そこのところで私がお聞きしたのは、こういう予算の出し方がいいのかという話なんです。
議会は予算案を提案をされて、その予算で市の仕事が十分できるのか、あるいは過大なものになっていないのか、審査するんです。これから予算案の特別委員会もありますけれども、そういう形で審査をしてOK出す。あるいは、ここは足らない、ここは多すぎる、これを議会に諮っているはずなんですよ。だけど、はじめから足りないってわかっている、あるいは補正で手当しなければならないだろうと思っている予算案を議会に提案して、何審議しろというのか。
それがやはり、ただ出したもんだから認めろということであれば、これは大問題ですよ。ですから大事な問題ですので、ぜひ慎重にお答えくださいということをお願いしをているので、この大きくいって2問ぜひよろしくお願いいたします。
〇市長(郡和子)
まず、敬老乗車証の見直しについて、4点ご指摘がございましたけれども、私からまとめてお答えさせていただこうと思います。
パブリックコメントの読み方にもよるんだというふうに思いますけれども、本市といたしましては、多くの方々からご意見を寄せられて、先ほどご説明したとおりのように認識をしているところでございます。
また、高齢化の進展でですね、医療介護を始めとする高齢者施策全般に係る事業費は確実に増えていくことが見込まれているわけでございます。その中にあっても、この敬老乗車証制度というのが、多くの高齢者の皆さま方が社会参加をすることを後押しする大きな役割を担ってきたものと理解をしております。そして、この支援というのは何よりも重要だという風に考えているところでございます。
そうした考えからこの度様々分科会も含めまして、長い間ご議論をいただいたところでございまして、今回の見直しについて速やかに進める必要があるという判断をいたしまして、条例案等を提案させていただいたものでございます。
引き続き、利便性向上なども進めながら、この制度を安定的に運営してまいりたいと存じます。
〇財政局長(永渕智大)
私からは、指定管理施設における光熱水費対応についての再度のご質問にお答えを申し上げます。
指定管理の施設につきましては、例えば5年間といった形で債務負担行為を設定させていただいてございます。今回も、令和6年度からスタートする指定管理施設については、最新の数値でもって設定をさせていただいているところでございます。
その時点時点での物価高騰を見込んでいるわけでございますが、その5年間なり一定期間の途中で物価高騰等が起きた場合には、先ほど原則としては協定に基づいてと いうことで申し上げてはおりますが、物価高騰の影響も踏まえながら、市民利用施設の安定した運営の観点から、急激な光熱費高騰によって赤字が見込まれる施設に対しては、補正予算により必要な対応を行っているというところでございます。
この点、他の政令市等を見ましても、多くの団体でそのような形で、年度末に物価高騰の状況をよく踏まえた上で、措置をしているという実情もございます。
令和6年度におきましても、物価高騰の状況をよく注視をさせていただきつつ、関係局と連携をして、適切に対応してまいりたいと考えてございます。
〇花木則彰議員
依然としてこういう予算の出し方でいいのか、ということについてはお答えにならないんですけれども、なぜなんでしょうか。
まず、指定管理の今の実態からいうと、指定管理料が足りないのはわかってますよね。そうすると、どうすればいいのかということで言うと、節約することになるんですよ。エアコンつける時間短くしましょう、暖房短くしましょう、いろいろですよ。
たとえば老人福祉センターなんかは、お風呂もやってますからね。これは水光熱費が相当かかると、じゃあどうすりゃいいんだという話になる。
状況としてはそうするとまずは、たとえば老人福祉センターであれば社会課が担当しているから、社会課が持っている予算の中でちょっと手当したりすることになると。でもそういうことになると、今度は予定をしていた様々な施設整備の工事ができなくなって、今年度から来年度に移っているのがたくさんありますし、結局市の施設ですよ。
市の市有施設で、そしてその管理の一形態として指定管理という制度をとってるんですよ。でもその必要な経費は仙台市が出さないと他からもどこからも出てこないんです。だから3年前、4年前に契約をした額でやってもらうのが事業者の責任です、なんて言ってられない事態というのが今年度、一年間過ごしてわかってるんですから。対応しなきゃいけないじゃないですか。なんで対応しないのかと。それならそれで、予算取ってるんですと、この予算で対応しますっていうことを予算として提案されるのならまだわかるけれども、何の説明もない、議会に対して。
足らないってわかっている話が予算案として議会の方に提案されるという今の事態について、これはおかしいんじゃないかという話ですので、これはやはり責任をもってお答えいただかなければならない問題だと思います。
もう一つ市長からもお話がありましたが、「説明してください」って今の1分ぐらいの説明しかできないんですよ。
中身としては、パブリックコメントの受け止めはさっき言った通りだと、それから高齢福祉費が全体としてどんどん伸びていくということなので、敬老乗車証を負担を上げてもらうと。社会福祉審議会等で長い間議論してもらって、速やかにということだったので速やかな提案だと。中身なにもしゃべってないですよ、今、市長ね。説明になってないんですよ。
具体的に言うと、高齢者福祉費が増えるのは年間7億円ずつ増えて、10年間で70億円増えるって言ってるんですよ。敬老乗車証を2.5倍負担しても、年間でいえば3億円しか減額効果ないんですよ。あんまり関係ないんですよ、だから70億円の話と3億円の話が。
ですから敬老乗車証について、どうして維持できないというふうに言うのか、について説明してほしいと皆さん思ってるし、そういう提案になっていないということであれば、これは決めてから後で説明しても、まったくダメですから、やはり取り下げてもらう必要があるというふうに思っています。
4病院問題で、当事者や地域の声を聞かないで、知事が勝手な再編案を出したと、その説明を仙台市にも市民にもまともにできないと、知事が直接説明もしないと。このことに市民も議会も、当局も怒りを禁じえない状況に今なってるじゃないですか。
市長、敬老乗車証の利用者負担の大幅な引き上げが、同じように強行されようとしているのではないでしょうか。立ち止まって市民にまっすぐ向き合ってこそ「まちの主役は人」の公約を守ることになると思いますが、あらためて取り下げの決断を求めます。お答えください。
〇市長(郡和子)
再々質問いただきました。繰り返しになりますけれども、この度のパブリックコメントにつきましては、666件のご意見が寄せられました。
本当に幅広い年代の方々から寄せられたご意見でございまして、そのうち利用者負担割合の変更に関するご意見がかなりを占めたところではございますけれども、見直しを容認するご意見というのも結構いただきました。
また、60歳台以下ではですね、容認意見が多く見られたところでして、利用されている方とそれ以外と言うことではなく、60歳台以下の方もいずれは自分たちも活用するのだと、こういう期待も寄せながらの意見であったと認識をしているところでございます。
また、パブリックコメントでいただきましたご意見のほかにも、高齢者施策を取り巻く現状ですとか、それから将来推計、この間の社会福祉審議会老人福祉専門分科会でのご意見、これらを総合的にやはり見ていく必要があるのだという風に思いまして、この制度を将来にわたってですね、若い世代の方々も高齢になったときにしっかりと利用できる制度として運営をしていかなければならないのだという観点から、今回の条例案を取りまとめたものでございます。
そしてご提案をさせていただきました。
〇財政局長(永渕智大)
指定管理施設における光熱費への対応について、再度のご質問でございます。
指定管理を担っていただいている事業者の方々に我慢を強いるということではございませんで、昨今のエネルギー価格の先行き、最近でも、国によるエネルギー支援が延長されるといった話も出ている中、先行きが非常に見通しにくいという状況もございます。そういった中でも、影響を適切に把握をして補正予算で的確に措置をしていくという方針でおりまして、令和6年度も、不足分についてはそのように対応したいというふうに考えてございます。
より的確にその不足分に対応できるという意味でも、他の多くの政令市で補正予算で対応されているものというふうに認識をしてございまして、いずれにいたしましても、関係部局と連携をして適切に対応してまいりたいと考えてございます。