【概要】
〇職員がいきいきと力を発揮できる市政へ
〇事務ミスが起こらない仕組み・体制づくり
〇職員の非正規化を進めたことの見直し
〇大区役所制が目指したもの、区役所機能の充実
〇住民福祉の向上で市民の願いに響きあう仕事を
〇災害、コロナ対応、選挙事務など公務労働の果たす役割
〇庄司あかり議員
日本共産党仙台市議団の庄司あかりです。本市の職員がいきいきと力を発揮できる市政の実現を求め、一問一答方式で一般質問いたします。
郡市政がスタートして6年。同じ年に誕生したわが娘も先日6歳になりました。保育園で「大きくなったら何になりたい?」と問われ「みんなを笑顔にする人になりたい」と答えたそうです。
市民を笑顔にする仕事は、市長ひとりで成し遂げられるものではありません。市長もおっしゃっている通り、職員が一丸となってこそだと思います。
郡市長が就任されてからの職員への訓示を全て拝見しました。全体に貫かれているのは、職員への感謝と敬意、そして災害やコロナへの対応で間断なく奮闘してきた職員への労いです。就任時のご挨拶では「現場主義」「創例主義」「市民協働」の3つを共通認識にしたいと語られ、その後も折々にこの3つの実践について呼びかけてこられました。改めて市長がお考えになるあるべき職員像について伺います。
市長は前例踏襲(とうしゅう)・既定路線・縦割りの議論に甘んじていてはいけないと訴え続けてきました。直近の今年度当初の訓示では「職員の皆さんをみていますと、所管する業務に対しては真摯に取り組み成果を出している…一方で所管から少しでも外れることや、これまでのやり方を大きく変えるような新しい取り組みには、消極的に見える場面がある事も事実…。担当業務や既存のやり方に縛られるのではなく、オール仙台で考えた時に自分の担当業務がどのように市民の皆様方の幸せや利便性につながるのか、これを第一に考えるということが重要だ」と述べられています。これまで繰り返し呼び掛けても、前例踏襲や縦割り対応が今も続いていると市長が感じていらっしゃる、その要因は一体どこにあるとお考えでしょうか。伺います。
目の前の膨大な仕事で精一杯で、所管業務を超えるところまで目を向けられないという状況もあるのではないでしょうか。適正な事務執行はもちろん、市民のために職員一人ひとりが能力を存分に発揮できるよう環境を整えることも組織の責任です。この間の行革の下で、正規職員をどのくらい削減してきたのか、また、それに伴い非正規職員はどのくらい増えたのか。お示しください。
仙台市は政令市移行に伴い、区行政の要である区役所に大幅な権限を付与する大区役所制を導入しました。「指定都市へのあゆみ」の中では「区役所を単なる本庁の出先機関とするのではなく、市民の行政への要望に可能な限り総合的、完結的に対処しうる地域行政機関として位置付け、市民サービスの充実を図るため…大区役所制を採用した」と書かれています。もちろん現在も大区役所制の看板は下ろしていないはずですが、本市が目指す大区役所制の特徴についてお示しください。
一括での質問は以上とし、以降は一問一答にて伺ってまいります。
◯市長(郡和子)
庄司あかり議員におかれましては、3期12年にわたって、子ども行政をはじめとして市政各般にわたり本市の発展に御貢献されてこられました。敬意を表し、御質問にお答えを申し上げます。
あるべき職員像に関するお尋ねにお答えいたします。
将来を見据えて仙台のまちづくりを進めていくためには、社会の変化や市民の皆様のニーズを的確に把握して、課題の解決に向けて自ら考え、挑戦し続ける職員となってほしいということから、このような思いを創例主義、現場主義、市民協働に込めて、職員に繰り返し伝えてまいりました。この考えが浸透する中で、前例踏襲の通用しない難しい新型コロナウイルスとの闘いにおいても、直面する課題に全庁一丸となって乗り越えてきたと実感をしております。この経験を糧に、組織力を一層高めることが重要と考えております。アフターコロナの時代が始まる中で、高度化、複雑化する地域課題に的確に対応していくことはもとより、防災環境都市の取組など、世界の中の仙台という位置づけも見据えた施策の展開が必要になってまいります。職員には、これまで以上に積極果敢に挑戦し続けていく姿勢こそが不可欠であり、引き続き持てる力を最大限に発揮できる環境づくりに私自身邁進してまいる所存でございます。
◯総務局長(佐野直樹)
私からは、行財政改革に伴う職員数の増減についてお答えを申し上げます。本市では平成7年度以降、行財政改革により、ごみ収集や保育所運営における民間活力の導入、業務内容、責任に応じた非常勤職員の活用など、効率的な組織体制の構築に取り組んでまいりました。この間、市長部局におきましては、東日本大震災への対応により正職員数が増加に転じた時期もございましたが、ピークの平成九年度から約300人減少している一方で、会計年度任用職員などの非常勤の職員は約1300人の増加となっているところでございます。
◯市民局長(天野元)
私からは、大区役所制に関するお尋ねにお答えをいたします。本市におきましては、いわゆる大区役所制の考えの下、区役所が身近な場所で相談や手続を可能とする役割を担うとともに、地域の最前線に立って、それぞれの地域における課題の解決を進めてきたところでございます。一方で、時代の変化の中で地域ごとのニーズや課題が複雑化、多様化してきており、きめ細かく対応していくために、地域重視、現場主義という視点の下に組織改正を含めた各般の取組を進めてまいりました。その結果、例えば宮城野区及び若林区の海浜エリアの活性化におきましては、区役所が軸となり、本庁関係局とも緊密な連携を図りながらまちづくりを進めているところでございます。
◯庄司あかり議員
市長から、あるべき職員像、期待することについてもお話をいただきました。
初めに、事務ミスに関連してです。事務ミスが重なった今年初めの訓示で、市長は「一人一人が当事者意識を持って信頼回復に力を尽くしていかなければなりません。しかし、損なわれた信頼ばかりに目を向けるのではなくて、それ以上にこれまで培ってきた信頼にも意識を向けていただきたい。コロナ禍への全庁挙げた対応、様々なまちづくりの取組など、職員の皆さんが懸命に仕事に取り組んでいるということ、それは誰よりも私がよく知っています。ぜひ皆さんには、今年一年、顔を上げて前向きな気持ちで仕事に取り組んでいただきたい」と呼びかけておられまして、私も読んで感銘を受けました。ともすればミスを起こしてはならないと、過度に緊張し、萎縮する環境になりかねない下で、大事な激励だと思います。職員を励ますと同時に、ミスを起こさない仕組みをつくることが市長の役割でもあると考えますけれども、いかがでしょうか。
◯市長(郡和子)
年頭の訓示におきましては、市民の皆様の信頼回復のためには、職員一人一人が全体の奉仕者であるとの意味を深く自覚して前向きに仕事に取り組むことが何よりも必要であるという思いから、職員に訴えかけたところでございます。あわせて、ミス防止の仕組みづくりも私の役割であると認識をしておりまして、事案の全庁共有を通じました各職場における業務の点検や事務の正確性向上に有効なRPA等、デジタル技術の活用などに取り組んでいるところでございます。引き続き、職員が高い意欲を持って適正な事務を執行し、市民の皆様方から信頼される組織となるように鋭意取り組んでまいります。
◯庄司あかり議員
仕組みをつくることも市長の役割だと思います。この間の再発防止策、議会からも指摘されていますが、研修が主になっていまして、ただでさえ業務量が多いのに負担が増すということが懸念されます。市民ニーズの複雑多様化に伴い、自治体の業務量は増す一方ですけれども、先ほどお示しいただきましたが、職員の削減で、市長部局だけだったので、全体でいうと2000人近い削減になっていると思います。担当職員や係長の負担が増大し、課長も実務に完全に組み込まれ、OJTによる指導など、人を育てる体制が十分に取れていないとの指摘もあります。昨日の御答弁では、OJTハンドブックを作成したということでしたけれども、必要なのは、マニュアルではなくて、人なんだと思います。職員削減を始めて20年以上ですけれども、そのひずみが今影響となって出てきているのではないでしょうか。さらに10年、20年後の組織運営を考えれば、職員体制の充実こそ必要と考えますが、いかがでしょうか。
◯総務局長(佐野直樹)
職員の体制につきましては、この間、民間活力の導入などによる業務の効率化や人員配置の見直しを進めつつも、その時々の社会的な要請や行政課題を踏まえた上で、必要な人員の確保に取り組んできたところでございます。引き続き必要な人員の配置は進めていかなければいけないと考えておりまして、さらに知識、経験の豊富な定年延長職員、こういった方々をいかに効果的に活用するかということのマネジメントでありますとか人材育成、こういったことにも取り組んでいかなければいけないと考えておりまして、こういった取組を進めながら将来を見据えた円滑な業務執行体制の確保に努めてまいりたいと考えております。
◯庄司あかり議員
やはり次の代をどう育てるかということが問われているんだと思います。職員体制を見直さなければ抜本的な改善にはつながりません。
また、ジョブローテーションがミスを誘発するとの指摘もあります。ようやく事務が分かってきた頃にまた異動になり、ゼロから畑違いのところで始まるということでは、職員にとって精神的負担も大きいと思います。以前は、労務課に10年在籍するということもあったと伺っています。例えば職員共済組合、1万人もの職員の退職給付や年金などの事務を担っていますけれども、大きなミスを起こしたと聞いたことはありません。特定の事務のプロフェッショナルとして長年事務に当たっている方々だからだと思います。ジョブローテーションでゼネラリストを育成するという観点も重要だと思いますけれども、一定程度、畑を絞ってスペシャリストを養成していくということも必要と考えますが、いかがでしょうか。
◯総務局長(佐野直樹)
ジョブローテーションにつきましては、職員の能力開発を促すとともに、組織活力の維持、向上につながる面もあり、また、適正な事務執行にも資するという点もあるものと考えております。一方で、税、福祉あるいはデジタルをはじめ、専門性を求められる分野における職員の確保、育成にも取り組んでいかなければいけないと考えてございます。今後とも、業務への精通や職場全体の業務遂行力を十分に確保する観点も重視しながら、人事異動サイクルといったものの見直しも含めまして、適正な配置管理を行ってまいりたいと存じます。
◯庄司あかり議員
税と福祉、デジタルについてはもう畑を絞るという方法も取っているわけですので、やはり必要なスペシャリストの養成を進めていく必要があると思います。
職員の非正規化を進めてきたことの見直しも必要です。会計年度任用職員の処遇の政令市比較、昨年度の分ですけれども、いただきました。地域手当の込み額では、保育士、保健師、看護師などの専門職で、本市はいずれも19位と低い水準になっています。会計年度任用職員の処遇改善を図るとともに、専門職は非正規で賄うのをやめて、正規採用を進めるべきと考えますが、伺います。
◯総務局長(佐野直樹)
会計年度任用職員の処遇につきましては、令和5年度から期末手当の支給割合の引上げを行ったほか、保育士、保健師、看護師につきましては3%程度の給与の引上げを行うなど、これまでも適時に処遇の改善を図ってきたところでございます。また、本市ではこれまでも正職員を中心とする業務運営を基本としつつ、適切な役割分担の下で会計年度任用職員を活用してきたという経過もございます。今後とも、職責に応じた適正な処遇と必要な人員体制を確保していくように努めてまいりたいと存じます。
◯庄司あかり議員
今、会計年度任用職員の処遇改善を進めたとおっしゃったんですけれども、これ、ほかの政令市も同時に進めていますので、順位についてはあまり改善していないと思うんですね。抜本的な見直しが必要です。
本市の会計年度任用職員の八割が女性で、男女の賃金格差の要因となっていることも課題です。都道府県版ジェンダー・ギャップ指数において、2年連続ジェンダー平等の1位を獲得したのが鳥取県です。その立て役者と言われているのが片山善博元知事です。まず手をつけたのが財政課で、予算編成が年末の寒い時期が業務のピークということで徹夜で作業することもあり、男がやるきつい仕事との固定観念があったそうです。そこで人手を増やし、業務のデジタル化も進め、女性の割合を増やした。結果、残業も減り、予算の出来栄えもよくなったということです。男性職員の育休取得も積極的に進めました。ジェンダー問題に取り組んだ動機は、同じような能力を持っているのに女性というだけで力を発揮できないのは不平等との思い、職員数に限りがある中で、重要な仕事を男性だけに任せるのは人材活用面でももったいないとのことです。
ワーク・ライフ・バランスに配慮した職場は、女性にとっても男性にとっても働きやすいと思います。女性職員の割合が少ない部署あるいは管理職の業務が男性にとってもきつい仕事になっているのではないでしょうか。ジェンダー平等を進める視点での改革が必要だと思いますが、市長、いかがでしょうか。
◯市長(郡和子)
本市の職員構成を見てみますと、組織運営の観点からも女性職員の活躍というのが欠かせないと思っております。これまでも、女性、男性ともに仕事と家庭生活の両立ができるように、子育てや介護に係る休暇制度の整備、それからまた、セミナーの実施等による意識啓発のほか、育児休業に伴います代替職員の確保にも取り組んできたところでございます。今後とも、管理監督職の負担軽減といった点にも留意しながら、性別を問わず、全ての職員が働きやすく活躍できるような、そんな職場環境づくりに努めてまいりたいと存じます。
◯庄司あかり議員
ぜひジェンダー平等に取り組んでいただいて、こちらから見える景色も変わるといいかなと思っております。
私は、職員が生き生きと個々の能力を発揮できる環境をつくることが、ひいては市民にとってよい市政をつくることにつながると考えます。数年前、若林区道路課は若林区すぐやる課を自称していました。合い言葉は、市民にできないと言うのは簡単だけど、どうやればできるか考えてできるようにするほうが仕事は楽しいで、実際、市民から寄せられた相談にスピーディーに対応されていました。そうはいっても、役所の奥義、予算がないをどうやってクリアしたのかというと、経常経費で足りない部分はまずは区長裁量予算で対応していたということです。
そこで、区長裁量予算の執行状況をいただきました。コロナ禍で少し執行率が落ちているところもありましたが、コロナ前の2019年度で見ると全国で9割を超え、とりわけ土木費の執行率が高くなっています。区長裁量予算の土木費の使い道は、どこの区も市道編入や私道整備補助、街路樹剪定などの市民要望で、経常経費で足りなかった分に充てているのが多いということです。区役所の努力の表れとも言えますけれども、本来は経常経費で措置されるべきではないでしょうか、伺います。
◯財政局長(永渕智大)
本来、予算は、道路や公園といったその目的ごとに区分をして適切に計上した上で執行するのが基本と考えてございます。その上で、いわゆる区長裁量予算の土木費分につきましては、緊急的な修繕等に対し、年央での迅速かつ柔軟な対応を図るため、平成19年度に新設をさせていただきまして、拡充も図りながら現在に至っているというものでございます。
◯庄司あかり議員
今、緊急に必要なものにもとおっしゃいましたけれども、緊急に必要なものには緊急のための予算もつけられているわけですよね。これでは本当に区長が区独自の取組に使いたいと思っても、そのときには区長裁量予算が足りなくなってしまいます。この10年間、区長裁量予算はずっと同じ水準なんですね。抜本的な増額が必要だと思いますけれども、いかがでしょうか。
◯財政局長(永渕智大)
土木費分の区長裁量予算につきましては、別途措置をしております道路や公園などの目的ごとの予算と合わせた全体として予算編成の中で限られた財源を適正に配分するという観点から、各区の実情等をよく踏まえた上で適切に計上するよう、今後とも努めてまいりたいと存じます。
◯庄司あかり議員
これからは区役所の時代だと、若林区の大先輩議員も予算等審査特別委員会でおっしゃっていたわけです。財政局長は予算等審査特別委員会を聞いていらっしゃらないからそういう御答弁なのかもしれないので、区長裁量予算の増額、二役にお伺いいたします。
◯副市長(高橋新悦)
4月からの財政局長なので、なかなか至らないのかもしれません。
実は、この区長の裁量予算につきましては、過去、財政局の理事だと思いますけれども、結構土木費に思い入れを入れていただきまして、取り方なので、通常費というような特別枠と。結果的には各区役所のアイデアの中で消化というか、それを使って区の魅力をアップさせるということで、先ほど議員からもありましたけれども、やれないじゃなくて、どうやったらやれるのかという知恵を絞ってやれよと私は言いましたけれども、そういう形で各区で知恵を出して、限られた予算ですが、それで執行しているというのが実情だと思います。
◯庄司あかり議員
ぜひ、限られた予算の中で考えるのと併せて、やはり予算をつけて区役所の取組を後押しすることが大事だと思います。
市民からは、街路樹剪定の要望を多く寄せられますけれども、主要路線の剪定は5年に一度になっているそうです。そのため、切るときは思い切り強剪定して、残念な状態になるんですけども、植物は強剪定されると、生きようとして一層芽吹いて、5年後にはもうさらにわさわさになって、今度落ち葉で市民から苦情が寄せられるという状況にもなっています。そうした街路樹の剪定も、相談が寄せられれば区役所が対応しています。
予算は5年に一度だし、区長裁量予算、使い切ってしまったときはどうするかというと、先ほどのすぐやる課長の場合は、公園課と連携して造園職と技能職員が剪定をし、道路課が交通整理をして剪定を終わらせたのだそうです。委託するよりも、直営のほうが早く安く済むこともあるとおっしゃっていました。造園職の採用は毎年若干名となっていますし、技能職は採用をやめています。配置できなくなれば直営でやれず、委託に頼らざるを得なくなり、組織としての力量が落ちていき、技術もノウハウも継承されません。多彩な人材で組織力を高めることこそ必要と考えますが、いかがでしょうか。
◯総務局長(佐野直樹)
本市では、幅広い行政需要に適切に対応するために、業務の専門性に即した様々な職種を採用してございまして、各業務の実情に応じて体制の確保に取り組んできております。今後とも、関係局と課題認識を共有しながら、職種ごとに必要な人員を確保するとともに、専門性を生かした人員配置でありますとか、あるいは定年引上げによって高齢期の職員が出てまいりますので、そういった方々の活用などを通じまして、知識、技術の継承、組織力の確保が図られるように努めてまいりたいと存じます。
◯庄司あかり議員
技能職の採用をやめた分、委託を進めているという面もありますけれども、やはりその弊害を認識すべきだと思います。
すぐやる課の事例は、巨額の予算を投じなくても市民のためにやれることがあることを示しています。当時の課長は、要望に全て応えられなくても、アイデアを出し合い、できることをやればゼロ回答にはならない、市民もやってもらったと感じ喜んでくれると話していました。一方で、何でもすぐやればいいわけではなく、浸水対策など、面的な整備が必要なときにはぽつぽつやっても効果がないから、来年広いエリアで対策を取るまで待ってほしいと市民に率直に伝えるのだそうです。きちんと説明すれば理解し、信頼してくれるとおっしゃっていました。
市民に役立つ仕事ができ、喜ばれる職場は職員にとってもやりがいがあり、働きやすい職場です。市民のために知識もノウハウもフル活用する、行政のプロとしての仕事をするのが本市の職員です。市長はいかがお考えでしょうか。
◯総務局長(佐野直樹)
申すまでもなく、市役所業務の一つ一つ全てが直接、間接に市民の皆様の日々の安全・安心な生活を支えているというものと考えてございます。職員一人一人が市政における自らの業務の位置づけと使命を強く意識して、職務遂行に当たっては、自身の知識と能力を最大限発揮するといったことが行政に携わる者として本市の職員のあるべき姿であると認識をしているところでございます。
◯庄司あかり議員
先ほどもありましたけれども、区役所に予算も権限もつけるということが市民の利便性向上に資するとともに、市民の生活実態にかみ合う政策立案につながります。しかし、行革の下で、区役所機能の本庁集約が進められました。私が議員になってからも、税務事務の集約、保健所が一元化されました。大区役所制がスタートした平成元年の区役所の組織図を見ましたけれども、驚きました。総務部には経済課があり、商工業に係る相談や融資の受付、商店街イベント事業に対する補助や農業団体の育成指導、助成などを所管、税務部では納税課が滞納者の実態調査や整理を行います。建設部では、建築宅地課が開発行為等の許可に関する審査など、今では本庁が行っている仕事が区役所で行われていました。
区役所が地域経済に関わる施策を立案、実施したら、区ごとの特色ある経済対策が可能ですし、区役所で税の滞納の相談に寄り添えば福祉の窓口との連携もスムーズだと思います。土地勘のある区役所が開発行為の窓口ならば具体のアドバイスもでき、集落の維持にも役立つのではないでしょうか。区役所の機能を縮小して大区役所制を骨抜きにするよりも、区役所でほとんどのことが完結できる、それこそ本市が目指した姿であり、市長が述べておられたブドウの房のようなまちづくりだと思いますが、いかがでしょうか。
◯市民局長(天野元)
地域の問題はできるだけ身近な区役所で解決を図るべく、区役所に多くの権限を付与し、政令市の歩みを始めたところでございます。その後、地域課題の多様化、複雑化に対応するため、効果的な業務の在り方を目指し、一部本庁との役割分担の見直しがなされてきましたが、市民の皆様に最も身近な窓口である区役所が総合的に施策を推進していくという基本的な考え方は変わっていないものと認識しております。今後とも、区役所が住民の皆様のニーズをつかみながら、それぞれの地域に即したまちづくりが展開されるよう、区役所機能の強化に取り組んでまいります。
◯庄司あかり議員
区役所がもともと持っていた機能を取り戻すことが本来は必要だと思いました。しかし、全て戻すのが難しいということであれば、市民にとって不利益とならないように、本庁の各課との連携は一層深めなければなりません。現場主義や情報共有、横串を刺した組織の連携というのが、言葉だけでなく、現場で生かされてこそだと思います。大区役所制の下、区役所がつかむ現場の声、どのように施策に生かしていかれるのか、伺います。
◯市民局長(天野元)
最近では、区役所のまちづくりの最前線で業務に励む職員の意見を最大限に取り入れた結果、地域の方々のまちづくりをステージに応じて支援する地域づくりパートナープロジェクトの創設につながった例があるほか、こうしたことを契機に区役所が地域のニーズや課題を的確に把握し、本庁関係局を巻き込んだ各区主導のまちづくりが始まっているところでございます。引き続き、区役所がつかんだ地域の生の声を全市的な施策に反映させるなど、関係局区がそれぞれの専門性を生かしながら、横串を通した取組を進めてまいりたいと存じます。
◯庄司あかり議員
一層の取組は必要だと思います。
地方自治法第一条には、地方公共団体は住民の福祉の増進を図ることを基本として、行政を実施する役割を担うものとするとあります。まさに、この住民福祉の増進により人口が増え、税収も増え、自治体経営を好転させた事例を示したのが明石市です。財政難を理由に福祉を後退させるのは、自治体の役割からいっても財政論からいっても誤りです。敬老パスなどの在り方検討や公立保育所の廃止、子ども食堂への助成の削減など、市民サービスの縮小は一時の歳出削減にはなるかもしれませんが、長い目で見たときに、医療、介護費の増加、少子化や子供の貧困の深刻化など、歳出増や歳入減につながることも想像する必要があります。多様な人々が安心して暮らせる共生社会づくりが自治体の本旨であると同時に、将来にわたって人口と税収を維持し、市政を運営していく要です。
本市は、東日本大震災で被災した唯一の政令市として、市民の生活再建を進めてきました。前例なんてもちろんなかったけれども、津波被災でも宅地被害でも、独自の支援策、職員の力で創設しました。そうした力を持つ本市の一万人の職員がどうやればできるかを考えて、できるようにするほうが仕事は楽しいと、市民福祉の向上に取り組めば、仙台市は明石市を凌駕するすばらしい自治体になると私は思います。市長はそうは思いませんか、伺います。
◯市長(郡和子)
住民福祉の増進に向けて力を尽くすことが、もとより私たち市政運営に携わる者の使命でございます。本市の職員には、先ほど御紹介いただきましたけれども、東日本大震災の際に被災した方々のために新たな施策を考えて実行してきたという経験もございます。目の前の課題がたとえ前例のない困難なものであったとしても、市民の皆様方の福祉のために何をなすべきか、常に問いかけながら前向きに挑戦を重ねることによって本市の未来が切り開かれるものと、そのように認識をいたします。
◯庄司あかり議員
すぐやる課の課長は、係長時代に現場対応した市民から、地元紙を見て課長になったことを知り、あのときありがとう、昇進おめでとうございますとのお手紙をもらったんだそうです。コロナ禍で発生状況の記者会見をし続けた職員の方は、御夫婦で買物をしていたら、レジの人にいつもテレビで見ています、お疲れさまですと声をかけられたそうです。ちなみに、そのとき買っていたのが栄養ドリンクで恥ずかしかったと伺いました。それぞれ市民に喜ばれたエピソードをお持ちだと思います。災害があれば深夜でも参集し、コロナ禍では命を守る最前線で職務に当たり、それらが同時に起こるところでも通常の業務は続けながら、さらに民主主義の根幹たる選挙事務を担うのが公務労働です。職員の皆さんには公務労働のやりがいを実感しながら働いてほしい、そして市民には公務労働の尊さを知ってほしい、そんな思いで質問に立ちました。
市長にも、ぜひそうしたメッセージ、市民に発信していただきたいと思います。いかがでしょうか、最後に市長に伺います。
◯市長(郡和子)
この間の新型コロナ感染症や自然災害への対応においては、献身的に業務に当たる職員の姿、一人一人の中に市民の皆様の安全と安心を守るという強い使命感が根づいているとの表れであると私自身も大変心強く感じているところでございます。本市の未来に向けて大きな力になるものだと確信をしています。庄司あかり議員のこの3期12年の中で、本市職員に対する励ましも感じながら質問を聞かせていただきましたけれども、今後とも職員が誇りと自信を持って懸命に仕事に取り組むことによって市民の皆様方の信頼に応えることができるように、私自身も思いを伝え、そしてやりがいを持って臨める職場環境づくりに努めてまいりたいと存じます。
◯庄司あかり議員
市民のための仕事はもう議会も応援してくれますから、ぜひ皆さん、これからも頑張ってください。このことを申し上げ、質問を終わります。