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一般質問 庄司あかり議員(12月14日)






【概要】大震災の記憶と経験を語り継ぐこと~
           人材の確保と生活保障





◯庄司あかり議員

日本共産党仙台市議団の庄司あかりです。東日本大震災から10年を迎えるに当たり、被災者の生活再建と震災の記憶の継承、今後の災害対策に関わって、一問一答方式にて一般質問いたします。
 
仙台市において、自力で住宅を再建するのが困難な被災者の方々がついの住みかとして選んだのが復興公営住宅です。3206戸整備されました。市は、復興公営住宅の特別家賃低減事業が期限を迎える管理開始後10年を目途に、復興公営住宅と市営住宅の家賃減免制度の一本化を図るための検討を進めています。第3回定例会では、「コロナ禍において入居者の収入やそれに伴う家賃が変動する中で、実態の調査が遅れている」という旨の御答弁でした。
住宅セーフティーネットという重要な役割に鑑みれば、これまでも求めてきたように、どちらの入居者にとっても値上げとならないような家賃減免制度とすべきです。新型コロナの影響が長期化する中、今後の検討の見通しについて伺います。
 
復興公営住宅に関わる復興交付金は、特別家賃低減事業交付金に加えて、災害公営住宅家賃低廉化交付金がありますが、2018年度には補助要件について国から変更が示されています。内容について御説明ください。
 
東日本大震災で津波により甚大な被害があった沿岸部について伺います。
昨年の11月30日に開通し1年がたつ東部復興道路は、海岸防潮堤と併せて二線堤となることから、「命の道」と称されています。同時に、ここを境にして、住宅の建設が禁止される災害危険区域と、住宅建設可能な現地再建地区に線引きされた道路でもあります。
 災害危険区域と現地再建地区、それぞれのまちづくりについて、次期都市計画マスタープラン(中間案)での位置づけと今後の取組について伺います。
 
今年10月、中心部震災メモリアル拠点検討委員会の報告が出されました。印象的だったのは、「人間の想像を超える大災害が現実に起きること、また、それが人間の一生をはるかに超えた時間軸で起きることを体験した私たちは、災禍の記憶を残し、後世まで経験を伝え、来るべき災害に備えていくことの重要性を骨身にこたえて認識しました」という部分です。
その上で、報告では、検討における留意事項として、「事業を担う人材に求める専門性や継続的な人材確保の方策、人員規模、組織構成、待遇など、主体の在り方を定め、可能な限り早期の人材確保が必要です」と指摘しています。これは、中心部拠点だけでなく、せんだい3・11メモリアル交流館や震災遺構荒浜小学校など、本市におけるメモリアル施設全体に通ずる指摘だと感じました。
 震災メモリアルの在り方において、「人づくりの視点を重視し進めたい」としてきた郡市長は、今回の検討委員会の報告をどのようにお感じになったでしょうか、伺います。
 
仙台市が救助実施市となって初めての災害救助法適用となったのが、昨年の東日本台風です。床上浸水などの住宅被害が多数あったにもかかわらず、認定の多くが一部損壊でした。そうした中でも、罹災証明を発行する税務部、納税部では、何度も現地に赴き、被災の実態に沿う認定にするためのたゆまぬ努力をしていただきました。今年8月には、床下の汚泥の状況確認の結果、ようやく半壊の認定になった住宅もありました。
 そこからのオール仙台市の対応はすばらしく、台風から1年経過する中でも、保険年金課ではみなし仮設の遡及適用、環境局総務課では公費解体の適用、被災者支援担当課では、解体で全壊扱いとなり生活再建支援金が申請できるものの、その期限が11月に迫っていたことから、申請に間に合うよう市が滅失証明を発行する準備をしていただきました。被災された方が制度を活用できるよう、フル稼働された各局各課の皆さんに感謝申し上げます。
今後の災害対応において、こうした制度は被災者支援のスタンダードメニューとし、ひとたび災害が起これば迅速に支援を行えるよう備えることが必要と考えますが、いかがでしょうか。
 
今回改めて痛感したのが、罹災証明が様々な支援策の前提になっていることです。国は、生活再建支援金の支給に中規模半壊を加えるとして法改正を行いました。被災者への直接支援として前進したことは喜ばしい反面、これにより、「全壊、大規模半壊、中規模半壊、半壊、準半壊、一部損壊」と、10%刻みで6段階の被害認定となります。より細分化されることで、被害認定調査へ一層の労力と時間が費やされることが懸念されています。
実態に沿った被害認定が速やかに行われることは、被災者にとっても行政にとっても重要です。被災地への人的支援の強化や、より簡易な調査認定手法を示すよう、国に求めるべきと考えますが、いかがでしょうか。
 
一括での質問は以上とし、以降は一問一答にて伺ってまいります。





◯市長(郡和子)

ただいまの庄司あかり議員のご質問にお答えをいたします。
中心部震災メモリアル拠点検討委員会の報告に関する私の認識についてのお尋ねでございました。
東日本大震災の発災から間もなく10年を迎えます。記憶の風化が課題となる中、委員会からは、震災の経験や教訓の後世への継承にとどまらず、市民の皆様との協働により災害に強いまちづくりに取り組む、災害文化の創造という理念を御提示いただきました。
この理念は、宮城県沖地震や東日本大震災などの大規模災害を市民の皆様と共に乗り越えて、東北の中枢都市としての歩みを続けてきた本市仙台市の未来のまちづくりを考えるときに、そしてまた仙台防災枠組の採択都市として、多様なステークホルダーの皆様と共に、世界の防災文化への貢献を目指すといった観点からも大いに共感をするものでございます。
私といたしましては、世代を超えた震災の経験や教訓の継承に向けては、継続的な人材の確保、育成といった点も重要であると認識しておりまして、引き続き、防災環境都市・仙台にふさわしい中心部震災メモリアル拠点の具体化に向けて検討を進めてまいりたいと存じます。
そのほかの御質問につきましては、関係局長から御答弁を申し上げます。
以上でございます。





◯危機管理監(木村洋二)

私からは、被災者支援制度についてのお尋ねにお答えいたします。
令和元年東日本台風では、本市におきましても、市内各所で床上浸水などが発生し、住宅や家財等に被害を受けた方々がおられたところであり、災害救助法を適用し、これに基づく住宅の応急修理やみなし仮設住宅の供与など各種支援制度により、お住まいや生活の再建を支援してまいりました。
今後も、大規模災害発生の際には、法令や通知に基づく各種支援制度について、それらの周知に努め、御活用いただくことにより、被災された方々の生活再建に向け取り組んでまいります。
以上でございます。





◯財政局長(福田洋之)

私からは、罹災証明書の被害認定についての御質問にお答えをいたします。
今般、被災者生活再建支援金の支給対象に、新たに中規模半壊世帯の区分が追加されたことを踏まえ、国では、今年度内を目途に被害認定の運用指針を改定する予定と伺っているところでございます。
本市におきましては、これまでも、迅速な罹災証明書の交付につながりますよう、運用指針の簡素化、合理化について国に要望してまいりましたが、改定によって被害認定が複雑化し、調査に時間を要することとならないよう、改めて国に働きかけてまいりたいと考えております。
人的支援につきましては、市内の3つの税務署と締結している応援協定や、大規模災害時の円滑な支援を実現するため国が策定した、被災市区町村応援職員確保システム等を活用し、被害調査に必要なマンパワーの確保を図ってまいります。
以上でございます。





◯都市整備局長(八木裕一)

私からは、都市整備局に関わる3点のお尋ねにお答えをいたします。
 
初めに、復興公営住宅等の減免制度の見直しについてでございます。
市営住宅、復興公営住宅の減免制度の見直しにつきましては、令和5年度からの実施を目指し、現行制度の適用状況や、現在入居されておられる各世帯の家族構成等について調査、検証を行っているところでございます。
今般の新型コロナウイルス感染症の先行きが見えない中、地域経済や雇用への影響も懸念されてございますが、減免制度の検討に当たり重要な要素となる入居世帯の収入の状況などについて、引き続き必要なデータ収集を行いまして、具体的な検証、検討を行ってまいります。
 
次に、家賃低廉化交付金の補助要件についてでございます。
本市では、平成29年度より被災者以外の方の復興公営住宅への入居を開始しておりますが、平成30年1月に県より示されました交付金取扱いの変更により、平成30年度以降は、復興公営住宅に入居する被災者以外の方の分も補助対象に含めて、災害公営住宅家賃低廉化事業交付金の交付を受けることが可能となったものでございます。
 
次に、沿岸部における都市計画マスタープラン中間案での位置づけ等についてでございます。
中間案におきましては、仙台東部道路より東側の区域を集落・里山・田園ゾーンと位置づけ、恵み豊かな環境を保全するとともに、地域に根差した文化等を生かした魅力づくりにより、集落の維持や農林業振興を図ることとしております。
そのうち、防災集団移転促進事業によって市が取得した移転跡地を交流再生区域として位置づけ、新たな魅力の場を創出し、地域の歴史や文化、東日本大震災の記憶と経験を国内外へ発信、継承することといたしております。
以上でございます。





◯庄司あかり議員

まず、復興公営住宅の家賃について伺います。
復興公営住宅の特別家賃低減事業は、所得月額8万円以下の世帯に最大で70%の減免です。一方で、市営住宅は収入月額7万7000円以下で最大で100%減免となります。市営住宅の家賃減免の優位性についてはしっかり残した上で一本化することを求めますが、いかがでしょうか。





◯都市整備局長(八木裕一)

減免制度の統合につきましては、世帯ごとの収入や家族構成などを把握しました上で、十分な検証と検討を行ってまいりたいと考えております。





◯庄司あかり議員

一本化する上での考え方については、これまで全く示されていないわけです。新型コロナの影響で収入が減少している、より生活が苦しくなっている入居者の皆さんの状況も鑑みて、この市営住宅の家賃減免制度の優位性は残すことを求めておきます。
家賃制度の一本化の前に整理しておくべきだと思いますのが、復興公営住宅の収入超過世帯の家賃についてです。
入居時には被災者なので、入居収入基準を問われずに入ることができたのに、入居後は市営住宅の収入基準が適用されるため、4年目から割増し家賃が課されます。昨年度の最大家賃は15万9900円です。時がたち、子供も働くようになるなど、政令月収が15万8000円を超えた途端に割増し家賃となり、とても払えないと退去せざるを得ない事態が起こっています。
これまでも私ども提案してきた解決策は、裁量階層に被災者を加えて、入居収入基準を25万9000円に引き上げること、そうすれば、割増し家賃ではなく、収入に応じた家賃となり、収入超過世帯の9割が対象になるというものです。2017年に復興庁から出された通知でもこうした対応が可能となっていまして、県内では、石巻市、東松島市、南三陸町、気仙沼市、岩沼市、山元町がそれぞれ家賃割増し分を減免しています。女川町は入居収入基準を25万9000円としています。
他自治体と同様の対応を本市でも取るべきですが、いかがでしょうか。





◯都市整備局長(八木裕一)

本市におきましては、県内の他市町と異なりまして、民間の賃貸住宅が十分に供給されておりますことから、復興公営住宅を退去された場合であっても、その方の収入や生活条件などの生活実態に応じた民間住宅の選択が可能であるものと考えてございます。そうしたことから、入居収入基準額の見直しは考えていないところでございます。





◯庄司あかり議員

ほかの市町と異なって民間賃貸住宅がたくさんあるという御答弁を繰り返していらっしゃるわけです。
では、一括質問で伺った災害公営住宅家賃低廉化交付金について確認をしたいと思います。
ご説明いただいたとおり、2018年度から、被災者が退去したか否かにかかわらず、復興交付金が交付されます。管理開始から20年間の交付金です。これは、被災者が退去しても、仙台市は復興交付金をその世帯の分まで受け取り続ける仕組みという理解でよろしいでしょうか。





◯都市整備局長(八木裕一)

災害公営住宅家賃低廉化事業交付金につきましては、被災者であるか否かにかかわらず、基準日であります10月1日時点で入居中であれば、交付金の対象となってございます。





◯庄司あかり議員

被災者が退去して入れ替わったとしても、その世帯の分、交付金が来るという仕組みなんです。特別家賃低減事業交付金は被災者の分しか来ませんが、より金額が大きいこの家賃低廉化交付金がそういう取扱いになっているわけですね。
昨年度は20億円交付されて、全額取り崩し、一般財源に振り替えています。復興交付金の原資は復興税です。国から通知もされている収入超過世帯への減免も行わず、退去に追い込み、復興交付金は、被災者支援に使うでもなく、一般財源に流用しています。市長、この使い方でいいんでしょうか。これ道義的に許されるとお考えになりますか。





◯都市整備局長(八木裕一)

今回の交付金につきましては、復興公営住宅や市営住宅全体に係る長期的な維持管理の費用を中心に充当させていくことになるものと考えてございます。





◯庄司あかり議員

市営住宅も含めて全体に関わる長期的な維持管理のためというふうにおっしゃるんですよ。であればですね、本庁舎や公共施設保全整備基金のように積み立てておく、長期的に使うわけですから、のが筋で、毎年取り崩して一般財源化するというのは理屈に合わないというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。





◯都市整備局長(八木裕一)

今回の交付金の使途につきましては、将来的に必要となる市営住宅及び復興公営住宅の維持管理に相当する額も含めまして、当初の20年間で交付されるものでございます。今後、60年の長期にわたる市営住宅等の管理運営等に引き続き適切に充当してまいります。





◯庄司あかり議員

60年にわたるものに活用したいんだったら、毎年20億円きっちり全額取り崩して一般財源化するというのでは、全然今の御説明となおさら食い違っているんじゃないでしょうか。
被災者が退去しても、市にとっては被災者かどうか関係なく復興交付金を受け取って、一般財源化しているということを、被災者が、市民が納得すると思いますかと聞いているわけです。こうした財源、まず収入超過世帯への減免のためにこそ使うべきと思います。市長、いかがでしょうか。





◯都市整備局長(八木裕一)

繰り返しになって恐縮ですけれども、やはりこの交付金につきましては、長期60年にわたる維持管理に相当する額も含めまして交付を受けているものでございまして、市営住宅等の管理運営等に引き続き充当してまいる考えでございます。





◯庄司あかり議員

そう繰り返されるとやっぱりお聞きしたくなるんですけれども、今後60年使うために交付されているものを毎年取り崩して、どうやって長期的に活用するんでしょうか。





◯財政局長(福田洋之)

一部ちょっと繰り返しになる部分もあろうかと思いますけれども、災害公営住宅の家賃低廉化事業、20年間ということでございますけれども、一旦整備しました復興公営住宅、長期にわたって被災者以外の方も入居する、通常の市営住宅としても運営していくという施設になります。そういったこともありまして、市営住宅全体として長期的な収支で判断をする必要があるということかと思います。
整備後、当面の間は、家賃低廉化事業の復興交付金の交付などによって、単年度では歳入が歳出を超過するという期間ありますけれども、その後の市債の償還の本格化ですとか大規模修繕などによって、公共施設総合マネジメントプラン上の市営住宅の計画保全年数である、先ほど申し上げている60年スパン、そういったことで考えますと、歳出が歳入を大きく上回るというものと試算をしておりまして、そのため、当該年度の交付金につきましては全額を取り崩した上で、歳出を超える部分について一般財源化をし、後年度見込まれる大規模改修などを行う際には、事業費の平準化を図りながら、他の一般財源も用いながら、それで賄っていくという取扱いを、これまでも他の市営住宅についても行ってまいりましたけれども、そういったことで適切に対応してまいりたいというふうに考えております。





◯庄司あかり議員

将来的に市債の償還など、収支が支出のほうが上回ることが考えられるというのであれば、やっぱりそこを積立てしておいて、そのときに使うというのが説明がつくんだと思うんです。それほど市民への説明に苦慮されるようなお金の使い方はやめるべきです。権限も財源もあるんですから、あとは決断するだけです。これについては引き続き求めていきたいと思います。
集団移転跡地利活用をめぐっては、せんだって荒浜地区で事業者が撤退となり、大変残念でした。住民不在の地域でどのようににぎわいを取り戻していくのか、これは災害危険区域指定を行った本市が果たすべき重い責任であると考えます。
同時に、人が住まない地域であるがゆえに、不法投棄や不審火などの治安の悪化が懸念されています。荒浜地区では、震災後、荒浜再生を願う会が行ってきた海岸清掃を引き継いで、元住民の方を中心に深沼ビーチクリーンが毎月行われていますが、夏場には花火やバーベキューのごみなどが砂浜に散乱しているそうです。
また、被災した自宅の跡地を活用して造られたスケートボードパークは、被災地に人が集まれる場所をつくるという思いで、8年にわたり運営を続けてこられました。被災後、何もない状態だったパークの周辺ですが、跡地利活用のための造成工事により周りの土地が高くなり、ここ数年は大雨のたびにパークが冠水、営業できない日が続くなどの被害が出ています。
震災後、沿岸部では、住民の努力によって様々な活動が続けられてきました。被災された皆さんにとって、この場所がかけがえのないふるさとだからです。若林区での基本計画中間案の説明会では、深沼ビーチクリーンに関わる方から、人が住まなくなった沿岸部の安全対策について、どこが責任を持って行うのかとの質問が出されました。
沿岸部の環境維持、治安、排水の対策は市が責任を持って取り組むべきですが、いかがでしょうか。





◯都市整備局長(八木裕一)

荒浜地区の雨水排水施設の一部につきましては、震災後、復旧に至っておらずに、冠水の一因となってございますが、跡地利活用の事業によりまして土地利用を行う区域の雨水排水施設につきましては、令和3年度から本市が施設の復旧整備を行ってまいります。
また、不法投棄や治安確保に関しましては、地域からの御要請もありましたので、宮城県警によるパトロールを強化していただいているところでございます。
引き続き、本市の関係部局、利活用事業者や地域の方々と協力をいたしながら、環境、治安の維持に努めてまいりたいと考えてございます。





◯庄司あかり議員

跡地利活用事業の中で排水も施設の復旧を行うということですけれども、今御紹介したのは、跡地利活用地域外の排水対策、隣接するところですね、になりますので、その点もきちんと受け止めて取り組んでいただきたいと思います。
 
現地再建地区について伺います。
多くの住民が戻り、生活再建を果たしました。しかし、これからの集落の維持には課題を抱えています。基本計画の説明会では、六郷東部の住民の方から、若林区は人口が増えているけれども、被災地域については減少している。土地が安くて環境もいいと移り住みたいという方もいるが、新築できないと断念したケースがある。人が住むことによって限界集落にならないような状況をつくってほしいとの御意見がありました。被災地はもとより、市街化調整区域で聞かれる悩みです。
定住人口を維持するための取組が必要であり、先ほど御説明いただいたように、次期計画でも位置づけられているわけですので、具体的にどのように支援するのか伺います。





◯都市整備局長(八木裕一)

沿岸部の集落・里山・田園ゾーンにつきましては、優良な農地が広がる本市の第一次産業を支える貴重な地域でございますことから、市街化を抑制すべき市街化調整区域としております。
これらの地域におきましては、豊かな田園環境や地域に根差した文化など、地域の強みや特色を生かした取組が重要と考えておりまして、このようなまちづくりは地域が主体となって推進していくことが必要でございます。
引き続き、区役所や経済局などと連携しながら、住民の皆様と地域の魅力づくりに向けて取り組んでまいりたいと存じます。





◯庄司あかり議員

地域の魅力づくりというお話ですけれども、魅力を感じて住みたいと思っても、今住宅の建築に障壁があるというケースを挙げています。農家住宅や既存宅地同等地など、市街化調整区域でも住宅を建てられる要件を移住希望の方々に周知し、移住による集落の維持をサポートすべきです。
また、山形市では、市街化調整区域において、条例による区域指定で集落全体での住宅建築を可能とし、移住や定住の促進を図っています。
こうした積極的な取組や、地区計画をつくっての対応もできるはずです。このたび、井土浜地区や岡田地区などで本市が主体的に移動の実態調査を行うこと、高く評価しています。同様に、現地再建地区の集落維持に向けて、本市が主体的にまちづくりへの支援を行うべきと考えますが、いかがでしょうか。





◯都市整備局長(八木裕一)

市街化調整区域におきましては、本市の機能集約型の都市づくりの考え方に基づきまして、住宅開発のための地区計画を定めないこととしております。
こうした集落のまちづくりにおきましては、地域の強みや特色を生かした地域主体の取組が重要であると考えております。このような取組に対しましては、まちづくり専門家派遣制度による支援を行うなど、関係部局と連絡をいたしながら、住民の皆様と地域の魅力づくりに向けて取り組んでまいりたいと存じます。





◯庄司あかり議員

地域の強みを幾ら生かしても魅力を創出しても、家が建てられなければ限界集落になってしまうということを申し上げているんです。集落の維持を図るという計画のとおり支援すべきですので、これは求めておきます。
 
次に、震災の記憶の継承について伺います。
今年度、荒浜小学校の職員が、東二番丁小学校で出前講座として、荒浜小学校のあゆみとこれからと題してお話をされています。子供たちの感想を読ませていただきました。
お話をしていただいたことで、命、暮らしの大切さや地震や津波の怖さが分かりました。教えていただいた話をいろんな人に伝えていくのも、私たち子供の役目なんだなと思いました。前に行った荒浜小学校は周りに人が住んでいたという実感が湧きませんでしたが、今回の話を聞き、ここを大切にしていた人がいたというのが分かりましたという感想からは、震災遺構を見るだけでなく、人が語り継ぐことで実感として伝わること、その言葉がしっかり次世代に届いていることが分かり、感銘を受けました。
中心部震災メモリアル拠点の在り方にも関わりますが、継承する人を育てる取組をおろそかにすると箱物頼みになってしまいます。人が語り継ぐことの重要さ、市長はどのように認識されているのか伺います。





◯市長(郡和子)

先ほどの答弁の中でも申し上げましたけれども、やはり震災の経験や教訓を未来へ語り継いでいくということ、その主体は人でございます。ですから、人づくりの視点というのが欠かせないものと、このように思っています。
これまでも、せんだい3・11メモリアル交流館において、伝承活動に取り組む団体などとの企画協力などを通じて、担い手づくりにも取り組んできたところでもございますが、そうした方々とも連携を図りながら、経験と教訓が絶えず受け継がれていく環境というのを整えてまいりたいと思います。





◯庄司あかり議員

その人づくりの視点から具体的に伺いますが、震災遺構荒浜小学校、間もなく来館者数27万人になります。市内の小学校をはじめ、国内、世界中から官民の団体、個人が来館して、今年度にはオンライン対応も行っていますが、全て対応しているのは会計年度任用職員です。中には被災された方や七郷地区で生まれ育った方などもおられ、御自身の体験や思いを伝える語り部となっていらっしゃいます。
また、職員の中の若い世代が中心となり、沿岸部で活動する団体ともつながって、灯籠流しなど共同の取組を行っています。余人をもって代え難い特別な役割を担っていただいていますが、会計年度任用職員のため、給与水準は週三十時間、一年目の方は月額15万9138円、今年度から出ることになった期末手当は僅か2万6523円です。週35時間、経験3年の方でも、年間の手取りで200万円いかない水準です。子育て中の職員にとってこれだけで暮らしていくのは相当厳しく、2つ3つの仕事を掛け持ちして生計を立てている方もいらっしゃるとのことです。
 担っている責任と役割に対し、正当な対価を保障しないのは使命感の搾取だと思います。震災遺構を直営で運営することは大変重要ですが、であれば正規職員として配置すべきです。とりわけ、次世代への継承の担い手となる世代の会計年度任用職員を専門職として正規採用すべきです。いかがでしょうか。





◯まちづくり政策局長(梅内淳)

荒浜小学校で勤務する会計年度任用職員には、津波被災者という自らの経験を生かしながら、来館者への御説明に当たっている者もおり、本庁舎勤務の正職員と連携して施設の管理や来館者への対応を行ってございます。
荒浜小学校の運営につきましては、正職員採用は競争試験によるという原則とします地方公務員法の趣旨等も踏まえた上で、会計年度任用職員と本庁舎に勤務する正職員との役割分担なども考慮しながら、引き続き対応してまいる考えでございます。





◯庄司あかり議員

来館した小学生から、将来荒浜小で働いて震災を伝える仕事をしたいと話されることもあるそうです。仕事として成り立つようにしてほしいということなんです。そのためのハードル、整理して改善すべきという、これは問題提起ですので、ぜひ受け止めていただきたいと思います。
広島市の平和記念資料館の運営は公益財団法人広島平和文化センターへの指定管理ですが、広島市から四名の職員を派遣しており、市役所が深く関わりを持つ運営体制となっています。また、人材確保の取組として、専門職として学芸員を配置しているということです。
50年、100年先の未来に記憶を継承するには、人を育てることを仕組みとして導入しなければならないと考えます。市が責任を持って取り組むべきと思いますが、いかがでしょうか。





◯まちづくり政策局長(梅内淳)

先ほど来、市長から御答弁申し上げておりますように、世代を超えて経験と教訓を継承し、将来の災害に対ししっかりと備えていくため、人材の確保、育成などの体制づくりは重要なものと認識をいたしております。
今後とも、未来に向けた記憶の継承が可能となりますよう、中心部震災メモリアル拠点等の効果的な体制整備などと併せ検討を進めてまいる考えでございます。





◯庄司あかり議員

人材確保、育成は大事ですので、それをどう仕組みとして担保していくか、それが将来にわたってつなげていくための大事な責任だと思いますので、今後も共に考えていきたいと思います。
罹災証明は災害対策基本法で市町村に交付が義務づけられているものの、発行については自治事務とされており、各地方公共団体の判断により認定されるとなっています。国の運用指針にも法的根拠はなく、災害救助法や生活再建支援法と罹災証明との間にも直接的な関連規定は存在しません。
しかし、事実上、罹災証明を基に支援策が活用できるものとなっており、他自治体との均衡を図るためには、自治事務であっても、国の膨大で精緻な運用指針を参考に認定せざるを得ない状況があります。
建物の損壊割合だけに依拠して支援の程度が決まるという考え方では、今後も僅か一点の境界線で受けられる支援に差がつくことになります。被害認定だけでなく、被災者一人一人の実情に合わせて支援する災害ケースマネジメントの観点が必要です。今後の災害対応において、こうした考え方を生かす支援策を国に求めるとともに、市としても実践すべきです。いかがでしょうか。





◯危機管理監(木村洋二)

本市では、東日本大震災の際に、約1万2000世帯に上る仮設住宅入居世帯に対し、戸別訪問で把握した課題等を踏まえて世帯を類型化し、支援が必要な世帯には個別支援計画を策定して生活再建を後押ししてまいりました。こうしたいわゆる災害ケースマネジメントの手法、ノウハウは、今後とも生かしていくべきものと考えております。
他方、国におきましても、今後起こり得る災害への備えとして、災害ケースマネジメントの重要性が評価されているものと認識しており、国の制度化等に向けての動きについて把握してまいりたいと存じます。





◯庄司あかり議員

昨年の台風対応ですね、独自支援については、小規模災害見舞金だけという課題を残したと思います。東日本大震災では住宅再建への独自支援も行いましたが、あの震災に比べれば小規模だからと、今後の災害対応で支援をためらってしまっては、震災を経験した市民にとってむしろマイナスです。震災の経験と教訓は、今後の災害における独自支援にも前向きに生かしてほしいと考えます。最後に市長に伺います。





◯危機管理監(木村洋二)

令和元年東日本台風の際は、救助実施市として災害救助法の適用を自ら決定し、これに基づく住宅の応急修理など各種支援制度を実施してまいりました。さらに、本市独自に支援対象の拡大を行い、床上浸水被害に遭われた方にも見舞金を支給するなどの支援を行ってきたところでございます。
今後も、震災の経験と教訓を生かし、適切に支援制度を活用してまいるとともに、引き続き、国、県に対しさらなる支援策の充実について要請してまいりたいと存じます。





◯庄司あかり議員

市長にお答えいただきたかったんですが、今後の市政運営においても、震災の検証と教訓、ぜひ生かしていただきたいということを申し上げて終わります。











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