【概要】
〇本市「災害ケースマネジメント」(被災者の住まい再建支援) は、全国のモデルとなった。そのことへの評価
〇石巻市や鳥取県の取り組み事例と災害ケースマネジメントの有効性
〇市は災害ケースマネジメント制度の創設を
〇東日本大震災の未修繕住宅への支援策
〇茂庭台のマンション1棟の被害判定変更をめぐる問題
〇嵯峨サダ子議員
日本共産党仙台市議団の嵯峨サダ子です。災害ケースマネジメント制度創設と、り災判定のあり方について一般質問いたします。
東日本大震災から丸11年を迎えようとしています。被災者が安心した暮らしを取り戻せているのか、お一人お一人の生活状況を把握し、必要な方にはしっかりと支援を継続することが必要です。東日本大震災の被災者支援のあり方に再考を迫る議論が関係者の間でなされ、日弁連や東北弁護士連合会が国に「災害ケースマネジメント」の制度化を求めてきました。災害ケースマネジメントは発災後、自治体職員などが世帯を個別訪問し、被災者の状況把握を行い、個々の状況に合わせた支援計画に基づき、関係機関と弁護士や建築士などの専門家が連携して支援を行うものです。
東日本大震災で仙台市は「被災者生活再建推進プログラム」「被災者生活再建加速プログラム」を立ち上げ、仮設住宅の入居世帯が抱える課題に応じて、個別支援計画を作成し生活再建につなげました。市はその過程で民間団体に業務を委託し、仮設住宅入居者の全戸訪問調査や民間賃貸住宅の物件探しに同行するなど伴走支援を行いました。
こうした仙台市の取り組みは、全国的に「災害ケースマネジメント」のモデルとされ、2020年3月に出された総務省行政評価局報告書の中においても、市の取り組みが紹介されています。市は当時、なぜ被災者生活再建プログラムが必要だと判断し実施したのか、その経緯について伺います。
災害ケースマネジメントの究極の目的は憲法13条、25条の実現です。仙台市の被災者生活再建支援の取り組みは評価できるものです。しかし「仮設解消をゴールとしたのは間違いだった」との指摘が被災者支援団体から出されています。市は一定期間、復興公営住宅入居者を対象に支援員が再度全戸訪問し、個別支援につなげましたが、町内会設立など新たなコミュニティができてきたとして、既存の福祉サービスでの対応に移行しました。本来であれば、個別支援の仕組みを継続すべきでした。しかも2019年3月には被災者生活支援室も廃止してしまいました。
被災者の中では、復興公営住宅の家賃値上げ、生活困窮、健康不安、精神的な病など震災を起因とした課題は今も残っています。こうした課題にしっかりと対応できているのか確認が求められています。健康面の課題に対しては震災以降、毎年復興公営住宅入居者の健康調査を行っています。県がやめても市独自で継続して調査を行っています。今年度の調査結果が3月末にまとまるとのことですが、個別支援が必要な方には医療や福祉につなげるなど、きめ細やかな支援をすべきですが、いかがでしょうか。伺います。
市長は施政方針のなかで「障がい者やひとり親家庭、支援が必要な児童へのアウトリーチ型の取り組みを一層拡大し、震災の影響により、心身に不安を抱える方々の心の復興にも引き続き取り組みます」と述べました。復興公営住宅入居者のみなさんはコロナの影響もあり、交流もままならず孤立している人がいるのではないでしょうか。今の被災者のおかれている状況をしっかりと把握し、以前から求めている支援員の配置など、被災者が安心して暮らせる環境を整えることが求められています。いかがでしょうか。伺います。
この間、地元紙で在宅被災者問題がたびたび取り上げられました。在宅被災者に対する個別訪問と支援活動をしている団体の方からお話を伺いました。仙台市の在宅被災者を訪問した中で、自宅のお風呂が8年間壊れたままの世帯があったということです。障害者世帯で加算支援金を知らずに受け取っていなかったそうです。この世帯は福祉にアクセスできる環境があったにもかかわらず、行政が見過ごしていたのではないでしょうか。こうした在宅被災者を含めて、これまでの市の被災者支援がどうだったのかを検証すべきです。いかがでしょうか。伺います。
本市では、東日本大震災で被災した住宅がいまだに修繕されていない戸数が昨年3月末時点で8347あります。財政局が半壊以上の建物の評価額を減額するために毎年家屋の修繕状況を調査しているものです。未修繕の内訳を見て驚きました。全壊601、大規模半壊1140、半壊6606、です。なぜ修繕ができていないのか、壊れた住宅に住み続けている生活の様子などについては、どこの部署も把握していません。在宅被災者が放置されているのではないでしょうか。また2021年4月10日に申請が締め切られた加算支援金の未申請は1784世帯です。ご当局は未申請世帯に対し、電話や関係書類を郵送するなど周知に努めてきましたが、それでもこれだけの世帯が残っています。早急に未修繕戸数と加算支援金の未申請世帯を突合して、すべての世帯を調査すべきです。大事なことはその際に修繕の意思があってもお金が足りなくてできずにいるのかなど、生活再建を図るという観点で対策を考えることです。市の被災者台帳には、住所、氏名をはじめ、被害の程度や支援金の受給状況などが個別に掲載されています。それを関係部署で共有して個別支援につなげることは可能です。いかがでしょうか、伺います。
また修繕を希望する世帯には修繕に踏み出せるような支援策を用意しなければなりません。石巻市は独自の「住宅再建事業補助金」をつくり、建設購入・補修を支援しています。財源は震災復興交付金(通称 津波基金)を活用しているといいます。本市においては震災復興基金も活用して独自の補助金制度をつくり支援すべきです。いかがでしょうか。伺います。
石巻市では支援団体と仙台弁護士会が2019年からパイロット事業として、2020年からは石巻市との協定に基づいて累計563件を個別訪問し、在宅被災者から被災や生活の状況を聞き取りました。そのうえで弁護士が課題の整理をし、支援制度の活用を促したり、生活保護制度の地用につなげたり、既存制度の運用改善を求めたりするなどして、少なくない被災者が生活再建を実現しました。
また、鳥取県は全国で初めて危機管理条例に災害ケースマネジメントに関する規定を設け、2018年に施行しました。2016年に発生した鳥取県中部地震から1年半が経っても、被災した住家の屋根にブルーシートが多数かかっていたため調査したところ、高額な修繕費のねん出が難しい、借金を背負っている、経営状況が苦しく店舗再開ができない、など生活復興がままならない被災者が多数いることがわかりました。さっそく県はケースマネジメントを行う専門家集団(生活復興支援チームを立ち上げ、弁護士、建設業、工務店関係者、医療・福祉関係者等、多様な方々と県職員でアウトリーチによる支援を開始し、世帯別の「生活復興プラン」を作成しました。このようなきめ細かい支援により、住宅の再建制度については2019年2月ですべての対象者からの申請が完了し、その他の支援が必要な世帯にはその後も継続した支援が行われています。さらに昨年4月から、災害ケースマネジメントを全県展開していくため、常設の機関として「鳥取県災害福祉支援センター」を設置しました。県は災害ケースマネジメント制度と独自の支援金制度等を恒久化しました。災害が多発している昨今、被災者の生活再建、住宅再建、生業再建のためには災害ケースマネジメントの取り組みが有効であることは、これらの経験からも明らかです。市は災害ケースマネジメントの有効性をどのようにとらえているのか伺います。
先ほど紹介した総務省の報告書では「地方公共団体において進めることが重要と考えられる」とする事項を示しました。発災直後の避難所外避難者のニーズを的確かつ迅速に把握するための方策の検討や、制度の未利用者等へのアウトリーチを早期の段階で実施、関係機関が一体となった支援の実施を進めること等が重要と考えられるとし、災害ケースマネジメントが位置づけられています。
昨年4月の参院復興特別委員会で、日本共産党の紙智子議員が災害ケースマネジメントを国の制度に位置づけるよう求めたのに対し、当時の防災大臣は「災害ケースマネジメントは重要だ。鳥取県のような先進的な取り組みを紹介しながら、被災者に寄り添った切れ目ない支援が行われるよう取り組みたい」と答えました。本市は災害ケースマネジメントの先駆けといわれる被災者生活再建加速プログラムを実践した経験を持っていますが、それでも課題は残りました。災害時に被災者が取り残されることがないように個別支援を強め、充実することが求められています。国に制度化を求めるとともに救助実施主体である仙台市が早期にシステムを作っておくことが重要です。防災環境都市を標榜する仙台市として、地域防災計画に災害ケースマネジメントを位置づけ、制度を創設すべきですが、いかがでしょうか、伺います。
次に、東日本大震災で太白区茂庭台のマンション1棟の被害判定がランク下げされ、支援金等の返還が求められた問題について伺います。当該マンションは1回目の調査で一部損壊の罹災証明書が発行されましたが、住民が再調査を申請し、2回目の調査で大規模半壊の罹災証明書が発行されました。住民は罹災証明書とともに同封された生活再建支援金等のお知らせ文書をもとに支援金を受け取り、破損した住戸の修繕を行いました。ところが、住民が申請をしていないにもかかわらず、4か月後に市が職権と称して調査を行い、一部損壊に変更しました。市の説明によれば「マンションの共用部分の階段と梁の接合部分の被害をマンション本体の構造体力上主要な部分の被害と誤認し、大規模半壊に該当する被害と誤認した」というものです。
市は被害判定変更に伴い住民説明会を開き、市税、国保料、後期高齢者保険料、介護保険料、保育料の返還および支援金の返還も求められると説明しました。住民からは「納得がいかない」「市に勧められて支援金を使い修繕したのに、いまさら返せなんてひどい」「梁に亀裂が入ったのに、一部損壊とはおかしい」などなど、疑問や怒りの声が相次ぎました。住民は市と県に複数回にわたり要望書や公開質問書を提出しましたが、聞き入れてもらえませんでした。内閣府はこの問題で都道府県会館に対し、支援金の不利益変更のとり取り扱いについて書面を送付しました。書面には「支援金につき、職権により取り消して住民に返還請求することは困難である」旨が記載されていました。私も国会議員を通じて内閣府に問い合わせてもらったところ「不利益変更はしない」との回答をもらいました。
熊本市が仙台市の罹災証明書の発行に関し、1回目の被害判定より2回目の判定が低くなった場合はどう取り扱うのか質問しています。これに対し市は、「被害判定が高い方を採用している」と答えています。なぜ茂庭台のマンションはそれと違う対応をしたのか。どうしてこんなことが起きたのか、あわせて伺います。
結果的に市と都道府県会館から返還請求があり、訴訟になりました。支援金の裁判で一審の東京地裁では、住民の請求は退けられましたが、2審の高裁判決では裁判長が「決定は制度の趣旨に反する」と述べ、被災者側の請求を退けた1審判決を取り消し、被災者側の逆転勝訴となりました。判決は「罹災証明の変更は、住民に責任があるものではない」と指摘し、支給取り消しは「生活の安定という制度の趣旨に反する」と判断しました。ところが最高裁は昨年6月4日「被害判定は一部損壊が妥当」とし、その上で「住民が支援金を返還させられる負担感は少なくないが、やむを得ない」と述べて、支援金の返還を命じる判決を下しました。
住民は被害判定で翻弄されたうえ、10年経って返還を求められることになり、「自分たちは間違ったことをしていないのに、返せなんて納得できない」と憤りました。中には「返還金を工面できない」「借金をしなければならない」という声が出されました。精神的苦痛と財政的負担を強いられた住民の悔しさは余りあるものです。
問題の根本は、仙台市の誤った被害判定にあります。今回のような運用が認められて、一旦受け取った支援金を返せと言われたら、怖くて支援金を使えない事態になります。これは生活再建支援法の趣旨に反します。これをどう考えているのか、市長に伺って私の第一問といたします。
◯市長(郡和子)
ただいまの嵯峨サダ子議員のご質問にお答えを申し上げます。
災害ケースマネジメントの有効性及び制度創設に関する御質問にお答えをいたします。
本市では東日本大震災の際に、仮設住宅に入居された方へ適切な支援を行うため、被災者生活再建推進プログラム並びに加速プログラムを策定をし、課題を抱えている世帯それぞれの状況に応じた伴走型の個別支援を行ってまいりました。
この手法、いわゆる災害ケースマネジメントが、地域課題が多様化、複雑化する中にあっても、被災者の生活再建に向けた有効な取組と評価され、その後の熊本地震などでの被災者支援にも引き継がれ、さらに今般の国での議論へとつながったものと考えております。
これらの被災者支援に係る業務内容や役割分担などの基本的な事項については、既に本市の地域防災計画などにも反映されているものと考えておりますが、今後の国の動向などについても引き続き注視してまいります。
また、現在、国において行われている調査の中で、本市の取組が先行事例として挙げられていることもありますので、これまでの経験を広く伝えていくことなどにより、本市としての役割を果たしてまいりたいと存じます。
次に、被災者生活再建支援法の趣旨についてのお尋ねにお答えいたします。
ご指摘のマンションにおいて被災された方にとって、支援金の返還を求められることは、負担感を感じられるものと推察されます。
一方で、最高裁判所の判決では、被災者生活再建支援法は、被害が所定の程度以上の世帯のみを対象に支給するという立法政策を採用したものと解され、返還を求めないとすれば、被災した多数の世帯間における公平性が確保されず、制度の信頼を害することになるものと判断をしております。
本市といたしましては、対象の方が返還により生活にお困りになるといったことがないように、丁寧な対応に努めてまいります。
また、罹災証明書は、災害発生時における各種の支援制度の判断基準に用いられておりますことから、今後とも適切な罹災判定に努めてまいりたいと存じます。
そのほかのご質問につきましては、関係の局長から御答弁を申し上げます。
◯財政局長(高野一樹)
罹災証明書における被害認定の取扱いについてのご質問にお答えいたします。
地震被害に係る建物被害調査は、迅速性を確保するため、目視による外観の調査を原則としながら、被災者から申請がありました場合には、建物内部の被害状況の確認を含めた詳細な調査を行うこととしてございます。
この外観調査と詳細調査の両方を実施した結果、被害程度が異なる場合につきましては、より重いほうとするという取扱いをしてございます。
しかしながら、御指摘の建物につきましては、複数回の調査が依頼されましたけれども、最終的に建築士も同行の上、調査を実施した結果、外観調査及び詳細調査のいずれも一部損壊が妥当であるというふうに判断をしたため、一部損壊としたものでございます。
◯健康福祉局長(加藤邦治)
被災者支援についてのご質問にお答え申し上げます。
初めに、被災者生活再建推進プログラム策定の経緯についてでございます。
東日本大震災から時間が経過する中で、被災された方々の中には新たなお住まいで生活を始められる方がおられる一方、住まいの再建方針が定まらず、健康面や生活面の御不安など複合的な課題を抱える世帯が存在し、こうした世帯の方々への支援の充実が急務であることが明らかになりました。
このような状況を踏まえ、仮設住宅に入居されている方の現状や生活再建に向けての問題等を把握、分析し、世帯の状況に応じたきめ細かな支援を重点的に実践することにより、早期の生活再建を後押しするため、平成26年3月に被災者生活再建支援推進プログラムを策定いたしました。
具体的な取組といたしましては、戸別訪問等で把握した世帯の状況や課題、支援の必要性に基づき、対象世帯を四つの類型に分類した上で、関係団体と連携し、個々の世帯の状況に応じた伴走型の個別支援を行ったところでございます。
次に、被災者の健康支援についてでございます。
本市では、被災者の方々の健康状態を把握し、要支援者を必要な支援につなぐとともに、健康課題に応じた保健事業を展開することを目的に、健康と生活に関する調査を行っております。
調査の結果、病気の治療を中断なさった方や精神面で不調を訴える方など、支援が必要と考えられる方に対しては戸別訪問を行うとともに、必要に応じて地域の医療機関や地域包括支援センターなど様々な主体とも連携を図りながら、個別支援につなげております。
さらに、被災者を対象とした健康相談会や運動教室などの取組も併せ、被災者の健康課題に対する、寄り添った支援に取り組んでまいりたいと存じます。
次に、復興公営住宅への支援員の配置についてでございます。
復興公営住宅におきましては、区役所や仙台市社会福祉協議会の支えあいセンターなどが連携し、コミュニティーの立ち上げや活性化支援に取り組み、一定の成果を上げたものと考えております。
入居された方が地域において引き続き安心して暮らしていくためには、身近なコミュニティーにおける様々な交流や人とのつながりが大切なものと認識をしております。
そのためには、新たな支援員の配置ではなく、これまでどおり町内会をはじめとした地域をよく知る担い手や、地域に根差した関係機関がしっかりと連携し、見守り活動の充実やつながりを切らさないための活動への支援などを継続して行うことが重要であり、こうしたことを通じて、今後も支え合う地域づくりに取り組んでまいりたいと存じます。
次に、被災者支援の取組の検証についてでございます。
被災者の生活再建を進めていく際には、世帯ごとの被災の状況や抱えている課題等を丁寧に把握し、適切な支援につなげていくことが肝要でございます。
これまでも復興五年記録誌や生活再建のあゆみなどをまとめる際において、活動の振り返りや検証を行ってまいりました。それらの中では、住宅の再建や生活環境整備といったハード面だけではなく、被災者の心のケア、健康面の不安、生活面での困り事など、復興までにかかる時間は一様ではないことから、被災者支援の視点は持ちながら、各般の取組を推進していかなければならないことを改めて確認してきたところでございます。
今後につきましても、東日本大震災における被災者支援の経験を生かしていけるよう、関係部局との横断的な取組を継続してまいりたいと存じます。
最後に、被災住宅の再建支援についてでございます。
本市では、東日本大震災発災後、災害救助法による応急修理制度に加え、本市独自の被災地域住宅再建補助事業などにより、住まいの再建を支援してまいりました。
また、被災者生活再建支援金の加算支援金につきましては、申請締切り前に、未申請世帯に対し、文書による勧奨や電話での状況確認などを繰り返し行いましたことから、必要とする方からはおおむね申請をいただくことができたものと考えております。
こうしたことを踏まえ、新たな補助制度を創設することは考えておりませんが、今後も個別の相談があった際には丁寧に対応し、実情に応じた支援につながるよう努めてまいりたいと存じます。
◯嵯峨サダ子議員
ご答弁いただきました。
私からは2点、再質問をさせていただきたいというふうに思います。
一つは、災害ケースマネジメントの創設の関係なんですけれども、市長のほうからは既に地域防災計画にもこういった趣旨を位置づけているということと、それから今後の国の動向を見てというふうな趣旨の御答弁だったかと思うのですが、私が求めているのは、仙台市の生活再建加速プログラムは評価もしていますし、それでやっぱりとどまったことが第一問で言ったように間違いだったのではないかというふうな指摘もございますので、やはり本当に被災者をちゃんとアウトリーチをして、マネジメントして、生活再建につなげるというそのプロセスが災害ケースマネジメントですので、これをしっかりとやることが大事だと思うんですよ。
ですから、新たに一から仙台市がつくるわけでなくて、これまでつくってきた実績があるから、それを基にしてやれば、そんなに難しいことはないと思います。東日本大震災で被災した唯一の政令市でございますので、その仙台市がこのケースマネジメント制度をつくる意義は非常に大きいというふうにも考えておりますので、ぜひ市長の下で制度を創設していくべきだというふうに思いますし、ぜひ市長、つくりましょうよ。このことをまずお伺いしたいと思います。
それから、住宅の未修繕世帯への対策についてなんですが、局長からは加算支援金の関係のことを重点に主にご答弁いただいたかなと思うんですけれども、私は加算金、支援金の未申請世帯に対して、結構何度も申請勧奨したり、丁寧な対応をしたということは承知をしています。その上で、それとまたリンクしているのかどうかあれなんですが、未修繕世帯がこれだけあるということを放置していいのかという問題意識で質問しているわけです。なので、ぜひ、調査するということは在宅被災者が置かれている実態を可視化して、支援につなげる入り口になるわけですから、行政の縦割りではなくて、関係部署が連携して横断的に取り組んで対策を考えなければならないんだということなんです。ですので、これは早急に具体化して取り組むことが求められている課題なんだということで求めているわけですので、この点も再度お答えいただきたいと思います。
◯健康福祉局長(加藤邦治)
2つの点についてのご質問を改めていただきました。
まず、災害ケースマネジメントにつきましては、お話にもございましたが、私どもが取り組んでまいりました被災者生活再建推進プログラムというものを基礎として、国等でも議論されている部分であろうと思ってございます。そういったこと、我々自身が経験をしているということがございますので、そういうことも踏まえながら検討は進めてまいりたいというふうに考えておりまして、これは一部局で検討を進めるということにはならないかと思ってございますので、関係する部局の連携、協力の下で進めてまいりたいと思ってございます。
それから、2点目の住宅の関係でございますけれども、未修繕の住宅が残っている主な要因といたしましては、資金面から断念される場合もあるというふうには考えておりますけれども、例えば最低限の応急修理が済み、生活上の支障がなく、本格的な修繕に至っていないなど、様々なケースがあるものと考えてございます。
先ほど申し上げましたとおり、支援金等につきましておおむね必要とされる方への支給は完了したものと考えてございますけれども、様々な相談があった場合には、相談を受けたところにとどまらず、これも関連するところでしっかりと丁寧に対応してまいりたいと考えてございます。
◯嵯峨サダ子議員
今、局長が在宅、未修繕世帯の件についてご答弁いただきましたが、多分問題意識は同じだと思うんですが、ただそれはあくまでも被災者の方から相談があったときに、市がそれに対応するという姿勢にとどまっているというふうに私は受け止めました。そうではなくて、こちらのほうから出かけていって戸別訪問をして、一体何に困っていて修繕ができないのか、一部修繕も四十数件だったか残っているのがあるんですが、それだって本当は全部修繕したいけれども、お金が足りなくてできていないという場合も想定されますので、やはりそれは実際訪問してみないと実態が分からないわけですよね。だから、全壊が600件もあるというのは、家が傾いた中でどうやって暮らしていらっしゃるのか。そういうことに思いをはせることが、私は大事なんだと思いますので、申請とか相談を待つのではなくて、個別にちゃんと足を運んで実態を把握するということが大事だということを申し上げているので、再度お答えください。
◯健康福祉局長(加藤邦治)
被災世帯、住宅に被害があった世帯に再度の訪問ということについてのご質問でございました。
先ほどの繰り返しでございますが、私どもこういった支援制度を利用されている方々というのは、一定程度いるものというふうに考えてございます。ただ、今御指摘がございましたが、依然としてお困りになる方がいらっしゃるということであれば、それは私ども、様々な関係で窓口にお見えになることがあろうかと思います。そういった中で関係窓口だけでなく、関係部局が連携をして対応してまいりたいと考えてございます。