【概要】
〇災害対策基本法に憲法13条の「個人の尊重」を加えるべき
〇災害公営住宅入居者健康調査結果に即した支援の強化を
〇被災者の拠り所である地域支えあいセンター事業の継続
〇市営住宅家賃減免制度を見直して、家賃が上がらないようにすべき
〇入居収入基準を25万9000円へ条例改正を行い、被災者を追い出さないこと
〇災害公営住宅家賃対策補助金を減少させないよう国に求めよ
◯嵯峨サダ子議員
日本共産党仙台市議団の嵯峨サダ子です。東日本大震災で被災した方々の健康や暮らしの実態に即した支援の継続と強化を求めて一般質問いたします。
今年2月28日、河北新報社とマクロミル社による東日本大震災に関する共同調査結果が新聞に掲載されました。内容は、マクロミル社が保有するネットモニター1483人からの回答結果を分析したものです。調査の対象は、被災3県沿岸部の被災者及び被災していない方と青森、秋田、山形、首都圏などです。仙台市は宮城野区、若林区の沿岸部が対象とされています。
被災者の約半数は、10年以上経過しても気持ちの区切りになっていないことが分かりました。暮らし向き全般では、岩手、宮城、福島3県沿岸部の被災者の27.5%が震災前と比べ暮らし向きが厳しくなったと答え、昨年の調査よりも7.1ポイント上昇しました。被災していない人に比べて、厳しくなったの割合が約14ないし16ポイント高く、より苦境にあることがうかがえます。
調査を分析した東京都立大の中林一樹名誉教授は、被災者が復興している様子がうかがえる一方、この10年で被災者も10歳年を取り、再建負担を抱えた生活は苦しくなっている。次の10年はどれだけ被災地に居住者が満足できる社会をつくれるかが課題になる。高齢化が進む地域で、経済や福祉などソフト分野の充実がポイントになるだろうと述べています。
仙台市においても同様のことが言えるのではないでしょうか。一人一人に寄り添った伴走型支援がこれから先も必要だと思いますが、本市の被災者をどのように把握しているのか、市長の御認識を伺います。
地震や豪雨災害で被害に遭った被災者が、人間らしい暮らしが保障されていない現実があります。東日本大震災でトイレ、台所、風呂が破損した自宅で何年も生活していたとして女性がいたことを、以前議会で紹介しました。いわゆる在宅被災者問題は人権問題として度々マスコミで取上げられています。
罹災判定基準についても、現行の罹災判定の運用は主として住家の損害割合に基づいて判定されています。しかし、台所、トイレ、風呂、屋根といった生活に不可欠な部分が損傷して、生活に著しい支障が生じていても、それだけでは被害に応じた被害判定にならないことも多く、災害救助法や生活再建支援法の適用対象とならず、住居の再建、復興に支障が生じています。
生活再建支援金が少ないがために、住居の再建、修繕が不十分で、必要最低限の生活を全うできない被災者が多数いました。最低でも500万円は必要です。また、避難所は東日本大震災時に、体育館等に多数の避難者が老若男女を問わず長期間にわたり雑魚寝状態にありました。現状は改善されつつありますが、さらなる改善が求められています。
先日、災害法制と憲法について研究している仙台弁護士会の山谷澄雄弁護士の話を視聴しました。山谷弁護士は、被災地で個人の尊厳が阻害される状況を目にし、災害対策基本法に憲法13条で保障した個人の尊重に係る文言を加えることを提案しました。生活保護法は、日本国憲法第25条に規定する理念に基づきと書いてありますが、災害対策基本法第1条には、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的とするとの文言があるだけです。個人の尊厳を具現化するために、災害法制の基本である災害対策基本法の目的条項に、憲法第13条の個人の尊重という文言を書き加えることが必要です。このことを国に求めるとともに、市の施策にもその考え方が貫かれることが必要ですが、いかがでしょうか、御所見を伺います。
宮城県は、一昨年度で6年間続けた災害公営住宅入居者の健康調査を打ち切りましたが、仙台市は、独自に調査を継続し、10月にその調査結果を発表しました。これまでの県の調査では市町村ごとのデータは公開されていませんでしたが、今回から仙台市単独のデータを時系列的に見ることができるようになりました。
さらに、県の調査項目ではなかった治療中断の理由に経済的な理由や多忙を、病気の種類では歯科疾患と整形外科疾患などが新たに加えられました。目的意識的な調査を行っていると評価しますが、これらをどう生かすおつもりなのか伺います。
入居者の65歳以上の割合は、調査に回答した人の61.7%になり、26.5%の人が体調不良を訴え、病気を抱えている人が75.9%、治療をやめた人が6.8%いました。その理由で一番多かったのは経済的理由と答えています。また、心理的なストレスを抱えている人の割合も高くなっています。入居者の健康状態は毎年の調査ごとに悪化しています。市は、調査結果をどのように捉え、分析しているのか伺います。
健康調査は復興公営住宅入居者の健康に関する基礎情報として非常に重要なものです。被災者の健康状態を把握し、要支援者を必要な支援に結びつけるとともに、健康課題に応じた保健事業を展開すること、関係部局と連携して被災者を丸ごと支援する仕組みを構築することが必要だと考えますが、いかがでしょうか、伺います。
東日本大震災で半壊以上の被害を受けた家屋が未修繕のままになっている棟数が、2021年度でいまだに6167もあります。内訳は、全壊416、大規模半壊751、半壊5000です。被災者が未修繕の家屋にどんな状態で生活しているのかが気になります。復興公営住宅入居者と同様に、在宅被災者についても、健康調査をはじめ、なぜ修繕できないでいるのかを調査すべきです。その中で、修繕を希望しながら経済的な理由で修繕できない場合には、関係部局と連携して何らかの支援策を講じるべきです。いかがでしょうか、併せて伺います。
災害援護資金の返済期間である13年間の期限が迫っています。今年九月末現在、仙台市の貸付件数は1万5137人です。県内でも断トツに多い数です。それだけ大変な震災だったということです。
市は、貸付金の返済相談を受ける中で、少額返済を含む支払い猶予措置を取るなどの対応をしています。返済に困って相談に訪れる人には親身な対応に努めていると言いますが、貸付金を滞納している人の状況を把握して、必要な場合は福祉につなげるなどの支援を行うことが大事だと思いますが、いかがでしょうか、伺います。
災害援護資金の管理業務は、償還期間13年に免除期間10年を加えると23年間業務が続きます。災害援護資金は、国が3分の2、都道府県や政令市が残りを負担して貸し付け、市町村が肩代わりして国や都道府県に返済します。借受人が死亡した場合には免除できるという規定となっていますが、国は、民法に準じて第三順位の遺産相続人まで請求するよう指導しており、これが市町村の実務を複雑にさせています。
市は、災害援護資金償還業務における課題として、免除の基準が明確でないことや、最終償還期限到来時や償還免除などの財政負担が大きいと述べています。市が回収業務を行うことにしている2039年までの事務経費は24億円と想定しておりますが、利子収入は9億円ですから、市の持ち出しのほうが大きくなる見込みです。こうしたことから、市は、国に対し、償還期限の延長や自治体の免除判断の尊重、国からの財政支援を要望しています。引き続き、ほかの被災自治体と連携して要望活動を強めるべきです。いかがでしょうか、伺います。
次に、仙台市社会福祉協議会が行っている地域支えあいセンター事業を今年度末で打ち切ろうとしている問題について伺います。
市社協は、震災があった年の12月から単独で被災者支援総合交付金を活用して、みなし仮設入居者、復興公営住宅入居者を対象として、生活支援相談員による個別訪問、見守り支援を行ってきました。
ところが、9月30日付で、個別世帯訪問については一応その役割を果たしたものと考え、令和5年3月をもって終了したいということを復興住宅の自治会長宛てに通知を出しました。健康福祉局もこれを容認し、今後、定期訪問世帯は、復興公営住宅等自治会や福祉担当者、担当民生委員などの地域見守り活動につなげていくとしています。
しかし、ある復興公営住宅の自治会長さんは、生活支援相談員は保健師と一緒に定期的に訪問し、被災者の話をよく聞いてくれて、家族にも言えないことも相談できたのにとても残念だ。被災者の情報を持っているので、問題が起きたときに市や家族に連絡を取ってすぐに対応してくれるコーディネーターの役割を果たしている。4月からどうすればいいのかと、途方に暮れています。
市は、こうした声をどのように受け止めているのか伺います。
事業経費は2021年度決算額で約4200万円です。社協の職員と嘱託職員である生活支援相談員の人件費ですが、100%国費で賄われており、国の予算措置は2025年度まで継続することになっています。
宮城県の資料によれば、補助金を受けている七つの市町と2つの社協のうち、今年度末で事業を廃止するのは仙台市社協のみです。入居者の健康状態を見ても、要支援者は増えていきます。事業の打切りは被災者支援の後退につながります。少なくとも国の予算措置が継続している2025年度まで事業を継続すべきです。伺います。
生活支援相談員は、仮設住宅のときから個別訪問し、経験やノウハウを蓄積してきました。このことは市も認めています。生活支援相談員は1年ごとに更新して、5年までの契約で働いているため、事業が終了すれば雇い止めになります。もったいないことです。
阪神・淡路大震災後、神戸市は、災害公営住宅の集会所などに拠点を設けて常駐支援員を配置し、25年間続けてきました。私たちは、これまで復興公営住宅に支援員の配置を求めてきました。復興住宅に限らず、一般の市営住宅でも様々な困難を抱えた入居者がいます。全部の市営住宅入居者を対象とした支援員を配置して暮らしを支えるべきです。いかがでしょうか、伺います。
市は、復興公営住宅入居者のうち、特に低所得者の家賃を減額する復興減免を行ってきましたが、管理開始後10年で制度を打ち切り、11年目を迎える復興公営住宅から順次、市営住宅減免制度に移行する方針で、現在、復興公営住宅ごとに説明会が行われています。市の試算では、市営住宅減免制度移行に伴い、家賃が下がる世帯が1023世帯ある一方、家賃が上がる世帯は731世帯になる見込みです。市は、移行に伴って家賃が上昇する世帯には、移行後5年間をかけて激変緩和措置を取るとしています。
家賃が上がる理由は、復興減免の適用判定では収入とならない非課税所得(遺族年金、障害年金、児童手当等)が市営住宅減免では収入認定されることと、復興減免では公的年金における所得控除が110万円であるのに対し、市営住宅減免では給与所得と同じ55万円しか控除されないことが主な原因です。
調査課に依頼して、政令市の市営住宅家賃減免制度を調査してもらいました。それによると、多くの都市は、仙台市と同じく生活保護の収入認定基準を採用して、非課税所得の収入額も収入として算定していますが、さいたま市、名古屋市、岡山市は、課税所得のみを収入認定しています。
来年度から北六番丁市営住宅が市営住宅減免制度に移行するため、住みよい復興公営住宅を考える住民の会は、家賃が上がる世帯には、激変緩和措置ではなく、家賃が上がらないように支援する制度を早急に実現することを再三にわたり市に要望してきました。物価高騰が続く中で、困窮世帯の家賃上昇は認められません。不利益の生じない支援制度を早急につくるべきです。伺います。
復興公営住宅の自治会長さんから、「自治会の役員で子供が働き出したため給料が上がった。退去するかもしれない。頼りにしていたのに」と肩を落としています。12月1日時点の収入超過者世帯数は144世帯です。家賃が一番高いのは通町市営住宅で16万2200円、次に高いのは茂庭第2市営住宅で14万4000円です。県内の被災市町は、それぞれ独自に入居収入基準を引き上げたり、家賃を減額するなどの対策を取り、入居を継続しています。それに比べて本市はどうでしょうか。検討や努力の跡が見受けられません。
岩手県は、昨年の12月定例議会に県営住宅等条例の一部を改正する条例を提案し、可決されました。内容は、附則に、当分の間、25万9000円まで認めるという収入要件を追加しました。あわせて、高額所得者への明渡し請求も行わないこととしました。こうした改正の背景には、定期的に自治会の交流会が行われ、そこに県の職員が必ず出席して意見や要望を聞いていることが大きいと言います。
岩手県の例は、やる気になれば知恵を働かせてできることを示しているのではないでしょうか。本市でもできる改正ではないでしょうか、伺います。
災害公営住宅家賃低廉化事業交付金は、2020年度まで毎年約20億円ほど交付され、2021年度からは家賃対策補助金に変わりましたが、交付金額はほぼ変わりません。市は、国からの交付金を復興交付金基金に一旦積み立てますが、ほぼそっくり一般会計に振り替えています。2021年度までの振替額の合計は、家賃低廉化事業で134億5000万円余、特別家賃低減事業で15億700万円余です。家賃減額に使えるお金は十分にあるのですから、入居者の要望に応えるべきです。このことを伺って、私の第一問といたします。
◯市長(郡和子)
ただいまの嵯峨サダ子議員の御質問にお答えをいたします。
東日本大震災の被災者の方々についての認識に関するお尋ねでございます。
未曽有の被害をもたらしました東日本大震災の発災から、間もなく12年になろうとしております。本市では、被災者の方々お一人お一人に寄り添いながら、その住まいや暮らしの再建の支援を進めてまいりました。被災された方の中には、新しい環境の中で穏やかに過ごされている方もいらっしゃれば、時間の経過とともに、心身や御家族の状況、生活環境の変化などにより、新たな課題、悩みを抱えておられる方もいらっしゃるかと存じます。
そのような被災者の方々の状況に思いを寄せながら、サポートを継続していく必要があるものと考えております。
区役所を中心に、また、社会福祉協議会をはじめ、町内会、自治会や民生委員児童委員など地域の支援者の皆様とも連携を図りながら、引き続き息の長い支援を続けてまいりたいと考えております。
そのほかの御質問につきましては、関係の局長から御答弁申し上げます。
◯危機管理局長(木村洋二)
私からは、憲法第13条の理念の災害対策基本法への反映についてお答えいたします。
災害対策基本法は、生活保護法のように明確に憲法を引用してはおりませんが、最高法規であります憲法の理念等を十分踏まえた上で制定されているものと理解しております。
本市といたしましても、平時と災害時とを問わず、憲法の趣旨を尊重しながら市民の皆様の生命や財産を守るため、引き続き防災対策に取り組んでまいる所存でございます。
◯財政局長(高野一樹)
災害公営住宅の家賃低廉化に係る補助金についての御質問にお答えいたします。
この補助金は20年間で交付されるものであることから、住宅建設後の当面の間は補助金などの歳入が歳出を上回ることとなり、その間は一般財源への振替を行ってございます。
一方、後年度におきましては、補助金交付が終了し、市債償還や大規模修繕などが本格化することから、その時点における一般財源も用いながら対応することとしてございます。
市営住宅の計画保全年数である60年の期間で見れば、収支は大幅な歳出超過の見込みでございまして、長期的、計画的に管理運営できるよう適切に対応してまいります。
◯健康福祉局長(加藤邦治)
東日本大震災被災者支援に関する一連のお尋ねにお答えを申し上げます。
初めに、被災者健康調査の活用についてでございます。
この調査は、被災者の方々の健康状態を把握し、要支援者を必要な支援につなげるとともに、健康課題に応じた保健事業を展開することを目的に行っているものでございます。
調査の結果から、心理的ストレスを抱えているなど支援が必要と判断された方につきましては、まずは保健師等による戸別訪問などを行い、調査への回答内容も踏まえ、状況や課題の把握に努めております。その上で、必要に応じて地域の医療機関や地域包括支援センターなど様々な主体とも連携を図りながら、支援に取り組んでいるところでございます。
次に、健康調査の結果の分析及び被災者の方々を支援する仕組みの構築についてでございます。
調査結果から、独居高齢者世帯の割合が増加しておりますとともに、心理的ストレスを含む何らかの精神的な問題を抱えている人の割合は高止まりの状況となっていることなどから、継続的な支援が必要であると考えております。
これまで、要支援者お一人お一人のニーズを踏まえ、電話や訪問等による相談支援をはじめ、健康教室やサロンなどのコミュニティー形成を通した心のケアなどにも取り組んでおりますとともに、健康面以外の課題がある方に対しましても、関係機関との連携により幅広い対応につなげているところでございます。
引き続き、被災者の抱える様々な課題に対応したきめ細かな支援に努めてまいります。
次に、未修繕家屋についてでございます。
お示しいただいた家屋の中には住居以外も含まれているものと考えておりますが、被災者生活再建支援金の加算支援金の申請期限に合わせて実施した勧奨結果などから、主たる住居の修繕等につきましては一定終了しているものと考えております。
本市における東日本大震災の被災者に係る支援金等につきましては、既に必要とされる方への支給は完了したものと考えてございますが、様々御相談があった場合には、関連する部署において丁寧に対応してまいりたいと存じます。
次に、災害援護資金に関するお尋ねにお答えいたします。
まず、災害援護資金貸付けの償還が困難である借受人への支援についてでございます。
資金の償還時期を迎えた方々には、健康面の不安など様々な事情を抱えている方もいらっしゃいます。これまでも、借受人との相談に応じる中で、何らかの課題を抱え、支援が必要と思われる方には、相談窓口に関する情報提供や関係機関への御紹介などを行ってきたところでございます。
引き続き、被災された方の心情に十分配慮いたしながら、支援を必要とする方が適切な支援につながるよう丁寧な対応に努めてまいります。
次に、国への要望についてでございます。
災害援護資金に関しましては、償還期限の延長や自治体の免除判断の尊重など、国において対応が必要と考える課題があり、その解決には被災自治体間で連携していくことが重要と考え、県内の自治体を中心に制度課題の情報共有等を行ってまいりました。
その上で、本市の独自要望、宮城県、東北市長会要望等により、国への償還期限の延長等についての要望活動を継続的に実施してきたところであり、昨年十二月には宮城県及び石巻市と共に内閣府及び復興庁へ個別に要望活動も実施しております。
今後とも、被災自治体としっかり連携し、国への働きかけを効果的に行ってまいりたいと存じます。
次に、地域支えあいセンター事業の終了についてのお尋ねでございます。
仙台市社会福祉協議会で平成23年12月からスタートした地域支えあいセンター事業につきましては、国の被災者支援総合交付金を活用したものでございます。本事業については、令和2年度までとされていたものを、国、県との協議により今年度まで延長したという経緯がございます。
ピーク時は復興公営住宅において約800世帯に対する訪問や見守りを行っておりましたが、現在の対象は約90世帯となり、これらの多くの世帯は地域とのつながりの中で落ちついた日常を送っておられると伺っております。
支援員の訪問終了に当たって、御紹介のあった自治会長さんの声のような不安を持たれた方もいらっしゃるものと存じます。支えあいセンター事業が終了した後も、社会福祉協議会におきまして、被災された方や自治会長さんなどからの困り事や各種相談について、引き続き必要な対応を行っていくこととしており、本市としても、同協議会と連携を図りながら、被災者お一人お一人の状態像や環境の変化に合わせた対応に努めてまいります。
最後に、支援員の配置についてでございます。
市民お一人お一人が地域の中で安心して暮らしていくためには、町内会をはじめとする身近なコミュニティーとの交流や、地域に根差した関係機関とのつながりが大切なものと認識をしております。
そのためには、市営住宅等に新たな支援員を配置するのではなく、既存の地域コミュニティーや支援機関等がしっかりと連携し、見守り活動の充実やつながりを切らさないための取組を継続することが重要であり、引き続き支え合う地域づくりを推進してまいりたいと存じます。
◯都市整備局長(八木裕一)
私からは、初めに、復興公営住宅における減免制度の見直しについてお答えをいたします。
復興公営住宅の家賃減免につきましては、国の事業終了に伴い、建物管理開始から10年間で廃止する予定としておりますが、生活困窮等により支援が必要な世帯につきましては、市営住宅の家賃減免制度を適用し、引き続き家賃負担の軽減を図ることとしているところでございます。
市営住宅減免の適用により負担額が増加する世帯のみを対象に家賃上昇相当額を据え置くなどの特例的な取扱いは、他の入居者との公平性の観点から難しいものと考えており、こうした方々へは5年間の激変緩和措置により負担の軽減を図ってまいりたいと考えております。
最後に、収入超過者への対応についてでございます。
国の通知では、条例により入居の収入基準となる額の引上げが可能とされており、自治体の実情に応じて定めることとなっておりますが、岩手県の事例につきましては、定住促進や公営住宅の空室抑制等の側面があるものと捉えております。
本市といたしましては、市内における民間賃貸住宅の供給状況や多様な家賃設定などから、個々の実情に応じた住まいの選択が可能な状況であること、また、市営住宅には住宅に困窮する低額所得者の住宅セーフティーネットとしての役割がある中、応募倍率も高い水準で推移していることから、収入超過者に対する特段の対応は困難と考えております。
◯嵯峨サダ子議員
再質問いたします。
まず、地域支えあいセンター事業を今年度末で終了する課題についてであります。
今後は社会福祉協議会等々で対応していく旨の御答弁でありましたけれども、私が第一問でも述べましたけれども、生活支援相談員は復興公営住宅入居者にとってはなくてはならない存在でありまして、本当に心のよりどころになっているんですね。市は、その代わりとして、復興公営住宅自治会や福祉担当者、担当民生委員などの見守り活動につなげていくとしておりますけれども、訪問、見守り活動は担当してきた生活支援相談員の経験やスキルに依拠するところが非常に多いために、役員の確保がままならない状態にあります自治会に委ねられても、受皿としての役割は到底担えません。
地域支えあいセンター事業を終了させることは、2019年に被災者生活再建支援室を廃止したことと同様、被災者一人一人を大切にする復興とは正反対の対応だと思います。生活再建支援室を廃止するときに郡市長は、被災者の心のケアや災害公営住宅のコミュニティーの支援は今後も続けると言いました。今、問われているのは、その言葉どおりの支援を続けることです。先ほども同様な御答弁をされておりました。
宮城県市長会は、10月に行った決議で、被災者の孤立防止のための地域での見守りやコミュニティーの活性化、心のケアを含む健康支援等の各種支援施策を被災自治体や被災者支援団体等が継続的、安定的に実施できるよう、被災者支援総合交付金の交付期間の延長またはそれに代わる補助金等の新設等、必要かつ十分な財政支援を長期的に行うこととする要望を復興大臣宛てに提出しております。この決議に照らせば、市は当然事業を継続すべきです。いかがでしょうか、市長に伺います。
次は、復興減免制度を市営住宅減免制度に移行することに伴って不利益を生じさせない支援制度を早期につくることを求めた御答弁に対して、急激な負担増加とならないように激変緩和措置を行うとの御答弁でございました。
制度の変更で、現在減免を受けている世帯の42%が減免対象外となったり家賃が増額する世帯になります。特に問題なのは、減免を受けている高齢者世帯の44%、障害者のいる世帯では63%の家賃が上がります。
復興公営住宅入居者は、震災で被害を受けたときから出発し、困難を抱えた人たちなんです。10年過ぎても、健康調査結果が示すように、今でも困難な状態が続いております。さらに、コロナ禍に加え、物価の高騰や電気料金も大幅に上がる見込みです。最も生活が苦しい人たちがどんどん逼迫していくことは目に見えています。5年間かけて家賃を上げるのではなくて、家賃が上がらない方策を考えるべきです。再度伺います。
もう一つ伺います。収入超過者の問題です。
収入超過者を追い出さずに入居を継続する岩手県の取組を紹介いたしました。先ほどの御答弁では相変わらず、民間の賃貸住宅、選択肢が多いだとか、同じような御答弁を繰り返しておられますけれども、岩手県の場合は、条例本体に手をつけず、附則を追加して、当分の間、入居収入基準を25万9000円と読み替える条例改正です。よく考えられた条例改正だと思います。
岩手県は、みなし公共賃貸住宅制度を持っています。選択肢を広げて被災者の生活再建を後押ししていることが、このことからうかがえます。被災者の立場に立って考えれば、知恵を働かせていろいろなことができるということです。いつまでも硬直的な考えではなくて、仙台市においても被災者が安心して住み続けることができるようにすべきです。再度伺います。
◯市長(郡和子)
地域支えあいセンターのことについて、住民の皆さんの不安を考えれば継続すべきだというふうな御意見での御質問でございます。
支えあいセンターのこの事業は今年度で終了する予定ではございますけれども、社会福祉協議会において被災者を支える活動は継続していくものと伺っております。
本市といたしましても、区役所、社会福祉協議会をはじめとした関係機関、地域の支援者の皆様方の連携と協働を図りながら、今後も被災された方々が安心して生活が送れるように丁寧な対応に努めてまいりたいと考えております。
◯都市整備局長(八木裕一)
復興公営住宅に関わります2点の再度の御質問にお答えをいたします。
初めに、今般の減免制度の移行についてでございます。
復興公営住宅の家賃減免制度が10年間で終了となる中、引き続きの支援が必要な世帯に対しまして、既存の市営住宅減免制度を適用することとしたものでございます。
復興公営住宅の現状といたしまして、10年以上が経過する中で入居者の方々についても大分住み替えが進んでございまして、同じ住棟、同じ間取りでも2つの減免制度が並存しているというような状況になってございます。そういうこともございまして、他の入居者との公平性を踏まえますと、負担額を据え置くなどの対応は難しいものというふうに考えておるところでございます。
次に、収入超過者への対応についてでございますが、これにつきましては、収入に応じた御負担をいただくことが適当であるというふうに考えてございまして、収入基準の見直しは考えておらないところですが、先ほどもございました住宅のコミュニティーの維持とか形成につきましては、空き住宅が生じた際の入居者の募集におきまして子育て世帯などの若い世代を対象とした入居枠を設けるなど、地域のコミュニティーの維持、活性化につなげる取組を進めてまいりたいというふうに考えてございます。
◯嵯峨サダ子議員
再々質問させていただきます。
まず、地域支えあいセンター事業についてですけれども、復興住宅でお困りの皆さん、自治会長さんの皆さんは、今の生活支援相談員がまさにスーパー相談員だという言い方をされていまして、本当にいつもいつも被災者のことを考えていただいて寄り添っていただいていると。そういう支援のやり方というのは、やはり仮設時代から十年もかけて支援したその経験とスキルが、そういうふうな形でね、支援の形で表れていると思うんですね。それと同じようなことがじゃあできるのですかということを心配されているわけです。
それで、なぜ国の予算措置が継続している2025年度まで続けることができないのでしょうか。被災者が続けてほしいと願っているわけですから、10年が来たから、もう一応役割を果たしたといって線引きすべきではないと思います。石巻市、気仙沼市、七ヶ浜、それから県社協が2025年まで継続をするという方針ですし、東松島市、名取市も2025年度まで延長したい意向と聞いております。先ほど紹介をいたしました県市長会の決議は、仙台市が2025年度まで事業を継続してこそ説得力があります。ぜひ事業を継続すべきです。伺います。
それから、家賃の減免の関係ですけれども、家賃の復興減免が5年で終了するときに郡市長が就任いたしました。被災者の皆さんが減免期間延長を求める署名を郡市長に提出いたしました。市長は、被災者の切実な声を直接聞いて、10年まで延長するということを決断いたしました。非常に喜ばれました。
10年たっても、被災者の暮らしはよくなるどころか、ますます厳しい状況です。今回も市長の英断で家賃が上がらないようにすべきです。市長に伺います。
それから、収入超過者の問題ですけれども、いろいろ御当局の都合のいいような御答弁ばかり並べ立てていらっしゃいますけれども、じゃあ岩手県のような検討をされたんでしょうか。検討もしないで、できない理由ばかり並べ立てるのはいかがかと思います。
25万9000円にすれば、それから、みなし公共賃貸住宅もそうですけれども、収入に応じた家賃が市には家賃収入として入りますから、市にとっても、それから被災者にとってもいいことなわけですね。
なので、本当に、ほかの入居者との公平性云々と言いますけれども、何度も言いますけれども、あれだけの未曽有の大災害に遭った被災者が入っている住宅、入居者なわけですね。そこのところのやはりお考えが非常に及んでいないのではないかと。先ほどの市長のお言葉を見ても、もっともっとサポートする必要があるとおっしゃいますけれども、そういうふうにお考えであれば、もっといろんな知恵を働かせてですね、入居者をそのまま安定して住み続けられるようにするにはどうすればいいかというそういうことこそ、私は、頭を働かせて、知恵も働かせて考えるのが皆さんのお仕事なのでないのかなというふうに思ったので、お尋ねをしているわけです。またお伺いいたします。お答えください。
◯健康福祉局長(加藤邦治)
地域支えあいセンター事業の終了についての再々のお尋ねにお答え申し上げます。
先ほども御答弁を申し上げましたが、本事業につきましては、令和二年度まで国の被災者支援総合交付金を活用するということで予定をしたものを、国、県との協議により今年度まで延長したというような経過もございます。
この間におきましても、本市においては、地域支えあいセンターの生活相談支援員による個別訪問だけではなく、区役所で実施している被災者への健康支援など、被災された方の支援は様々な主体が継続して行ってきたところでございます。
引き続き、社会福祉協議会をはじめ民間の関係者の皆様とも連携し、お一人お一人のニーズも把握しつつ、支援に努めてまいりたいと考えてございます。
◯都市整備局長(八木裕一)
復興公営住宅に関わる二点の重ねてのお尋ねにお答えをいたします。
まず、減免制度の見直しについてでございます。
市営住宅減免の統合を今回進めようとしておるわけでございますけれども、これによりまして負担額が増加する世帯のみを対象に家賃上昇相当額をやはり据え置くというような特例的な取扱いは、ほかの入居者の方々との公平性の観点からやはり難しいものというふうに考えてございまして、お答えしましたとおり、5年間の激変緩和措置により負担の軽減を図ってまいりたいというふうに考えてございます。
次に、収入超過者への対応についてでございます。
御例示いただきました岩手県の事例も含めまして、被災3県の各県だったり各市町あるいはほかの地区の事例も含めまして、収入超過者の取扱いについては様々な背景の下で様々な取扱いがされているというところについては、我々も十分調査をして把握をしているところでございます。
ただ、やっぱり本市の状況といたしまして、市内における民間賃貸住宅の供給状況も違いますし、市営住宅にやはり住宅セーフティーネットとしての役割がある中で、復興住宅は、とりわけ立地、交通利便性など生活利便性が高いところに整備をしているということもございまして、応募倍率も高い水準で推移してございます。このような状況から、収入超過者に対する特段の対応は困難であるというふうに考えておる次第でございます。