【概要】子ども権利条例の制定。
復興住宅の収入超過者の家賃
◯庄司あかり議員
日本共産党仙台市議団の庄司あかりです。
子どもの権利を保障する施策の充実と復興公営住宅収入超過者への対応について一問一答方式で一般質問いたします。
コロナ禍による社会経済情勢の悪化は子どもたちを取り巻く環境にも深刻な影を落としています。
本市の児童虐待相談件数は、全国と同様に近年増加傾向にありますが、昨年度には速報値で1253件と大幅に増加しています。背景には新型コロナの感染拡大に伴う生活への不安やストレスによる影響が表れている一方で、家族以外との接触機会の減少による潜在化も懸念されています。家庭内の虐待や暴力の被害が見えづらくなっている中、しかし確実に増加している子どもたちのSOSをしっかりと受け止める体制の構築が急がれますが、市長のご認識を伺います。
子どものSOSを受け止めることは、子どものアドボカシー(子どもの権利擁護)に重点を置くことです。昨日来の議論では、本市としてまずは社会的養育の分野での子どもの意見表明権保障の仕組みを構築するとのことです。子どもの権利条約第12条は「その児童に影響を及ぼす全ての事項について自由に自己の意見を表明する権利を確保する」としていますから、子どもアドボカシーは子どもをめぐるあらゆる場面で生かされるべきであると考えます。ご認識を伺います。
本市において第三者が子どもの立場に立って意見を聞き取り、解決を目指していく取り組みが行われているのが、仙台市いじめ等相談支援室S-KETです。開設から1年になりますが、保護者や子ども本人から寄せられた相談は昨年度末で、のべ378件。いじめや虐待、学校での悩みのほか、友人付き合いや進路、心身の悩みなど寄せられる声は多岐にわたり、子どもにとって駆け込み寺のような存在としてさらに浸透していくことを期待しています。
弁護士や臨床心理の専門家、相談員の寄り添った対応により、調整に入った学校からも保護者も感謝されるということや、配慮が必要な子どもへの支援として教員の加配を後押ししたケースもあると伺いました。S-KETの役割について、第三者が聞き取ることの重要性とその評価を伺います。
川西市では子どもの人権オンブズパーソン制度が、豊田市では子どもの権利擁護委員制度があります。いずれも弁護士や児童福祉の専門家が子どもの権利に関わる相談に応える点で、S-KETと似ていますが、大きく違うのはオンブズパーソンや権利擁護委員は公的第三者機関であり、相談者の同意を得て、関係委機関への調査や調整を行い、必要があれば是正勧告や制度改善の要請を行う仕組みが確立されている点です。
本市においても、あらゆる分野での子どものアドボケイトになれるような第三者機関が調査や是正・勧告を行う仕組みが必要と考えますが、いかがでしょうか。
いじめ防止条例と合わせて、子どもの権利を保障するための包括的な条例がやはり必要です。
先ほどご紹介した子どもの人権オンブズパーソンや子どもの権利擁護委員も自治体の子どもの権利条例が根拠となり設置されています。
豊田市では、子ども条例の制定の段階から、子どもの意見を条例に反映させることを目的に「子ども委員」を公募し40人の中高生が子ども条例検討ワークショップ、地域子ども会議、子ども市議会、条例案起草ワーキング等を通して条例づくりに参加しました。
また、名古屋市は、なごや子どもの権利条例を伝えるパンフレットが充実しており、子ども向け、ティーン向け、大人向けとそれぞれ言葉遣いや絵柄を変えて作成されています。条例は、作る過程や作った後に伝える努力をすることでこそ浸透していきます。
ぜひ本市でも、子どもの参画をはかりながら、子どもの権利条例の制定に向けた一歩を踏み出すべきです。いかがでしょうか。市長に伺います。
子どもが持つ権利を教育の中で伝えていく取り組みも欠かせません。子供の意見表明権の保障は、個を尊重し、多様性を認め合うことにつながり、自分の思いを言語化し、自ら考え選び取り、主権者として行動する人を育てる土壌となります。
今年は国、県、市に関わる3つの選挙が行われる年です。選挙管理委員会と教育委員会が連携した主権者教育のいっそうの充実を願うものです。
18歳選挙権ということで、市立高校での選管の出前講座は位置付けで取り組んでいますが、小中学校でも発達段階に応じて様々な実践を深めるべきと考えます。
考える主権者を目指す情報誌「Voters」61号の岐阜市前選挙管理委員会事務局職員さんのコラムに感銘を受けました。「主権者教育の目的は『自らの豊かさ(幸せ)を自らの手でつかむ力(生きる力)』を伸ばすお手伝いをすること」として「『人生は自らの判断の連続で、その判断次第で豊かさを手に入れることができること』それがどうやったら伝わるのか、常に考え続け」「『伝える主権者教育』ではなく『伝わる主権者教育』でありたい」とされています。主権者教育は、生きる力をはぐくむこと。まさに本市の教育が目指すところとも合致します。主権者教育の充実に向け、選挙管理委員会と教育委員会のさらなる連携を求めますが、いかがでしょうか。教育局と選挙管理委員会にそれぞれ伺います。
最後に収入超過世帯に課される割り増し家賃である近傍同種家賃について改めてご説明下さい。また、今年度の復興公営住宅の最大近傍同種家賃のランキング1~10位までの住宅名、間取り、家賃額をお示しください。
一括での質問は以上とし、以降は一問一答にて伺ってまいります。
◯市長(郡和子)
ただいまの庄司あかり議員の御質問にお答えをいたします。
まず、私からは、児童虐待対応における子供たちのSOSを受け止める体制についてでございます。
昨年来のコロナ禍が続く中、児童虐待の相談件数というのも過去最多を更新いたしまして、子供たちの置かれている状況はますます深刻さを増していると認識をしております。
児童相談所では、従来より、子供たちの発するSOSに速やかに対応するために、24時間対応の無料電話相談、189(いちはやく)の設置などに加えまして、警察との連携を強化するために、昨年度からは現役警察官を2名配置するなど、緊急対応機能の強化に取り組んでまいりました。あわせまして、虐待に苦しむ子供たちからの小さな声に耳を傾けて、その思いに寄り添っていけるよう、職員の増員、また、人材の育成を進め、相談体制の充実を図ってまいったところでございます。今後とも、関係機関の皆様との強い連携の下、子供たちの命と尊厳を守ることを第一にして取り組んでまいりたいと存じます。
そのほかの御質問につきましては、関係の局長並びに選挙管理委員会事務局長から御答弁申し上げます。
以上でございます。
◯子供未来局長(小林弘美)
子供の権利を保障する施策についてのお尋ねのうち、市長が答弁した御質問以外にお答えをいたします。
まず、子どもアドボカシーについてでございます。
平成28年の改正児童福祉法におきまして、子供が権利の主体であること、子供の意見が尊重されることなどが明記されており、これを受けて、国が新しい社会的養育ビジョンの中で、子供の権利を守る制度の構築の必要性を示しております。
本市では、そのような改正法やビジョンを踏まえ、令和2年3月に社会的養育推進計画を策定し、子供の意見表明権を保障する仕組みを検討して、必要な方策を講じることとしているものでございます。
次に、S─KETの役割と評価、第三者機関が調査などを行う仕組み、子供の権利に関する条例についてお答えをいたします。
S─KETは、学校や教育委員会には相談しにくい、あるいは相談してもなかなか解決に至らないといったケースなどへの支援を目的として設置をしたものでございます。弁護士や臨床心理の専門家が学校などと異なる立場で相談者の声に耳を傾け、専門性を生かした相談者に対する適切なアドバイスや、学校などに出向いての調整を行っておりまして、第三者的な立場からいじめの解決に向け、一定の役割を果たしているものと捉えております。また、家庭での問題などの相談も受けておりまして、必要に応じて関係機関と連携をした対応を行っております。
このS─KETはもとより、児童相談所や子供相談支援センターなど、子供の支援に携わる機関は、子供の意見を聞き、権利を尊重するという子どもアドボカシーの考え方を基本として日々の業務に当たっております。いじめや不登校、児童虐待、貧困などに苦しむ子供たちを守るためには、具体の支援を充実させていくことが重要と考えておりまして、御指摘の第三者機関や条例につきましては、こうした取組を進める中で、その必要性も含め、検討してまいりたいと存じます。
今後とも、子供たちを取り巻く環境が変化する中においても、子供の人権を守り、社会全体でその健やかな成長を支えていくとの考えに立ち、各般の施策を進めてまいります。
以上でございます。
◯都市整備局長(八木裕一)
近傍同種家賃とその金額についてお答えをいたします。
近傍同種の住宅の家賃、いわゆる近傍同種家賃とは、制度上の家賃の上限となる金額でありまして、公営住宅法の施行令において具体の算定方法が定められており、建物の建設費や土地の価格に加えて、修繕費、管理事務費等の必要経費を勘案して算出するものでございます。
市内の復興公営住宅における近傍同種家賃を高い順に申し上げますと、まず、荒井西が4Kで19万2700円、次に岡田の4DKで18万400円、次が卸町の4DKで17万8800円、次が通町の4DKで17万8500円、次が霊屋下第2の4DKで17万400円、次が茂庭第2の4DKで16万8800円、次があすと長町の4DKで16万1500円、次が新田東の4DKで15万7100円、次が霊屋下の4Kで15万1400円、次が宮城野の4DKで15万600円となってございます。
以上でございます。
◯教育長(福田洋之)
私からは、主権者教育についての御質問にお答えをいたします。
社会の中で自立し、他者と連携、協働しながら、地域の課題解決を社会の構成員の一人として主体的に担う力を身につけることは重要なものでございまして、小学生、中学生の時期から、そのような資質、能力を育むことが大切であると認識をしております。
本市では、小中学校において、社会科を中心に選挙の仕組みや選挙権に関する授業を行い、投票することの大切さについて指導をしておりますほか、発達段階に応じて、自分づくり教育として職場体験やボランティア活動などの実践的な体験活動を行い、社会の形成に主体的に参画しようとする力を育んでいるところでございます。また、市立高校等におきましては、2年生を主な対象として、選挙管理委員会と連携し、模擬投票と併せて主権者としての自覚を促す講座を実施しております。
今後も引き続き、児童生徒が社会の担い手として成長できるよう、選挙管理委員会と連携を図りながら、主権者教育の充実に努めてまいりたいと存じます。
以上でございます。
◯選挙管理委員会事務局長(斎藤重信)
私からは、主権者教育についてお答え申し上げます。
主権者教育の教育委員会との連携についてでございます。
18歳選挙権の導入により、若い世代から体系的な主権者教育の充実が求められており、選挙管理委員会では教育委員会と連携の下、御紹介のありました事例と同様の気持ちを持ちながら、中学校や高校における選挙出前授業や模擬投票などを行っており、出前授業の内容につきましては、現在も実施校の要望に合わせた柔軟なプログラム構成としております。
今後も、主権者教育の充実に向け、こちらから一方的に伝えるだけではなく、学校からの要望や生徒からのアンケート結果などを基に、伝わる主権者教育を目指し、引き続き教育委員会と連携してまいりたいと考えております。
以上でございます。
◯庄司あかり議員
一問一答で、復興公営住宅について伺おうと思います。
ランキングをお示しいただきましたが、意外な順位になっていると思うんですね。路線価を見ると、1位の荒井西は㎡当たり7万5600円、2位の岡田は1万5600円、4位の通町は26万3000円、6位の茂庭第2は3万300円、7位のあすと長町が15万円です。これ、地価が高いところがイコール家賃が高いということになっていないんですが、その理由は何でしょうか。
◯都市整備局長(八木裕一)
近傍同種家賃の算定につきましては、先ほどもお答えいたしましたとおり、土地の価格だけではなく、建物の建設費なども含まれますことから、路線価と連動していない状況となってございます。
◯庄司あかり議員
建設費を回収するだけの家賃という呼び方ができると思うんですが、荒井西は14戸、岡田は10戸と、戸数が少ないんですね。建設費を賄う家賃という計算上、一棟当たりの戸数が少ない場合に家賃が高くなっているのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
◯都市整備局長(八木裕一)
近傍同種家賃につきましては、住戸数の多い高層住宅と比較いたしますと、建物一棟に占める住戸数が少ない中低層の一戸当たりの金額が高くなる傾向がございます。
◯庄司あかり議員
今お示しのとおり、戸数が低層で少ないということで家賃が高くなる傾向があるわけですが、戸数が少ないことで入居者に恩恵は何もないんですよ。集会所もないですしね。それなのに、戸数という入居者にとって関係のないことで家賃が跳ね上がるというのは、公平性の観点で問題があると思いますが、いかがでしょうか。
◯都市整備局長(八木裕一)
近傍同種家賃につきましては、公営住宅法に定められた計算方法によって算定されたものでありますことから、適正なものと考えてございます。
◯庄司あかり議員
法律で決まっているとおっしゃるんですが、いわき市では、復興需要による建設費の高騰で災害公営住宅の近傍同種家賃が高くなり過ぎるということで、震災前の建設単価で面積を掛けた金額をみなし近傍同種家賃として上限にしています。そうすることで、家賃の最高額を抑えるとともに、一棟当たりの戸数などは関係なく、面積で家賃が決まるという方式を取っています。こうした方法も自治体の判断で可能ですが、いかがでしょうか。
◯都市整備局長(八木裕一)
いわき市の事例をお示しいただきましたけれども、定住促進策の観点や民間賃貸住宅の供給状況など、それぞれの自治体の実情に応じて判断がなされたものと理解をしてございます。
◯庄司あかり議員
自治体の状況という意味では、戸数が少ないほうが家賃が跳ね上がるという課題は、被災自治体の中でも、高層と低層の集合住宅という様々な形で建設した本市において顕著に表れている矛盾ですので、何らかの対策が本市において必要だと思います。
先日、荒井西の住民有志の方が家賃の減免を求めて市に要望を出されましたが、これほど高くなるのが分かっていれば、この住宅は選ばなかったというお話もありました。復興公営住宅に入居する前の段階で、十分な説明を行ったのでしょうか。募集資料の収入超過世帯についての説明は、僅か3行です。お示しください。
◯都市整備局長(八木裕一)
募集案内には、復興公営住宅に入居後、3年以上経過し、世帯の所得金額が15万8000円、裁量階層の場合は21万4000円を超えた方は、復興公営住宅を明け渡すよう努めていただくとともに、一定の割合の金額が家賃に加算されますと記載をしてございます。
◯庄司あかり議員
一定の割合の金額が家賃に加算されると書いてあって、具体的な金額はどうなんでしょうか。入居前の説明資料、募集住宅予定家賃一覧表では、例えば荒井西の4Kの収入超過世帯、5から8階層ではどのくらいの家賃になると示していますか。
◯都市整備局長(八木裕一)
当初入居時の家賃の金額につきましては、世帯の所得月額に応じて、それぞれ8つの階層区分が設定されております。
荒井西市営住宅の4Kにおける入居時点の家賃につきましては、5階層では5万3400円から5万5400円、6階層では6万1600円から6万4000円、7階層では7万2100円から7万4900円、8階層では8万3200円から8万6400円とお示しをいたしました。
なお、この5から8階層につきましては、入居後3年を経過すると収入超過者世帯として認定される階層でございます。
◯庄司あかり議員
今お示しいただいたのも最高額で八階層の8万6400円なわけですけれども、これ、収入超過世帯になりますというお話も最後ありました。割増家賃の金額をお示しになっているんでしょうか。
◯都市整備局長(八木裕一)
先ほどお示しした金額につきましては、入居時における各所得階層別の家賃の予定額としてお示ししたもので、割増家賃ではございません。
◯庄司あかり議員
割増家賃について説明した資料というのはあるんでしょうか。
◯都市整備局長(八木裕一)
先ほどお答えいたしましたとおり、入居募集の御案内において、具体の金額についてはお示ししておりませんでしたが、入居後3年以上経過し、世帯の所得金額が基準額を超えた場合には、一定の割合の金額が家賃に加算されることを記載しております。
◯庄司あかり議員
一定の割合、加算されますと書いてありますけれども、それを見て、被災者は近傍同種家賃が15万円以上となることを想像することは不可能だと思うんですが、いかがでしょうか。
◯都市整備局長(八木裕一)
入居募集の段階におきましては、近傍同種家賃の具体の金額まではお示ししておりませんでしたが、所得に応じて割増家賃が課されることにつきまして御説明をしたところでございます。
◯庄司あかり議員
一定の割合で加算されますという説明とともに、さっきお示しいただいた8階層でも8万6400円という具体の家賃額しか示されていないわけですね。今回ご相談があった荒浜で津波により全流出した方で収入超過となった方は、同じ荒井西で自力再建した親族が支払っているローン額のほうが復興公営住宅の家賃より安い、家を建てたほうがよかったとおっしゃっています。19万円の家賃を払うことになるんですから、そう思うのは当然です。
防災集団移転の場合、移転先の無償借地や借入れをした際の利子補給制度が活用できます。平均の無償借地期間、32年と伺っていますので、その期間に借入れをした場合に月々の返済額がどのぐらいになるのか、伺いたいと思います。土地は無償借地のため、上物だけの借入れになりますので、例えば2000万円、2500万円の借入れの場合、それぞれの返済額の試算をお示しください。
◯都市整備局長(八木裕一)
被災者の方々はそれぞれに金融機関からの借入れ条件が異なりますので、一概にお示しすることは難しいのですけれども、試算の条件として、返済期間を32年とし、住宅金融支援機構が公表しているフラット35の金利を参考に、年利1.52%と設定して試算した結果、月当たりの返済額は借入れ金額2000万円の場合に約6万6000円、2500万円の場合には約8万2000円となります。
◯庄司あかり議員
建物だけの場合、この利子補給が最大444万円、加算支援金も受け取れますので、最大200万円です。これらを繰上返済に充てれば、返済額はより少なくなります。いずれにせよ、19万円より圧倒的に安いです。
この利子補給制度ですが、お申込みできる方は、平成23年3月11日以降に公営住宅に居住していたことがないことと書かれています。これは、どのような意図でしょうか。
◯都市整備局長(八木裕一)
防災集団移転促進事業におきましては、住宅再建の方法に応じて支援を行ってきたところでございまして、御指摘の住宅建設等に要する借入利子相当額の補助につきましては、移転先に住宅を建設、購入した方を対象としたものでございます。一方で、復興公営住宅に入居された方につきましては、住宅再建がなされたものとみなし、借入利子相当額の補助の対象外としたものでございます。
◯庄司あかり議員
復興公営住宅に入った方は、住宅再建をしたとみなすというお話がありました。つまり、復興公営住宅に入居した時点で、移転の支援策が使えなくなるわけですね。であれば、再建の方法を検討する段階で、より慎重な情報提供が必要だったのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
◯都市整備局長(八木裕一)
被災者の方々が住宅再建方法を検討する段階におきましては、事業説明会や個別相談会に加えて、専門家による住まいづくりセミナーを開催いたしますとともに、集団移転、単独移転、復興公営住宅への入居、それぞれの再建方法に応じた負担額を御自身で試算できるシートをお配りし、シミュレーションしていただいた上で再建方法を選択していただきました。あわせて、再建方法に応じてお使いいただける支援制度やその条件についてもお示しをしたところでございます。
◯庄司あかり議員
確かに説明会を繰り返し行ってきましたけれども、その中で割増家賃が幾らなのかという具体額が示されなければ選択もできなかったと思うんですけれども、いかがですか。
◯都市整備局長(八木裕一)
大震災後の様々な事業に取り組む中で、なかなかいろんな情報の整理がつかなかったというところもあろうかと思いますが、被災者の方々が一日も早く住宅再建を果たされるよう、個々の状況をお聞きしながら、再建方法に応じた丁寧な情報提供に努めてきたものと考えてございます。
◯庄司あかり議員
先ほど19万円まで上昇するということを見込みはできなかったとおっしゃいましたけれども、割増家賃がその当時でどのぐらいになるかの推定値は示すべきだったのではないかと思います。
気仙沼市は、申込みの段階で、家を建てるか、復興公営住宅か、人生設計の選択が可能なよう、正確な情報提供に努めたそうです。気仙沼市の災害公営住宅入居仮申込みの御案内には、収入超過となれば割増賃料が加算されます。加算後の家賃は、現在の事業費ベースでの試算では10万円程度が見込まれますとし、さらに、入居者の収入階層ごとに五年間で割増家賃がどのように上がっていくかが示されています。これを見て、月10万円の家賃になるのであれば家を建てるほうがいいと判断をした方もいらっしゃいます。この時点での推定値すら示さなかったのは、私は仙台市の落ち度だと考えますけれども、いかがでしょうか。
◯都市整備局長(八木裕一)
復興公営住宅の入居の募集時におきましては、多くの住宅が建設中もしくは未着工の段階でございましたので、近傍同種家賃の具体の額及び段階的に金額が上がる仕組みについてお示しをしておりませんでした。
◯庄司あかり議員
推定値を計算することはできたんじゃないですか。さらに5年かけてどうやって、どの階層が上がっていくかは、それこそ法律で決められていることですので、未着工であろうと説明できますよね。いかがですか。
◯都市整備局長(八木裕一)
ただいまも御答弁申し上げましたとおり、事業初期の段階でございましたので、不確定要素がかなり多いという要素もございまして、御指摘の点につきましてはお示しできていなかったものでございます。
◯庄司あかり議員
それで今困っているのは被災者なんですよ。さらに、これまで退去した人とこれから退去する人の決定的な違いがあります。収入超過世帯が復興公営住宅を退去しても、加算支援金で住宅購入では最大200万円、賃貸で最大50万円受け取ることができました。しかし、4月12日で宮城県が加算支援金の受付を締め切ってしまいました。これまでは、曲がりなりにも復興公営住宅を止まり木として住宅の再建を果たし、加算支援金を受け取ることで自力再建に移行したと見ることができましたが、ここから先は被災者なのに何の支援策もない状況で出ていくことになってしまうんです。こういうふうに取り巻く状況が変わったわけですから、復興公営住宅を居住の安定を図る場所として位置づけ、僅かに収入基準を上回った5、6階層の被災者については裁量階層とすべきです。今が施策を決断すべきときと考えますが、市長はいかがでしょうか。
◯都市整備局長(八木裕一)
復興公営住宅を含めた市営住宅の入居者の収入基準につきましては、国からの通知で、条例により基準額の見直しが可能とされてございますが、本市におきましては他の自治体と異なりまして、民間の賃貸住宅が十分に供給されておりますことから、復興公営住宅を退去された場合であっても、その方の収入や今後の生活設計、新たな生活条件などの実態に応じた民間住宅の選択が可能であるものと考えてございます。そうしましたことから、収入超過者に対する独自の減免は考えていないところでございます。
◯庄司あかり議員
今までどおり、民間賃貸住宅が十分に供給されているので対応は行わないという御答弁です。市営住宅条例第34条、住宅のあっせん等の条文をお示しください。また、その目的についても併せてお答えください。
◯都市整備局長(八木裕一)
市営住宅条例の第34条の規定では、市長は、収入超過者から申出があった場合その他必要があると認める場合には、当該収入超過者に対して他の適当な住宅のあっせん等を行うものとする。この場合において、当該収入超過者が市営住宅以外の公的資金による住宅への入居を希望したときは、その入居を容易にするように特別の配慮をしなければならないと規定されております。
この規定は、収入超過者が退去される際の居住の安定を図ることを目的としております。
◯庄司あかり議員
御紹介いただいたとおりなんですね。これまでも様々な価格帯の民間賃貸住宅、十分に供給されていると御答弁されてきましたので、さぞかし豊富な住宅情報をこれまであっせんされてきたことと思いますが、これまでどのようなあっせんの対応と周知をされてきたのか、伺います。
◯都市整備局長(八木裕一)
これまでは、退去された方自らが次のお住まいをお探しになられており、本市としましてあっせんした事例がほとんどなかったことから、積極的に周知には取り組んでいなかったところでございます。
今後は、具体的な住宅のあっせんに向けまして、不動産事業者等の団体との協議を進めてまいりますとともに、この制度周知にも努めてまいりたいと考えてございます。
◯庄司あかり議員
条例に規定があるのに、今まで収入超過世帯が出ていくときに、そのことを周知も、申出があればあっせんしますよということも伝えないできた、このことについてはどのようにお考えですか。
◯都市整備局長(八木裕一)
これまでの実績で申し上げますと、先ほどもお答えいたしましたとおり、退去された方自らが次のお住まいをお探しになられてきたということで、市としてはあっせんした事例がほとんどなかったということでございます。
◯庄司あかり議員
34条をどうして周知してこなかったのかと伺っています。
◯都市整備局長(八木裕一)
特に民間の賃貸住宅については、市場において様々な情報が一般的に流通しているということもございまして、退去された方自らが次のお住まいをお探しになられてきたというところが実績としてございます。
◯庄司あかり議員
さっき局長がおっしゃったとおり、この条例の目的が収入超過世帯の居住の安定を図るためであれば、やはり市に義務があるわけですから、民間賃貸住宅のあっせんも行ってこなければならなかったんだと思うんです。あっせんを行ってこなかったというのは、民間賃貸住宅が豊富にあるとしてきたこれまでの答弁を自ら否定するものではないでしょうか。
◯都市整備局長(八木裕一)
この場合は、あっせんの規定でございますので、ただいま申し上げましたとおり、退去された方自らが探し得るという状況がございましたので、あっせんした事例がほとんどなかったということでございます。
◯庄司あかり議員
いや、条例を周知しなければ申出だって当然ないですよね。それを被災者の責任にするのは、ちょっと信じられない御答弁です。
復興公営住宅をどういう目的で建設したのか、思い返してほしいんですね。仮設入居者からアンケートを取り、必要な建設戸数を決め、コミュニティーの維持にも特段の配慮をして、募集の段階から工夫をされてきました。復興の過程では、市職員の皆さんも、被災した方々がどうやったら生活を再建できるか、知恵を絞って、国の足りないところには市費も投入して支援に努めてこられたのを私も知っています。今もその思い、変わらないはずですが、復興事業監も務められた高橋副市長に改めて伺いたいと思います。
◯副市長(高橋新悦)
仙台市としましては、被災者の皆様が仮設住宅にお住まいになる中で、職員も含めて、毎日とは言いませんけれども、毎週のように、説明を繰り返したという過去の取組がございました。この中では、一日も早く復興公営住宅に入居でき、皆様方の生活再建が図られるよう、その整備と入居に向けた取組を最優先として、収入要件にかかわらず、入居していただくような整備をしたというところでございます。
ただ、一方で、復興公営住宅自体は、低額所得者のセーフティーネットの役割も担う公営住宅ですね。そういうことから、収入超過者世帯に対する家賃負担上の特別な扱い、議員がおっしゃっているような特別な扱いにつきましては、公営住宅に入居できない低額所得者との公平性の観点から、私としては難しいものと認識しているところでございます。
◯庄司あかり議員
市営住宅との公平性について、今、御答弁がありましたけれども、そのことではなくて、自力再建した被災者との公平性の観点でどうなのかと指摘しているんです。片や支援策を使って家を建て、生活を再建した人たちと、事前の説明もなく、ローン額以上の家賃を課され、何の支援もなくなって出ていく人の公平性について、副市長、何と御説明になりますか。
◯副市長(高橋新悦)
先ほども都市整備局長から御答弁いたしましたが、その段階段階では、それぞれの手法に関しまして、シミュレーションのペーパーも渡しながら最大限の説明をしたというふうに理解してございます。ただ、現段階から振り返ればということであれば、議員のおっしゃるところも若干あるかもしれませんけれども、それぞれの各家庭の状況の中で選択をしていただいたと理解してございます。
◯庄司あかり議員
段階段階で最大限の説明をしたとおっしゃるんですが、入居前の説明が足りなかっただけではないんですよ。本市では、現在でも収入超過世帯に対して、お住まいの住宅の近傍同種家賃が幾らで、収入超過となれば何年かけて家賃が上がるのかなど、基本的なところを今も全く説明していません。入居者には、3月上旬に、所得月額と収入超過である旨、そして4月からの家賃額が知らされるだけで、収入が変わらなくても来年度以降も上がっていくことを今も知らずに過ごしている方がたくさんいらっしゃいます。家賃が上がったけど、この額なら何とか払おうと考えている方が来年の3月、さらに数万円引き上がる家賃額を知らされることになります。仕組みを知っていれば、もっと早く退去したのにと悔やまれるかもしれません。そういう人生を左右する問題であることを認識されているんでしょうか。住宅ごとの近傍同種家賃と割増賃料の仕組みについて、そして、34条の住宅のあっせん等について、直ちに入居者に知らせるべきです。郡市長、いかがでしょうか。
◯副市長(高橋新悦)
入居している方の御不安というか、そういう点はある程度理解するんですが、これまで近傍同種家賃の情報提供の在り方につきましては若干不足したところもあるかもしれませんけれども、今後は全ての入居している方に対しまして、早期に近傍同種家賃や割増家賃に対する制度の説明を文書によって行うとともに、収入超過者世帯に対しましては、各世帯にそれぞれの近傍同種家賃と段階的に家賃が上昇することにつきましてお示ししてまいりたいと存じます。
また、あっせんにつきましても、詳細な資料を添付の上、各入居者にお知らせしたいと考えてございます。
◯庄司あかり議員
これまで入居者にとって人生設計の軌道修正するタイミングがあったかというと、情報を持っている仙台市が何ら説明してこなかったわけですから、入居者の努力では不可能なんですよ。これから説明すると言いますけれども、本当にこれまでが被災者に寄り添った対応だったと言えるんでしょうか。しかも、市が実施対策の重点対象と位置づけている被災者ですよ。そういう方にする仕打ちではないと思います。復興の在り方としてどうなのかが問われています。市に落ち度があるわけですから、そのことに気づいたときに気づいた人が是正するしかないと思います。市長、よく考え直していただきたいです。最後にお答えください。
◯市長(郡和子)
あの東日本大震災から丸10年が経過いたしました。自立再建をされた方、また、様々な今現在も悩みや課題を抱えておられる方、様々であろうと思います。そういう中で、今、議論のあった復興公営住宅にお住まいの方々に関しましてですけれども、様々な情報提供を行いますほか、御相談があった場合にはほかの住宅のあっせんを行うなど、丁寧に寄り添えるように努めてまいりたいと存じます。
◯庄司あかり議員
今までやってこなかったことを本当に反省するんだったら、もっとできることがあるんですよ。これまでも示してきたように、家賃低廉化補助金という財源もありますので、決断をすることを強く求めて、終わります。